オランザピン錠の効果と副作用
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
オランザピンは、2001年に発売された第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)ジプレキサの成分名(一般名)です。先発品としてはジプレキサとして発売されています。2016年6月、ジェネリックとしてオランザピン錠が発売され、薬価が非常に安くなりました。
いろいろな受容体に作用するので、MARTA(多元受容体標的化抗精神病薬)と呼ばれています。
統合失調症の治療薬としては、陰性症状や認知機能の改善効果に優れるので、リスパダールと並んでよく使われているお薬です。おもに統合失調症の治療に使われますが、興奮を落ち着かせる鎮静作用がしっかりとしているので、双極性障害やうつ病などでも使われているお薬です。
ここでは、オランザピンの効果と特徴を詳しくお伝えしていきたいと思います。他の抗精神病薬とも比較しながら、どのような方に向いているのかを考えていきましょう。
1.オランザピンの効果と特徴
まずは、オランザピンの作用の特徴をまとめたいと思います。専門用語も出てきますが、後ほど詳しく説明していますので、わからないところは読み飛ばしてください。
オランザピンの統合失調症への効果は、ドパミンとセロトニンに対する作用によってもたらされます。
- ドパミンD2受容体遮断作用:⊕陽性症状改善 ⊖錐体外路症状・高プロラクチン血症
- セロトニン2A受容体遮断作用:⊕陰性症状の改善・錐体外路症状の改善・睡眠が深くなる
オランザピンでは、「D2遮断作用<セロトニン2A遮断作用」となっています。
オランザピンは、他の受容体にも作用します。これが副作用になってしまいますが、鎮静効果にもなります。
- セロトニン2C受容体遮断作用(中等度):体重増加
- α1受容体遮断作用(中等度):ふらつき・立ちくらみ・射精障害
- ヒスタミン1受容体遮断作用(強い):体重増加・眠気
- ムスカリン受容体遮断作用(強い):口渇・便秘・排尿困難
これらをふまえて、オランザピンの特徴をメリットとデメリットに分けて整理してみましょう。
1-1.オランザピンのメリット
- 鎮静効果が期待できる
- 陰性症状や認知機能の改善効果が大きい
- 睡眠が深くなる
- ドパミン不足による副作用が少ない
- 口の中で溶ける錠剤や注射液が発売されている
- 1日1回の服用で済む
オランザピンの特徴は、「いろいろな受容体を穏やかにブロックすること」です。このためオランザピンは、気持ちの高ぶりを抑える鎮静作用が期待できます。幻覚や妄想などの陽性症状に効果がありますが、同時に鎮静作用も期待できるのです。このためオランザピンは、幻覚や妄想に興奮や衝動性が伴っている時にはうってつけのお薬になります。
オランザピンの大きなメリットは、陰性症状や認知機能にも改善効果が期待できることです。セロトニン2A受容体遮断作用などによって、中脳皮質系(前頭前野)でのドパミンの働きが活発になります。このため脳の働きが活発になり、陰性症状や認知機能が改善されます。
また、セロトニン2A受容体遮断作用は睡眠を深くする効果があり、抗ヒスタミン作用や抗α1作用には入眠作用があります。抗コリン作用は夢をみているレム睡眠を抑制します。オランザピンはすべての受容体に作用するので、総合的にみると催眠作用と熟眠作用が期待できます。
副作用としては、ドパミンをゆるくブロックするお薬であるため、オランザピンではドパミン不足による副作用が少ないです。錐体外路症状(ふるえ・ソワソワ・筋肉のこわばり)や高プロラクチン血症(乳汁分泌・生理不順・性機能障害)は、あまり認められません。
オランザピンは、口の中で溶ける「オランザピンザイディス錠」や、「オランザピン筋注」が発売されています。患者さんが自分でお薬を飲めない状況の時に、とても有効なお薬です。
オランザピンは、1日に1回の服用で済むというのも大きな利点です。作用時間が長いため、効果がしっかりと持続するのです。薬の飲み方がシンプルだと飲み忘れも減ります。統合失調症では薬をしっかりと継続することが大切です。
