リスパダール内用液と錠剤の違いとは?
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
抗精神病薬のリスパダールは、1996年に発売された第二世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)です。おもに統合失調症の治療に使われますが、興奮を落ち着かせる鎮静作用があるため、さまざまな場面で使われているお薬です。
現在でもよく使われているお薬で、患者さんや医療現場のニーズにあわせて様々な剤形が発売されています。そのひとつとして、リスパダール内用液という液剤が発売されています。0.5mg・1mg・2mg・3mgの4つの規格で発売されていて、水なしですぐに服用できるので便利です。苦味が強いのが難点ですが、頓服としてよくつかわれています。
ここでは、リスパダール内用液について、薬価もふくめて詳しくお伝えしていきたいと思います。
1.リスパダール内用液とは?
0.5mg・1mg・2mg・3mgの4規格が発売されています。独特の苦味があり、錠剤に比べて薬価が高いです。
お薬は錠剤でできていて、水で飲みこむものが多いかと思います。これで問題ない方では良いのですが、突発的に不安や興奮がやってきてしまって、お薬を服用する余裕がない方もいらっしゃいます。リスパダール内用液はそのような方をイメージして作られました。
リスパダール内用液は小さく包装されていて、非常に使いやすいお薬です。プラスチックの包装を切ると、すぐに服用できるようになっています。味が苦いグレープフルーツのようなのが難点にはなりますが、慣れると気にならない方が多いです。ジュースやお味噌汁などに混ぜてしまうこともできます。
4つの規格が発売されていて、0.5mg(黄)・1mg(青)・2mg(緑)・3mg(ピンク)があります。包装の色をきけば、量がわかるので便利です。ですが、錠剤に比べると薬価が3倍ほど高いのがデメリットです。
2.リスパダール内用液と錠剤の効果の違い
リスパダール内用液の方が、少しだけ効きが早くなります。薬の作用だけを見ると、効果や副作用には大差ありません。
リスパダール内用液と錠剤の効果の違いを見ていきましょう。お薬の効果は、血中濃度の変化をみるとわかります。
リスパダール内用液と錠剤を比べると、内用液の方が少しだけ血中濃度の立ち上がりが早いです。
リスパダール内用液・・・最高血中濃度到達時間:0.81~2.67時間 半減期:3.57~20.91時間
リスパダール錠・・・最高血中濃度到達時間:1.13~3.27時間 半減期:3.91~21.69時間
このため、リスパダール内用液の方が多少は効果が早く感じられます。血中濃度の最高値も、リスパダール内用液の方がわずかに高いです。しかしながら、効果や副作用に影響が出るほどの違いではありません。
このようにみてみると、リスパダール内用液と錠剤では効果や副作用には大差がないといえます。
そうはいってもリスパダール内用液の方が、効果を明らかに早く感じる方や気持ちが落ち着く方が多いです。液体のお薬だからすぐ効きそうな印象もあるでしょうし、独特の苦味もあるのでお薬が効いた実感があるのだと思います。このような思い込みの効果も大切です。自分の感覚を大事にしてください。
リスパダールの効果について詳しく知りたい方は、
リスパダール錠の効果と特徴
をお読みください。
3.リスパダール内用液の実際の使い方
薬を飲むことができない場合や、急激な恐怖心や衝動が抑えきれない場合に有効です。
リスパダール内用液の効果は錠剤と大きな違いがないため、リスパダール内用液を使うのは、自分で錠剤を飲むことができない場合になります。
自分で錠剤を飲むことができないというのは、いろいろな状況があります。
- 自分が病気だという認識がなく、自分の意志で薬を飲むことができない場合
- 外出していて薬を上手く飲めない場合
- 発作的に調子が悪くなって、お薬を飲む余裕がない場合
このような場合では、簡単に服用でき、こっそりと食事や飲み物に混ぜることもできるリスパダール内用液が有効です。ただ、苦味が強いので、混ぜるものには注意をしなければいけません。
恐怖心や興奮や衝動に、突然襲われる方もいらっしゃいます。いつ調子が悪くなるのかもわかならなければ、できるだけすぐに服用できるお薬でなければいけません。このような時は、リスパダール内用液を頓服として使うと有効です。
4.リスパダール錠とリスパダール内用液の薬価
リスパダール内用液は、錠剤の約3倍の薬価になっています。
商品名 | 剤形 | 先発品薬価 | ジェネリック薬価 | 比率 |
リスペリドン錠 | 0.5mg | なし | 9.6~11.2円 | ― |
リスパダール錠 | 1mg | 31.9円 | 11.7~19.6円 | 36.7% |
リスパダール錠 | 2mg | 56.6円 | 19.7~34.7円 | 34.8% |
リスパダール錠 | 3mg | 79.3円 | 29.6~51.7円 | 37.3% |
リスパダールOD錠 | 0.5mg | 17.0円 | 9.6~11.2円 | 56.5% |
リスパダールOD錠 | 1mg | 31.9円 | 11.7~19.6円 | 36.7% |
リスパダールOD錠 | 2mg | 56.6円 | 19.7~34.6円 | 34.8% |
リスペリドンOD錠 | 3mg | なし | 29.6~51.7円 | ― |
リスパダール内用液 | 0.5mg/0.5ml | 45.2円 | 29.3円 | 64.8% |
リスパダール内用液 | 1mg/1ml | 90.3円 | 42.1~64.5円 | 46.6% |
リスパダール内用液 | 2mg/2ml | 180.6円 | 88.5円 | 49.0% |
リスパダール内用液 | 3mg/3ml | 270.9円 | 128.3円 | 47.4% |
リスパダール細粒 | 1% | 276.4円/g | 98.7~171.7円/g | 35.7% |
※比率は、ジェネリックの最低価格をもとに計算しました。
リスパダール内用液は、薬価が高いのが難点です。錠剤と比較すると、およそ3倍の薬価となっています。このことからも、錠剤でお薬で飲める方は錠剤の方がよいでしょう。リスパダール内用液は、頓服で使うことが多いです。
リスパダールは発売から20年あまりがたっていますので、ジェネリックも発売されています。ジェネリックも、錠剤の方が割安になっています。リスパダール内用液でも半額ほどになりますが、それでも先発品の錠剤よりも高い薬価となります。
※2015年10月12日現在の薬価です。
まとめ
0.5mg・1mg・2mg・3mgの4規格が発売されています。独特の苦味があり、錠剤に比べて薬価が高いです。
リスパダール内用液の方が、少しだけ効きが早いです。薬の作用だけを見ると、効果や副作用には大差ありません。
薬を飲むことができない場合や、急激な恐怖心や衝動が抑えきれない場合に有効です。
リスパダール内用液は、錠剤の約3倍の薬価になっています。
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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