オンブレス(インダカテロール)の効果と特徴

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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オンブレス(一般名:インダカテロールマレイン酸塩)は、2011年にノバルティスファーマより発売された長期作用型のβ2刺激薬です。

1日1回1吸入、主に朝に吸入する薬剤で、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれるCOPDの方の薬剤になります。COPDの方は「動くと苦しい」ため、結果として「外に出るのが嫌になる」ため活動性が低下してしまっています。

オンブレスなどのβ2刺激薬は、気管支を拡張させることで呼吸状態を改善するお薬になります。オンブレスは吸入して5分後すぐに効果がしっかりと認められ、その効果は24時間持続します。このため、1回の吸入でも効果は1日持続する吸入β2刺激薬になります。

ここでは、オンブレスの効果と特徴についてまとめてみましょう。

 

1.オンブレスのメリット・デメリットは?

<メリット>

  • 1日1回吸入が可能なβ2刺激薬である
  • 吸入してから即効性がある
  • 前立腺肥大、緑内障の方にも使用できる

<デメリット>

  • ドライパウダーのため吸入するとむせこみやすい
  • 喘息には使用できない

オンブレスは1日1回1吸入、主に朝に吸入する長期作用型β2刺激薬になります。オンブレスは、慢性気管支炎や肺気腫などのCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療薬として使われています。

現在COPDのガイドラインの第一選択肢は、

  • β2刺激薬
  • 抗コリン薬

のどちらかになっています。重症化した場合や効果がない場合には、お薬を追加していきます。オンブレスはこのβ2刺激薬の中で、現在では最も多く処方されているお薬になります。

オンブレスは特に、「息切れ」の症状を改善する効果が期待できます。日々の活動の中で息切れがなくなり、「趣味であるゴルフができるようになった!」などという患者さんもいて、活動的になる方も多いです。

オンブレスは比較的、即効性もあります。その理由として、短期作用型と呼ばれる吸入後すぐに効果を発揮する吸入薬である「メプチン」と同じ分子骨格があるためと考えられています。

オンブレスは「メプチン」のように即効性があり、COPD治療薬特有の効果の持続性を併せ持っているので、効果が強くて安定するお薬になります。

抗コリン薬の禁忌(処方してはいけない患者)として、

  1. 閉塞隅角緑内障の患者
  2. 前立腺肥大症による排尿障害のある患者
  3. アトロピン及びその類縁物質あるいは本剤に対して過敏症のある患者

これらがあげられています。オンブレスは問題なく使えるため、これらの病気が当てはまる可能性がある方には長期作用型であるオンブレスが処方されています。

 

デメリットとしては、オンブレスを吸入すると一部の人は咳き込んだり、むせこむ人がいることです。

オンブレスを吸入した時に感じる甘み成分の乳糖が喉に勢いよく付いてしまい、反射的にむせてしまうことが原因と考えられています。デバイスの構造上、マウスピースが広く吸いやすいため、勢いよく吸ってしまうことも一因かと思われます。オンブレスのお薬自体にむせることが原因である可能性もありますが、詳しくはわかっていません。

また、オンブレスは抗コリン薬のスピリーバのように、「重症喘息」には適応がありません。このため、既存の治療薬で喘息もCOPDも改善されない場合、オンブレスではなくスピリーバを上乗せすることが多いです。

最近の喘息治療は吸入ステロイドが中心となっており、吸入ステロイド単剤で効果がない場合は、アドエアやシムビコートなどの吸入ステロイドとβ2刺激薬の合剤が勧められているため、喘息で使われることは少ないです。

 

2.オンブレスのCOPDでの位置づけ

COPD治療薬としては、セレベント<スピリーバ=オンブレスという位置づけになっています。

2009年までのCOPDのガイドラインでは、

  • β2刺激薬吸入薬
  • 抗コリン吸入薬

のどちらかが推奨されていました。しかし2011年に医学界で最も有名な雑誌の一つ The New England Journal of medicineの2011年の論文で、β2刺激薬の代表であるセレベントと抗コリン薬代表であるスピリーバの対決の結果、スピリーバの方が効果があることが示されました。

