オンブレスの副作用と安全性

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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オンブレスは、長期作用型のβ2刺激薬として主にCOPDの治療に用いられています。オンブレスは毎日吸うお薬です。そのためオンブレスの副作用と安全性について気にされる方も多いのではないのでしょうか?

オンブレスの最も多い副作用は、吸入直後の「むせこみ」になります。オンブレスに含まれている乳糖が喉にくっついてしまい、反射的にむせてしまうことが原因と考えられています。

改善方法としては、

  • 水を飲んで口を潤わせてから、オンブレスを吸入すること
  • ストローを吸う程度の弱い力で吸入すること

で改善されるといわれています。ここでは、オンブレスの副作用と安全性についてお伝えしていきます。

 

1.オンブレスの副作用は?

オンブレスの臨床試験で最も多かった副作用は、「咳嗽(咳、むせ)」と言われています。

オンブレスで第Ⅲ相臨床試験(治験患者を対象に行われる薬の発売前の試験)では、230例中27例(11.7%)に副作用が認められました。内訳としては、

  • 咳嗽10例(4.3%)
  • 蕁麻疹3例(1.3%)

と最も多い副作用が咳嗽(むせ)であることがわかっています。国内における長期投与試験では、125例中27例に副作用が認められました。その主な副作用も、咳嗽11例と報告されています。

また、実際の臨床においても、咳き込むとおっしゃる患者さんがいらっしゃいます。

その他の副作用として、β刺激薬は心臓の動きも強めてしまい、結果としてドキドキする人がいます。またβ刺激薬を吸うと、手の震えを訴える人もしばしばいます。両方ともオンブレスでは、5%未満となっています。

またオンブレスでは、電解質の一つであるカリウムが低下することが報告されています。普通に食事している分には野菜や果物に多く含まれているため、まず問題になることはありません。しかし食事量が減ってきた高齢者などでは、注意が必要になります。

これらの結果は、オンブレスを毎日1回吸入した場合です。オンブレスを大量に投与してしまうと、β2刺激剤の薬理学的作用による副作用として、

  • 頻脈
  • 振戦
  • 動悸
  • 頭痛
  • 悪心、嘔吐
  • 低カリウム血症及び高血糖等

などが強く生じることがあります。4倍の用量を1年間吸入していた患者さんでは、手の震えがより強くなったという報告もあります。大量に吸入すればするほど病気が良くなるわけではないので、注意しましょう。

 

2.オンブレスで最も多い副作用「むせこみ(咳)」の対策

オンブレスによる「むせこみ」は、乳糖が喉に勢いよく付いてしまうことが原因と考えられています。これに対しては、口を湿らせることと、ゆっくりと吸い始めることが対策となります。

オンブレスを処方された方は、むせこみの副作用に悩まされる方が少なくありません。私も試しに吸入したことがありますが、思わずむせこんでしまいました。「咳で辛いのに来たのに、むせこむとつらい」と思われるかもしれません。

オンブレスを吸入したときにむせこむ原因として考えられているのが、オンブレスを吸入した時に感じる甘み成分の乳糖になります。乳糖が喉に勢いよく付いてしまい、反射的にむせてしまうと考えられています。また別の見解では、オンブレスの薬剤自体にむせる原因があるとも考えられていますが、詳しくその要因は把握できていません。

デバイスの構造上、オンブレスはマウスピースが広く吸いやすいため、勢いよく吸ってしまうこともこの咳嗽につながります。

オンブレス吸入後の咳に関しては、吸入後15秒以内の直後に発現し、持続時間は10秒程度です。気管支痙攣やCOPD増悪、オンブレスの有効性低下とは関連性は認められておらず、大きな影響はないと考えられています。

「効果が弱いのではないか」と思われる方もいらっしゃいますが、吸入時にカラカラという音が聞こえて最後に薬剤が残っていないことを確認できれば、きちんと吸入できている証になります。この時には、もう一度オンブレスを吸入する必要はありません。

どうしても吸入した時にむせ込んでしまう方は、下記2点の対処法があります。

  1. 水を飲んで口を潤わせてから、オンブレスを吸入すること
  2. ストローを吸う程度の弱い力で吸入すること

以上を意識していただくことで、十分にむせが改善できるかと思います。水を飲んで口の中を潤しておくことで、オンブレスが勢いよく喉に吸着することを防ぎます。また弱い勢いで吸うことに慣れると、オンブレスが喉に勢いよく吸着することがなくなります。

しかし上記の2つの対処法でも、オンブレスでむせこんでしまう人はいらっしゃいます。特にオンブレスは、COPDと診断されるとずっと吸入しなくてはいけない薬です。毎日吸う度にむせこんでしまっては、オンブレスを嫌になってしまうと思います。

このような方はオンブレスを自己判断でやめずに、医師にちゃんと相談しましょう。例えば、オーキシスという粒子が小さい吸入薬に変更することもできます。また吸うのがどうしても難しい人は、ホクナリンテープなどの貼り薬でβ2刺激薬は代用できます。

 

3.オンブレスの他の注意点は?

