PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状をチェック!
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、誰もが深い心の傷をうけるような大きな出来事に出くわした時に、上手く処理できずにこびりついてしまう病気です。
このような強烈な心的外傷である「トラウマ」を抱えた患者さんでは、4つの症状(再体験症状・回避症状・麻痺症状・過覚醒症状)がさまざまな強弱で認められます。
ここでは、PTSDの診断基準をもとにしてセルフチェックを使って、症状をチェックしてみましょう。
1.PTSDの4つの症状とは?
PTSDの代表的な4つの症状として、「再体験症状、回避症状、麻痺症状、過覚醒症状」があります。
PTSDの症状は、通常トラウマにさらされてから3か月以内に始まることがほとんどです。ときに数か月~年単位で、ジワジワと症状が強くなってくることもあります。PTSDでは、4つの共通する症状が認められます。4つの症状とは、「再体験症状、回避、麻痺症状、過覚醒症状」です。
再体験症状とは、トラウマとなった出来事の記憶が無意識に表れてきたり、悪夢という形で襲ってきます。世間では「フラッシュバック」とよばれるような症状です。
回避とは、トラウマに関連するような出来事に関して避けてしまうのです。麻痺症状とは、本来あるべき感情が薄れてしまって、現実感がなくなってしまいます。それ以外にも、認知や気分がマイナスの方向に変化してしまうことがあります。
過覚醒症状とは、いろいろなことに対して敏感になってしまう症状です。怒りっぽくなってしまったり、集中できなくなってしまったり、不眠が続く方もいます。
患者さんによってその強弱は違うので、実際にはいろいろな症状の認められ方があります。典型的なPTSDのイメージというと、フラッシュバックによる再体験症状で恐怖におびえている患者さんだと思います。それよりもむしろ、快感を感じることもなくなり、常にイライラしていたり、自己否定が強くなってしまうことに苦しんでいるような方もいます。
PTSDの症状について詳しく知りたい方は、
PTSDの4つの症状と合併症
をお読みください。
2.PTSD(心的外傷後ストレス障害)のセルフチェック
トラウマとなりうるような重大な出来事があった後、1か月ほど症状が続くときはPTSDの可能性があります。
PTSDは、誰もが甚大なストレスに感じるほどの出来事にさらされることによって発症します。本人が直接体験しなくても、被害者を通じて追体験することで発症することもあります。
どのようなことがトラウマになるかは、「本当のトラウマとは?PTSD(心的外傷後ストレス障害)について」をお読みください。
PTSDの4つの症状のうち、自覚ができる症状は以下の3つです。
- 死を意識するような強烈な恐怖心を想起させる「再体験」。
- トラウマの原因なった出来事を知らず知らずのうちに避ける「回避」。
- 警戒心が異常に強くなり、小さなことに対しても反応が過敏になる「過覚醒」
トラウマになるような重大な出来事が過ぎて、こうした症状が1ヶ月以上改善されない場合はPTSD(外傷後ストレス障害)の可能性があります。
アメリカの診断基準であるDSMを元にしてチェックリストを作ってみました。
【チェック項目】
- □何の前ぶれもなく、突然トラウマの原因になった過去の出来事を思い出す。
- □トラウマに関わる過去の忌まわしい出来事の幻覚や錯覚に囚われることがある。
- □トラウマとなる出来事で死んだ人もいるのに、自分が生き残ったことにひけ目を感じる。
- □寝つきが悪い状態が長い間続き、悪夢にうなされることがある。
- □いつまでたってもトラウマに体験が頭に残っている。
- □嬉しい、悲しいなどの感情がわかなくなり、感情の起伏がない。
- □いつもイライラしていて怒りっぽい。
- □集中力が散漫で長続きしない。
- □人がなかなか信用できず、心を開いて相談することができない。
- □ごく小さな外傷でも、ひどく苦痛に感じたりする。
- □何ごとにも興味や関心がわかず、ヤル気がない。
- □周囲に対して警戒心が異常なほど強くなる。
- □人が無視するような小さな出来事に対しても大きな驚くことがある。
- □周囲から孤立していると感じる。
- □将来に対して絶望を感じることがある。
もし半分以上の項目で思い当たるようでしたら、PTSDの可能性があります。あくまでセルフチェックによるものなので、専門家の診察をしっかりとうけましょう。
PTSDの診断基準について詳しく知りたい方は、
PTSDの2つの診断基準と診断の実際
をお読みください。
3.PTSDはどんな医療機関で診察を受ければいいのか
臨床心理士によるカウンセリングが受けられるクリニックを探しましょう。
PTSDは心の病です。したがって診察は、精神科や心療内科で受けることになります。PTSDの治療には、薬物療法だけでなく心理療法もあわせて行っていきます。精神科や心療内科といっても、医師が行うのは薬物療法が中心となります。心理療法を行っていくのは臨床心理士になります。臨床心理士がいる医療機関を選んで受診するようにしましょう。
カウンセリングは金銭的な負担が非常に大きいです。クリニックによっては、カウンセリングを安価に行っているところもあります。信頼できる先生がいる場合には、カウンセリングだけ別の医療機関を探されてもよいかもしれません。
PTSDは、成人の半数は発症後3か月で完全に回復するといわれています。しかしながら、人によっては1年以上、時に50年以上も症状が残存することもあります。発症遅延といって、少しずつ症状が増していくこともあります。このため、あまりにも大きく衝撃的な出来事を経験してしまったら、病院に必ず受診するようにしてください。
まとめ
PTSDの代表的な4つの症状として、「再体験症状、回避症状、麻痺症状、過覚醒症状」があります。
トラウマとなりうるような重大な出来事があった後、1か月ほど症状が続くときはPTSDの可能性があります。
PTSDが疑われる方は、臨床心理士によるカウンセリングが受けられるクリニックを探しましょう。
投稿者プロフィール
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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