セレベントは残念ながら、敗れてしまったのです。このため一時的に、抗コリン薬が第一選択肢でβ2刺激薬は効果が不十分な時に上乗せする治療が一般的でした。

このセレベントの汚名を返上したのが、オンブレスになります。オンブレス対スピリーバでの対決が2013年のLANCETの論文で紹介されています。結果として一部分ですが、オンブレスがスピリーバに勝つことができました。その結果が以下の通りです。

チオトロピウム対オンブレス

 

少し分かりづらいですが、橙が抗コリン薬であるスピリーバ(チオトロピウム)で、青がβ2刺激薬であるオンブレスになります。息切れがどれくらい改善したか見た試験で、数字が高いほど効果を示しています。

ICSというのは吸入ステロイドを加えていないということです。GOLDAは軽症者、GOLDBは重症者です。これでは12週の時点ではオンブレスの方がスピリーバより優位に症状を改善したことを示しています。

年間で見ると大差はないという結果から、スピリーバよりオンブレスの方が優れているまでは示せませんでした。しかしながらこの結果をうけて、COPDの治療では長時間作用性抗コリン薬の「スピリーバ」と長時間作用性β2刺激薬の「オンブレス」、どちらでも第一選択として使ってもよいということにガイドラインが書き直されました。

ここまでの流れを汲むと、セレベント<スピリーバ=オンブレスという効果の位置づけになります。

スピリーバかオンブレスのどちらを選択するかは、患者さんの状態に合わせ判断されます。スピリーバに関しては主に「咳の減少、増悪抑制」に優れているといわれており、オンブレスに関しては「息切れの減少」に優れているといわれております。

ですから、なんらかの動作をする際に「息切れが気になる」という場合にはオンブレス、「息苦しくて咳が止まらない」という訴えの方にはスピリーバ、というように使い分けることができます。

また上記で書いたように、抗コリン薬の禁忌(処方してはいけない患者)にあたる以下の病気ではオンブレスが使われます。

  1. 閉塞隅角緑内障の患者
  2. 前立腺肥大症による排尿障害のある患者
  3. アトロピン及びその類縁物質あるいは本剤に対して過敏症のある患者

ただしCOPDの症状が強い方は、オンブレスとスピリーバを両方初期から開始することも多いです。そういった現状を踏まえて、ウルティブロやスピオルトといったβ2刺激薬と抗コリン薬の合剤も登場しています。

 

3.オンブレスの剤形の種類、用法、薬価とは?

オンブレスは、COPDに適応がある吸入薬です。1回のみの吸入となります。

オンブレスは、ブリーズヘラーという吸入器にカプセルをセットして吸入するお薬です。7カプセルで1シートとなっています。

これを毎日1回吸入して、COPDに対して効果を発揮するお薬です。ただしCOPDは、症状が劇的に改善するのが難しい病気です。吸入を続けることで呼吸状態の悪化を緩徐にするのが主な目的となります。

吸入してても効果が感じられないからといって、自己判断でオンブレスを中止しないようにしましょう。なおオンブレスの薬価は以下の通りです。

商品名 剤形 薬価 1日薬価(3割負担)
オンブレス 1カプセル 143.2 43.0

※2016年6月22日時点での薬価です。

オンブレスは比較的新しい薬のため、ジェネリック医薬品は発売されていません。

 

4.オンブレスが向いてる人は?

