ジプレキサの半減期と作用時間とは?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ジプレキサは、第二世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)に分類されます。おもに統合失調症や双極性障害の治療薬として使われています。

ジプレキサの作用時間や効き目は、半減期から考えることができます。ジプレキサは最高血中濃度到達時間4.8時間・半減期28.5時間です。ジプレキサは、1日1回の服用でも効果がしっかりと持続するお薬です。

ここでは、ジプレキサの半減期と作用時間について、詳しくみていきたいと思います。

 

1.薬の半減期とは?

薬を飲んでから血中濃度が半分になるまでの時間のことです。

薬を服用した時の、血中濃度の変化を図に表わして、Tmaxと半減期を説明します。

薬を飲み始めると、直後は血中濃度がどんどんと上がっていきます。薬の吸収がおわると、薬は代謝されて身体から出ていきますので、少しずつ血中濃度が減少していきます。身体が薬を代謝できるスピードは決まっていますので、どれくらいの量であっても一定のスピードで身体から抜けていきます。このため、薬の量が半分になるまでにかかる時間は、内服量にかかわらず一定になります。

この血中濃度が半分になるまでにかかる時間を半減期(T1/2)といいます。T1/2が短いほど、薬の切れ味がよく身体からすぐになくなるといえます。反対にT1/2が長いほど、薬が身体に蓄積しやすいといえます。

薬の効き方を考えるにあたって、もう1つのポイントがあります。最高血中濃度到達時間(Tmax)です。これは文字通りで、血中濃度がピークに達するまでの時間です。効果がでるまでのスピードに関係しています。Tmaxが短いほど、薬の効果がすぐに表れることを意味しています。

 

2.ジプレキサの作用時間と使い方

ジプレキサは最高血中濃度到達時間が4.8時間、半減期が28.5時間の非定型抗精神病薬です。1日1回の服用で、夕食後か就寝前に服用することが多いです。外来では2.5~5mgから、入院では10~20mgから使われることが多いです。最大20mgまで使えます。

ジプレキサを服用すると、4.8時間で血中濃度がピークになります。そこから少しずつ薬が身体から抜けていき、28.5時間ほどで血中濃度が半分になります。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

 

このため、1日1回の服用でも効果がしっかりと持続するお薬です。鎮静作用があり、眠気も強いお薬なので、夕食後や就寝前に使われることが多いです。薬を飲んですぐに眠気がくる方は就寝前がよいでしょう。あまり眠気がこない方は、夕食後に服用する方が就寝時間にジプレキサの血中濃度がピークになります。

ジプレキサの添付文章では、5~10mgから開始して、最大量20mgまでとされています。実際には、外来では2.5~5mgから、入院では10~20mgから使われることが多いです。

ジプレキサはいろいろな受容体にゆるく作用するので、他の薬から切り替えたり、新しく開始するときのリスクが少ないです。このため、眠気などの副作用が問題にならない入院治療では、比較的すぐに量を上げることが多いです。

ジプレキサの用量を考えるにあたって、考慮しなければいけないジプレキサの特徴が3つあります。

  • 高齢者の方が若年者よりも効きやすい
  • 女性の方が男性よりも効きやすい
  • 非喫煙者の方が喫煙者よりも効きやすい

このため、高齢女性非喫煙者では少量から使っていく意識が必要です。反対に、若年男性喫煙者にはしっかりと使います。

 

ジプレキサの効果について詳しく知りたい方は、
ジプレキサ錠の効果と特徴
をお読みください。

 

3.抗精神病薬の半減期と作用時間の比較

ジプレキサは、他の抗精神病薬と比較しても半減期が長く、1日1回の服用でしっかりと効果が持続します。

抗精神病薬の半減期を比較してみましょう。

抗精神病薬の半減期を一覧にして比較しました。

抗精神病薬の半減期をみることで、それぞれの薬の作用時間や効き方がある程度わかります。

半減期の長いジプレキサやエビリファイでは、1日1回の服用でも十分に効果が持続します。半減期の短いルーランやセロクエルでは、1日に2~3回の服用が必要になります。

ロナセンやリスパダールでも1日2~3回の服用となることが多いですが、どちらも1日1回でも効果が持続します。ロナセンでは、反復投与によって半減期が60時間以上に延びていきます。リスパダールでは、活性代謝産物が長く残って作用します。

薬を服用する人によっても、分解のしやすさには違いがあります。ですから、半減期だけではわからないこともあるのですが、薬の作用を考えていく目安になります。

抗精神病薬は、しっかりと飲み続けていくことが大切なお薬です。患者さんが実際に服用できなければ何の意味もありません。効果や副作用の特徴はもちろん大切ですが、服用のしやすさも意識しながらお薬を選んでいきます。

 

まとめ

半減期とは、薬を飲んでから血中濃度が半分になるまでの時間のことです。

ジプレキサは最高血中濃度到達時間が4.8時間、半減期が28.5時間の非定型抗精神病薬です。1日1回の服用で、夕食後か就寝前に服用することが多いです。外来では2.5~5mgから、入院では10~20mgから使われることが多いです。最大20mgまで使えます。

ジプレキサは、他の抗精神病薬と比較しても半減期が長く、1日1回の服用でしっかりと効果が持続します。

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