2015年からインフルエンザワクチンが4価にパワーアップ!

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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毎年秋になってくると、インフルエンザが話題になってきますね。

インフルエンザは、毎年新しいタイプのウイルスが流行します。このため、毎年WHOの最新情報と日本の流行状況をもとに、予測してワクチンを作ります。ワクチンの予想が外れてしまうと、インフルエンザが猛威をふるってしまいます。

これまでインフルエンザは3種類のタイプをカバーしていました。2015年から、4種類のタイプをカバーするようにパワーアップします。ここでは、2015年から導入される4価ワクチンについてお伝えしたいと思います。

 

1.インフルエンザワクチンの効果

予防効果だけでなく、発症しても症状が軽減されます。

インフルエンザの予防接種はどのような効果があるのでしょうか?実は、タイプがばっちり当たったとしても、感染の予防は100%ではありません。

ウ イルスが身体に入ってくることは何をしても防げません。感染の防御には気道の粘膜免疫が重要になってきます。ここでやっつけてしまえば身体に入ってきませ ん。ですが、インフルエンザワクチンでは粘膜には効果がないので、身体には入ってきてしまいます。一度「感染」してしまうのです。ウイルスが身体に入ると ワクチンの効果で、抗体がたくさん作られて免疫が高まります。

ですから、ウイルスに感染したとしても免疫のスイッチ がすぐさま入るので、感染が広がっていく前にやっつけてしまうことができます。ですから、症状が軽減します。もし、症状として身体にでてこなければ、イン フルエンザに罹ったことすら気づきません。ですから、発症の予防という形に繋がります。

インフルエンザの予防接種は、高齢者や持病がある方はちゃんと行ったほうがよいです。また、妊婦では発症すると重症化しやすいので、予防接種がすすめられています。授乳中でも安全ですので、予防接種を行った方がよいです。

詳しく知りたい方は、
予防接種の効果と限界
インフルエンザの予防接種や治療薬は授乳中に大丈夫?
妊婦にインフルエンザ予防接種(ワクチン)と治療薬は安全?
をお読みください。

 

2.インフルエンザの流行タイプ

A型は新型インフルエンザとよばれたH1N1、香港型とよばれるH3N2の2タイプが流行してきました。B型は、山形系統とビクトリア系統の混合感染が続き、予測がしづらい状況でした。

インフルエンザにもタイプがあります。大きく分けるとA・B・cの3種類になります。みなさんが耳にすることがあるのはA型かB型かと思います。毎年インフルエンザのシーズンに大流行するのがこの2つだからです。

では、C型とはどういったものでしょうか?C型は、ほとんどの方が小さいころに感染しています。ですが診断キットもないですし、インフルエンザ治療薬も効きません。ですから診断されることもなく、ただの風邪として治ってしまいます。これによって免疫ができてきて、成人しても免疫が続くので感染しなくなります。

 

さて、ここでは毎年流行するインフルエンザA型とB型についてお話ししていきたいと思います。

インフルエンザA型は人だけでなく、鳥や豚などでも感染します。2009年に騒がれた新型インフルエンザや、動物から人への感染が危惧されているインフルエンザもこのA型です。B型は人のみで感染するといわれています。

 

流行は毎年異なります。これを予想するのは非常に難しいのですが、WHOを中心に各国で流行情報を集めて予測していきます。その予想に基づいてワクチンを作っていくわけです。このため、毎年当たったとか当たってないという話題がでてきます。

A型もB型も毎年流行っていますが、A型は2タイプにほぼ固定されています。Aソ連型とよばれたH1N1、香港型とよばれるH3N2という2つのタイプです。微妙に性質が異なるものが流行ることがありますが、タイプとしてはこの2つ以外の可能性は低いです。ただ、バッチリと当たらなければ、当然ワクチンの効果は薄くなってしまいます。

B型がやっかいなのです。近年流行しているB型には、山形系統とビクトリア系統の2つのタイプがあります。最近は、この2つの系統の混合流行が続いていたので非常に予測が難しい状況が続いています

 

3.4価インフルエンザワクチンとは?

A型のH1N1・H3N2とB型の山形系統・ビクトリア系統をカバーしたインフルエンザワクチンです。ワクチン費用が高くなることが予想されますが、さらなるB型に対する効果が期待できます。

これまでは、3価ワクチンといって、A型の2種類(H1N1・h3N2)とB型の1種類(山形系統かビクトリア系統)の3つのタイプをカバーしたワクチンでした。B型に対しては、WHOの流行情報や日本国内での感染情報などを検討して、予測をしてどちらか1つを選んでいました。

ですから、インフルエンザワクチンの有効率はA型よりもB型で明らかに低く、また症状も長く続いてしまう方が多かったのです。これらを受けて、WHOは2013年シーズンからすべてをカバーする4価をすすめていました。

日本では、薬に含まれるたんぱく質の量がネックになってしまって、3価までしか作ることができませんでした。タンパク質が外から混入してしまうと病原性につながるため、薬の品質維持のためのしばりです。ワクチンのタンパク質であれば問題ないので、2015年シーズンから日本でも4価ワクチンが作られることになりました。

 

もちろん、カバーできるワクチンが増えたので値段も上がることが予想されます。インフルエンザの予防接種の料金は、医療機関が自由に付けることができます。このため、いくらになるかは病院次第なのです。ただ、卸値が1.5倍近くにあがっているので、予防接種料金も上がることが予想されます。4000円代の相場になるかと思います。

ですが、すでに4価が導入されている海外では、インフルエンザへの有効な予防効果が示されています。2015年から日本でも導入されることで、B型に対する予防効果が期待されます。

 

まとめ

インフルエンザワクチンは、予防効果だけでなく、発症しても症状が軽減されます。

A型は新型インフルエンザとよばれたH1N1、香港型とよばれるH3N2の2タイプが流行してきました。B型は、山形系統とビクトリア系統の混合感染が続き、予測がしづらい状況でした。

A型のH1N1・H3N2とB型の山形系統・ビクトリア系統をカバーしたインフルエンザワクチンです。ワクチン費用が高くなることが予想されますが、さらなるB型に対する効果が期待できます。

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