  • 前立腺肥大、緑内障がある人
  • 息切れが強い人

COPDの治療といえば現在抗コリン薬とβ2刺激薬の2つが主流です。どちらから治療した方が良いかは医師の中でも意見が分かれますし、患者さんによっても違うと思います。ひとつ言えるのは、

  • 前立腺肥大
  • 緑内障

この2つがある人は、抗コリン薬であるスピリーバは使えません。

緑内障といっても、閉塞隅角緑内障という特別な種類に対して使えないのですが、患者さんで緑内障のどの種類かまで覚えている人は少ないと思います。緑内障にスピリーバを使用すると、眼圧が上昇して緑内障が悪化する可能性があります。そのため緑内障の人には、まずβ2刺激薬であるオンブレスを処方することが多いです。

前立腺肥大は、高齢の男性に多い病気です。実際に診断されなくても、

  • 残尿感がある
  • トイレが近い
  • 尿がスムーズに出せない

などの症状が高齢の男性にあれば前立腺肥大の可能性があるため、スピリーバは処方しない方が無難かもしれません。

これらの前立腺や緑内障がない場合はどちらからの処方でもよいのですが、目安としては息切れがあればオンブレス、痰や咳があればスピリーバと目安にして処方している先生が多いです。

一方で病院を受診するくらい症状が強いのであれば、オンブレスとスピリーバを併用して治療することも多いです。COPDは、タバコで肺がボロボロになってしまった病気です。肺がボロボロになることで気管支が狭まり、息が思いっきり吐けなくなります。

それ以外にも、気管支が狭まる病気としては喘息があげられます。喘息かCOPDか見分ける方法として、オンブレスなどのβ2刺激薬を吸入して気管支を拡がるかどうかを確認する方法があります。気管支がひろがれば喘息、効果があまり認めなければCOPDと判断します。

つまりCOPDは、一度発症するとお薬が効きづらい病気なのです。そのため症状が出ている場合は、両方の薬で少しでも気管支を広げて呼吸を楽にしようとします。

COPDでβ2刺激薬といえば、オンブレスが第一選択肢になることが多いです。オンブレスの粉っぽさでむせこみが強い人は、オーキシスという吸入薬があります。こちらは吸った感じがしないのが特徴ですが、一方で朝・夕2回吸入が必要になるため、どうしても忘れがちになってしまうのが欠点です。

オンブレスがどうしても合わない人は、勝手に自己中断せずに医師に相談してみましょう。

 

5.オンブレスとの作用メカニズム

β2刺激薬は、気管に主に存在する交感神経の受容体です。身体が活動的になる時には空気をたくさん必要とするので、β2が刺激されると気管が広がります。

最後に、どうしてβ2刺激薬では気管支が広がるのかについて、そのメカニズムをお伝えしていきたいと思います。

β2とは、交感神経の受容体になります。交感神経にはαとβという2種類の受容体があって、交感神経が活発になった時に命令の受け皿である受容体を通して全身に作用します。

βの中には、おもにβ1とβ2があります。β1は心臓に主に存在していて、β2は気管に主に存在しています。そしてそれぞれの作用は、交感神経が活発になっている状態をイメージすれば理解が出来るかと思います。

交感神経は、身体のスイッチをオンにした時の神経です。運動をした時をイメージしてみましょう。

心臓はバクバクと早くなり、全身に必要な血液を送るべくポンプとして頑張ります。この作用がβ1刺激作用になるのです。気道に関しては、空気をたくさん吸い込むべく気管が拡張します。この作用がβ2刺激作用になるのです。

もう少し詳しく言えば、β2受容体は気管の平滑筋に存在しています。筋肉が弛緩することによって、気管が拡張するのです。

これに対して抗コリン作用は、リラックスする副交感神経に関係しています。副交感神経を優位にするアセチルコリンをブロックするので、結果的には交感神経の働きを強めるのです。

オンブレスは気管におもに存在するβ2だけを刺激するお薬で、心臓への影響をできるだけ避けて気管を広げて呼吸状態を改善するお薬です。

 

まとめ

  • オンブレスは長期作用型のβ2刺激薬としてCOPDに対して治療するお薬です。
  • オンブレスは1日1回吸入することで効果を発揮します。
  • オンブレスは前立腺や緑内障がある患者さんには第一選択肢として使用されます。

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