リスパダールは自閉症の易刺激性にも効果的?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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リスパダールは第二世代抗精神病薬として、主に統合失調症の治療薬としてつくられました。幻覚や妄想といった症状を抑えるだけでなく、リスパダールには気持ちを落ち着ける鎮静作用があります。このために、いろいろな病気で広く使われてきました。

リスパダールは、自閉症の患者さんの興奮状態や自傷行為などを落ち着けるために使われていました。正式には効果が証明されていなかったので、「適応外」という形で長らく使われてきました。

しかしながら効果があるのは明らかですので、2015年4月より適応の申請がされています。ここでは、今後適応になるであろうリスパダールの自閉症性障害の易刺激性に対してどのような効果が期待できるのか、詳しくお伝えしていきます。

 

1.自閉症とは?

生まれもっての脳の特性のために、社会性の障害・コミュニケーションの障害・想像力の障害の3つがあります。

自閉症という病気は、多くの皆さんが耳にしたことがあるかと思います。なんとなくはイメージがあるかと思いますが、その本質を理解されている方は少ないかと思います。

自閉症とは、生まれ持った脳の特性のせいで、視覚や聴覚からの情報をうまく整理できない病気です。そのせいで、物事を正しく理解することができなくなってしまうのです。この脳の特性のために、

  • 社会性の障害
  • コミュニケーションの障害
  • 想像力の障害

3つの障害が特徴的です。想像力の障害は、こだわりの強さや常同行動といった形で外から見えることが多いです。いろいろな可能性を予想したり、臨機応変に対応するということが苦手であるため、「いつも同じであること」に固執してしまうのです。

 

これまでの自閉症の位置づけは、発達障害のひとつの病気という位置づけでした。同じ自閉症の患者さんといっても、程度には差があります。他人には関心すらない重度の患者さんから、なんとなく周りと上手くいかない軽症の方まで、いろいろな方がいます。

DSM‐Ⅴというアメリカの診断基準では、これらのいろいろな状態の方をひっくるめて、自閉症スペクトラム障害という概念が取り入れられました。スペクトラムとは、連続したものといった意味合いがあります。例えば、虹の色のように赤、青、黄などと色は違ってみえても、光の波長としてみれば連続しているのです。

 

2.リスパダールの自閉症への効果とは?

興奮状態や自傷行為などの易刺激性に対して効果が期待できます。

自閉症の中核症状は、先ほど述べた3つの障害になります。これらの症状のせいで、様々な周辺症状が認められます。

  • 知覚過敏
  • 多動
  • 引きこもり
  • 常同行為
  • 睡眠障害
  • 発作的な不安

自閉症の患者さんは「いつもと違うこと」「先がみえないこと」に弱いので、変化が非常に苦手です。ストレスに対応する力も弱いので、衝動性が高まって自傷行為をしてしまったり、興奮が強くて落ち着かなくなります。このような易刺激性が認められたときに、穏やかな鎮静作用があるリスパダールが有効です。

また、変化を嫌うので同じことを繰り返したり、引きこもってしまうこともあります。リスパダールによって気持ちが落ち着くことで、行動に変化がみられることもあります。

 

リスパダールは、易刺激性が高まっている時に頓服として使うことが多いです。それだけでなく、少量のリスパダールを常用してみると、1日を通して穏やかになる方がいらっしゃいます。リスパダールが重しとなって1日のどこかで落ち着くことで、よいリズムが生まれるのでしょう。このような方では、社会性やコミュニケーションも少しずつ改善していくことがあります。

 

リスパダールの効果について詳しく知りたい方は、
リスパダール錠の効果と特徴
をお読みください。

 

3.リスパダールの自閉症の方への使い方

少量の0.5mgから、2.5mgまでを目安に使っていきます。

リスパダールは、残念ながら、5歳未満の小児に対しての有効性や安全性は確認されていません。それ以上の年齢では効果が期待できます。

リスパダールを常用するときは、まずは少量の0.5mgを1日1~2回に分けて使ってみます。1週間様子を見て1mgまで増量します。その後は、2週間ほど様子を見ながら、少しずつ用量を調整していきます。

自閉症の易刺激性に対するお薬の用量としては、アメリカでは0.5mg~2.5mgくらいとなっています。この用量で90%の患者さんに効果がみられたという報告に基づいています。患者さんによってはもう少し量を使うこともあります。

リスパダールを頓服として使う時は、効果の実感がないと意味がありません。このため、本人が効果を実感できる量を探ります。0.5mg~1mgで問題がない方が多いです。この量でコントロールできない方は、2mgか3mgを使うこともあります。

リスパダールを錠剤から内用液にすると、自閉症の中核症状の社会性障害やコミュニケーション障害をわずかに改善したという報告もあります。内用液の方が鎮 静作用がややしっかりとした印象はありますが、それほど大きな違いはありません。リスパダールの錠剤でも、社会性が少しずつ改善していく方もいらっしゃいます。

 

4.リスパダールが適応になった背景

リスパダールは、従来から適応外としてよく使われていました。製薬会社の社会的な責任として、改めて臨床試験をして、適応の申請となりました。

リスパダールの自閉症への適応は、アメリカでは2006年から認められています。日本では自閉症の適応はとられていませんでしたが、有効性ははっきりしていたので、「適応外」という形で使われていました。

お薬の適応を取得するためには、日本人の患者さんに強力をしてもらって、治験を行っていかなければいけません。治験にはけっこうな額のお金がかかりますから、売れ行きに直結しなければ適応は取りに行かないのです。このようなお薬はたくさんあります。

長らくグレーのまま使われてきましたが、小児の学会から製薬会社に対して要望が入りました。有効性もしっかりとしていて、さらに処方もよくされています。治験をやっても結果はちゃんとついてくるだろうから、適応を取って欲しいという要望です。

リスパダールのジェネリック医薬品もたくさん発売されている今、製薬会社にはメリットはまったくありません。しかしながら、製薬会社のヤンセンファーマの社会的な責任から、適応申請のための治験がはじめられました。結果が出そろったため、2015年4月に適応の申請が出されています。

 

まとめ

生まれもっての脳の特性のために、社会性の障害・コミュニケーションの障害・想像力の障害の3つがあります。

興奮状態や自傷行為などの易刺激性に対して効果が期待できます。

少量の0.5mgから、2.5mgまでを目安に使っていきます。

リスパダールは、従来から適応外としてよく使われていました。製薬会社の社会的な責任として、改めて臨床試験をして、適応の申請となりました。

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