パニック障害の症状とは?パニック発作と予期不安

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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「パニックになった」というように、日常生活に「パニック」という言葉は使われています。思いがけないことが起きて焦ってしまった…というような意味合いで使われていると思います。

ですが、本当のパニックはこんなものではありません。人によっては、「自分はこのまま死んでしまうのではないか」というほどの恐怖と不安が襲ってきます。

パニック障害によく認められる症状としては、大きく3つがあります。

  • パニック発作
  • 広場恐怖
  • 予期不安(回避行動)

広場恐怖はパニック障害とは別の病気と考えられていますが、合併することが非常に多いです。そして「またパニック発作がおこってしまうかもしれない」という予期不安によって、回避行動をとってしまって本来の生活ができなくなっていきます。

ここでは、パニック障害の症状について詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

1.パニック障害の3大症状

パニック発作・広場恐怖・予期不安がパニック障害の3大症状です。

パニック障害の症状

パニック障害は、突然に恐怖感や不安感に襲われるパニック発作を特徴とする不安の病気です。パニック障害の初期症状は、1~3の身体症状がみられる症状限定発作であることが多いです。少しずつ発作がひどくなっていき、パニック発作を繰り返すようになります。

パニック発作となると、激しい動悸やめまいといった身体の症状とともに、「死んでしまうのではないか」「発狂してしまうのではないか」といったほどの恐怖を感じます。そして過呼吸に発展して、手足がしびれてしまう方もいます。

発作的な症状は、10分~1時間ほどで一旦おさまりますが、「また発作が起きるかもしれない」という考えが頭をめぐります。これを予期不安といいます。

パニック障害は、電車や雑踏の中に一人でいるときに起こりやすいです。「逃げ出せない」という状況に対して恐怖を感じるようになります。このような逃げられない場所での恐怖を、広場恐怖といいます。

このパニック発作・予期不安・広場恐怖がパニック障害の3大症状ともいえる特徴的な症状であり、この症状の連鎖が行動を回避的にしてしまいます。苦手な状況を避けるようになってしまい、するとますます恐怖心が強くなってしまいます。

このような悪循環によって、不安が日常生活に広がっていってしまいます。これまで当たり前にできていたことができなくなり、極端になると自宅にひきこもって出られなくなってしまいます。また落ち込みがひどくなって、うつ病を合併してしまうこともあります。

 

2.パニック障害の主な症状①-パニック発作

パニック発作では、様々な自律神経症状が出現します。これがさらに不安をあおってしまいます。4つ以上ではパニック発作と診断され、3以下では症状限定発作となります。

パニック発作は、数分以内にピークに達するような強烈な恐怖感を特徴としています。きっかけがあることもあれば、特にキッカケなく起こることもあります。パニック発作と診断するためには、キッカケのない発作が2回以上認められる必要があります。

とくにキッカケのないパニック発作としてわかりやすいものが、睡眠時パニック発作です。深い睡眠にあるときに、突然にパニック発作で目が覚めるのです。およそ3人の患者さんに1人の割合で認められます。

パニック発作の症状をみてみましょう。人は不安を感じると、自律神経である交感神経が活発になって緊張状態になります。このため、以下のような過緊張状態の自律神経症状が認められます。

  • 激しい動悸・脈拍の増加
  • 手のひらや体中に汗をかく
  • 体や手足の震え
  • 息切れや息苦しさを感じる
  • 窒息感・喉がつまったような違和感
  • 胸痛・胸部の圧迫感や不快感
  • 吐き気・腹部の不快感
  • めまい・ふらつき・気が遠くなる感じ・頭が軽くなる感じ
  • 寒気や体のほてり
  • 体の一部にしびれやうずきがある
  • 現実感の消失・自分が自分でない感覚(離人感)
  • 口の渇き

※DSM‐Ⅴでは、口の渇きを除いた11症状となっています。

このような身体症状によって、さらに恐怖感があおられてしまいます。そうすると、現実的をオーバーに感じてしまって、非現実的な恐怖を感じてしまいます。

  • 自分自身をコントロールできなくなる不安感や、気が狂うような恐怖に襲われる
  • このままでは死んでしまうのではないかという恐怖を感じる

このような認知的症状(とらえ方)によって、人によっては過呼吸になってしまったりします。しばらくして落ち着いてくると、これらの症状は自然とおさまっていきます。

身体症状や認知的症状を合わせると13の症状がありますが、診断基準によると以下のように定義されています。

  • パニック発作:4個以上
  • 症状限定発作:1~3個

 

