ジェイゾロフトとジェネリックの違いとは?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ジェイゾロフトは2006年に発売されたお薬です。発売直後は特許もあるのでジェネリックは作られませんでした。10年近くがたち、ようやくジェネリックが2015年12月、発売となりました。

ジェイゾロフトのジェネリックは、「セルトラリン錠」として発売されています。開発企業が多かったこともあり、薬価は5割になっているので非常に使いやすくなります。

ここでは、ジェイゾロフトとジェネリック(セルトラリン)にはどのような違いがあるのか、お伝えしていきたいと思います。

 

1.セルトラリンとは?

新しい抗うつ剤のSSRIに分類されるジェイゾロフトの一般名(成分名)で、この名前のジェネリック医薬品が2015年12月に発売となりました。

セルトラリンとは、ジェイゾロフトの成分の名前です。有効成分であるセルトラリンは、ファイザー株式会社によって開発されました。この会社の商品が「ジェイゾロフト」になります。

開発には莫大なお金がかかりますので、その権利を保障するために10年ほどは特許で守られます。この特許がきれると、ジェネリック医薬品が発売できるようになります。ジェイゾロフトも発売から10年近くが立ちました。ついに2015年12月、ジェネリックが発売となりました。

ジェイゾロフトのジェネリックとしては、「セルトラリン」という商品名で発売されています。作った会社ごとに別々の商品名で発売されると紛らわしくなるため、最近のジェネリック医薬品は、成分名(一般名)+会社名として発売されています。

セルトラリン錠「会社ごとの名称」といった商品名になります。セルトラリン錠「サワイ」、セルトラリン錠「アメル」といった形で発売されていて、それぞれ沢井製薬、共和薬品が作っていることを意味しています。同じセルトラリン錠でも、作っている会社によって多少の違いがあります。

 

2.ジェイゾロフトとジェネリックの薬価の違い

ジェネリックのセルトラリン錠は、ジェイゾロフトの5割ほどの薬価になっています。

ジェネリックになると安くなると言われていますね。ジェイゾロフトは、複数の会社がジェネリックを発売しています。10社以上の会社が製造すると、まずは5割で薬価が設定されました。

セルトラリン錠は処方数も多いため、その後各製薬会社が競争して薬局への卸値が下がっていきます。下がっていくにつれて、薬価改定のたびに下がっていきます。2016年度の薬価改定でも少し安くなりました。今後もセルトラリン錠は、少しずつ安くなっていくことは間違いないかと思います。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
ジェイゾロフト錠 25mg 93.5円
ジェイゾロフト錠 50mg 161.9円
ジェイゾロフト錠 100mg 282.7円
ジェイゾロフトOD錠 25mg 93.5円
ジェイゾロフトOD錠 50mg 161.9円
ジェイゾロフトOD錠 100mg 282.7円

<ジェネリック(後発品)>

商品名 剤形 薬価
セルトラリン錠 25mg 42.1円
セルトラリン錠 50mg 73.1円
セルトラリン錠 100mg 127円
セルトラリンOD錠 25mg 42.1円
セルトラリンOD錠 50mg 73.1円

ジェイゾロフトのジェネリックは、25mg・50mg・100mgの3種類の通常錠剤、25mg・50mgのOD錠が発売されています。

最大容量である100mg処方されている方で、3割自己負担の方が1か月にかかるお薬の価格を比べてみましょう。先発品のジェイゾロフトでは、2544円ほどになります。ジェネリックのセルトラリンですと、1143円になります。金銭的な負担はだいぶ軽くなりますね。

剤形としての違いは、100mgのOD錠が発売されているかどうかだけです。OD錠とは口腔内崩壊錠といって、水なしでも溶けてくれるお薬になります。

※2016年5月20日現在の薬価です。

 

3.ジェイゾロフトとジェネリックの効果の違い

理論的には効果の違いは大きくありません。ですが、気持ちの問題で効果に違いを感じる方がいらっしゃいます。その場合は、主治医と相談して先発品に戻してもらいましょう。

セルトラリンの効果について知りたい方は、
ジェイゾロフト錠の効果と特徴
をお読みください。

 

