ハルシオン錠とジェネリックの違いとは?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ハルシオンは発売されてから年月がたっていますので、ジェネリックが発売されています。

ハルラック、アスコマーナ、ミンザイン、パルレオン、トリアゾラムなどのいろいろな種類のジェネリックが発売されていました。紛らわしさをなくすために、現在は一般名(成分名)でもある「トリアゾラム」に統一されつつあり、ミンザインやパルレオンは名称変更されています。

先発品のハルシオンとジェネリック(トリアゾラム)にはどのような違いがあるのでしょうか?詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

1.トリアゾラムとは?

ハルシオンのジェネリックで、同じ名称で複数発売されています。他にもハルラック、アスコマーナなどのジェネリックが発売されています。

トリアゾラムとは、ハルシオンの成分の名前です。有効成分であるトリアゾラムはファイザー株式会社で開発され、日本でも1983年から発売されています。この商品が「ハルシオン」になります。

開発には莫大なお金がかかりますので、その権利を保障するために10年ほどは特許で守られます。この特許がきれると、ジェネリックが発売できるようになります。ハルシオンもすでに特許がきれているので、たくさんのジェネリックが発売されています。

当時は、ジェネリックを製造した会社ごとに商品名をつけて販売していました。このため、ハルラック、アスコマーナ、ミンザイン、パルレオン、トリアゾラムなどのいろいろなジェネリックが発売されました。こんなに種類があると患者さんも違う薬と誤解してしまいますし、医療機関での薬の管理も大変になってしまいます。

このため現在では、「トリアゾラム」という一般名(成分名)に統一がすすめられています。トリアゾラム「会社ごとの名称」といった形になっています。ミンザイン・パルレオンは2013年にこの流れを受けて、それぞれトリアゾラム「日医工」・トリアゾラム「テバ」に名称変更となっています。

 

2.ハルシオンとジェネリックの薬価の違い

ジェネリックは、ハルシオンと比べて4~5割となっています。

ジェネリックになると安くなると言われていますね。発売当初は6割くらいになることが多いのですが、ハルシオンの場合はさらに安価で3~4割ほどとなっています。ジェネリックが発売されてから年月がたち、製薬会社の競争の結果としてここまで薬価が落ちました。実際の数字でみてみましょう。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
ハルシオン錠 0.125mg 10.2円
ハルシオン錠 0.25mg 14.7円

<ジェネリック(後発品)>

商品名 剤形 薬価
トリアゾラム錠 0.125mg 5.6円
トリアゾラム錠 0.25mg 5.8円
ハルラック錠 0.125mg/0.25mg 5.6/5.8円
アスコマーナ錠 0.125mg/0.25mg 5.6/5.8円

※2015年8月13日現在の薬価です。

トリアゾラムの薬価は、0.125mg錠と0.25mg錠によって異なります。どちらの剤形も薬価がほとんど同じなのです。このため、0.125mg錠では55%ほど、0.25mg錠では40%ほどとなっています。0.25mg錠の方が割安なんですね。

 

3.ハルシオンとジェネリックの効果の違い

ハルシオンの作用時間がかわることで効果に多少の違いが出てきます。

ハルシオンの効果について知りたい方は、
ハルシオン錠の効果と強さ
をお読みください。

 

成分が同じだからといってまったく効果が同じかというと、そういうわけではありません。薬のコーティング、溶け方、吸収のされ方などは、製薬会社によって異なります。このように製薬会社によって違いはありますが、ハルシオンのジェネリック(ジェネリック)と認めてもらうためには、ちゃんと基準があります。

ジェネリックのトリアゾラムを服用してからの血中濃度の変化が、ハルシオンと比べて誤差80~125%の間にあることが条件なのです。

こういわれると最大で45%も違うのかと驚かれるかもしれませんが、そういうことではありません。薬の吸収や代謝の個人差を考えれば、この間に入っていれば統計的に同じとみなせるのです。

実際に930ものジェネリックと先発品を比較すると、最大血中濃度では4.61±3.41%の差しかなかったと報告されています。

 

トリアゾラムでも、血中濃度がピークになる時間や身体から薬が抜けていくスピードなど、少しずつ製薬会社によって違いがあります。この違いは睡眠薬では大きな違いになることがあります。睡眠薬の場合は、作用時間を考えて処方をする必要があります。誤差で作用時間が変わって、大きな違いとなってしまう方もいるのです。

ハルシオンは半減期が2.9時間と短く、寝つきをよくするためのお薬ですので影響は少ないです。作用時間が変わってしまっても、薬の効果が朝まで残ることはほとんどありません。

 

ジェネリック医薬品は薬局によっても取扱いが異なっています。ですから、なるべく同じ薬局でお薬をもらうように心がけましょう。初めから同じジェネリックを使えば、その効果をもとに薬を調整することができます。 

なかにはジェネリックにかえたことで調子が悪くなる方もいらっしゃいます。先発品とジェネリックの違いもありますが、気持ちの問題も大きいです。薬を変えてしまったということを不安に思ってしまったり、ジェネリックだから効果が弱いという思い込みなどから効かなくなってしまうこともあります。

ジェネリックにしてから調子がよくないと思ったら、主治医に相談して先発品のハルシオンにかえてもらいましょう。

 

4.ハルシオンとジェネリックの副作用の違い

持ち越し効果(翌朝の眠気・だるさ)が出やすくなる可能性もありますが、ハルシオンは作用時間が短いので影響が少ないです。

トリアゾラムの副作用について知りたい方は、
ハルシオンの副作用(対策と比較)
をお読みください。

 

ジェネリックのトリアゾラムは、ハルシオンと有効成分は全く同じです。有効成分が同じですから、副作用のおおまかな特徴はかわりません。ですが、薬の効き方が多少異なりますので、副作用の出方に影響があります。

睡眠薬の先発品とジェネリックでの副作用の違いで多いのが、翌日の眠気やだるさの持ち越しです。作用時間が長くなってしまうと副作用が出やすくなってしまいます。

ジェネリックのトリアゾラムは、作っている製薬会社によって血中濃度の変化が異なります。ですからジェネリックの間でも効果の微妙な違いはあります。

また、必ずしも先発品のハルシオンよりも副作用が増えるというわけではありません。先発品よりも早く身体から抜けていくジェネリックでしたら、理論的には持ち越し効果は軽減されます。ハルシオンは作用時間が非常に短い睡眠薬ですので、作用時間が長くなってしまったからといって影響は少ないです。

 

まとめ

トリアゾラムとはハルシオンのジェネリックで、同じ名称で複数発売されています。他にもハルラック、アスコマーナなどのジェネリックが発売されています。

ジェネリックは、ハルシオンと比べて4~5割となっています。

ハルシオンの作用時間がかわることで効果に多少の違いが出てきます。

持ち越し効果(翌朝の眠気・だるさ)が出やすくなる可能性もありますが、ハルシオンは作用時間が短いので影響が少ないです。

ジェネリックは、同じ薬局で処方してもらうようにしましょう。

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