3.パニック障害の主な症状②-広場恐怖

自分がコントロールできない状況に対する恐怖を、広場恐怖といいます。

パニック障害の患者さんでは、電車の中や人ごみなど、逃げ出せない状況で急に不安が強くなります。この症状を、広場恐怖といいます。

広場恐怖はパニック障害とは独立した病気ですが、パニック障害の患者さんは広場恐怖症も合併しやすいです。「パニック発作が起きてしまったら逃げ出せない」という状況を苦手にしてしまうのです。

広場恐怖の本質的な症状は、苦手な状況にさらされることがキッカケとなって生じる激しい恐怖や不安です。パニック障害では、「パニック発作が起きてしまったら逃げ出せない」「パニック発作が起きてしまったら誰も助けてくれない」という状況を苦手とします。

具体的には、人ごみ、地下鉄や電車、飛行機や新幹線、美容院や歯医者、トンネルやエレベーター、さらには窓のない部屋などになります。診断基準では、以下のうち2つの状況を苦手としていることが求められます。

  • 公共交通機関の利用(自動車・バス・列車・船・航空機)
  • 広い場所にいること(駐車場・市場・橋)
  • 囲まれた場所にいること(店・劇場・映画館)
  • 列に並ぶ、または群衆の中にいること
  • 家の外に一人でいること

広場恐怖の「広場」は、ギリシャ語の「アゴラ」に由来しています。古代ギリシャでは、広場を集会の場としていました。非常に多くの人でごった返しており、当時の代表的な「逃げ出せない状況」だったのです。

 

4.パニック障害の主な症状③-予期不安(回避行動)

様々な予期不安によって回避行動をとるようになり、その回避行動が予期不安を悪化させるという悪循環になります。生活への支障が少しずつ大きくなっていきます。

パニック障害では、いつどこでパニック発作が起こるかわからないという不安を抱えながら生活をしていくことになります。これを予期不安といいますが、広場恐怖症を合併している患者さんでは、「逃げ出せない」状況になると予期不安が高まるようになります。

この予期不安には、いろいろな形の不安があります。

  • 何か命にかかわるほどの病気があるのではないかという不安(身体的懸念)
  • パニック発作のせいで周囲から悪く思われるのではという不安(社会的懸念)
  • 「発狂してしまう」「コントロールができなくなる」という不安(精神的懸念)

こうした不安につきまとわれて生活をしているので、広場恐怖症の患者さんでは苦手な状況を避けるようになります。このように苦手なことから目を背けると、次に同じ状況に直面した時にますます予期不安が強くなります。こうして悪循環にはまっていくのです。

不安が少しずつひろがっていってしまい、

「仕事中にパニック発作がきたらどうしよう」→仕事に行けなくなる
「友達と遊んでいる時にパニック発作がきたらどうしよう」→友達との予定はキャンセル
「外出してパニック発作がきたらどうしよう」→自宅にひきこもる

このように症状が進んでしまうことも少なくありません。

 

5.パニック障害の不安抑うつ発作・怒り発作

パニック障害ではパニック発作だけでなく、不安抑うつ発作や怒り発作といった感情を伴う発作がみられることがあります。これはうつ状態を合併していくサインでもあります。

パニック障害では、繰り返すパニック発作を特徴とする病気でした。パニック発作以外にも、2つの「発作」がみられることがあります。

  • 不安抑うつ発作
  • 怒り発作

それではパニック発作とは、何が違うのでしょうか?

パニック発作は、純粋に恐怖感と不安感の高なりによる発作です。そこには「怖い」という感情につつまれてはいますが、それ以外の感情はありません。これに対して、不安抑うつ発作や怒り発作では、悲しみや怒りといったその他の感情が含まれています。これはパニック発作とは性質が異なるものです。

不安抑うつ発作は、キッカケなく突然に気持ちが落ちこんだり、不安や焦燥感、孤独感や空虚感、絶望感などの感情が急激におそってきます。このような感情に引き続き、過去の嫌な記憶がフラッシュバックします。

怒り発作は、自分が否定されたと感じた時に生じる発作的な怒りです。相手に対して激高して罵声を浴びせたり、暴力をふるったり、周囲のものを破壊したりします。

このような発作は、パニック障害がうつ状態になっていく前駆症状ともいうべき症状です。パニック障害の患者さんがうつ状態になっていくと、非定型うつ病となることが比較的多いです。さらには、双極性障害(とくにⅡ型)の方も多いです。

 

6.パニック障害の合併症とは?

