ロヒプノール錠1mgの薬価と実際の使い方

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ロヒプノールは強力な睡眠薬で、不眠症の切り札として処方されています。入眠障害で悩んでいる方だけでなく、中途覚醒にも効果が期待できます。

ロヒプノールの錠剤としては、1mgと2mgの規格が発売されています。まずは0.5~1mgからはじめて、効果をみながら増減させていきます。ここでは、ロヒプノール錠1mgの実際の使い方や薬価についてご紹介していきます。

ロヒプノールの効果について詳しく知りたい方は、
ロヒプノール錠の効果と強さ
をお読みください。

 

1.ロヒプノール錠1mgはどうやって使うのか?

ロヒプノールは0.5~1mgから始めます。効果をみて2mgまで使用することができます。(高齢者は1mgまで)

ロヒプノールの特徴は、睡眠時間をカバーしてくれるように作用することです。15~20分で眠りにつかせてくれて、作用時間は6~8時間といったところでしょうか。ロヒプノールの血中濃度は1.5時間でピークになり、実質的に7時間で半分になります。ロヒプノールにはこのような特徴があるので、寝つきが悪くて悩んでいる方にだけでなく、途中で目が覚めてしまう方にも効果が期待できます。

添付文章では、ロヒプノール0.5mg~2mgの範囲で使うことが勧められています。0.5~1mgから始めることが多いでしょうか。治療を急がなくてもよいならば0.5mgから開始します。この場合は、ロヒプノール錠を半分に割って使います。ロヒプノールには割線が入っているので、薬局に頼んだら割ってくれます。

ロヒプノールは即効性があるお薬なので、使ってみて効くかどうかの判断はすぐにできます。もしも不眠が十分に改善できなければ、2mgまで増量できます。それ以上は増量しても効果は少ないので使うことができません。睡眠薬が効かないからといってたくさん飲んでも、効果には限界があります。

なお、高齢者は1mgまでとされています。ロヒプノールは肝臓での代謝が複雑です。このため肝臓の仕事量が増えるので、肝臓が仕事を怠るとすぐに血中濃度が増大してしまいます。高齢者は肝機能が衰えているので、用量が制限されるのです。

ロヒプノール2mgでも効果がないときは、薬の変更や作用の異なる睡眠薬の併用を考えていきます。

 

2.ロヒプノール錠1mgとフルニトラゼパム錠1mgの違い(薬価)

ロヒプノール錠1mgとジェネリックのフルニトラゼパム錠1mgを比較すると、薬価は4割ほどとなっています。

ジェネリックになると安くなると言われていますね。発売当初は6割くらいになることが多いのですが、ロヒプノール1mgの場合はさらに安価で4割ほどとなっています。ジェネリックが発売されてから年月がたち、製薬会社の競争の結果としてここまで薬価が落ちました。実際の数字でみてみましょう。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
ロヒプノール錠 1mg 14.2円
ロヒプノール錠 2mg 20.9円
サイレース錠 1mg 15.1円
サイレース錠 2mg 21.5円

<ジェネリック(後発品)>

商品名 剤形 薬価
フルニトラゼパム錠 1mg 5.6円
フルニトラゼパム錠 2mg 6.2円

 

ロヒプノールのジェネリックの薬価は、1mg錠では先発品の4割ほど、2mg錠では3割ほどとなっています。2mgの方が割安ですね。

※2015年8月20日現在の薬価です。

 

3.ロヒプノール錠1mgとフルニトラゼパム錠1mgの違い(効果や副作用)

ロヒプノールの作用時間が変わることで、効果や副作用に多少の違いが出てきます。

成分が同じだからといってまったく効果が同じかというと、そういうわけではありません。薬のコーティング、溶け方、吸収のされ方などは、製薬会社によって異なります。とはいってもロヒプノールの後発品と認めてもらうためには、ちゃんと基準があります。ジェネリックのフルニトラゼパムを服用してからの血中濃度の変化が、ロヒプノールと比べて誤差80~125%の間にあることが条件なのです。

 

だいたいは同じような効き方をするのですが、血中濃度がピークになるまでの時間(最高血中濃度到達時間)や血中濃度が半分になるまでの時間(半減期)に違いが出てきます。睡眠薬の場合は、作用時間が重要なので効果や副作用に違いがでることがあります。

