双極性障害(躁うつ病)の家族の接し方のポイント

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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双極性障害(躁うつ病)は、躁とうつの2つの気分の波を繰り返す病気です。再発することも多く、長期にわたって治療していくことが必要です。

家族は、患者さんを取り巻くもっとも身近で重要な存在です。ですから、家族が双極性障害という病気を理解し、患者さんに対して理解をもって接することが大切です。そして症状の変化に注意して、薬の管理や服用の協力があると、再発率も大きく下がります。

ここでは、双極性障害の患者さんの家族がどのように接すればよいのか、考えていきたいと思います。

 

1.家族の感情は本人へのストレスになる

双極性障害という病気を理解することで、本人を受容して接していきましょう。

双極性障害は長きにわたって治療が必要な病気です。一緒に生活する家族の方は、患者さん本人の体調に振り回されてしまうことも度々でしょう。その中で、感情的になってしまうことは責められることではありません。

ですが家族が感情的になればなるほど、患者さん本人のストレスが増してしまいます。その結果、病状が悪化してさらに家族には負担となってしまいます。

家族の「感情表出(expresed emotion:EE)」と双極性障害への影響は、広く研究されています。「感情表出が高い(High EE)」とは、家族が患者さんに対して批判的であったり、過干渉などと過保護であったりする場合のことをいいます。

HEEの家族では、うつ状態と躁状態の どちらの再発率を上げてしまいます。とくにうつ状態を重症化させることが報告されています。

家族が双極性障害という病気を理解して受容できることができれば、患者さんへの接し方も変わってきます。ストレスが軽減して双極性障害の再発も減っていきます。

 

2.双極性障害のことで家族に理解してほしいこと

双極性障害の原因と特徴・注意すべき症状・治療・社会資源について理解しましょう。

双極性障害のことで患者さんの家族に理解してほしいこととしては、大きく4つあります。

双極性障害はありふれた病気であるということを理解してください。100人に1人にみられる病気なのです。原因はわかっていませんが、何らかの脳の機能的異常が背景にあるので、決して「本人の気持ちの問題」ではないのです。そして過去の問題行動は、症状から起こっていることを理解しましょう。

そして、双極性障害の症状について理解しましょう。とくに躁症状について知りましょう。躁症状は本人にとっては調子が良いので、問題意識をもてません。家族の方が気づいて本人に理解させられれば、エスカレートせずに済むのです。睡眠時間が少なくなっていたり、眼が輝いていたり、患者さんごとのサインを知ることが大切です。

双極性障害の治療についても理解を深めてください。双極性障害の治療では、現在の躁状態やうつ状態を改善することだけでなく、再発予防も重要です。このため、気分安定薬を継続的に服用していくことが重要なのです。また、軽躁状態や躁状態の時には、自分で薬が飲めなくなってしまうこともあります。鎮静作用のある頓服薬をうまく飲ませられれば理想的です。

そして、双極性障害の患者さんが利用できる社会資源を理解しましょう。自立支援医療や年金などといった経済的なサポートになる制度、デイケアや作業所、障害者雇用といった社会生活につながる施設について学びましょう。

 

3.躁状態のときに家族はどのように対応したらよいのか

躁状態で本人に病識がないときは入院を検討しましょう。すぐに主治医に相談しましょう。

双極性障害で家族が注意すべきなのは、躁状態です。軽躁状態であれば、指摘されたら何となく本人も調子がよいのを自覚することが多いです。しかしながら躁状態になってしまうと、外からの声が耳に入らなくなります。

この時の家族の苦労は並大抵のものではありません。調子がおかしいと伝えると本人はますますエスカレートします。暴言を吐いたり、時には暴力を振るわれることさえあります。この状態をほっておくと、お金を浪費してしまったり、昼夜を問わずに友人に電話したりします。社会的に大きな損失を被ってしまいます。

こうした場合は、すぐに入院を検討した方がよいです。そうはいっても本人は、病院に受診しようとしません。主治医の先生にすぐに相談し、入院施設のある病院を紹介してもらいましょう。精神科の入院制度では、本人の意志とは関係なく、家族と医師の同意で入院(医療保護入院)させることができます。入院先の病院と連携して、口実を作って病院につれていきましょう。

患者さん本人や家族への危険が差し迫っている時は、躊躇せずに警察を呼んでください。警察が必要と判断したら精神科病院で医師の診察を受けて、強制入院(措置入院)になることもあります。

 

4.うつ状態の時に家族はどのように対応したらよいのか

普段と変わりなく接して、本人がつらそうだったら無理せずに休むように促してください。死にたいという思いがみられたときは、家族が本人を大切に思っていることを伝えてください。

双極性障害の患者さんは、躁状態よりもうつ状態の方が期間としては長いです。そして本人としても苦しみが深いのです。

うつ状態の患者さんに対しては、そっと見守っておくのが一番良いです。そばにいてあげるのは良いのですが、干渉しすぎないことが大切です。普段とかわりなく接しながら、本人がつらそうだったら無理せず休むように促してください。

うつ状態のときは本人のペースに任せるのが基本で、「頑張れ」などと励ますことはしてはいけません。頑張ろうと思っても身体が動かなかったり、頭がまわらなかったりします。うつ状態のときは悲観的になっていることが多く、ストレスとなってしまいます。

また、気分転換に買物や旅行に誘うこともありますが、これも必ずしも良いこととは言えません。エネルギーが低下していて身体がついてこないのに、無理をしてしまって強い疲労感に襲われます。今まで当たり前にできていたことができなくなり、ストレスを感じてしまいます。

うつ状態のときは、患者さんは「死にたい」「消えたい」と口走ることもあります。こんなとき家族はどう応えて良いかわからず、動揺してしまうと思います。そのような時は、「死なないで欲しい。あなたが生きているだけで家族皆がうれしく思っている。みんなあなたのことは大切だと思っている。」ということを伝えてください。

双極性障害の患者さんは、死にたいという思いを抱えている方も多く、実際に自殺される方も多い病気です。長い苦しみの中で何よりの支えになるのは、家族という大きな絆です。家族は患者さんにとっての「ゲートキーパー」なのです。

 

まとめ

双極性障害という病気を理解することで、本人を受容して接していきましょう。

双極性障害の原因と特徴・注意すべき症状・治療・社会資源について理解しましょう。

躁状態で本人に病識がないときは入院を検討しましょう。すぐに主治医に相談しましょう。

うつ状態では普段と変わりなく接して、本人がつらそうだったら無理せずに休むように促してください。死にたいという思いがみられたときは、家族が本人を大切に思っていることを伝えてください。

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