ドラール錠15mg・20mgの薬価と使い分け

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ドラールは作用時間が非常に長く、長時間型睡眠薬に分類されています。入眠作用はそこまで強くありませんが寝付きやすい土台を作ってくれて、中途覚醒や早朝覚醒に効果が期待できます。

ドラールの錠剤としては15mgと20mgの2種類が発売されています。まずは15mgからはじめて、効果をみながら増減させていきます。ここでは、ドラール錠15mg・20mgの実際の使い方や薬価についてご紹介していきます。

ドラールの効果について詳しく知りたい方は、
ドラール錠の効果と強さ
をお読みください。

 

1.ドラール錠15mg・20mgはどうやって使うのか?

ドラールは15mgから始めます。効果をみて15mg~30mgで使用していきます。

ドラールは、少しずつ身体にお薬が蓄積して効果がでてくる睡眠薬です。服用を続けていくことで寝付きやすい土台をつくる睡眠薬なのです。このような睡眠薬ですので、即効性はあまり期待できません。まずは少量の15mgから使って、効果を見ていくことが多いです。

ドラールの効果が安定してくるまでには1週間ほど時間がかかります。ですから、ドラールを開始してから1~2週間は様子を見ていきます。もしも不眠が十分に改善できなければ、30mgまで使うことができます。15mg→20mg→30mgと増量していきます。それ以上は増量しても効果が少ないです。睡眠薬が効かないからといってたくさん飲んでも、効果には限界があります。

ドラール30mgでも効果がないときは、薬の変更や作用の異なる睡眠薬の併用を考えていきます。ドラール15mgで副作用が目立つ時は、20mg錠剤を半分に割って10mg、15mg錠剤を半分に割って7.5mgを試してみます。

 

2.ドラール錠15mg・20mgの薬価

ドラール錠のジェネリック(クアゼパム錠)では、薬価が4割5分ほどになります。

ジェネリックになると安くなると言われていますね。発売当初は6割くらいになることが多いのですが、ドラールの場合はさらに安価となっています。ジェネリックが発売されてから年月がたち、製薬会社の競争の結果として薬価が落ちていきます。実際の数字でみてみましょう。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
ドラール錠 15mg 98.5円
ドラール錠 20mg 116.6円

<ジェネリック(後発品)>

商品名 剤形 薬価
クアゼパム錠 15mg 44.5~57.4円
クアゼパム錠 20mg 54.5~67.4円

※2015年8月26日現在の薬価です。

ドラール錠をジェネリックのクアゼパム錠にすると、およそ4割5分となります。ドラールは非常に高価な睡眠薬です。このため、ジェネリックにするとだいぶ負担が軽減されますね。

 

3.ドラール錠とクアゼパム錠での違い(効果や副作用)

ドラールの作用時間が変わることで、効果や副作用に多少の違いが出てきます。

成 分が同じだからといってまったく効果が同じかというと、そういうわけではありません。薬のコーティング、溶け方、吸収のされ方などは、製薬会社によって異 なります。

とはいってもドラールの後発品と認めてもらうためには、ちゃんと基準があります。ジェネリックのクアゼパムを服用してからの血中濃度の変化が、ドラールと比べて誤差80~125%の間にあることが条件なのです。

だいたいは同じような効き方をするのですが、血中濃度がピークになるまでの時間(最高血中濃度到達時間)や血中濃度が半分になるまでの時間(半減期)に違いが出てきます。睡眠薬の場合は、作用時間が重要なので効果や副作用に違いがでることがあります。

ドラールは半減期が36時間と、寝付きやすい土台をつくるような睡眠薬です。このため影響は少ないですが、作用時間が短くなってしまうと早朝覚醒などが認められることがあります。反対に長くなってしまうと、翌朝の眠気の「持ち越し効果」が認められます。

このように違いがでてくるので、ジェネリックにする時は同じ薬局でお薬をもらうようにしてください。初めから同じ後発品のクアゼパムを使えば、そのクアゼパムの効果をもとに薬を調整することができます。

 

4.ドラール錠15mg・20mgの使い分け

ドラール20mgは日本でのみ発売されている剤形です。15mgと20mgを使い分けると、細かな調整ができます。

ドラール錠は15mgと20mgの錠剤が発売されています。この2つを使い分けることによって、細かな用量調整ができるようになります。少ない量から順に7.5mg→10mg→15mg→20mg→30mgと用量を調整することができます。

ドラール錠は15mg1つから開始することがほとんどです。15mgで効果がないときは、20mg錠にします。それでもダメでしたら15mg錠2つで30mgまで増量します。

15mgで副作用が目立つときは、半錠にしていきます。20mg錠半分で10mg、15mg錠半分で7.5mgにしていきます。ドラール錠には割線が入っているので、薬局に頼めば割ることができます。

このように2つの剤形を使い分けることで、細かな調整ができるようになります。ドラールを服用している時は、食事に気を付ける必要があります。食後にドラールを服用すると吸収がぐーんとよくなってしまい、3倍近く吸収されてしまいます。食後にドラールを服用すると本当の効果や副作用がわからなくなるため、気を付けるようにしましょう。

 

5.ドラールは漫然と使わないこと!

ドラールは段階的に量を増やしていき、落ち着いたら段階的に減量していく意識を持ちましょう。そのためにも生活習慣の意識が大切です。

ドラールは依存性が少ない睡眠薬です。ですが、漫然とした使用は避けなければいけません。

ドラールを使う時は、睡眠に良い生活習慣も必ず意識して取り入れるようにしましょう。

ドラールは15mg~30mgを常用して使っていきます。入眠障害には効果が弱いので、寝つきが悪いときは超短時間型のマイスリーやアモバンやルネスタ、短時間作用型のレンドルミンなどを併用していきます。できれば寝付けない時だけに頓服にしておいた方がよいです。

 

心身の状態が落ち着いてきたら、少しずつ睡眠薬を減薬していく意識を持つことが大切です。そのためにも、生活習慣の意識などをしておくことが大切なのです。

睡眠に良い生活習慣について詳しく知りたい方は、
不眠を解消する9つの方法
をお読みください。

 

まとめ

ドラールは15mgから始めます。効果をみて15mg~30mgで使用します。

ドラール錠のジェネリック(クアゼパム錠)では、薬価が4割5分ほどになります。

ドラール20mgは日本でのみ発売されている剤形です。15mgと20mgを使い分けると、細かな調整ができます。

段階的に量を増やしていき、落ち着いたら段階的に減量していく意識を持ちましょう。そのためにも生活習慣の意識が大切です。

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