間違ってカプセルを内服してしまった場合は、慌てずにその日の吸入はしないようにしましょう。吸入時間はいつでも可能です。

オンブレスの良くある質問が、以下の2点です。

  1. オンブレスのカプセルを間違えて内服してしまった。
  2. オンブレスはいつ吸ってもいいの?

①については、製薬会社のオンブレス経口投与時の試験では、全身への影響は少ないという結果が出ています。特別な処置は必要ありませんが、しっかりと経過観察することが必要になります。同じ日にオンブレスの吸入は行わずに、慎重に経過を観察してください。

②については、オンブレスはいつ吸入しても大丈夫です。朝と夕方の吸入時間の違いによって、オンブレスの効果や安全性に差は認められていません。しかし、毎日一定の時間に吸入することが望ましいので、時間帯を決めて吸入するように心がけてください。

 

4.オンブレスの飲み合わせが悪いお薬や病気とは?

オンブレスを使用してはいけないお薬や病気はありません。

オンブレスは使用していけない病気はありません。併用注意としては、

  1. 甲状腺機能亢進症の患者〔甲状腺機能亢進症の症状を悪化させるおそれ。〕
  2. 心血管障害(冠動脈疾患・急性心筋梗塞・不整脈・高血圧等)のある患者〔交感神経刺激作用により症状を悪化させるおそれ。〕
  3. 糖尿病の患者〔高用量のβ2刺激剤によって、血糖値が上昇するおそれ。〕
  4. てんかん等の痙攣性疾患のある患者〔痙攣の症状を悪化させるおそれ。〕

とあります。しかしこれら4つの病気は、よほど重症じゃない限り悪化することはありません。またこれらの病気が重症な場合は、しっかりとお薬によって症状がコントロールされていることが多いです。このため、これらの病気でオンブレスが使えないということは少ないです。

また、オンブレスが併用できないお薬もありません。注意するお薬としては、

  1. エリスロマイシン
  2. リトナビル
  3. ベラパミル
  4. 交感神経刺激剤
  5. キサンチン誘導体、ステロイド剤、利尿剤(サイアザイド系利尿剤・サイアザイド系類似利尿剤・ループ利尿剤)

となっています。

この中で気を付けるべきお薬は、⑤のキサンチン誘導体・ステロイド剤・利尿剤です。特にキサンチン誘導体とステロイドは、COPDが急性増悪したときに使用することが多いです。

これらのお薬と併用することによって低カリウム血症のリスクが高まりますが、普通に食事を摂取している人では心配はまず必要ありません。食事がとれないような方でこれらの治療を使用する場合は、入院する場合が多いです。

また利尿剤は、尿と一緒にカリウムが一緒に出ていってしまうお薬です。そのため利尿剤を投与している方は、定期的に採血でカリウムを調べていることが多いです。

 

5.オンブレスは高齢者・妊婦でも安全?

オンブレスは、高齢者・妊婦でも使用できるお薬です。

まず高齢者ですが、オンブレスの添付文章では、

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

となっております。しかしCOPDは長年タバコを吸い続けてなる病気です。そのため、オンブレスを使用しているのは多くの方は高齢者だと思います。

また妊婦・授乳中の方ですが、

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(マウス)で催奇形作用が報告されている。)

と記載されています。催奇形と書かれるとぎょっとしてしまうかもしれませんが、これは吸入する何百倍もの量を血液に投与したことで認められたものです。

COPDと妊娠時期に診断される人の方が少ないかもしれないです。しかしCOPDと診断されてオンブレスを処方されている方は、COPDの急性増悪で低酸素血症などを併発するとお腹の赤ちゃんに影響します。オンブレスは中止しない方が無難かと思います。

 

まとめ

  • オンブレスの最も多い副作用は吸入後のむせこみです。
  • むせこみは吸う前に口を湿らせる、ゆっくり吸い始めることで対策できます。
  • オンブレスが処方できない病気や内服薬はありません。

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