インタール吸入薬の副作用と安全性

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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インタール吸入薬は抗アレルギー薬として主に小児の気管支喘息に使用されます。乳幼児の小さなお子さんにもインタール吸入薬は使用されることが多いです。軽症例の第一選択肢である理由の一つにインタールの吸入は副作用が非常に少ないことがあげられます。

実際にインタールをネブライザーで吸入した際喉の違和感くらいしか副作用としてはないかもしれません。ただし小さなお子さんに薬を吸わせて心配になるお母さんも多いと思います。

実際にインタールの吸入薬はどれ位安全なのか、ここで一度みていきましょう。

1.インタールの副作用は?

一番多いのが咽頭部の違和感です。

インタールの吸入薬は実際にどれ位副作用が多いのでしょうか。

2016年時点で病院でネブライザーを使用するインタール吸入液と家庭で使用することが多いインタールエアゾルの添付文章を参考にしてみましょう。

まずインタール吸入液ですが添付文章では、インタール吸入液をネブライザー吸引した総症例327例中4例(1.2%)に副作用が認められました。主な 副作用は

  • 咽頭刺激感4件(1.2%)

のみです。つまりこれ以外の副作用は327例全てにおいて認められませんでした。

またインタールエアゾルですが添付文章では、インタールネブライザーを吸引した3,96 8例中2 9例(0.73%)に副作用が認められました。主な副作用は

  • 嘔気6件(0.15%)
  • 咽頭刺激感、咳が各 5件(0.13%)

でした。この咽頭刺激感ですが、インタールに限らずどのような吸入薬でも1%前後の確率で起きます。これはインタールの物質が喉に作用しているわけではなく、物理的に何か吸入して喉にぶつかれば違和感を感じることがあるためです。

咽頭刺激感って書かれると怖く感じるかもしれませんが、これは吸った後少し喉が変かなくらいの症状も含まれます。喉が刺激されて少し咳が出たくらいの場合がほとんどです。咽頭に激痛が走ったなんてことはほぼありません。

その他重篤な副作用は

  • 気管支痙攣(気管支喘息発作の悪化)
  • 好酸球上昇(肺炎)
  • インタール自体のアレルギー症状

などが挙げられます。ただしこれらの症状が本当にインタールのせいかどうか鑑別するのはかなり難しいです。

  • 気管支痙攣が起きた場合はインタールの副作用よりもインタールの効果が無効と考えます。
  • 好酸球は喘息に関与する細胞です。そのためインタールのせいかどうか見極まるのは非常に難しいです。
  • 全ての薬、さらにいえば食べ物でもアレルギーは起こりえます。

添付文章の成績調査は医師がインタールの副作用と報告すれば、何でも副作用として扱われます。何か症状が出たときインタールの副作用かそれ以外が理由かは医師のさじ加減となります。添付文章だけ読むと過度に怖がらせる可能性がありますが、医師からするとこれらの重篤な副作用はインタールのせいとは言い切れず、想定の範囲内の症状です。

 

2.インタール吸入薬はどんな疾患、どんな内服薬中の人でも使用できるの?

インタール吸入薬はどんな疾患、どんな内服中の人でも使用できます。

インタールの主成分であるクロモグリク酸ナトリウムは、せり科の植物であるアンミビスナガに含まれている物質です。これを気管支に直接吸入することで、気管支にいる肥満細胞が炎症物質を放出することを防いで気管支喘息の症状が出現するのを抑えます。

このクロモグリク酸ナトリウムは気管支からほぼ体内に吸収されることはありません。実際に血中濃度も測定できないほど微量な量です。そもそもせり科の植物が薬や病気に対して影響を与えることがないため、たとえインタールを内服したとしても問題にはならないのです。

添付文章でもインタール吸入液が禁忌な人は、インタールに対してアレルギーが出現した方のみです。この一文は全てのお薬に対して記載されています。その他の病気や何か内服してる人が禁忌になることは一切ありません。

その他注意した方が良い場合は慎重投与症例として記載されますがインタールはその慎重投与ですら記載がありません。そのためどのような疾患な人、どのようなお薬を飲んでる人でも安心して吸入できます。

 

3.インタール吸入薬は妊娠中でも使用できるの?

