アドエアディスカスの正しい使い方とは?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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アドエアは、吸入ステロイドとβ2刺激薬の合剤として多くの喘息患者さんに使用されています。

アドエアには、ディスカスとエアゾールの2種類のお薬があります。小児や高齢者、重度の喘息発作などがなければ、通常はアドエアディスカスの方が使われます。

アドエアディスカスは100・250・500の3種類あり、それぞれの喘息の症状によって量を使い分けて使用しています。効果が不十分ならば量を増やすのですが、そもそも正しく使えているのか?を確認する必要があります。

ちゃんとアドエアディスカスが使えていないと、喘息の症状がうまくコントロールできなくなってしまってお薬の量がどんどん増えていきます。お薬代がもったいないだけでなく、身体にも負担になってしまいますね。

アドエアディスカスをうまく使いこなすために、ここではアドエアディスカスの正しい使い方を示していきます。

 

1.アドエアディスカスとは?

アドエアディスカスは100・250・500の3種類あり、主に喘息のコントロール薬として用いられます。

アドエアは長時間作用型の吸入β2刺激薬であるサルメテロールキシナホ酸塩(商品名:セレベント)と、吸入ステロイド薬のフルチカゾンプロピオン酸エステル(商品名:フルタイド)を組み合わせた吸入薬であり、2つの薬剤を1回で吸入できる画期的なお薬です。

喘息のガイドラインでは、最も軽症な方は吸入ステロイドのみで加療することとなっています。その次はステロイドの吸入量を増やすとともに、

  • β2刺激薬の吸入
  • 抗ロイコトリエンの内服
  • テオフィリンの内服

の併用を指示しています。この中で最も併用されるのが、β2刺激薬です。吸入ステロイドとβ2刺激薬の合剤であれば、患者さんの手間は増えずにすみます。そのためアドエア100・250・500ディスカスは、吸入ステロイド単剤では症状が抑えられない時に適応があります。

しかしながら喘息の実際の治療としては、これらアドエアなどの合剤をはじめに使って、症状が落ちついてきたら徐々に減量することが多いです。

喘息は咳や喘鳴、呼吸困難など非常に苦しい疾患であり、命にもかかわる病気です。そのため喘息の炎症の炎を最低限の水で済ませようとすると、一気に被害が拡大してしまう可能性があります。

このためアドエアは、多くの患者さんの喘息コントロールに使われています。またアドエア250のみ、重度の肺気腫に対しても適応が認められています。

アドエアディスカスの使い方は、1日2回朝と夕方に1回吸入します。アドエアは症状あるなしに関わらず、毎日吸入することが大切なお薬です。

詳しく知りたい方は、「アドエアディスカスの効果と特徴」を参照してください。

 

2.アドエアディスカスを吸う前に気を付けることは?

目盛りが0になっていないか、しっかり確認してください。

吸入薬で最も大切なことは、まず残薬が残っているか確認することです。内服薬でしたら飲むはずのお薬がなくなるので、まず問題はありません。しかし吸入薬では、お薬がなくても吸った気になってしまいます。

アドエアディスカスは粉っぽさがあるため吸った感触はあるお薬です。しかし慌ててすっていたり、お年寄りの方などは吸った気になってしまう事が多々あります。

ここで、アドエア250ディスカスの使い方を画像で見てみましょう。

アドエアディスカス

端っこに目盛りが書いてあるのが分かりますか?この目盛りをカウンターとよび、あと何回吸えるのか分かる目安になります。5以下になると赤く表示されます。

しかしこのカウンターは、非常に文字が小さいです。気にしなければまず見落としてしまうでしょう。さらにアドエアは、0になってもカバーが開けられ吸入ができてしまいます。必ず吸入する前に、カウンターをみる癖をつけることが大切です。

患者さんによっては、0のまま1か月近く使ってたけど気が付かなかった…なんて例も経験してます。どんなに優れた治療薬も、空っぽでは効果が出せないので気を付けましょう。

 

3.アドエアの使い方とは?

アドエアのカバーを開けて、レバーを押します。その後、早く深い呼吸でアドエアを吸いましょう。

以下の手順で吸入します。

  1. アドエアのカバーを開けてマウスピースを出します。
  2. アドエアのレバーをカチッとなるまで押し込みます。(この時目盛りが一つ減ります。)
  3. ゆっくりと息を吐いた後マウスピースを加えます。
  4. 早く深いを意識して息を吸ってアドエアを吸い込みます。
  5. 息を数秒間止めてから吐き出します。
  6. アドエアのカバーを閉じます。
  7. 口の中に残った粉を洗い流すためにうがいをします。

これに「カウンターの残薬を確認する」を加えると、8つの手順が必要になります。8つの手順を書くと凄い大変そうに感じますが、慣れてくると手間と感じずにアドエアが吸入できるようになります。動画や資料でも確認してみましょう。

アドエアディスカスの使い方(動画)
アドエアディスカスの使い方資料(PDF)

※GSKの厚意により引用

しかしながら、この慣れてくるまでが大変です。アドエアを朝・夕2回吸うことが日課にすることが大切です。アドエアを吸ったり吸わなかったりすると、結果として吸わないのと変わらない結果になります。

 

4.アドエアの使い方で気を付けることは?