ロヒプノールは実質的な半減期が7時間と、睡眠時間をカバーするような睡眠薬です。作用時間が変わることで、効果や副作用にも違いがでます。作用時間が短くなってしまうと早朝覚醒などが認められることがあります。反対に長くなってしまうと、翌朝の眠気の「持ち越し効果」が認められます。

このように違いがでてくるので、ジェネリックにする時は同じ薬局でお薬をもらうようにしてください。初めから同じ後発品のフルニトラゼパムを使えば、そのフルニトラゼパムの効果をもとに薬を調整することができます。

 

4.ロヒプノール錠1mgと2mgの使い分け

ロヒプノール2mg錠の方が経済的ですが、調整しにくくなってしまうデメリットがあります。

ロヒプノール錠1mgで効果がないときは、2mgに増量します。もちろん、1mg錠2つと2mg錠1つは同じ効果が期待できます。2mg錠にした方が経済的ですね。ですが2mg錠を使ってしまうと、減らすのが面倒になってしまいます。ピルカッターなどを買ってきて半分に割ればいいのですが、なかなかできません。いけない話なのですが、医者も忙しくて処方箋を書き換える時間がなく漫然と使い続けてしまうことがありますので注意しましょう。

私はあえて1mg錠2つを処方することが多いです。保険を使って自己負担3割の方が1か月使ったとしても、68円の差しかありません。この程度でしたら、ロヒプノール1mg錠2つの処方にした方がいつでも調整ができるので便利です。2錠飲むのがめんどくさいという方や、薬の数が増えることが不安という方では、ロヒプノール2mg錠を使うようにしています。

 

ロヒプノール2mg錠を半分に割れば、ロヒプノール1mgが2錠できますね。お薬代を節約できるといっても、34円くらいの話です。ロヒプノール1mg錠がちゃんとありまし、保管も大変になるので行いません。

ロヒプノール1mgの効果が強い時は、ロヒプノール1mg錠を半分に割って0.5mgにすることもあります。この作業は薬局にお願いすると行ってくれます。

 

5.ロヒプノールは漫然と使わないこと!

ロヒプノールは段階的に量を増やしていき、落ち着いたら段階的に減量していく意識を持ちましょう。そのためにも生活習慣の意識が大切です。

ロヒプノールは強力な効果がある反面、依存性が強い睡眠薬です。長期間にわたって使っていると、依存が形成されてしまうことが多いです。ですから、漫然とした使用は避けなければいけません。

ロヒプノールを使う時は、睡眠に良い生活習慣も必ず意識して取り入れるようにしましょう。その上で、できるだけ頓服でロヒプノールを使うようにします。連用しなければ依存は形成されにくくなります。アルコールをイメージしていただくと分かりやすいと思いますが、休肝日をちゃんと作っていればアル中になったりしないですよね。これと同じです。

ロヒプノールを使っていくステップは、

①ベッドに入って眠れない時だけ頓服で使う
②ロヒプノール0.5mgは常用して、眠れない時だけ頓服を追加
③ロヒプノール1mgを常用して、眠れない時だけ頓服を追加
④ロヒプノール2mgを常用

です。心身の状態によって、早く睡眠の改善をした方がよいときは②~③から始めていきます。

また、心身の状態が落ち着いてきたら、少しずつ睡眠薬を減薬していく意識を持つことが大切です。そのためにも、生活習慣の意識などをしておくことも大切なのです。

睡眠に良い生活習慣について詳しく知りたい方は、
不眠を解消する9つの方法
をお読みください。

 

まとめ

ロヒプノールは0.5~1mgから始めます。効果をみて2mgまで使用することができます。(高齢者は1mgまで)

ロヒプノール錠2mgとジェネリックのフルニトラゼパム錠2mgを比較すると、薬価は3割ほどとなっています。

ロヒプノール2mg錠の方が経済的ですが、調整しにくくなってしまうデメリットがあります。

段階的に量を増やしていき、落ち着いたら段階的に減量していく意識を持ちましょう。そのためにも生活習慣の意識が大切です。

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