フリバス錠・OD錠の効果と特徴について

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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フリバス錠(一般名:ナフトピジル)は、前立腺肥大症治療薬になります。1993年にアステラス製薬会社から発売された、α1受容体遮断薬になります。

前立腺肥大症では、大きくなった前立腺が尿道を圧迫して

  • 排尿困難
  • 頻尿
  • 尿閉

などの症状を引き起こします。フリバスはα1受容体を遮断することで、前立腺や尿道の平滑筋を緩ませます。これにより尿の通り道を正常にする作用があります。

ここでは、フリバス錠の効果と特徴について伝えていきたいと思います。

1.フリバス錠のメリット・デメリットは?

<メリット>

  • 前立腺肥大症の症状に対して即効性がある
  • 1日1回の内服で対応できる
  • どのような疾患を持っている人でも使用できる
  • 口腔崩壊錠のため、高齢者に使用しやすい

<デメリット>

  • 前立腺肥大が元に戻るわけではないため基本的には長期にわたり内服する必要がある

前立腺肥大症とは、大きくなった前立腺が尿道を圧迫して「尿のトラブル」を引き起こした状態のことをいいます。よく「年を取るとトイレが近くなる」とか「年齢のせいか眠りが浅く、夜中に何度も起きてトイレに行く」という方は、年齢のせいだけではなく、治療することで良くなる「前立腺肥大症」という疾患かもしれません。

前立腺は年齢とともに徐々に大きくなる傾向があり、男性の「尿のトラブル」の最も多い原因と考えられています。55歳以上の5人に1人が前立腺肥大症といわれており、多くの男性が悩んでいる疾患です。

前立腺肥大症について詳しく知りたい方は、「前立腺肥大症とは?前立腺肥大症の症状と進み方」を一読してみてください。

フリバス錠は、この前立腺肥大に対して効果があるお薬です。前立腺肥大症とは、簡単にいえば前立腺が多くなって尿の通り道が狭くなる病気です。つまり簡単な解決策としては、尿の通り道を広げてあげればよいのです。

フリバス錠はこの尿道を広げる作用があるお薬です。α1神経が尿道を収縮する作用があるのですが、フリバス錠はこのα1神経の働きを遮断することで、尿道が収縮するのを防ぎます。即効性もあることから、前立腺肥大症の第一選択薬として多くの症例に使用されています。

フリバス錠含めてα1遮断薬は、絶対に使用してはいけない疾患や飲み合わせがありません。そのため前立腺肥大症があれば、フリバスはどんな人にも処方しやすいお薬となっています。

フリバス錠の特徴として、1日1回の内服で効果がある点です。また、口腔内崩壊錠もあるため水が無くても内服できます。そのため嚥下機能が悪いお年寄りの方でも使用しやすいお薬となっています。

フリバスの最大のデメリットは、効果が一時的な点です。フリバス錠は前立腺肥大自体を小さくしているわけではなく、一時的に尿の通り道を広げているだけにすぎません。そのためフリバス錠は1日や2日内服で終わりというわけではなく、一度内服が始まると長期にわたって続ける必要があるお薬です。

 

2.フリバス錠の用量と適応について

フリバス錠は、前立腺肥大症に対して適応があります。フリバス錠0.2mgを1日1回内服します。

フリバス錠は、

  • フリバス錠 25mg
  • フリバス錠 50mg
  • フリバス錠 75mg
  • フリバスOD錠 25mg
  • フリバスOD錠 50mg
  • フリバスOD錠 75mg

と錠剤のみ発売されています。フリバスは普通の錠剤の他にOD錠があります。OD錠とは口腔崩壊錠のことで、口の中にいれておけば飲み込まなくても溶けて吸収されます。

  • 前立腺肥大症に伴う排尿障害

にのみ適応があります。フリバス錠の投与量ですが、成人には回25mgより投与を始め、効果が不十分な場合に1~2週間の間隔をおいて50~75mgに漸増し、1日1回食後経口投与するお薬です。

なおフリバス錠は、0.45時間で最高血中濃度に達します。そしてフリバス錠の半血中濃度時間は、15時間前後となっています。非常に効果が長いために1日1回の内服でもフリバスは効果が持続します。

 

3.フリバス錠の薬価は?

フリバス錠は古いお薬のため、ジェネリック医薬品も発売されています。

フリバス錠は、1993年に発売された古いお薬です。そのためフリバスは、数多くのジェネリック医薬品が登場しています。フリバス錠の薬価ですが、

商品名 剤形 薬価 3割負担
フリバス錠 25mg 44.6円 14円
フリバス錠 50mg 90.6円 27円
フリバス錠 75mg 132.3円 40円
フリバスOD錠 25mg 44.6円 14円
フリバスOD錠 50mg 90.6円 27円
フリバスOD錠 75mg 132.3円 40円

※2017年4月2日の薬価です。

次に、フリバス錠のジェネリック医薬品であるナフトピジルの薬価です。

商品名 剤形 薬価 3割負担
ナフトピジル錠 25mg 17.2円 5.2円
ナフトピジル錠 50mg 34.8円 10円
ナフトピジル錠 75mg 45.9円 13円
ナフトピジルOD錠 25mg 17.2円 5.2円
ナフトピジルOD錠 50mg 34.8円 10円
ナフトピジルOD錠 75mg 45.9円 13円

※2017年4月2日の薬価です。

ジェネリック医薬品であるナフトピジルは、先発品のフリバス錠の半分以下の薬価でナフトピジルは発売されています。

ただしナフトピジル錠は様々な会社が発売しており、会社によって薬価が異なることもあります。

 

4.フリバス錠が向いてる人は?

