トラゾドンの副作用(対策と比較)

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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トラゾドン/レスリンのジェネリック医薬品として、アンデプレが1999年に発売されました。長らく使われてきましたが、名前が紛らわしいとのことで、2014年より一般名のトラゾドンに統一されました。

トラゾドンは、睡眠効果が大きいので睡眠薬として使われることの方が多い抗うつ剤です。全体的に副作用が少なく、使いやすい薬です。

ここでは、トラゾドンの副作用に関してお伝えしていきたいと思います。

 

1.トラゾドンとトラゾドン/レスリンの副作用の違い

トラゾドンは、トラゾドン/レスリンのジェネリックです。血中濃度の変化が異なるので、副作用の出方は多少の違いがありますが、有効成分が同じなので大差はないです。

トラゾドン/レスリンはそれぞれ商品としてのお薬の名前で、発売元のファイザー/MSD株式会社がつけた名前です。それに対して、トラゾドンは成分の名前です。ジェネリック医薬品が発売されるまでは、一般の方がトラゾドンという成分名を目にする機会は少なかっ たと思います。

1999年にジェネリック医薬品が発売されるようになると、価格が安いこともあって処方されることが増えました。ジェネリック医薬品は、以前は独自の名前がつけられていました。トラゾドン/レスリンも「アンデプレ」という独自の名前のジェネリック医薬品が発売されていました。2014年になって、紛らわしさをなくすために「一般名+会社名」とすることになりました。このため、ジェネリック医薬品はトラゾドンと統一されました。

トラゾドンは現在は1社しか発売していません。トラゾドンの値段は、トラゾドン/レスリンの4割程度です。だいぶお安くなりますね。

成分が同じだからといってまったく効果が同じかというと、そういうわけではありません。薬のコーティング、溶け方、吸収のされ方などは、製薬会社によって異なります。もちろん、トラゾドン/レスリンのジェネリックと認めてもらうためにはちゃんと基準があります。ジェネリックのトラゾドンを服用してからの血中濃度の変化が、先発品と比べて誤差80~125%の間にあることが条件なのです。

このため、トラゾドンを服用した時の血中濃度の変化は先発品と異なります。副作用は、血中濃度がピークになる時に最も出やすくなります。このため先発品とジェネリックのトラゾドンとでは、副作用の出やすさには差があります。ですが、有効成分が同じなので、そこまで大差はありません。

 

2.トラゾドンの副作用の特徴

副作用は、眠気が特徴的です。

昔からある三環系抗うつ薬は効果はしっかりとしていましたが、副作用も強いのが難点でした。これを何とかできないかと開発されたのがトラゾドンです。 確かに副作用は軽減されたのですが、効果も弱くなってしまいました。その後、SSRIやSNRIといった副作用の少なくて効果がしっかりとした抗うつ剤が どんどん開発されていったので、今ではメインの抗うつ剤として使われることは少ないです。トラゾドンの眠気が強いという副作用を活かして、睡眠薬として使わ れることが多いです。

 

睡眠作用は、トラゾドンのセロトニン2受容体遮断作用が関係しています。トラゾドンはセロトニンを増やすことで効果が発揮されます。セロトニン1受容体に働けば抗うつ効果が期待できるのですが、他のセロトニン受容体に働くと副作用になってしまいます。トラゾドンでは、セロトニン2受容体をブロックすることで、セロトニンが過剰に働くのを防いでくれます。

セロトニン2受容体がブロックされると、眠気が強く出てきます。抗うつ効果のある量までトラゾドンを使うと、眠気が問題で使えなくなることが多いです。ですがこの眠気は、睡眠を深くする方向に作用して質の良い眠りを増やします。これを利用して、睡眠薬として使うことが多いのです。

 

その他にも、セロトニン過剰による副作用は軽減されますので、SSRIやSNRIで多い「吐き気・性機能障害・不眠」などの副作用が少ないです。副作用は全体的に少ないものの、いろいろなものが少しずつ認められます。これはSSRIやSNRIみたいに洗練されたお薬ではないので、ぼやっといろいろな受容体に作用してしまうからです。抗コリン作用は少ないものの、抗ヒスタミン作用や抗α1作用などが多少みられます。注意する副作用としては、めまいやふらつきでしょうか。

また、トラゾドン特有の副作用として、まれに持続性勃起障害というものがみられます。これは、勝手に勃起が持続してしまうという副作用で、他の抗うつ剤にはみられない副作用です。

 

代表的な抗うつ薬の副作用の比較を以下にまとめます。

代表的な抗うつ薬について、副作用を比較して表にまとめています。

トラゾドンの効果について詳しく知りたい方は、
トラゾドンの効果と特徴
をお読みください。

 

3.トラゾドンの副作用への対応方法

慣れていきますので、まずはがまんしてください。生活上での支障が大きくなるようなら対策を考えます。
①薬を減薬する②他の薬にかえる③副作用を和らげる薬を使う

抗うつ薬にはさまざまな副作用があります。多くの副作用が多少なりとも「慣れる」ことが多く、なんとかなる範囲でしたら我慢してください。生活習慣などの薬を使わない対策がある場合は、積極的にためしてください。
薬の服用方法を工夫することで副作用が軽減することもあるので、主治医に相談してみましょう。

これらを踏まえても生活上での支障が大きくなるようでしたら、対策を考えていきます。対策としては、

①減薬する
②他の薬にかえる
③副作用を和らげる薬を使う

の3つがあります。①~③は、効果と副作用の兼ね合いで考えていきます。効果が十分ならば①、増やしても効果の期待が少ない時は②、薬を続けるメリットがあるならば③になります。

さて、③としてよく用いるものや生活習慣を簡単にまとめたいと思います。

副作用 薬を使わない対策 副作用を和らげる薬
便秘 排便習慣・食物繊維・水分・運動習慣 センノサイド・マグミット・大黄甘草湯など
口渇 唾液腺マッサージ・口呼吸 白虎加人参湯
ふらつき 朝食をしっかり・ゆっくり立つ メトリジン・リズミックなど
眠気 睡眠をしっかり・昼寝習慣
体重増加 食事管理・運動習慣
吐き気 食事を控えめにする 胃薬・ガスモチン・ナウゼリン・プリンペランなど
下痢 セレキノン
性機能障害
不眠 睡眠に良い生活習慣・自律訓練法 鎮静系の抗うつ薬・睡眠導入剤など
不整脈

 

まとめ

トラゾドンは、トラゾドン/レスリンのジェネリックです。血中濃度の変化が異なるので、副作用の出方は多少の違いがありますが、有効成分が同じなので大差はないです。

副作用は、眠気が特徴的です。

慣れていきますので、まずはがまんしてください。生活上での支障が大きくなるようなら対策を考えます。
①薬を減薬する②他の薬にかえる③副作用を和らげる薬を使う

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