ARBのまとめ(高血圧治療薬)

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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副作用が少なく、心臓や腎臓などの臓器を保護する作用があるARBは、降圧薬としてよく使われています。よく使われている薬だからこそ、ディオバン事件のようなことも起こりました。

ここでは最新のガイドラインに基づいて、ARBについてまとめていきたいと思います。

 

1.ARBの作用機序

血圧を上昇させるアンジオテンシンⅡを働かなくします。

血圧をあげる物質としてアンジオテンシンⅡという物質があります。このアンジオテンシンⅡは血圧を上昇させる強力な作用を有していて、大きな3つの方法(アルドステロンというホルモンの分泌、血管収縮、水・ナトリウムの再吸収)で血圧を上昇させます。

血圧を上げる物質であるアンジオテンシンⅡが作用するには、アンジオテンシンⅡ受容体に結合する必要があります。このため、この受容体をブロックしてしまえば、アンジオテンシンⅡが作用することができなくなりますね。その結果として、血圧は大きく下がります。このような作用をする薬物が、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)です。

もう少し正確にいうと、アンジオテンシンⅡ受容体にはAT1とAT2の二種類があります。血圧を上がる方向に作用するのはAT1の方で、AT2は下げる方向に働きます。ARBではAT1だけをブロックします。その結果、あふれたアンジオテンシンⅡはAT2に作用して血圧は下がっていくと考えられています。

 

2.ARBの種類と特徴

心血管病の予防効果が大きく、臓器を保護する効果が大きいです。

  • ロサルタン(®ニューロタン)
  • カンデサルタン(®ブロプレス)
  • テルミサルタン(®ミカルディス)
  • オルメサルタン(®オルメテック)
  • イルベサルタン(®イルベタン・®アバプロ)
  • アジルサルタン(®アジルバ)
  • バルサルタン(®ディオバン)

 

現在、日本では7種類発売されています。ARBには降圧作用だけでなく、心臓や腎臓の臓器を保護する効果があります。それぞれのARBでは少しずつ違いがありますが、効果はどれも大きくはかわりません。使い分けにつながる特徴的なポイントをご紹介したいと思います。

ニューロタンは尿酸排泄作用があるといわれていて、尿酸が下がります。抗尿酸血症がみられているときには積極的に使います。ミカルディスやアバプロは代謝改善作用があるといわれていて、インスリンを効きやすくしたり、脂質の代謝を改善するといわれています。糖尿病や脂質異常症などがある方には相性がよいです。

ARBの副作用はとても少ないですが、腎機能が大きく低下していると急速に腎機能が低下する場合があり注意が必要です。

2013年にディオバンの研究に関する不正が明らかになり問題となりました。効果を増強するように研究結果を操作したものですが、薬としての効果や安全性に関しては問題ないため、過度に心配する必要はありません。この薬が身体にあっていたのなら、無理に変更する必要はありません。

 

3.選択的アルドステロン阻害薬(セララ)

血圧をあげるホルモンであるアルドステロンの働きを抑えます。

<選択的アルドステロン阻害薬>

  • エプレレノン(®セララ)

アンジオテンシンⅡ受容体が刺激されると、副腎皮質からアルドステロンというホルモンが分泌されます。アルドステロンの作用としては、腎臓に働きかけてナトリウムの再吸収を促します。ナトリウムが血中に増えると、元の濃度にしようとして水が血管に移動します。その結果、体内に流れる血液の量が多くなって血圧が上がってしまいます。

それでは、このアルドステロンを直接働けなくしてしまえばよいですよね。この薬が選択的アルドステロン阻害薬になります。

副作用としては、腎機能の低下や心不全がある時には、高K血症に気を付ける必要があります。Naを再吸収するときにはKを排泄しているのですが、これを邪魔するのでKが捨てられずに増えてしまいます。不整脈の原因になるので気を付ける必要があります。

 

まとめ

血圧を上昇させるアンジオテンシンⅡを働かなくします。

心血管病の予防効果が大きく、臓器を保護する効果が大きいです。

血圧をあげるホルモンであるアルドステロンの働きを抑えます。

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