インタールは妊娠中でも使用できるお薬です。ただし成人の女性には適応が限られているため出番がかなり少ないです。

インタール含めて抗アレルギー薬は一部妊婦の方に禁忌(絶対に使用してはいけない)お薬があります。具体的に名前をあげると

の3つです。これらのお薬は肥満細胞から化学伝達物質を抑制することで結果的に気管支の炎症をとるお薬です。一方のインタールも同じ作用機序のため、抗アレルギー薬全体が妊婦に対して禁忌なのでは?と過剰に反応する方がいらっしゃいます。

しかし作用機序が一緒だからといって成分が一緒なわけではありません。むしろそれぞれ全く違う成分です。

ケーキもお饅頭もお菓子に属すると思います。しかし全然違う食べ物でしょう。ケーキが食べれないからといってお饅頭も食べれないとはならないと思います。

実はこのたとえが薬にも当てはまります。得体の知らないものだから過度に怖がってしまってる節があります。しかし医者からするとケーキがダメだから、お饅頭もやめておこうと言ってるのと同じに感じます。同じ抗アレルギー薬にくくられがちですが、ケーキとお饅頭をお菓子にくくって一緒くたにするのと同じです。

喘実際の喘息のガイドラインでも妊娠中の喘息発症は17.1%とする報告もあり、しっかりと治療することの大切さを記載しています。喘息の悪化による母体・胎児の低酸素血症のほうが、赤ちゃんの成長に関与する危険性が高いのです。そのため、妊娠中は積極的な喘息管理が重要とされています。

一方で成人の喘息でインタール吸入薬はそこまで重要視されていません。最重要視されているのが吸入ステロイドです。吸入ステロイドも十分妊婦の方の安全性が認められているお薬です。そのため逆にインタールの吸入薬のみで喘息の加療がされている場合は、妊娠周期が進むにつれ治療が加わるかもしれません。

 

4.インタール吸入薬は乳幼児でも使用できるの?

インタール吸入薬は喘息のガイドラインでも2歳以下の第一選択肢として示されています。

インタールは小児の喘息ではどの年齢でも軽症の喘息の場合、抗ロイコトリエン(シングレアオノン)と並んで第一選択肢となっています。小児喘息のガイドラインは年齢によって細かく分けられていますが、2歳以下の最も小さな年齢層でも軽症な場合の第一選択肢は変わらずインタールが含まれています。

一方でインタールのエアゾルなどの添付文章には3歳以下の小児には安全性を示すデータがないと記載されていたり、ネブライザーのインタール吸入液でも乳幼児の安全性がはっきりと示されていません。お母さんの中には心配になる方もいるのではないでしょうか?

結論から言って乳幼児に安全性が確認されているお薬は非常に少ないです。6ヵ月未満に絞ればほぼありません。なぜなら乳幼児の安全性の試験にエントリーする患者さんが少ないからです。どんなお薬でも安全性を確かめたいから試験させてくれないか?と乳幼児の子供を持つお母さんに聞いたら大部分は嫌がるでしょう。このようにどんな安全なお薬でも乳幼児で安全性を確かめる試験をするのは非常に難しいです。

特に乳幼児の喘息の診断って非常に難しいです。気管支が狭くなったら聞こえる喘鳴で判断しますが、乳幼児は元々気管支が狭いため風邪をひいて痰がつまれば容易に喘鳴が聴取されます。そのため風邪などひいても容易に喘鳴が聴取されるのです。この場合は喘息様気管支炎といって風邪と判断します。しかし本当に風邪なのか喘息なのかは判断が難しいことが多いです。

以上にて喘息と確定できた乳幼児を集めてインタールの安全性を確かめるのは非常に困難です。そのため今後も喘息の乳幼児の方にインタール吸入薬が完全に安全だと証明するデータを出すのはかなり難しいと思います。

喘息は気管支の慢性的な炎症で気管支が狭くなる病気です。元々乳幼児の狭い気管支が狭くなればかなり苦しくなるかと思います。さらにその症状が持続したままですとどんどん症状も悪化してしまい、息を吸ったり吐いたりするのが大変になってしまいます。息ができないと酸素が足りなくなってしまいます。つまりインタールを過度に心配して喘息発作が起きているのにインタールの吸入を断ることは、逆に喘息を悪化させて、余計に治療が多くなる可能性があります。

最悪入院して加療が必要になるかもしれません。そのため医師がインタールの吸入が必要と判断したら必ず吸入するようにしましょう。もう一つの治療薬である抗ロイコトリエンはドライシロップなどの内服薬になります。飲み薬ですと場合によっては乳幼児の場合嫌がって吐いてしまったりすることもあります。一方でインタールなどの吸入薬はマスクを顔に当てて吸ったり吐いたりすることで投与できます。

インタール吸入薬はこうした流れからどちらかというと内服を嫌がる乳幼児の方こそ最も現在は使われるお薬です。多くのお子さんにインタール吸入薬は処方していますが、重篤な副作用を私自身も見たことがありません。喘息で最も安全なお薬の一つとインタールは言われているので安心してお子さんに吸入させてみてください。

 

まとめ

  • インタール吸入薬の副作用として咽頭刺激がありますが、重篤になることはほぼありません。
  • インタール吸入薬はどんな病気の人や飲み薬を飲んでる人でも加療が可能なお薬です。
  • インタール吸入薬は妊婦の方、乳幼児の方でも安全に使用できるお薬です。

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