メデポリン錠(アルプラゾラム錠「サワイ」)の効果と副作用

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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メデポリンは、抗不安薬ソラナックスのジェネリックとして長らく発売されていました。2014年6月より名称変更して、メデポリンからアルプラゾラム錠「サワイ」となっています。

メデポリンは効果と副作用のバランスがよいお薬で、とても使い勝手のよりお薬です。とはいっても副作用があるので、注意が必要です。ここでは、メデポリンの効果と副作用について詳しくみていきましょう。

 

1.メデポリンの効果と特徴

まずは、メデポリンの特徴をまとめてみたいと思います。

メデポリンは、脳の活動を抑えることで落ち着かせてくれるお薬です。これにより、以下の4つの作用があります。

  • 抗不安作用「中」
  • 催眠作用「中」
  • 筋弛緩作用「弱」
  • 抗けいれん作用「わずか」

となっています。これをふまえて、メデポリンの特徴をメリットとデメリットに分けてみていきましょう。

 

1-1.メデポリンのメリット

  • 即効性がある
  • 抗不安作用が中程度
  • 筋弛緩作用が弱い

不安感や緊張が強いと、失敗が増えてしまうことが多いです。そうすると苦手意識ができてしまって、ますます不安が強くなるという悪循環が続いてしまいます。

メデポリンは抗不安作用がしっかりとしているので、この悪循環をとめる効果が期待できます。抗不安作用としては、デパスやレキソタンスなどには劣りますが、「普通~やや強い」抗不安効果が期待できます。即効性もあるので、薬を飲んだ直後から効果が期待できます。不安に対してはSSRIなどの抗うつ剤も効果がありますが、効果が出てくるのが遅いので時間がかかってしまいます。

 

メデポリンには抗不安作用だけでなく、催眠作用や筋弛緩作用があります。筋弛緩作用が弱いので、ふらつきの副作用は少ないです。催眠作用もありますが「中」くらいですので、積極的に睡眠薬として使うことはありません。不安が強くて寝付けない方は、メデポリンを睡眠薬がわりに使うこともあります。

 

1-2.メデポリンのデメリット

  • 眠気は比較的多い
  • 依存性がある
  • 睡眠の質が落ちる

メデポリンには催眠作用があります。不安感や緊張が強い時は眠気を感じることは少ないかと思います。薬をのんで気持ちが落ち着くと、急に眠気が強く出てくることがあります。メデポリンは効果がしばらく持続するので注意してください。

メデポリンでは依存性も中程度のお薬です。最初はしっかりと効いてくれるのですが、だんだんと薬が身体に慣れてしまいます。徐々に同じ量では効果が出なくなってしまい、薬がドンドンと増えてしまうこともあります。また、「もう大丈夫だろう」と薬を減らしていく時に、身体がビックリしてしまって離脱症状がでてくることがあります。漫然と使うことは避けましょう。

メデポリンでは、睡眠の質を落としてしまう傾向にあります。レム睡眠やノンレムの深い睡眠を減らしてしまい、ノンレムの浅い睡眠を増やしてしまいます。このため、睡眠の質が落ちてしまって熟眠感が薄れてしまうことがあります。

 

2.メデポリンの作用時間・効果時間と強さ

メデポリンは最高血中濃度到達時間が1.9時間、半減期が13.5時間の中間型抗不安薬です。効果時間は7~14時間ほどになります。抗不安作用は「普通~やや強い」です。催眠作用が中程度で、筋弛緩作用が弱いです。

メデポリンを服用すると、およそ1.9時間で血中濃度がピークになります。メデポリンはそこから少しずつ血中濃度が減っていきます。13.5時間かけてゆっくりと身体から薬が抜けて、血中濃度が半分になります。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

メデポリンでは、「最高血中濃度到達時間1.9時間・半減期13.5時間」となっています。

服用してから1.9時間して効果のピークがくるような睡眠薬ですから、即効性が期待できる抗不安薬です。さらに半減期が13.5時間なので、1日たっても1/4は残っています。このため、毎日服用していると身体にたまっていきます。メデポリンを毎日服用したときの血中濃度の変化を考えてみましょう。

