PTSD(トラウマ)を克服する治療法とは?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、戦争や犯罪など、誰もが経験すると深い心の傷をうけるような出来事に出くわした時に、ストレスを上手く処理できずにこびりついてしまう病気です。

また、いじめや虐待などを受け続けていると、外傷記憶(トラウマ)が残り続けてしまい、複雑性PTSDとも呼ばれるように様々な症状が認められることがあります。

PTSDの治療は、薬物療法と心理療法をあわせて行っていきます。とくに心理療法の比重が大きいのが特徴です。

ここでは、PTSDやトラウマを克服するための治療法について、詳しくみていきたいと思います。

 

1.PTSD(トラウマ)の治療でまず大事なこと

患者さんが安心して話せる環境を作ることが何より大切です。トラウマを詮索したり、否定することはしません。

PTSDの治療でまず行うべきことは、患者さんの心理的な保護をはかることです。「この先生にならば相談しても大丈夫なんだ」と思ってもらえないと治療がはじまりません。

どの病気でも大切なことなのですが、PTSDの患者さんでは特に大切なことになります。PTSDでは、トラウマとなった出来事に対して回避症状が強いことも多いです。勇気をだして病院にいってみたけれど、トラウマを深堀されてしまったために、二度と治療にかかりたくないと感じてしまう方もいます。

ですから、PTSDの治療では治療導入が肝心です。患者さんの共感的に丁寧に聞いて、決してこちらから無理に詮索は絶対にしません。トラウマの内容に関しては、患者さんが自主的に話してくれる範囲に留めます。まずは治療関係をしっかりと築くことを大切にします。

「これからの治療のために必要なので、トラウマについて教えてください」と詮索したり、「あなたにも悪い所があったんだと思いますよ」などといった否定的な解釈をすることは絶対にしません。心得ている先生もたくさんいるので、安心して話ができる先生を見つけてくださいね。

 

2.PTSD(トラウマ)の治療の流れ

状態がある程度落ち着くまでは薬物療法が中心です。落ち着いてきたら、心理療法が中心となります。

PTSDの治療は、薬物療法と心理療法を合わせて行っていきます。PTSD(トラウマ)治療の中心は心理療法になるのですが、あまりに状態が不安定な時は心理療法を行うだけの余裕がありません。

  • 切迫した自傷他害の恐れがある場合
  • 現在も被害が続いている恐れがある場合
  • 精神病症状がある場合
  • トラウマの記憶がほとんどない場合

このような場合は、まずは薬物療法によって状態を落ち着けることからはじめます。心理療法は多かれ少なかれ、過去のトラウマに向き合う必要があります。かなりのエネルギーが必要なので、心理療法を始めていくには準備が必要なのです。

心理療法を行える段階になると、治療の中心は心理療法になります。PTSDの治療効果のエビデンスとしては以下の順番になっています。

  • 認知行動療法(持続エクスポージャー法)
  • EMDR(眼球運動による脱感作&再処理)
  • SSRI(薬物療法)

PTSDの治療は心理治療が非常に重要で、薬物療法はそれを支える治療という位置づけなのです。認知行動療法やEMDRなどの精神療法を行いつつ、薬物療法でサポートしていくのが現実的な治療といえるでしょう。

PTSDの薬物療法について詳しく知りたい方は、「PTSDに有効な薬とは?」をお読みください。

 

3.PTSD(トラウマ)を克服する心理療法とは?

持続エクスポージャー法とEMDRの2つが有効です。

PTSDの心理療法としては、集中的な認知行動療法である持続エクスポージャー法と、眼球運動を取り入れたEMDRの2つが代表的です。さまざまなガイドラインで、この2つの治療の有効性が示されています。

持続エクスポージャー法は昔から行われてきている治療法で、エビデンスがもっとも豊富にそろっています。米国学術会議の報告書でも、「薬物を含めたPTSDのあらゆる治療法の中で最も効果がある」と認められています。

持続エキスポージャー法(prolonged exposure therapy:pe)は安全で安心な環境を確保した中で、患者に敢えてトラウマになった体験の記憶を思い出させ、トラウマの恐怖に慣れさせるように仕向けます。

これによってトラウマを思い出しても危険なことは何もないということを学習させていくのです。言葉にして言い表して形にしていくことで、少しずつ封じ込めていた記憶の断片をつなげていきます。本来の正しい認識をして、「外傷記憶」を「過去の記憶」として処理できるようにしていきます。

持続エクスポジャー法は、トラウマに正面から向き合う治療法です。安全が確保されているとはいえ、トラウマを思い出すことが不安を強めることになり、症状の悪化につながることがあります。

とはいえ、治療前のように一人きりでトラウマを思い出して脅えていたときと違います。このような治療中に生じる不安は、トラウマを乗り越えていくための一つのプロセスです。

薬によって症状を軽減したり、呼吸法や自律訓練法、リラクゼーションなどの不安を自己コントロールする方法なども取り入れて、少しずつ持続エクスポージャー法をすすめていきます。

EMDRは、眼球運動を取り入れながら過去の外傷記憶の処理を進めていく治療法です。眼球運動というリズミカルな動きを意識しながら過去の外傷記憶をあつかっていくことで、その処理が促されていくのです。

EMDRについて詳しく知りたい方は、「EMDRのトラウマ治療への効果とは?」をお読みください。

 

まとめ

PTSD治療では、患者さんが安心して話せる環境を作ることが何より大切です。トラウマを詮索したり、否定することはしません。

状態がある程度落ち着くまでは薬物療法が中心です。落ち着いてきたら、心理療法が中心となります。

心理療法としては、持続エクスポージャー法とEMDRの2つが有効です。

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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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