メディピース錠(エチゾラム錠「SW」)の効果と副作用
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
メディピース錠は、抗不安薬デパスのジェネリックとして長らく発売されていました。2012年6月より名称変更して、メディピース錠からエチゾラム錠「SW」となっています
メディピース錠は抗不安作用だけでなく催眠作用も強いので、抗不安薬だけでなく睡眠薬としても使われています。日本で一番処方されている抗不安薬でしょう。効果だけでなく副作用も多いので注意が必要です。
ここでは、メディピース錠の効果と副作用について詳しくみていきましょう。
1.メディピースの効果と特徴
まずは、メディピースの特徴をまとめてみたいと思います。
メディピースは、脳の活動を抑えることで落ち着かせてくれるお薬です。これにより、以下の4つの作用があります。
- 抗不安作用「強」
- 催眠作用「強」
- 筋弛緩作用「中」
- 抗けいれん作用「わずか」
となっています。これをふまえて、メディピースの特徴をメリットとデメリットに分けてみていきましょう。
1-1.メディピースのメリット
- 即効性がある
- 抗不安作用が強い
- 催眠作用が強い
- 筋弛緩作用が強い
不安感や緊張が強いと、失敗が増えてしまうことが多いです。そうすると苦手意識ができてしまって、ますます不安が強くなるという悪循環が続いてしまいます。
メディピースは抗不安作用が強いので、この悪循環をとめるのに確実な効果が期待できます。抗不安作用としては、レキソタンと並んでもっとも強いです。即効性もあるので、薬を飲んだ直後から効果が期待できます。不安に対してはSSRIなどの抗うつ剤も効果がありますが、効果が出てくるのが遅いので時間がかかってしまいます。
メディピースには抗不安作用だけでなく、催眠作用や筋弛緩作用があります。
催眠作用が強いので、メディピースは睡眠薬としても使われています。不安が強くて入眠障害や中途覚醒が認められるときには、とても有効です。また、筋弛緩作用が強いので、身体の緊張が強い時に使われます。肩こりやこわばりなどがある時に、症状を緩和してくれます。
1-2.メディピースのデメリット
- ふらつきが多い
- 日中の眠気が多い
- 依存性が強い
- 睡眠の質が落ちる
メディピースは筋弛緩作用が強いです。筋弛緩作用が強く働きすぎてしまうと、身体に力がうまく入らなくなってふらついてしまいます。
また、催眠作用も睡眠薬として使われるほど強いです。不安感や緊張が強い時は眠気を感じることは少ないかと思います。薬をのんで気持ちが落ち着くと、急に眠気が強く出てくることがあります。
メディピースでは依存性がとても強く、注意が必要です。最初はしっかりと効いてくれるのですが、だんだんと薬が身体に慣れてしまいます。徐々に同じ量では効果が出なくなってしまい、薬がドンドンと増えてしまうこともあります。また、「もう大丈夫だろう」と薬を減らしていく時に、身体がビックリしてしまって離脱症状がでてくることがあります。
さらに、メディピースは睡眠の質を落としてしまう傾向にあります。レム睡眠やノンレムの深い睡眠を減らしてしまい、ノンレムの浅い睡眠を増やしてしまいます。睡眠時間は長くなっても、睡眠の質が落ちてしまって熟眠感が薄れてしまうことがあります。
2.メディピースの作用時間と効き目
メディピースは最高血中濃度到達時間が2.1時間、半減期が5.7時間の短時間型抗不安薬です。効果の持続時間は4~6時間ほどです。抗不安効果と催眠作用が強いです。筋弛緩作用も中程度です。
メディピースを服用すると、およそ2.1時間で血中濃度がピークになります。メディピースはそこから少しずつ血中濃度が減っていきます。5.7時間かけて身体から薬が抜けて、血中濃度が半分になります。
この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。
メディピースでは、「最高血中濃度到達時間2.1時間・半減期5.7時間」となっています。
服用してから2.1時間して効果のピークがくるような抗不安薬ではありますが、最初の1時間に一気に血中濃度が増加します。このため、即効性が期待できる抗不安薬です。半減期は5.7時間と、抗不安薬の中では短いです。
メディピースのような作用時間の抗不安薬は「短時間型」に分類されます。
実際の効果としては、服用して20分~30分くらいで出てきます。効果のピークは3時間くらいしてやってきて、効果はしばらく続きます。効果の持続時間は個人差があり、薬が効きやすい方と効きにくい方がいらっしゃいます。メディピースの効果の持続時間は、およそ4~6時間といったところになります。
メディピースの効果の強さとしては、
- 抗不安効果「強」
- 催眠効果「強」
- 筋弛緩効果「中」
- 抗けいれん効果「わずか」
となっています。
用量は1~3mgとなっていて、最大3mgまで使える抗不安薬です。即効性を期待して頓服として使う時は、0.25mg・0.5mg・1mgで効果のある量を使います。メディピースを1日中効かせたいときは、1日3回に分けて服用します。
3.メディピースの副作用とは?
