β遮断薬(降圧薬)のまとめ

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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β遮断薬は、代謝に悪い影響がでることがあるので、生活習慣病が多くなるにつれて使われることは減ってきました。ですが、β遮断薬が特によく効く病態もありますし、他の降圧薬と併用する場合もあります。

ここでは最新のガイドラインに基づいて、β遮断薬についてまとめていきたいと思います。

 

1.β遮断薬の作用機序

心臓にある交感神経の受容体であるβ1受容体をブロックすることで、心臓の活動を抑えます。

血圧が高くなってしまうのには、血液を全身に送っているポンプの役割をしている心臓の働きが大きく関わっています。心臓が強く収縮して血液を送り出すと、血圧は当然高くなってしまいます。この状態を改善させるためには、心臓の働きを抑えてあげればいいですね。

この心臓の働きに関係するのがβ受容体です。心臓には、β受容体の中でもβ1受容体が存在します。β1受容体は交感神経の受容体で、身体が活発に活動している時に刺激されて働いています。運動している時には、全身が血液を必要とします。どんどん血液を回さなければいけないので、ポンプである心臓が頑張ります。その結果、血圧や心拍数が上がるのです。

このため、β1受容体を阻害すれば、心臓の拍動を抑えることができます。このような考えにより、β1受容体阻害作用によって心拍数を減少させ、高血圧を治療する薬がβブロッカーといいます。

 

2.β遮断薬の種類と特徴

交感神経が活発で、心臓を休めたいときに使います。

<β1選択性 ISA(-)>

  • メトプロロール(®セロケン・®ロプレソール)
  • アテノロール(®テノーミン)
  • ビソプロロール(®メインテート)
  • ベタキソロール(®ケルロング)
  • セリプロロール(®セレクトール)

<β1選択性 ISA(+)>

  • アセブトロール(®アセタノール)
  • セリプロロール(®セレクトール)

<αβ非選択性遮断薬>

  • カルベジロール(®アーチスト)
  • ラベタロール(®トランデート)
  • アロチノロール(®アロチノロール)

 

交感神経が活発に働いていて、心臓を休めたいときにはβ遮断薬を使います。慢性心不全やバセドー病などで甲状腺機能が高まっている時に使われます。

βブロッカーにも大きく3つの種類があります。

①β1受容体をがっちりブロックするもの
②β1受容体の部分作動薬
③β1受容体だけでなくα受容体もブロックするもの

部分作動薬というのが少しわかりにくいのでご説明します。部分作動薬とは、受容体にくっついた時に少しだけ作用するような薬です。ですから、心臓にムチが打たれていてβ刺激が強い時には、刺激から守る働きをします。ですが、刺激が何もないような時は、むしろ薬が少しだけ作用してしまうのです。この作用のことを内因性交感刺激作用(ISA)と呼びます。

高齢者にはISAの特徴を持つ②の方が、刺激に対する変化が少なく体に負担が少ないといわれています。ですが、狭心症の方ではむしろ心臓が休まらずに負担が増加し、心筋保護作用は少ないと考えられています。

副作用としては、糖・脂質代謝に悪影響があります。このため、高齢者や糖尿病の方ではあまり使われません。使うとしても、α作用もある③の方の方がよいといわれています。また、気管支を収縮させるので喘息の方には使えません。徐脈性の不整脈がある時も使えません。

 

まとめ

心臓にある交感神経の受容体であるβ1受容体をブロックすることで、心臓の活動を抑えます。

交感神経が活発で、心臓を休めたいときに使います。

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