1-2.オランザピンのデメリット
- 体重増加や代謝の悪化が目立つ
- 糖尿病の方に使えない
- 眠気・ふらつき・便秘・口渇が強く出てしまうことがある
- タバコを吸う人は効果が弱くなる
- 薬価が高い(ジェネリックが発売される予定)
オランザピンの最大のデメリットは、体重増加の副作用が多いことです。
抗ヒスタミン作用が強く、食欲が増加してしまいます。それだけではなく、オランザピンでは代謝が大きく悪化してしまうことがあります。このため、実際に食べている以上に体重増加がみられることもあります。個人差はあるのですが、太りやすいことは意識していかなければいけません。
また、糖尿病の方には使えないという大きな制約があります。発売当初、急激に血糖が悪化して亡くなったケースがあったためです。血糖値を定期的にチェックすることを意識づけるため、糖尿病の方は禁忌という扱いになりました。
オランザピンは鎮静作用が強いお薬なので、眠気やふらつきといった副作用も強く出てしまうことがあります。また、抗コリン作用が強く、便秘や口渇などの副作用が認められることもあります。
さらにオランザピンは、タバコの影響もうけます。タバコは、CYP1A2と呼ばれる肝臓の酵素の働きを強めます。オランザピンはこの酵素によって分解されているので、タバコを吸っているとオランザピンの効きが悪くなってしまいます。
オランザピンは、薬価が高いのも難点です。アメリカで高い薬価が設定されたことで、日本でも高い価格となってしまいました。オランザピンはもうじき特許が切れるため、2016年6月にジェネリックの発売が見込まれます。薬価が5割になることが見込まれるので、使いやすくなります。
2.オランザピンの作用時間と使い方
オランザピンは最高血中濃度到達時間が4.8時間、半減期が28.5時間の非定型抗精神病薬です。外来では2.5~5mgから、入院では10~20mgから使われることが多いです。最大20mgまで使えます。
オランザピンを服用すると、4.8時間で血中濃度がピークになります。そこから少しずつ薬が身体から抜けていき、28.5時間ほどで血中濃度が半分になります。
この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。
このため、1日1回の服用でも効果がしっかりと持続するお薬です。鎮静作用があり、眠気も強いお薬なので、夕食後や就寝前に使われることが多いです。薬を飲んですぐに眠気がくる方は就寝前がよいでしょう。あまり眠気がこない方は、夕食後に服用する方が就寝時間にオランザピンの血中濃度がピークになります。
オランザピンの添付文章では、5~10mgから開始して、最大量20mgまでとされています。実際には、外来では2.5~5mgから、入院では10~20mgから使われることが多いです。
オランザピンはいろいろな受容体にゆるく作用するので、他の薬から切り替えたり、新しく開始するときのリスクが少ないです。このため、副作用がおきてもすぐに対処できる入院治療では、比較的すぐに量を上げることが多いです。
オランザピンの用量を考えるにあたって、考慮しなければいけないオランザピンの特徴が3つあります。
- 高齢者の方が若年者よりも効きやすい
- 女性の方が男性よりも効きやすい
- 非喫煙者の方が喫煙者よりも効きやすい
このため、高齢女性非喫煙者では少量から使っていく意識が必要です。反対に、若年男性喫煙者にはしっかりと使います。
3.オランザピンとその他の抗精神病薬の比較
オランザピンは、いろいろな受容体に適度に作用して鎮静作用の強いお薬です。
代表的な抗精神病薬の作用を比較して、それぞれのお薬の位置づけを考えていきましょう。
統合失調症の治療薬としては、まずは第二世代の非定型抗精神病薬から処方されることが一般的になっています。陰性症状への効果も期待できますし、何よりも副作用が軽減されていて患者さんへの負担が少ないからです。
非定型抗精神病薬には、大きく3つのタイプが発売されています。それぞれの特徴をざっくりとお伝えしたいと思います。
