溶連菌感染症は大人も注意!

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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みなさんは溶連菌感染症ってご存知でしょうか?

知っていても、子供だけの病気と思っていませんか?

溶連菌感染症は、大人も感染します。冬から春にかけての風邪の原因のひとつです。

ここでは、そんな溶連菌感染症の特徴を紹介し、どのように対応すればよいのかをご紹介します。

 

1.溶連菌の大人の症状(子供との違い)

大人の溶連菌の症状は、のどの痛み・発熱・リンパ節の腫れ。普通の風邪と見分けがつきにくいです。

溶連菌の症状は大人と子供で異なります。年齢に関係なく共通してでてくるのは3つあります。

  • のどの痛み
  • 発熱
  • リンパ節の腫れ

普通の風邪と見分けけがつかないですよね?
ひょっとすると風邪だからと思って、病院にもいかずに我慢してしまうかもしれません。
ですが、これはしっかりと治療をしなければいけない感染症です。その理由は後述する怖い合併症があるからです。

  • 咳がでない
  • 38~39℃の発熱
  • 首の前のリンパ節の腫れを押すと痛い
  • のどを鏡で見たら、扁桃腺に白いものがついている

などの症状があれば、病院に必ず受診してください。

 

子供には、大人にはめったにみられない特有の症状があります。いちご舌といって、舌が真っ赤なブツブツができます。また、かゆみのある細かい発疹が全身に広がっていきます。解熱すると、皮膚の皮がむけて治っていきます。このような症状がでてくると、猩紅熱という病名がつけられます。

 

2.溶連菌の特徴

流行時期は冬から春にかけて、3~10歳がピークですが大人もかかります。A群溶血性連鎖球菌が原因で、潜伏期間は2~5日です。

溶連菌の流行は冬から春にかけてです。夏場は少ないという特徴があります。子供に多い病気なので、年末年始は学校が休みになって減ります。

年齢は、3~10歳がピークで子供が多いです。ですが大人もかかります。子供から抵抗力の落ちた大人に感染が広がっていくことが多いです。

A群溶血性連鎖球菌が原因で、感染力は病気の初期に強いです。咳やくしゃみなどによって、体液を通して感染します。(飛沫感染)また、飛び散った体液を何らかの機会で触ってしまって、食事などを通して口に入ってしまって感染することもあります。(経口感染)

潜伏期は2~5日ほどで、身体に細菌が侵入してからしばらくしてから症状があらわれてきます。

 

3.溶連菌の治療

抗生物質が効きます。ただし、合併症を予防するために長期で服用することが必要です。

溶連菌は細菌感染です。最近には抗生物質が有効です。古くからあるペニシリン系の抗生物質が一番良いです。古いからといって弱いわけではなく、効果がある細菌にはとても強力に効きます。

病院で薬をもらったら、免疫をあげて、細菌を身体の外に出しましょう。
免疫をあげるためには体温を上げる必要があります。熱が出てくるのにはちゃんと意味があります。体温が上がると、免疫の働きが活発になるのです。ですから、解熱剤は楽にはなりますが、早く治すには回り道となってしまいます。そして、水分をしっかりとって、尿・淡・鼻水などの形で外に細菌をだしていきましょう。

 

溶連菌が怖いのは合併症です。リウマチ熱は、心臓の筋肉や膜で炎症を起こしてしまうので厄介です。これによって、心臓の弁の形がおかしくなってしまうことがあります。これを弁膜症といいます。こうなると、心臓のポンプとしての効率が悪くなり、場合によっては手術が必要になります。

急性糸球体腎炎は、血液をろ過して尿を作っている糸球体が炎症をおこしてしまいます。これにより、普段は通過できないはずの血液やたんぱく質が尿に出てきてしまいます。このため、血尿と身体のむくみが出てきます。子供では1%ですが大人では10%ほど、急激に進行してしまい糸球体が破壊されて腎不全に至ることもあります。また、この状態が慢性化してしまうこともあります。

非常にまれですが、劇症型溶血性連鎖球菌感染症といって、急激に進行して敗血症性ショックになって死に至ることもあります。

 

溶連菌の感染力は、抗生物質を服用してから24時間でほとんどなくなります。ですが、このような合併症をしっかりと予防するために、医師の指示通り10日~2週間はきっちりと抗生物質を服用しましょう。

 

4.溶連菌感染症になってしまったら仕事にいける?

学校保健法第三種に準じて、医療機関受診日と翌日は出勤を自粛しましょう。

いつになったら出社しても大丈夫でしょうか?溶連菌はそんなに長く考えなくても大丈夫です。有効な抗生物質を内服して24時間たつと、その感染力はほとんどなくなるからです。

このことを踏まえて、学校保健安全法では、条件によっては出席停止が必要とされる第三種に位置づけられています。具体的には、「医療機関の受診日とその翌日は登校・登園ができない」としています。会社としても、これに準じた対応をおすすめします。ですから、もしすぐに体調がよくなっていても、医療機関受診日と翌日は出勤を自粛しましょう。

 

まとめ

溶連菌感染の症状・特徴・治療・会社としての対応などをまとめました。

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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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