薬を飲み続けると、定常状態となります。その様子を図であらわしました。

飲み続けていると、あるところで均衡状態ができます。この状態を定常状態といいます。メデポリンでは3日ほど服用を続けると、定常状態に達します。このようなお薬なので、頓服としても効果が期待できますし、定期的に飲み続けていくと不安になりにくい土台もできていきます。

このようにどちらにも効果が期待できるため、メデポリンのような作用時間の抗不安薬は「中間型」に分類されます。

 

実際の効果としては、服用して15分~30分くらいで出てきます。効果のピークは2時間くらいしてやってきて、効果はしばらく続きます。効果の持続時間は個人差があり、薬が効きやすい方と効きにくい方がいらっしゃいます。メデポリンの効果の持続時間は、およそ7~14時間といったところになります。

 

メデポリンの効果の強さとしては、

  • 抗不安効果「中」
  • 催眠効果「中」
  • 筋弛緩効果「弱」
  • 抗けいれん効果「わずか」

となっています。抗不安効果の強さは「中」となっていますが、もう少し細かく表現するならば「普通~やや強い」といったところでしょう。

用量は0.8~2.4mgとなっていて、最大2.4mgまで使える抗不安薬です。

 

3.メデポリンの副作用とは?

メデポリンは、効果のわりには副作用が少ない抗不安薬です。筋弛緩作用が弱いので、ふらつきが少ないです。効果の実感があるので、依存には注意が必要です。

メデポリンの効果の特徴を考えると、副作用もわかります。

メデポリンは最高血中濃度到達時間が2時間、半減期が14時間の抗不安薬で、中間型に分類されます。

メデポリンの効果の強さとしては、

  • 抗不安効果「中」
  • 催眠効果「中」
  • 筋弛緩効果「弱」
  • 抗けいれん効果「わずか」

このような効果の特徴をふまえて、メデポリンの副作用を考えてみましょう。

 

まずは作用時間をみてみましょう。1.9時間で血中濃度がピークになるので、即効性がある薬です。メデポリンを飲んですぐに副作用が強く出てくる可能性があります。そして、半減期(血中濃度が半分になるまでにかかる時間)が13.5時間あるので、副作用が抜けるには半日ほどかかる可能性もあります。

効果の強さをみてみましょう。抗不安作用は中程度のお薬ですが、即効性があります。このため、「メデポリンが効く」という実感があるので依存性があります。効果の割には筋弛緩作用が弱く、催眠効果も中程度です。このためバランスはよいといえますが、眠気やふらつきは事故などにもつながるので注意が必要です。

 

4.メデポリンとその他の抗不安薬(効果と副作用の比較)

メデポリンは、作用時間は中間型です。抗不安作用がしっかりとしているわりに、筋弛緩作用が弱いのが特徴です。

抗不安薬には、さまざまな種類が発売されています。比較してみてみましょう。

抗不安薬を比較するにあたっては、2つのポイントがあります。

  • 作用時間(最高血中濃度到達時間・半減期)
  • 4つの作用への強さ(抗不安・催眠・筋弛緩・抗けいれん)

よく使われるベンゾジアゼピン系抗不安薬で、この2つのポイントを比較してみましょう。

代表的な抗不安薬の効果や作用時間について比較した一覧表です。

まずは作用時間によってタイプがわかれています。作用時間は、ピーク(最高血中濃度到達時間)と半減期をみて推測していきます。

作用時間は短時間作用型~超長時間作用型までの4つに分類できます。

短時間~中間型に関しては、即効性を期待して使うことが多いです。一方で超長時間型は、飲み続けていくことで全体的に落ち着かせる土台をつくるようなお薬です。長時間型はその中間に位置していて、即効性も期待できますし、飲み続けていくことで不安を落ち着かせていくこともできます。

作用時間による副作用の違いは、

  • 短いほど依存しやすい
  • 長いほど身体に薬がたまって眠気やふらつきが出やすい

といえます。

 

患者さんの不安の状態から、どの作用時間の抗不安薬が適切か考えていきます。その上で、作用の強さを比較して選んでいきます。

短時間型では、デパス>>リーゼ>グランダキシンです。デパスは催眠作用が強く、睡眠薬にも分類されることがあります。また、筋弛緩作用も強いので、肩こりなどにも使われます。