パニック障害は、多くの精神疾患と合併することが多いです。パニック障害の患者さんの7~8割は、何らかの精神疾患を合併しているとも報告されています。

パニック障害は非常に強い恐怖に襲われる病気です。これによって、今まで当たり前のことができなくなってしまい、行動範囲が狭まってしまう病気です。これらのストレスで、様々な病気を合併します。

反対に、これらの病気からパニック障害が合併することもあります。ですからパニック障害といっても、いろいろな患者さんがいます。こういう見方をすると、パニック症候群といってもよいかもしれません。

パニック障害で認められる精神疾患についてみていきたいと思います。

 

①不安障害

パニック障害では、様々な不安障害の合併が認められます。その中でも多いのが、社交不安障害と全般性不安障害です。

社交不安障害とは、「人から悪く思われないか」という恐怖から、人から注目をされるような社交場面に対して過度の不安と緊張を感じる病気です。全般性不安障害とは、日常生活のささいなことを不安に感じてしまう病気です。

パニック障害が長く続くと、日常生活のいろいろなことに自信がなくなります。自分に自信をもてなくなり、人の目を気にしてしまうようになります。それが社交不安障害に繋がっていきます。

また、決断することが苦手になり、客観的に物事がみえなくなっていきます。日常生活のいろいろなことに不安が広がっていき、とりとめもないことが気になってしまって心配がつきなくなってしまいます。このようにして、全般性不安障害につながっていくのです。

 

②うつ病

パニック障害では、いつパニック発作が起こるかわからないという不安や絶望感につきまとわれます。そのせいで思うような生活ができなくなってしまい、失ってしまうこともあります。睡眠も不安定になることがあります。

このような結果として、二次的にうつ病を発症してしまう場合があります。パニック障害の患者さんは、怒り発作や不安抑うつ発作が認められる非定型うつ病となることが比較的多いです。また、双極性障害の患者さんも比較的多いです。

社交不安障害を合併していると、社会生活への影響が大きくなります。人間関係にも影響することがあります。このため社交不安障害を合併している患者さんでは、うつ病も合併するリスクが高い印象があります。

 

③アルコール依存症

パニック障害の患者さんでは、不安をアルコールで紛らわすうちにアルコール依存症へ発展するケースが見受けられます。

アルコールにより、不安や恐怖などは一時的に解消されます。しかしながら次第にアルコールへの依存へとつながり、さらにパニック障害を悪化させる原因になります。

アルコール依存症に発展するのは、不安抑うつ発作や怒り発作が認められる患者さんに多いです。発作の苦しみを紛らわせるために、お酒に頼ってしまうことが多いのです。

 

7.パニック障害の症状の重症度

重症度は、ICD‐10では発作の頻度で評価しています。一般的には、パニック発作の全体的な程度と生活への支障で評価されます。

パニック障害の重症度をどのように判断するかは難しいです。ICD‐10という国際的な診断基準では、パニック発作の頻度で重症度を考えていきます。

  • 軽症:1ヶ月に3回以下
  • 中等度:1ヶ月に4回以上
  • 重度:1週間に4回以上

で判断します。ただ一概にパニック障害の重症度は、頻度では判断できません。不安な状況から逃げている方では、根は深いのにもかかわらず、機会がないのでパニック発作が多くはありません。

パニック障害の症状の重症度をチェックする検査として、PDSSがよく使われます。この検査では、パニック症状全般の程度と生活への影響をみることで、重症度を評価しています。

興味をお持ちの方は、
パニック障害重症度評価尺度(PDSS)でパニック障害をチェック
でチェックしてみてください。

※近日公開します。

 

まとめ

パニック発作・広場恐怖・予期不安がパニック障害の3大症状です。

パニック発作では、様々な自律神経症状が出現します。これがさらに不安をあおってしまいます。4つ以上ではパニック発作と診断され、3以下では症状限定発作となります。

逃げ場がない場所に対する恐怖心を広場恐怖といいます。パニック発作がまた起きるかもしれないという予期不安がみられるようになります。

パニック障害ではパニック発作だけでなく、不安抑うつ発作や怒り発作といった感情を伴う発作がみられることがあります。これはうつ状態を合併していくサインでもあります。

パニック障害は、うつ病や社交不安障害や全般性不安障害、アルコール依存症などを合併することがあります。

重症度は、ICD‐10では発作の頻度で評価しています。一般的には、パニック発作の全体的な程度と生活への支障で評価されます。

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