不眠に効果的な漢方と使い方

アイコン 2015.1.25 心の病気と漢方

不眠で悩まれている方に、「漢方って効果はありませんか?」とよく聞かれます。

漢方も上手くつかうと不眠の治療に役立ちます。

結構ご存知ない方も多いですが、病院でも睡眠薬だけでなく漢方薬も使うことができます。

ここでは、不眠によく使われる漢方をご紹介し、その効果と使い方をお伝えしたいと思います。

 

1.不眠への漢方の効果と使い方

不眠に対して漢方を使うのは3つのケースがあります。①体質改善を期待②漢方を飲むことでの安心感を期待③睡眠導入剤をやめていく時に最後のステップ

漢方は身体のどこに原因があるのかという見方よりも、全身を見ていく治療です。人間の身体が本来もっている健康を保つ機能のバランスを整えようとするのが漢方です。ですから、バランスの崩れ方を注意します。効き方もどの漢方が合うかも、人それぞれです。

このため、漢方薬は睡眠薬と違って直接的に睡眠に導くような働きは持っていません。不眠が起こる原因を解消することで、少しずつ眠れるようにしていくことを目指します。

漢方の効果は個人差があります。少しずつ身体のバランスが整っていき、2週間~1か月でじわじわと効果がでてくることが多いです。

私も不眠への治療で漢方を使っていますが、大きく3つのケースになります。

  1. 体質を改善して効果を期待
  2. 漢方を飲むことでの安心感を期待
  3. 睡眠導入剤をやめていく時に最後のステップとして

 

漢方本来の効果を期待して使うことももちろんあります。その場合は、以下でご紹介する漢方を使っていきます。飲み方は、一日2~3回ほどになります。

漢方を飲むことで安心感がえられることもあります。不安が強くて眠れない方には、うまくいくことがあります。漢方には独特の味がありますので、私は「良薬は口に苦し」と伝えることが多いです。飲み方は、寝る前に1回になります。

睡眠導入剤をやめていく時に、最後の薬がなかなかやめられません。薬を服用することでの安心感は大きいです。このような時に、漢方をつなぎにして薬を中止していくこともあります。飲み方は、寝る前に1回になります

 

2.不眠に効果のある漢方

不眠の状態にあわせて漢方を選択します。

不眠症に対して、一般的に漢方薬としてよく使われるものは、酸棗仁湯です。不安というよりも、疲労により心身が疲れ切ってしまって眠れない場合に使われます。同じようなケースでは、四物湯も使われます。

疲労に加えて精神的なストレスも加わって眠れない場合、帰脾湯が使われます。さらに、イライラやほてりがある場合は加味帰脾湯になります。同じようなケースでは、加味逍遥散が使われることも多いです。

不安が強く睡眠に対しての恐怖心が強い場合、柴胡加竜骨牡蛎湯を使います。この漢方は体力がある人向きですので、エネルギーがある人に使います。似たような状況ですが体力がない場合、桂枝加竜骨牡蛎湯を使います。

イライラなど感情の高ぶりが大きくて眠れない場合、抑肝散を使います。胃腸が弱い場合は、漢方の胃薬を加えた抑肝散加陳皮半夏を使います。

急なストレスがあって頭が熱くなって興奮し寝られないような場合、心火を冷ます三黄瀉心湯を使います。胃腸に負担があるので胃腸が弱い場合は、量を少量にするか黄連解毒湯を使います。

ストレス発散のために暴飲暴食し、咳や痰などによって不眠が出現した場合、風邪の回復期によい竹筎温胆湯が使われます。

 

3.不眠の漢方の副作用

体質に合わないといろいろな不調がでてくることがあります。その場合は主治医に相談してください。

漢方は、何種類かの生薬で構成されています。生薬は自然界にある天然のものです。漢方はこの生薬の合剤ともいえます。ですから、漢方の副作用はとても少ないです。ただ、身体の証にあわないとバランスが乱れてしまうことがあります。これを漢方では、誤治とよびます。

その副作用を無視して、飲み続けるとバランスの崩れた悪い体質に変わってしまうこともあります。これを漢方で壊病といいます。身体に合わなければすぐに主治医に伝えてください。

 