中間型では、レキソタン>ワイパックス≧メデポリン(ソラナックス)/コンスタンです。いずれも抗不安作用が強く、不安の発作にも使われます。レキソタンは筋弛緩作用が強いのに対して、メデポリンは弱いです。

長時間型では、リボトリール/ランドセン>セパゾン>セルシン/ホリゾンです。セルシン/ホリゾンには注射があります。服薬ができない時は、筋肉注射が効果的です。

超長時間型では、レスタス>メイラックスです。このタイプは非常に作用時間が長いです。このため、副作用が一度出てしまうと抜けるのに時間がかかってしまいます。ですから、副作用の穏やかなメイラックスの方がよく使われています。

 

この他にも、抗不安薬はたくさん発売されています。頻度はかなり減りますが、服用されている方もいらっしゃるかと思います。それぞれのお薬の特徴を表にまとめましたので参考にしてください。

マイナーな抗不安薬の比較

5.メデポリンが向いている人とは?

  • 不安が強い方
  • 身体の緊張がそこまでない方
  • 薬を噛み砕かない方

メデポリンは、抗不安薬の中でも効果は強い方です。できることならマイルドな薬から使っていた方がよいでしょう。例えば、リーゼなどのお薬を使ってみても効果が不十分な時に、メデポリンに変更していくべきです。ですが、明らかに不安や焦りが強くて、はじめからしっかりと抑えてしまった方がよい場合もあります。このような時は、メデポリンから使っていくこともあります。

また、メデポリンは筋弛緩作用が弱いお薬です。身体の緊張が強いときにはメデポリンは向いていません。例えば、肩こりや身体のこわばりがある方、緊張のあまりに声や身体がふるえてしまう方などには、デパスやレキソタンなどの筋弛緩作用が強い抗不安薬が向いています。メデポリンでは、身体の緊張よりも不安が目立つ方に向いています。

薬は基本的には水で飲むものですが、噛み砕いてしまって吸収を早める方法(舌下投与)があります。この方法だと効果が早く現れるので、不安発作に使われることがあります。メデポリンは噛み砕くと苦いお薬なので、この方法には向きません。また、お薬を飲みこむのが苦手で噛んで服用している方には、向かないお薬です。

 

6.一般名と商品名とは?

一般名:アルプラゾラム 商品名:ソラナックス・コンスタン・メデポリン

まったく成分が同じものでも、発売する会社が異なればいろいろな商品があるかと思います。医薬品でも同じことがいえます。このためお薬には、一般名と商品名というものがあります。

一般名というのは、薬の成分の名前を意味しています。発売する会社によらずに、世界共通で伝わる薬物の名称です。「アルプラゾラム(alprazolam)」に統一されています。主に論文や学会など、学術的な領域でこれまで使われてきました。

商品名とは、医薬品を発売している会社が販売目的でつけた名称になります。「ソラナックス(solanax)」は、先発品の製造元であるファイザーがつけた名前です。「コンスタン(constan)」は、同じく先発品の製造元である武田薬品がつけた名前です。

先発品のソラナックスは、日本では1984年から発売されています。特許がきれた1992年から、沢井製薬よりジェネリック医薬品として「メデポリン」が作られました。ジェネリック医薬品の紛らわしさをなくすために一般名(成分名)に統一する流れを受けて、2014年6月より、アルプラゾラム「サワイ」に名称変更されました。

 

ソラナックスの効果や副作用について詳しく知りたい方は、
ソラナックス錠の効果と強さ
ソラナックスの副作用(対策と比較)
をお読みください。

 

まとめ

メデポリンの作用の特徴は、

  • 抗不安作用「中」
  • 催眠作用「中」
  • 筋弛緩作用「弱」
  • 抗けいれん作用「わずか」

メデポリンのメリットとしては、

  • 即効性がある
  • 抗不安作用が中程度
  • 筋弛緩作用が弱い

メデポリンのデメリットとしては、

  • 眠気は比較的多い
  • 依存性がある
  • 睡眠の質が落ちる

メデポリンが向いている方は、

  • 不安が強い方
  • 身体の緊張がそこまでない方
  • 薬を噛み砕かない方

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