メディピースは作用時間が比較的短く、急激な眠気やふらつきに注意が必要です。効果が強いので依存性もあります。
メディピースの効果の特徴を考えると、副作用もわかります。
メディピースは最高血中濃度到達時間が2.1時間、半減期が5.7時間の抗不安薬で、中間型に分類されます。
メディピースの効果の強さとしては、
- 抗不安効果「強」
- 催眠効果「強」
- 筋弛緩効果「中」
- 抗けいれん効果「わずか」
このような効果の特徴をふまえて、メディピースの副作用を考えてみましょう。
まずは作用時間をみてみましょう。2.1時間で血中濃度がピークになりますが、最初の1時間に一気に血中濃度が増加します。ですから即効性がある薬です。このため、メディピースを飲んですぐに副作用が強く出てくる可能性があります。
そして、半減期(血中濃度が半分になるまでにかかる時間)が5.7時間と比較的短く、副作用が抜けるにはそこまでかかりません。効果の持続時間は4~6時間ほどですので、この間は副作用が認められる可能性があります。
効果の強さをみてみましょう。抗不安作用が強いお薬なので、効果の実感が大きいです。このため、「メディピースが効く」という実感があるので依存性があります。また、筋弛緩効果が強いので、ふらつきなどの副作用に注意が必要です。催眠効果も強く、眠気によって事故につながることもあるので注意が必要です。
4.メディピースとその他の抗不安薬(効果と副作用の比較)
メディピースはの作用時間は短いです。他の抗不安薬と比較しても、抗不安作用・催眠作用・筋弛緩作用が強く、ハイリスク・ハイリターンな薬と言えます。
抗不安薬には、さまざまな種類が発売されています。比較してみてみましょう。
抗不安薬を比較するにあたっては、2つのポイントがあります。
- 作用時間(最高血中濃度到達時間・半減期)
- 4つの作用への強さ(抗不安・催眠・筋弛緩・抗けいれん)
よく使われるベンゾジアゼピン系抗不安薬で、この2つのポイントを比較してみましょう。
まずは作用時間によってタイプがわかれています。作用時間は、ピーク(最高血中濃度到達時間)と半減期をみて推測していきます。
作用時間は短時間作用型~超長時間作用型までの4つに分類できます。
短時間~中間型に関しては、即効性を期待して使うことが多いです。一方で超長時間型は、飲み続けていくことで全体的に落ち着かせる土台をつくるようなお薬です。長時間型はその中間に位置していて、即効性も期待できますし、飲み続けていくことで不安を落ち着かせていくこともできます。
作用時間による副作用の違いは、
- 短いほど依存しやすい
- 長いほど身体に薬がたまって眠気やふらつきが出やすい
といえます。
患者さんの不安の状態から、どの作用時間の抗不安薬が適切か考えていきます。その上で、作用の強さを比較して選んでいきます。
短時間型では、メディピース(デパス)>>リーゼ>グランダキシンです。メディピースは催眠作用が強く、睡眠薬にも分類されることがあります。また、筋弛緩作用も強いので、肩こりなどにも使われます。
中間型では、レキソタン>ワイパックス≧ソラナックス/コンスタンです。いずれも抗不安効果が強く、不安の発作にも使われます。レキソタンは筋弛緩作用が強いです。
長時間型では、リボトリール/ランドセン>セパゾン>セルシン/ホリゾンです。セルシン/ホリゾンには注射があります。服薬ができない時は、筋肉注射が効果的です。
超長時間型では、レスタス>メイラックスです。このタイプは非常に作用時間が長いです。このため、副作用が一度出てしまうと抜けるのに時間がかかってしまいます。ですから、副作用の穏やかなメイラックスの方がよく使われています。
この他にも、抗不安薬はたくさん発売されています。頻度はかなり減りますが、服用されている方もいらっしゃるかと思います。それぞれのお薬の特徴を表にまとめましたので参考にしてください。
5.メディピースが向いている人とは?