- SDA(セロトニン・ドパミン拮抗薬):ドパミンとセロトニン遮断作用が中心
商品名:リスパダール・インヴェガ・ロナセン・ルーラン
特徴:⊕幻覚や妄想などの陽性症状に効果的 ⊖錐体外路症状や高プロラクチン血症が多め - MARTA(多元受容体標的化抗精神病薬):いろいろな受容体に適度に作用
商品名:オランザピン(ジプレキサ)・セロクエル
特徴:⊕鎮静作用や催眠作用が強い ⊖太りやすい・眠気が強い・糖尿病に使えない - DSS(ドパミン受容体部分作動薬):ドパミンの分泌量を調整
商品名:エビリファイ
特徴:⊕副作用が全体的に少ない ⊖アカシジア(ソワソワ)が多い・鎮静作用が弱い
非定型抗精神病薬がしっかりと効いてくれればよいのですが、効果が不十分となってしまうこともあります。急性期の激しい症状を抑えるためには、定型抗精神病薬の方が効果が優れています。また、代謝への影響は定型抗精神病薬の方が少ないです。
定型抗精神病薬は、セレネースの系統とコントミンの系統の2つに分けることができます。
- セレネース系(ブチロフェロン系):ドパミン遮断作用が強い
特徴⊕幻覚や妄想などの陽性症状に効果的 ⊖錐体外路症状や高プロラクチン血症が多い - コントミン系(フェノチアジン系):いろいろな受容体に全体的に作用する
特徴⊕気持ちを落ち着ける鎮静作用が強い ⊖幻覚や妄想などの陽性症状には効果が乏しい
オランザピンは、非定型抗精神病薬のMARTAに分類されます。いろいろな受容体に適度に作用することで、鎮静作用と抗幻覚・妄想作用を両立させたお薬です。
4.オランザピンの副作用とは?
- 第一世代抗精神病薬よりも全体的に副作用が少ないが、第二世代抗精神病薬の中では多い
- 体重増加・糖尿病・脂質異常症など、代謝系の副作用が多い
- 鎮静作用が強いので、眠気やふらつきが多い
- 抗コリン作用が強いので、便秘や口渇も多い
- 錐体外路症状・高プロラクチン血症といったドパミン遮断作用による副作用は少ない
オランザピンは、第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)になります。MARTA(多元受容体標的化抗精神病薬)に分類されていて、いろいろな受容体に作用するのが特徴です。ですから第二世代抗精神病薬の中では、副作用も多くなってしまいます。
そうはいっても第一世代の抗精神病薬(定型抗精神病薬)と比較すると、副作用は全体的に軽減されています。
- 錐体外路症状(ソワソワやふるえなど)
- 高プロラクチン血症(生理不順・性機能低下など)
といった副作用は大きく軽減されました。
しかしながら定型抗精神病薬よりも、代謝への悪影響が多くなってしまいました。この原因はよくわかっていませんが、とくにオランザピンでは体重増加や糖尿病、脂質異常症などがよく認められます。糖尿病の患者さんでは禁忌となっています。このため、定期的に採血をして確認していかなければいけません。
オランザピンは、気持ちを抑える鎮静作用が強いお薬です。鎮静作用が強いお薬には眠気やふらつきがつきもので、オランザピンでも注意しなければいけません。また、抗コリン作用が強く、便秘や口渇といった症状もよく認められます。
その一方で、ドパミンに対しての作用はそこまで強くはなく、セロトニン2受容体遮断作用によって錐体外路症状や高プロラクチン血症は軽減されています。
5.オランザピン錠の薬価と違い
ジプレキサは、抗精神病薬の中でも薬価が高いお薬でした。ジェネリック医薬品のオランザピンが発売されたことで、とても使いやすくなりました。効果と副作用は多少の違いはありますが、ほとんど同等と考えて大丈夫かと思います。
ジプレキサ錠にはジェネリック医薬品が発売されていませんでしたが、2016年6月よりジェネリック医薬品が発売となりました。これによって薬価が一気に下がって、使いやすいお薬になりました。
それでは実際に、ジプレキサ錠とオランザピン錠の薬価を見てみましょう。
<先発品>
商品名 | 剤形 | 薬価 |
ジプレキサ錠 | 2.5mg | 138.3円 |
ジプレキサ錠 | 5mg | 258.5円 |
ジプレキサ錠 | 10mg | 489.9円 |