最も気を付けなければならないことは、アドエアの吸入口を下に傾けないことです。

それぞれの手順で気を付けることをお伝えしていきます。

2.アドエアのレバーをカチッとなるまで押し込みます。

この時大切なのが、カチッとなるまでしっかりと最後まで押し切ることです。中途半端にレバーを押しても薬がセットされません。結果として、この後の手順が正しくても薬が吸えないことになります。

そして最も気を付けなければならないのが、アドエアの吸入口を下に向けないことです。薬が吸入口から漏れ出てしまいます。

3.ゆっくりと息を吐いた後マウスピースを加えます。

喘息や肺気腫は、閉そく性肺障害と言われる病気です。これは気管支が狭くなり、息を思いっきり吐いたり吸ったりできない病気です。ですから息をしっかり吐いて十分量の息が吸える状態にしないと、吸う力が足りなくてアドエアが十分に気管支に入らない可能性があります。

せっかちな人は、マウスピースをくわえる前から息を吸い始めたりしています。焦って吸っても良いことは何もないので、必ず一息入れましょう。

4.早く深い呼吸を意識して息を吸ってアドエアを吸い込みます。

ゆっくり深く吸って、肺の奥まで行き届かせたいと思う患者さんもいらっしゃるかもしれません。しかしアドエアは、気管支の端まで届かせなければいけないお薬です。ゆっくりだと吸入力が弱くて、中枢の気道までしかアドエアが届かない可能性があります。そのため早く吸うことを意識して、力強く肺の奥までアドエアをいきわたらせてください。

ただし、なんでも限度があります。思いっきり吸入しすぎて喘息発作が出たり、失神した例が副作用として記載されています。そうならないくらいの力加減で、アドエアを吸うようにしましょう。

またお年寄りの方は、マウスピースをくわえてから息を吐いてしまっている方が目につきます。必ず息を吐いてから、アドエアをくわえましょう。そしてくわえたら、息を吸う以外の動作はしないようにしましょう。

5.息を数秒間止めてから吐き出します。

アドエアは、気管支の奥まで行き届かせることが大切です。吸った瞬間にすぐに息を吐いてしまうと、気道の末梢に届く前に息を吐きだしてしまってアドエアが吹き飛ばされてしまう可能性があります。必ず吸った後数秒間は、息を止めていましょう。

6.アドエアのカバーを閉じます。

アドエアのカバーを開けっぱなしにするとマウスピースが出っぱなしになるので、衛生面からよくありません。また、マウスピースが下に傾けられた状態で誤ってレバーが押されしまうと、マウスピースからアドエアが漏れ出てしまいます。必ずカバーは閉めるようにしましょう。

7.アドエアを吸った後にうがいをします。

これは副作用対策です。アドエアが口の中に残ったままだと、声が枯れる嗄声や喉がイガイガすることがあります。さらに口の中にステロイドが残ったままだと、白苔などのカビがまれに生えてくることがあります。これらの副作用は、1回吸っただけだと起こらないことが多いです。日々の積み重ねでだんだんと出ていきます。

「アドエアを吸ってうがいしなくても大丈夫だったからいいや」なんていわずに、必ず毎回うがいするようにしましょう。「副作用が出てもう薬が吸いたくない」となってしまうと、喘息のコントロールに苦労することになります。

 

5.アドエアディスカスを吸入できるか心配な方は?

薬剤師さんに吸入指導をお願いしましょう。

アドエアを初めて処方された方は、内服と違って戸惑うことも多いでしょう。このサイトも一つの参考になればよいのですが、どうしても実際にみてみないと伝わらない部分もあるかと思います。

アドエアディスカスに限らず新しい吸入薬を処方された方は、遠慮せずに必ず薬剤師さんに吸入指導をしてもらいましょう。その場で自分の吸い方のどこが悪いかを指導してもらった方が間違えないで済みます。

またアドエアディスカスは、ドライパウダーとして吸ったら粉っぽさがあります。さらにアドエア自体甘みがついているため、吸った感覚はわかりやすい吸入薬です。吸入したつもりなのにこのような粉っぽさや甘みがなかったら、もう一度このページを確認してみてください。

  1. 一番あり得るのがカウンターが0になって残薬がない可能性です。
  2. レバーを最後まで押し切ってないのではないでしょうか?レバーの位置を確認してみてください。
  3. 間違えて息を吐いてしまってなかったですか?もし吸入自体がうまくできないと感じたら、レバーを動かさずもう一度吸ってみましょう。

このページを読んでも原因がわからない人は、もう一度薬剤師さんに相談しに行きましょう。一番まずいのは使い方が良くわからないといってアドエアの吸入を自己中断することです。

 

まとめ

アドエアディスカスの使い方をもう一度確認してみましょう。

  1. アドエアのカウンターで0ではないか確認しましょう。
  2. アドエアのカバーを開けてマウスピースを出します。
  3. アドエアのレバーをカチッとなるまで押し込みます。(この時目盛りが一つ減ります。)
  4. ゆっくりと息を吐いた後マウスピースを加えます。
  5. 早く深いを意識して息を吸ってアドエアを吸い込みます。
  6. 息を数秒間止めてから吐き出します。
  7. アドエアのカバーを閉じます。
  8. 口の中に残った粉を洗い流すためにうがいをします。

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