4.漢方を使った市販の睡眠薬

市販の睡眠薬として漢方がつかわれているものも多くあります。

市販の睡眠薬は、大きく分けると2種類あります。抗ヒスタミン薬と漢方薬です。

抗ヒスタミン薬は花粉症やアレルギーの薬としてよく使われています。これらを飲むと眠くなったことはありませんか?この眠気を利用しています。

漢方薬としては、レスフィーナ・イララック・パンセダンなどが発売されています。レスフィーナは抑肝散に芍薬と黄連を加えたものです。イララックやパンセダンは、漢方成分のほかに不眠に改善効果があるといわれているホップが成分として含まれています。

 

5.漢方の体質タイプによる使い分け

漢方医学では体力や身体の抵抗力を証としてとらえます。どの漢方薬が適切かを判断していく際は、2つの証をみます。陽証か陰証か、実証か虚証かの2つです。

 

5-1.漢方の陽証と陰証

陽証の方には、より強い漢方が使えます。

身体は外から刺激をうけると様々に反応をしめします。その反応の全体的な方向性を陽か陰かで分けていきます。活動的で熱性の反応を示すときは陽証、非活動的で寒性の反応を示すときは陰証となります。

陽証の方は、より強い漢方が使えて治癒もはやくなります。陰証の方は、より穏やかな漢方を使うので治療はゆっくりとなります。このような方に強い漢方はかえって身体の負担となります。

陽証を示唆する症候 陰証を示唆する症候
暑がりで薄着 寒がりで厚着
クーラーなど寒冷刺激を好む 電気毛布など温熱刺激を好む
口渇があり冷水を好む 口渇はないが温かい湯茶を好む
顔面が紅潮・眼球の充血 顔面が蒼白
高体温(36.7℃以上)傾向 低体温(36.2℃以下)傾向
冷やすと症状が軽減する 温めると症状が軽減する

 

5-2.漢方の実証と虚証

陽証の方は実証、陰証の方は虚証のことが多いです。

病気への身体の抵抗力と病気の勢いを見ます。身体が病気に対して力強く反応して、強い痛みや腫れ、発熱などの強い反応がでていると実証、病気に対する力が低下して身体が弱々しい反応をして長引いていると虚証となります。陽証の方は実証、陰証の方は虚証のことが多いです。

実証を示唆する症候 虚証を示唆する症候
元気がある・体力がある 元気がない・体力がない
がっしりした体格 きゃしゃな体格
声が太く大きい 声が細く小さい
眼に力があり生き生き 眼に力がなくうつろな感じ
動作がしっかり 動作がしっかりしない
便秘しやすい 下痢しやすい
脈の力が強い 脈の力が弱い
症状は比較的強くて激しい 症状は比較的弱くて穏やか

 

まとめ

不眠に対して漢方を使うのは3つのケースがあります。

①体質改善を期待
②漢方を飲むことでの安心感を期待
③睡眠導入剤をやめていく時に最後のステップ

 

体質改善を期待する場合、不眠の状態にあわせて漢方を選択します。

酸棗仁湯(陰・虚) 疲れによる不眠
四物湯(陰・虚) 疲れで体力がなくなり不眠
帰脾湯(陰・虚) 疲れとストレスによる不眠
加味帰脾湯(陰・虚) 上記にイライラやほてりがある場合
加味逍遥散(陰・虚) 不安や自律神経の乱れのある不眠
柴胡加竜骨牡蛎湯(陽・実) 不安が強く睡眠に対して恐怖のある不眠
抑肝散(中・中) イライラが強く興奮が大きい不眠
抑肝散加陳皮半夏(陽・虚) 上記に胃腸が弱い場合
三黄瀉心湯(陽・実) 急なストレスで感情が高まる不眠
黄連解毒湯(陽・実) 上記に胃腸が弱い場合
竹筎温胆湯(陰・虚) 暴飲暴食により、消化管の乱れがある不眠

体質に合わないといろいろな不調がでてくることがあります。その場合は主治医に相談してください。

陽証の方には、より強い漢方が使えます。陽証の方は実証、陰証の方は虚証のことが多いです。

市販の睡眠薬として漢方がつかわれているものも多くあります。