抗ヒスタミン作用とは?
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
花粉症などのアレルギーの薬や風邪薬などで眠くなったことはありませんか?これは抗ヒスタミン作用による眠気なのです。薬の作用や副作用を考えていく時に、抗ヒスタミン作用は重要です。
ここでは、抗ヒスタミン作用について考えていきたいと思います。
1.抗ヒスタミン作用とは?
覚醒させる脳内物質であるヒスタミンをブロックする作用です。
ヒスタミンは、脳の覚醒や食行動の抑制などに働いています。この作用を抑えるのが抗ヒスタミン作用です。ですから、脳の覚醒が低下して眠気や倦怠感が強くなります。また、食欲が増して体重増加のきっかけとなります。
ヒスタミンは身体と脳では働き方が異なります。身体においては、ヒスタミンは炎症などで働く物質で、過剰に分泌されるとアレルギーを引き起こします。また、胃酸分泌にも関係しています。中枢神経においては神経伝達物質として働いています。覚醒状態の維持や満腹中枢の刺激などに働いています。抗ヒスタミン作用は、このヒスタミン受容体(H1)にヒスタミンが結合するのを阻止し、ヒスタミンの作用を抑制する作用のことです。
2.抗ヒスタミン作用の副作用
眠気・体重増加などが認められます。
本来は意図していないものの、薬が働いてしまって抗ヒスタミン作用をもたらすことがあります。これがデメリットとなると副作用になります。抗ヒスタミン作用としては、眠気・食欲増加があげられます。抗うつ薬では、トリプタノールといった三環系抗うつ薬やテトラミドなどの四環系抗うつ薬、新しい抗うつ薬の中ではリフレックスレメロンに多くみられます。抗精神病薬では、昔からある定型抗精神病薬としては、コントミンなどのフェノチアジン系と呼ばれる力価が低いもの(=mgが大きいもの)に多いです。新しい非定型抗精神病薬では、ジプレキサやセロクエルによく見られます。
3.抗ヒスタミン作用薬
アレルギー治療薬・胃薬・睡眠薬・パーキンソン治療薬として使われています。
抗ヒスタミン作用を利用した薬はたくさん作られています。
- アレルギー治療薬:アレルギー反応を抑えます。(®アレグラ®ジルテック®ポララミンなど)
- 胃薬:胃酸分泌に関わるH2受容体をブロックして胃酸分泌を抑えます。(®ガスター®タガメット)
- 睡眠薬:市販の睡眠薬に多く、鎮静をかけて催眠します。(®アタラックスP)
- パーキンソン治療薬:中枢性抗コリン作用をもっているため、振戦を緩和します。(®ピレチア®ヒベルナ)
4.抗ヒスタミン副作用への対応
原則的に、可能であれば薬の減薬や変更を検討します。薬によるメリットが大きくて減量や変更が難しい場合、副作用を抑えるための薬を用いることがあります。
4-1.眠気の対処
慣れる方も多いので、できれば様子をみてください。生活に支障が続く場合は主治医に相談してください。
抗ヒスタミン作用の眠気は慣れることが多いです。このため、生活への大きな支障がない場合は様子をみていただきます。体が薬に慣れていくにしたがって眠気が緩和されていきます。
慣れない方は主治医にぜひ相談してください。薬の飲み方を工夫することで、眠気を少し緩和させることができます。薬を増やすペースを緩やかなものにすることで、薬に慣れやすいように時間をかけていきます。また、服薬を就寝前にすることでピークを夜間にもっていき、眠りも深くなります。眠気が強すぎてどうしても生活に差し障るという事であれば、眠気の少ない薬に変えます。
4-2.体重増加の対処
食生活を見直して、食欲をコントロールしましょう。
もっとも大切なことは食生活の見直しです。栄養バランスと必ず三食規則正しく食べること、そして間食をしないことも大切です。それに加えて適度な有酸素運動も体重増加を防ぎます。ウオーキングやジョギングなどを習慣にしましょう。それでも体重増加が止まらない場合には、薬を変えることも検討します。体重増加を一概に薬の副作用と決めつけずに、他に原因がないかを見極めることも大切です。
まとめ
抗ヒスタミン作用とは、覚醒させる脳内物質であるヒスタミンをブロックする作用です。
抗ヒスタミン作用の副作用としては、眠気・体重増加などが認められます。
抗ヒスタミン作用薬としては、アレルギー治療薬・胃薬・睡眠薬・パーキンソン治療薬として使われています。
眠気の対処は、慣れる方も多いのでできれば様子をみてください。生活に支障が続く場合は主治医に相談してください。
体重増加の対処は、食生活を見直して食欲をコントロールしましょう。
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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