ジプレキサ細粒 | 1% | 472.2円/g |
ジプレキサザイディス錠 | 2.5mg | 138.3円 |
ジプレキサザイディス錠 | 5mg | 258.5円 |
ジプレキサザイディス錠 | 10mg | 489.9円 |
<後発品>
商品名 | 剤形 | 薬価 |
オランザピン錠 | 1.25mg | 23.2円 |
オランザピン錠 | 2.5mg | 44.1円 |
オランザピン錠 | 5mg | 83.5円 |
オランザピン錠 | 10mg | 158.4円 |
オランザピン細粒 | 1% | 193.3円/g |
オランザピンOD錠 | 2.5mg | 44.1円 |
オランザピンOD錠 | 5mg | 83.5円 |
オランザピンOD錠 | 10mg | 158.4円 |
※2016年7月20日現在の薬価です。
先発品では、自己負担3割の方が最高用量の20mgを1か月使った場合、8818円となります。ジプレキサの薬価は、抗精神病薬の中でも非常に高かったのです。このジプレキサの薬価は、アメリカでの薬価の影響をうけて高く設定されていました。
2016年6月、ようやく発売元のイーライリリーの特許がきれ、ジェネリック医薬品のオランザピン錠が発売となりました。薬価は3~4割と、非常に安くなっています。
先発品のジプレキサ錠とジェネリック医薬品のオランザピン錠、効果と副作用が違うのではないかと心配になる方もいらっしゃるかと思います。
確かに先発品とジェネリックには、多少の違いはあります。しかしながらジェネリック医薬品は有効成分は同じで、薬の製薬会社による技術の違いにより吸収のされ方は異なりますが、その後差は数%になります。
ジプレキサは厳密に血中濃度を測ったりするお薬ではないので、大きな問題はないと思われます。詳しく知りたい方は、「ジェネリック医薬品の問題点とは?ジェネリックの効果と副作用」をお読みください。
ひとつご注意いただきたいことが、ジプレキサザイディス錠の特許はまだ続くのでジェネリックにはなりません。同じ口腔内崩壊錠として、オランザピンOD 錠が発売されています。しかしながら錠剤の溶け方は全く異なるので、ジプレキサザイディス錠に慣れている方は、注意してください。
ジプレキサザイディス錠は、口の中に入れるとすぐに溶けるお薬です。普通の錠剤にはないメリットもあるので、患者さんによっては非常にメリットのあるお薬です。詳しく知りたい方は、「ジプレキサザイディス錠の効果と副作用」をお読みください。
6.オランザピンの適応疾患とは?
<適応>
- 統合失調症
- 双極性障害における躁症状及びうつ症状の改善
<適応外>
- 不穏状態(興奮や衝動性が強くて落ち着かない状態)
- うつ病の増強療法
- 睡眠薬
オランザピンは、統合失調症ではファーストラインで使われるお薬のひとつです。鎮静作用が強いお薬なので、興奮や衝動が強い時に使われるお薬です。幻覚や妄想に対する効果もしっかりとしているので、うまくいけばオランザピン単剤で症状をコントロールできることがあります。
また、双極性障害(躁うつ病)のうつ症状にも躁症状にも適応が通っている唯一の抗精神病薬になります。オランザピンは鎮静作用が強いお薬なので、躁症状を抑えたり、焦燥感が強いうつ症状の時に使われることが多いです。抗うつ効果としては、オランザピンだけでは少し物足りないものがあります。海外では抗うつ剤のプロザックとオランザピンの合剤として、シンビアックスというお薬が発売されています。
オランザピンは、これ以外の目的でも使われることがあります。
- 抗うつ薬の効果を増強するため
- 睡眠を深くするため
- 食欲を増加させるため
うつ病には正式に適応が認められていませんが、焦燥感が強い時や妄想を伴ううつ病の時に使われることが多いです。また、抗うつ剤と併用することで、抗うつ剤の効果も増強されます。このような使い方をする時は、少量で使うことが多いです。
また、睡眠を深くする効果があるので、睡眠薬として使われることもあります。体重増加の副作用を逆手にとって、食欲が低下している老人の方に、ごく少量で使うこともあります。
7.オランザピンが向いている人とは?