成分が同じだからといってまったく効果が同じかというと、そういうわけではありません。薬のコーティング、溶け方、吸収のされ方などは、製薬会社によって異なります。このように製薬会社によって違いはありますが、ジェイゾロフトのジェネリックと認めてもらうためには、ちゃんと基準があります。

ジェネリックのセルトラリンを服用してからの血中濃度の変化が、ジェイゾロフトと比べて誤差80~125%の間にあることが条件なのです。

こういわれると最大で45%も違うのかと驚かれるかもしれませんが、そういうことではありません。薬の吸収や代謝の個人差を考えれば、この間に入っていれ ば統計的に同じとみなせるのです。

実際に930ものジェネリックと先発品を比較すると、最大血中濃度では4.61±3.41%の差しかなかったと報告されています。

 

抗うつ剤は、一般的には効果が出てくるには2週間程度かかります。抗うつ剤が安定して効果を発揮するためには、常に身体の中に薬がある状態が必要です。薬を規則正しく服用していると、身体の中に少しずつ薬がたまっていきます。そして服用を始めて4~5日ぐらいで、薬の体内での濃度が安定します。

様々な会社がセルトラリンを発売していますが、血中濃度がピークになる時間や身体から薬が抜けていくスピードなど、それぞれの薬で少しずつ違いがあります。ですがセルトラリンは、1日1回の服用を続けて血中濃度が安定することで効果が出てくる薬です。

このように、身体にたまっていくこと で効果が発揮される薬では、多少の薬の違いは効果に影響しません。例えば睡眠薬など、即効性を期待する薬でしたら、薬の効き方の違いは大きく出てきます。

ですから、初めから同じジェネリックのセルトラリンを使えば、ジェイゾロフトと同様の効果が期待できると考えています。そのためにも、同じ薬局でお薬をもらうように心がけましょう。

そうはいっても、なかにはジェネリックにかえたことで調子が悪くなる方もいらっしゃいます。多くの方が、「気持ちの問題」のことが多いです。薬を変えてしまったということを不安に思ってしまったり、ジェネリックだから効果が弱いという思い込みなどが原因です。

ですが、この気持ちの問題はとても大切です。ジェネリックにしてから調子がよくないと思ったら、主治医に相談して先発品のジェイゾロフトにかえてもらいましょう。

 

4.ジェイゾロフトとジェネリックの副作用の違い

副作用の出やすさに多少の違いはあると考えられますが、有効成分も同じなのでほとんど差がありません。

セルトラリンの副作用について知りたい方は、
ジェイゾロフトの副作用
をお読みください。

 

ジェネリックのセルトラリンは、ジェイゾロフトと有効成分は全く同じです。ですが、薬の効き方が多少異なってしまいます。この影響は、薬の効果よりも副作用に違いが出てきます。

有効成分が同じですから、副作用のおおまかな特徴はかわりません。新しい抗うつ剤なので副作用は少ないですが、眠気・体重増加・嘔吐・下痢・不眠・性機能障害が認められます。特に性機能障害は、抗うつ剤の中でも多いです。

一般的に副作用は、血中濃度がピークになる時に最も出やすくなります。ジェネリックのセルトラリンは、作っている製薬会社によって血中濃度の変化が異なりますので、副作用の出やすさには差がでてきます。

必ずしも先発品のジェイゾロフトよりも副作用が増えるというわけではありません。先発品よりも緩やかに血中濃度が増加して緩やかに身体から抜けていくジェネリックでしたら、理論的には副作用が軽減されます。

実際にジェネリックを使っていて、「副作用が増えたから先発品に戻してほしい」ということはありません。

 

まとめ

新しい抗うつ剤のSSRIに分類されるジェイゾロフトの一般名(成分名)で、この名前のジェネリック医薬品が2015年12月に発売となりました。

ジェネリックのセルトラリン錠は、ジェイゾロフトの5割ほどの薬価になっています。

理論的には効果の違いは大きくありません。ですが、気持ちの問題で効果に違いを感じる方がいらっしゃいます。その場合は、主治医と相談して先発品に戻してもらいましょう。

副作用の出やすさに多少の違いはあると考えられますが、有効成分も同じなのでほとんど差がありません。

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