デパケン錠100mg・200mg・細粒・シロップの薬価と使い分け

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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デパケンは、1975年に発売された抗てんかん薬です。気分安定薬としても使われています。かなりの年月も経っているので、ジェネリック発売されています。

デパケンの錠剤としては、100mg・200mgの2つの規格が発売されています。抗てんかん薬のため子供が服用することも多く、飲みやすさを意識して細粒やシロップも発売されています。

ここでは、デパケン錠100mg・200mg、細粒、シロップの実際の使い方や薬価についてご紹介していきます。

デパケンの効果について詳しく知りたい方は、
デパケン錠・デパケンR錠の効果と特徴
をお読みください。

 

1.デパケンの効果時間と使い方

デパケン錠(デパケンR錠)は最高血中濃度到達時間が0.92時間(10.26時間)、半減期が9.54時間(12.92時間)の気分安定薬です。最近は、徐放製剤のデパケンR錠を使うことが多いです。

デパケン錠を服用すると、0.92時間(食後は3.46時間)で血中濃度がピークになります。そこから少しずつ薬が身体から抜けていき、9.54時間ほどで血中濃度が半分になります。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

デパケン錠は作用時間はそこまで長くはないので、1日2~3回に分けて服用することが一般的です。毎日服用していると、およそ6~7日で血中濃度が安定します。このため、少なくとも1週間は様子をみながら効果をみていきます。

 

デパケン錠の効果を安定させるために、デパケンR錠という徐放製剤が発売されています。最近はこのデパケンR錠が使われることが多くなっています。

デパケンR錠は作用時間が長く、1日1回の投与でも効果が持続します。最高血中濃度到達時間が10.26時間(食後は8.95時間)、半減期が12.92時間となっています。

 

デパケンの開始用量は200~400mgとなることが多いです。月に1回血中濃度を測定しながら、有効血中濃度となるように量を調整します。

有効血中濃度は50~100μg/mLが目安です。抗躁効果を期待するときは高用量が必要で、70~120μg/mLを目標にします。

薬の代謝能力は個人差もあるため、デパケンの用量も人それぞれです。デパケンの添付文章をみると、以下の用量になっています。

  • てんかん・躁症状:400~1200mg
  • 片頭痛:400~800mg、最高量1000mg

 

2.デパケン錠・デパケンR錠・細粒・シロップの薬価

デパケンは古くからある薬なので、薬価が安いです。飲みやすいように様々な剤形が発売されています。

デパケンは発売から40年以上が経過しているお薬です。ですから、デパケンの薬価はかなり安くなっています。デパケンではジェネリックも発売されていて、先発品よりもさらに安くなっています。

また、デパケンは抗てんかん薬としても広く使われます。てんかんの患者さんは子供も多いので、飲みやすいように細粒やシロップなど、様々な剤形が発売されています。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
デパケン錠 100mg/200mg 9.9円/14.6円
デパケンR錠 100mg/200mg 11.2円/18.4円
デパケン細粒 20%/40% 16.8円/24.8円(/g)
デパケンシロップ 5% 7.6円/ml
セレニカR錠 200mg/400mg 24.1円/39.7円
セレニカR顆粒 40% 39.8円/g

<ジェネリック(後発品)>

商品名 剤形 薬価
バルプロ酸Na錠 100mg/200mg 9.1円/6.1~11.8円
バルプロ酸Na徐放錠 100mg/200mg 7.9円/12.1円
バルプロ酸Na細粒 20%/40% 11.9円/17.9円(/g)
バルプロ酸Na徐放細粒 40% 26.8円/g
バルプロ酸Naシロップ 5% 6.7円/ml
バレリン錠 100mg/200mg 9.1円/11.8円
バレリンシロップ 5% 6.7円/ml

 

デパケン錠は先発品も十分に安価になっています。ジェネリックのバルプロ酸にすることで、さらに薬価が安くなるものもあれば、先発品が十分に安いのであまりかわらないものもあります。

先発品としては、デパケンとセロニカがあります。デパケン錠は湿気に弱く、セロニカR錠も同様です。デパケンR錠では湿気に強くなっています。セロニカR錠の利点としては、錠剤が少しだけ小さく、400mg錠剤も発売されているので錠数を減らすことができます。また、セロニカには徐放剤の細粒が発売されています。

ジェネリックの中で有用なのが、エピレナートシロップです。2015年6月に名称変更され、バルプロ酸Naシロップ「フジナガ」となりました。このシロップが有用なのは、無色であるということです。先発品のデパケンシロップは赤いので、目立ってしまいます。

 

ジェネリックにもいくつかの会社から異なる商品が発売されています。かつてはそれぞれの会社ごとの商品名がつけられていましたが、紛らわしさをなくすために成分名(一般名)のバルプロ酸Na錠に統一する流れになっています。

※2015年12月14日現在の薬価です。

 

3.デパケン錠とジェネリック(バルプロ酸Na錠)の違いと注意点

血中濃度が重要なので、途中からジェネリックに変更するのはお勧めできません。ジェネリックを使うなら最初から使っていきましょう。また、ジェネリックを使うならば同じ薬局で薬をもらいましょう。

デパケン錠とジェネリックでは確かに有効成分は同じです。ですが、成分が同じだからといってまったく効果が同じかというと、そういうわけではありません。薬のコーティング、溶け方、吸収のされ方などは、製薬会社によって異なります。

このように製薬会社によって違いはありますが、デパケン錠のジェネリックと認めてもらうためには、ちゃんと基準があります。ジェネ リックのバルプロ酸Na錠を服用してからの血中濃度の変化が、デパケン錠と比べて誤差80~125%の間にあることが条件なのです。

効果や副作用の大まかな特徴はかわりません。しかしながらデパケン錠では、この誤差で調子が崩れてしまうこともあります。デパケンなどの気分安定薬や抗てんかん薬では、血中濃度を測定しながら量を調整していきます。特にてんかんの患者さんでは、20%程度の誤差が大きな違いとなることもあるのです。

 

私はできるだけジェネリックを使った方が、患者さんも国も幸せだろうと考えています。ですが、気分安定薬や抗てんかん薬に関しては慎重に考えています。このため、以下のことを守った方がよいと考えています。

  • ジェネリックを使うなら最初から
  • ジェネリックは同じ薬局でもらうようにする
  • いずれ病院が変わる可能性があるなら先発品に

先発品のデパケン錠を使っていて、途中からジェネリックのバルプロ酸Na錠に変えることはお勧めできません。ジェネリックを使うならば飲み始めからです。また、ジェネリックを作っている会社によっても違いがありますので、同じジェネリックを使うようにしましょう。そのためには、同じ薬局でお薬をもらうように心がける必要があります。

デパケン錠は長期にわたって服用する方も多いです。このため、いずれ転居などで病院が変わる可能性があるのでしたら、どの薬局や病院でもおいてある先発品のデパケン錠にしておいた方が無難です。

 

まとめ

デパケン錠(デパケンR錠)は最高血中濃度到達時間が0.92時間(10.26時間)、半減期が9.54時間(12.92時間)の気分安定薬です。最近は、徐放製剤のデパケンR錠を使うことが多いです。

デパケンは古くからある薬なので、薬価が安いです。飲みやすいように様々な剤形が発売されています。

血中濃度が重要なので、途中からジェネリックに変更するのはお勧めできません。ジェネリックを使うなら最初から使っていきましょう。また、ジェネリックを使うならば同じ薬局で薬をもらいましょう。

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