  • 前立腺肥大症で症状がある方
  • カプセルなど内服が困難な高齢者の方

前立腺肥大症の症状のほとんどは、排尿のトラブルとして自覚されます。

代表的な症状としては、

  • 排尿が一気に終わらず途切れ途切れになる
  • 勢いが弱い等の「尿が出にくくなる」
  • 昼間トイレが近い
  • 尿を我慢出来ない
  • 夜中に何度もトイレに起きる等の「尿をためられなくなる」
  • 尿が終わった後も残っている感じがする「残尿感」

などがあります。

今すぐ生命に影響を起こすわけでなくても、普段の生活に大変不快な思いを引き起こす病気です。「いつトイレに行きたくなるかわからない」「行きたくなった時にそばにトイレが見つからないと大変」などと一日中トイレの心配が続くことで、長時間の外出やドライブ、映画鑑賞などを避けるようになったり、いつもの運動を楽しめなくなったりと、日常生活に大きな影響を与えてしまいます。

また、前立腺の肥大は年齢とともに大きくなる傾向があるため、前立腺肥大症をほうっておくと症状がますます重くなって、最悪の場合、合併症としてさらに重い病気になることもあります。この前立腺肥大の治療薬として、フリバスは効果を発揮します。

フリバス錠含めて前立腺肥大症の治療薬の第一選択肢は、尿道を広げるα₁遮断薬です。前立腺肥大は、ひどい場合は尿閉といって、全く尿が出なくなる危険な状態になることもあります。そのため、じっくりと治療するというよりは、即効性を期待してα1遮断薬で尿道を拡げて症状を軽減することから始めます。

ガイドラインでも、前立腺肥大症の第一選択薬はα1遮断薬と記載されています。一方でα1遮断薬は、フリバス以外にも

  • フリバス
  • ユリーフ
  • ハルナールD
  • エブランチル

など複数のお薬が登場しています。この中でフリバスは口腔崩壊錠として、嚥下力が低下した高齢者の方に適任です。前立腺肥大症は基本的には高齢者の病気です。また、薬が飲めないからといって放置してはいけない病気になります。

前立腺肥大症で嚥下機能が低下した人は、フリバス錠が向いているといえるでしょう。

一方で前立腺肥大は、抗コリン薬などの薬で知らないうちに重篤になっている場合もあります。前立腺肥大症の細かい治療法含めて、「尿が出にくいのは薬のせい?副作用での尿閉の原因と対策」を一度見てみてください。

 

5.フリバス錠の作用機序は?

フリバスはα1神経を阻害することで、尿道を広げることで治療します。

前立腺とはそもそもなんだろう?って思う人もいるかもしれません。前立腺は男性のみに存在する生殖器です。下に図を示します。

前立腺は膀胱の真下にあり、尿道を取り囲むかたちで存在します。前立腺はクルミほどの大きさで、重さは数十グラムです。この前立腺の機能としては、

  1. 精嚢から分泌された精嚢液を精巣で作られた精子と混合し精液を貯留
  2. 排尿機能の調整

の2つになります。この②の作用がうまくいかなくなることが、排尿障害の原因となります。

正常に尿をため込む場合は、膀胱の筋肉が緩むことでスペースが広がります。さらに尿道と前立腺の筋肉が収縮して、尿の通り道を塞いでしまうのです。

排尿する場合は逆で、前立腺と尿道の筋肉が緩んで尿の通り道ができるとともに、膀胱が収縮することで尿を押し出す働きがあります。前立腺肥大症とは、この膀胱の下にある前立腺が肥大して尿道を圧迫し、排尿障害を起こす病気です。

フリバスは、この前立腺・尿道のα1受容体を遮断することで作用する薬です。前立腺・尿道の平滑筋が緩むことで、結果として尿道が広がり、正常な排尿ができるようになります。

一方でα1受容体は、前立腺・尿道以外にも存在します。α1受容体は、言い換えればアドレナリン受容体(交感神経受容体)です。特にα1受容体は、全身の血管に受容体があります。尿道同様にα1は血管を収縮する作用があります。

α1の作用について詳しく知りたい方は、「抗アドレナリンα1の作用とは」参照してください

フリバス錠は、選択的に前立腺・尿道の平滑筋に作用するようになっていますが、血管への影響は完全に0ではありません。場合によっては血圧低下などの副作用認めることがあるので注意が必要です。

さらにα1受容体にはα1A、α1Dと二つの状態に分かれています。この中でフリバス錠はα1D受容体を主に阻害します。他のα1受容体阻害薬の違いとして、

  • フリバス錠は主にα1D
  • ユリーフ錠は主にα1A
  • ハルナールD錠はα1Dとα1Aの両方

を阻害します。人によってα1D受容体が多い人、α1A受容体が多い人がいます。そのため同じα1阻害薬でも効果は人によって多少違いがあることがあります。

 

まとめ

  • フリバスはα1神経を阻害することで、尿道を広げることで前立腺肥大症の症状をとるお薬です。

<メリット>

  • 前立腺肥大症の症状に対して即効性がある
  • 1日1回の内服で対応できる
  • どのような疾患を持っている人でも使用できる
  • 口腔崩壊錠もあるため、高齢者に使用しやすい

<デメリット>

  • 前立腺肥大が元に戻るわけではないため基本的には長期にわたり内服する必要がある

<向いてる人>

  • 前立腺肥大症にて排尿障害がある人
  • 高齢者の方

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