降圧薬の使い分けとは?
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
高血圧の患者さんはとても多いので、降圧薬もたくさんの薬が開発されています。また、薬に関する研究もたくさん行われていて、降圧薬の使い方も決まってきています。
ここでは、降圧薬の使い分けについて、最新のガイドラインに基づいてまとめていきたいと思います。
1.まずは「これだ!」という薬から
積極的な適応のあるものはその薬を使います。
代表的な降圧薬は、ARB・ACE阻害薬・β遮断薬・Ca拮抗薬・利尿薬の5種類があります。まずは、「この薬を使うべきだ!」という積極的な適応があるときは、その薬を使います。患者さんの持病や状態にあわせて、適切な薬を選択します。
2.積極的な適応がない場合
単剤からはじめて、少しずつ併用していきます。
積極的に使う薬がないときは、まずはARBや長時間作用型のCa拮抗薬を使うことが多いです。確実な降圧効果が期待できて、副作用も少ないためです。利尿薬は、多くの他の降圧薬の効果を増強します。このため併用薬としてよく使われていて、Naを排泄させるので食塩摂取が多い方には効果的です。βブロッカーは、心不全の予後がよくなることが示されていますが、他の薬に比べると、脳卒中の抑制効果が劣ってしまいます。
まずは長時間作用するものから、単剤で少しずつ増量していきます。副作用がでれば薬を変更して合う薬を見つけます。単剤で治療していても降圧目標まで20/10以上高い時は、薬を組み合わせていきます。組み合わせを変えながら治療をしてもコントロールがつかない場合、3剤で治療します。それでもだめならば、さらに1剤追加します。
単剤をどんどん増やしていくよりも、異なる作用の降圧薬を併用していく方が、降圧効果が大きいことが示されています。併用して血圧を厳格にコントロールすると、心血管病のリスクが軽減することもわかっています。このため、中等度(Ⅱ度)以上の高血圧では、少量の2剤併用からはじめてもよいとされています。
3.降圧薬の併用
単剤で効果が乏しいときは、相性のよい組み合わせを選んで併用していきます。
異なる作用機序の降圧薬を併用することは、ひとつの薬を倍量投与するよりも降圧効果が大きいことが示されています。併用することによって積極的に血圧をコントロールすることが、心血管病がおきるのを減少させてくれることがわかっています。ですから、降圧がいまいちの場合は積極的に併用していきます。
高血圧治療ガイドライン2014では、2剤の併用として3パターンがすすめられています。
①ARBorACE阻害薬+Ca拮抗薬
②ARBorACE阻害薬+利尿薬
③Ca拮抗薬+利尿薬
この3パターンよりは劣りますが、以下の2つも併用されます。
④Ca拮抗薬+βブロッカー
⑤利尿薬+βブロッカー
βブロッカーは糖や脂質代謝に悪影響があるため、高齢者や糖尿病の方には積極的には用いられません。併用にあたっても同じことが言えます。
4.降圧薬の減量
合併症のない軽度高血圧以外は、減薬はすすめられていません。
高血圧の薬を飲み初めて落ち着いてくると、「そろそろ薬をやめてもよいのでは?」と思われる方も多いです。ですが、血圧の薬は原則的には続けていただくことをお勧めします。
降 圧薬を開始して1年ほど安定していたとしても、減薬すると半年以内に再び高血圧になることが報告されています。高血圧は心血管病の予防が目的ですから、こ れでは意味がありません。ですから、原則的に薬はやめない方がよいです。薬をやめても何とかなるケースとしては、軽度の高血圧で、臓器障害や合併症などが ないケースくらいです。減薬する場合でも、適正な生活習慣を継続することと、定期的に血圧を測定していただくことを約束していただき、減薬をしていきま す。
5.降圧薬で気を付けること
グレープフルーツ系はとらないようにしましょう。
降圧薬を使っている方で最も注意してほしいことは、グレープフルーツ系のものは禁止することです。降圧薬としてよく使われるCa拮抗薬を服用すると、薬の分解が邪魔されることで血中濃度が上昇してしまいます。この結果、降圧作用が予想よりも大きく出てしまいます。
降圧薬の併用で注意が必要なことは、ARB・ACE阻害薬とアルダクトンなどのK保持性利尿剤を併用すると、高K血症になることがあります。
降圧薬以外の併用では、鎮痛剤のNSAIDsと利尿薬・βブロッカー・ARB/ACE阻害薬を併用すると、効果が減少してしまいます。ガスターなどのヒスタミンH2ブロッカーとCa拮抗薬・βブロッカーを併用すると、効果が増強します。
高齢者で水分が不足していたり、嘔吐や下痢や発汗によって塩分が不足していると、ARB・ACI阻害薬とNSAIDsや利尿薬と併用すると、腎臓への血流が急激に低下することで機能が悪化して、急性腎不全になってしまうことがあります。また過度な降圧になってしまうこともありますので注意が必要です。
まとめ
積極的な適応のあるものはその薬を使います。特になければ、Ca拮抗薬やARBから使うことが多いです。
単剤からはじめて、効果が乏しいときは、相性のよい組み合わせを選んで併用していきます。
降圧薬を使っているときは、グレープフルーツ系は禁止です。
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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