ルネスタの苦味とは?
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
ルネスタを飲むと苦いと感じる方がいらっしゃいます。飲んだ時に苦いだけならば「良薬は口に苦し」ですみますが、この苦味は翌日も続いてしまうこともあります。
この苦味はアモバンで特によくみられますが、その改良した睡眠薬であるルネスタでも見られるのです。アモバンに比べると苦味は軽減されています。
ここでは、ルネスタの苦味について考えていきましょう。
1.どうしてルネスタは苦味があるのか?
ルネスタの苦味は、薬の成分や代謝産物が唾液から分泌されて感じられます。量が多いほど苦みは強くなりますが、体質も関係しています。
ルネスタを服用すると苦味を感じる方がいらっしゃいます。ルネスタの添付文章をみても、36.3%(325例中)の方に味覚異常が認められたという報告があります。程度もあるのでここまでは問題にはなりませんが、15人に1人くらいは苦味を感じる方がいらっしゃいます。
ルネスタで苦味がでてしまう成分は、はっきりとわかっていません。何らかの苦味成分が唾液から分泌されていると考えられています。ルネスタを服用すると、血液に取り込まれます。それが体内をめぐって唾液から少しだけ分泌されます。
さらには、ルネスタは肝臓で代謝をうけます。その際に作られる代謝物も、体内をめぐって唾液から少しだけ分泌されます。これらが合わさって、独特の苦味が出ると考えられています。味を感知する味蕾細胞の周囲の血流から感じているとも考えられています。これだと身体の内部から苦味を感じていることになりますが、うがいなどをしても変わらない方も多いです。
ルネスタの苦味は、飲んだ直後に苦いというわけではありません。薬が吸収されてから唾液に分泌される成分が原因ですので、翌朝などに苦味が続いてしまうのです。このことを知らないと、ビックリしてしまいますね。この苦味は身体に悪影響があるわけではないので心配しないでください。
苦味を感じるかどうかは体質もあるようで、まったく感じない方も多いです。私自身も試しに服用してみたことがありますが、苦味はまったく感じませんでした。高齢者では若い方に比べると苦味が少ない印象があります。唾液量が減ったり、代謝が悪くなるためでしょうか。
苦味の程度は、ルネスタはアモバンと比べるとかなり軽減されています。この苦味は薬の成分によるものなので、量が増えると強くなります。ルネスタは、アモバンの有効成分だけを取り出したものです。このため、薬が少量で済んでいるので苦味が少ないのです。アモバンでは苦くて仕方がないので薬を変えてほしいという方もいらっしゃいますが、ルネスタではそこまでの苦味を訴えられる方は少ないです。苦味を感じても、ほんのりと感じる程度ということがほとんどです。
ルネスタのその他の副作用について知りたい方は、
ルネスタの副作用(対策と比較)
をお読みください。
2.ルネスタの苦味の対策
ルネスタの苦味を感じてしまった時は、どのように対策をしていけばよいでしょうか?
2-1.減量する
ルネスタ2mgや3mgを使っている場合は、減量して様子を見ましょう。
ルネスタの苦味の原因は、薬とその代謝物が唾液から出てくるためと考えられています。ですから、薬の量を減らせば唾液からの分泌量も減りますので苦味が軽減します。ルネスタは1~3mgで使う睡眠薬です。2mgや3mgを使われている方は、減量できれば苦味を軽減できるかも知れません。
2-2.ガマンする
何とかなるならばガマンしましょう。
ルネスタの苦味は身体に悪いものではないです。減量ができない場合は、ガマンするというのも方法です。そういってしまうと身も蓋もないですが、ルネスタは安全性の高い薬です。もしもルネスタでしっかりとした睡眠がとれているのでしたら、ガマンしていただくことも検討してみてください。
甘いものを食べたり、アメを舐めたりしても、よけいに苦味が強くなってしまうこともあります。唾液が増えてしまって、苦味が増してしまうのです。残念ながらルネスタの苦味は、少しずつ慣れていくものでもありません。ガマンしてつきあっていくしかありません。
2-3.他の薬に変更する
寝つきが悪くて悩んでいる方は、まずはマイスリーへの変更を検討します。中途覚醒で悩んでいる方は、 オレキシン受容体拮抗薬のベルソムラや、ベンゾジアゼピン系のハルシオン・デパス・レンドルミン・エバミール・リスミーなどへの変更を検討しましょう。
どうしても苦味が耐えられない方は、他の薬への変更も検討します。寝つきが悪くて悩んでいる方でしたら、ルネスタと同じ系統で作用時間の短いマイスリーに切り替えてみましょう。マイスリーでしたら安全性も高いので変更もしやすいです。
マイスリーで効果がなかった方、中途覚醒で悩んでいる方では、他の睡眠薬を検討します。不眠の状態によって、どの睡眠薬があうかを考えます。オレキシン受容体拮抗薬のベルソムラ、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の2系統のお薬から考えていくことが多いです。寝つきが問題ない方は、ベルソムラを試してみてもよいかもしれません。中途覚醒の方には効果が期待できますし、副作用も少ないです。ただ、即効性があまりないので、確実な効果を期待したいならベンゾジアゼピン系睡眠薬です。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬はたくさんの種類が発売されています。どの薬があうかを判断するには作用時間が重要になります。作用時間は、薬の半減期(血中濃度が半分になるまでにかかる時間)をみることで予想することができます。代表的な睡眠薬の半減期をまとめた表をみてみましょう。
これを見ていただくと、ルネスタの半減期は5時間となっています。それよりも短い薬として、ハルシオンが候補にあがります。アモバンはルネスタよりも苦味が強くでるので使えません。作用時間が近い睡眠薬としては、デパス、レンドルミン、エバミール、リスミーなどがあげられます。デパスは睡眠薬というより安定剤ですので、純粋な睡眠効果としては少し劣ってしまいます。
睡眠薬の効果は、薬の量などによっても異なってきます。ルネスタの効果をみながら、作用時間と薬の強さを考えて適切な睡眠薬を選んでいきます。
まとめ
ルネスタの苦味は、薬の成分や代謝産物が唾液から分泌されて感じられます。量が多いほど苦みは強くなりますが、体質も関係しています。
ルネスタの苦味に対しては、
- ルネスタを減量する
- ガマンする
- 他の薬に変更する
という方法があります。
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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