- 他の抗不安薬では効果が不十分な方
- 非常に不安が強い方
- 身体の緊張が強い方
- 不安の強い不眠の方
メディピースの特徴を一言でいうならば、「ハイリスク・ハイリターンな抗不安薬」です。効果はしっかりとしているのですが、その分副作用や依存性も強いので、安易に使うべきお薬ではありません。ですから、いきなりメディピースを使っていくのではなくて、できることならマイルドな薬から使っていた方がよいです。それでも効果が不十分な時に、メディピースに変更していくべきです。
そうはいっても、明らかに不安や焦りが強くて、はじめからしっかりと抑えてしまった方がよい場合もあります。このような時は、いきなりメディピースから使うこともあります。
また、メディピースは筋弛緩作用が強いお薬です。身体の緊張が強いときにはメディピースは向いています。例えば、肩こりや身体のこわばりがある方、緊張のあまりに声や身体がふるえてしまう方などに向いています。
さらにメディピースは、睡眠薬として使われることもよくあります。催眠作用が強く、作用時間としてもちょうど睡眠時間をカバーしてくれます。このため、入眠障害や中途覚醒のある不安が強い不眠症の方に有効です。
6.一般名と商品名とは?
一般名:エチゾラム 商品名:デパス・メディピース
まったく成分が同じものでも、発売する会社が異なればいろいろな商品があるかと思います。医薬品でも同じことがいえます。このためお薬には、一般名と商品名というものがあります。
一般名というのは、薬の成分の名前を意味しています。発売する会社によらずに、世界共通で伝わる薬物の名称です。「エチゾラム(etizolam)」に統一されています。主に論文や学会など、学術的な領域でこれまで使われてきました。
商品名とは、医薬品を発売している会社が販売目的でつけた名称になります。「デパス(depas)」は、製造元である田辺三菱製薬株式会社がつけた名前です。
先発品のデパスは、日本では1984年から発売されています。特許がきれた1992年から、沢井製薬よりジェネリック医薬品として「メディピース」が発売されました。ジェネリック医薬品の紛らわしさをなくすために一般名(成分名)に統一する流れを受けて、2012年6月より、エチゾラム「SW」に名称変更されました。
メディピースの効果や副作用について詳しく知りたい方は、
デパス錠の効果と効能の強さ
デパスの副作用(対策と比較)
をお読みください。
まとめ
メディピースの作用の特徴は、
- 抗不安作用「強」
- 催眠作用「強」
- 筋弛緩作用「中」
- 抗けいれん作用「わずか」
メディピースのメリットとしては、
- 即効性がある
- 抗不安作用が強い
- 催眠作用が強い
- 筋弛緩作用が強い
メディピースのデメリットとしては、
- ふらつきが多い
- 日中の眠気が多い
- 依存性が強い
- 睡眠の質が落ちる
メディピースが向いている方は、
- 他の抗不安薬では効果が不十分な方
- 非常に不安が強い方
- 身体の緊張が強い方
- 不安の強い不眠の方
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
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