- 興奮が強く鎮静が必要な方
- お薬を自分で飲める状態にない方
- 1日1回の服用がよい方
オランザピンの特徴は、「いろいろな受容体に作用する鎮静作用の強いお薬」でしたね。この特徴を踏まえて、どのような方に向いているのかを考えていきましょう。
オランザピンがよく使われるのは統合失調症や双極性障害の2つです。統合失調症の患者さんでは、幻覚や妄想に左右されていて、興奮や衝動性が強いことがあります。このような時には、オランザピンが向いています。双極性障害においても、躁状態で興奮している時に効果が期待できます。
オランザピンは、口の中で溶ける「オランザピンザイディス錠」や、「オランザピン筋注」が発売されています。患者さんが自分でお薬を飲めない状態の時にとても役に立ちます。
統合失調症の患者さんでは、幻覚や妄想に振り回されて、自分が病気だと認識できないことがあります。また、昏迷といって、意欲がまったくなくなってしまうこともあります。双極性障害の患者さんでは、気分が高揚してしまって自分が病気だということがわからなくなってしまいます。
このような時に、すぐに口で溶けるオランザピンザイディスや、半強制的に注射ができるオランザピン筋注が有効になります。お薬が飲めるようになって我に返ると、患者さんは自分でお薬を飲めるようになります。
また、オランザピンは1日に1回の服薬で効果が持続するので、服薬がシンプルになります。1日に2~3回の服薬にすると飲み忘れてしまう方は、オランザピンにして飲み方をシンプルにすることもあります。
8.一般名と商品名とは?
一般名:オランザピン 商品名:ジプレキサ・オランザピン
まったく成分が同じものでも、発売する会社が異なればいろいろな商品があるかと思います。医薬品でも同じことがいえます。このためお薬には、一般名と商品名というものがあります。
一般名というのは、薬の成分の名前を意味しています。発売する会社によらずに、世界共通で伝わる薬物の名称です。「オランザピン(olanzapine)」に統一されています。主に論文や学会など、学術的な領域でこれまで使われてきました。
一方で商品名とは、医薬品を発売している会社が販売目的でつけた名称になります。「ジプレキサ(zyprexa)」は、製造元であるイーライリリーが独自でつけた名前です。
最近では、ジェネリック医薬品は一般名を商品名として発売することに統一されています。オランザピンも同様で、オランザピン錠「会社ごとの略称」という形で発売されています。
オランザピンの効果や副作用について詳しく知りたい方は、
ジプレキサの効果と特徴
ジプレキサの副作用(比較と対策)
をお読みください。
まとめ
オランザピンの特徴は、「いろいろな受容体に作用して鎮静作用の強いお薬」ということです。
ドパミンD2受容体遮断作用とセロトニン2A受容体遮断作用の両方があります。
- セロトニン2C受容体遮断作用:中程度
- α1受容体遮断作用:中程度
- ヒスタミン1受容体遮断作用:強い
- ムスカリン受容体遮断作用:強い
オランザピンのメリットとしては、
- 鎮静効果が期待できる
- 陰性症状や認知機能の改善効果が大きい
- 抗うつ効果が期待できる
- 睡眠が深くなる
- ドパミン不足による副作用が少ない
- 口の中で溶ける錠剤や注射液が発売されている
- 1日1回の服用で済む
オランザピンのデメリットとしては、
- 体重増加や代謝の悪化が目立つ
- 糖尿病の方に使えない
- 眠気・ふらつき・便秘・口渇が強く出てしまうことがある
- タバコを吸う人は効果が弱くなる
- 薬価が高い(ジェネリックが発売される予定)
オランザピンが向いている方は、
- 興奮が強く鎮静が必要な方
- お薬を自分で飲める状態にない方
- 1日1回の服用がよい方
投稿者プロフィール
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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