エチラーム舌下錠(未承認)とデパス舌下投与

元住吉 こころみクリニック
元住吉 こころみクリニック
2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
元住吉こころみクリニック

デパスは、水でお薬を服用するのが一般的です。

ときにデパスは、舌下投与という飲み方をすることがあります。噛み砕いてしまって、口の粘膜から吸収する飲み方です。正式な飲み方ではないのでおすすめはできませんが、利点もあるので知っておいて損はないです。

正式に認可されたジェネリックではありませんが、インドの会社が作っているエチラーム舌下錠というのが個人輸入で市中に出回っています。

ここでは、デパスの舌下投与の効果について詳しくお伝えし、エチラームの舌下錠についても考えていきたいと思います。

 

1.舌下投与とは?

薬を噛み砕いて、口の粘膜から吸収する方法です。即効性が期待でき、肝臓による薬の分解を受けないで済みます。

まずは普通にお薬を口から服用したとき、どのように効果を発揮するのかを考えてみましょう。お薬が効果を発揮するには血管に取り込まれて、目標の臓器までたどり着かなければいけません。経口投与(口から薬を飲むこと)では、お薬は長い道のりがあるのです。

口から服用したお薬は、胃を通って腸に運ばれます。小腸の粘膜で吸収されて、血管に取り込まれます。この血管は門脈と言われていて、すぐに肝臓に運ばれていきます。肝臓には薬を分解する働きがあるので、一部のお薬はここで分解されてしまいます。分解されなかったお薬は、血管中をめぐって目標臓器(精神科のお薬では脳)に作用することができるのです。

この肝臓での分解を、初回通過効果といいます。肝臓をはじめて通ることで受ける薬の分解効果のことを意味しています。薬は身体の血管をめぐり、何度も肝臓を通過します。そのたびに分解され、身体から抜けていくのです。

このため、経口投与の大きなデメリットが2つあります。

  • 口→胃→小腸→血管(門脈)→肝臓→血管→臓器(脳)とゴールまでの道のりが長い
  • 初回通過効果で効果が弱くなってしまう

 

舌下投与ではこれらを解消することができます。舌下投与とは、錠剤を舌の下に置くことです。

舌の下には舌下静脈を中心にいっぱい小さな静脈が走っています。この小さな静脈や口腔粘膜を走っている血管から、お薬が吸収されていきます。血管に直接吸収されていきます。

このため、舌下投与のメリットとしては大きく3つあります。

  • 口→血管→臓器(脳)と短く、即効性が期待できる
  • 初回通過効果がない
  • 水なしで飲める

 

このように説明すると、全部舌下にしてしまえばよいではないかと思われるかもしれません。ですが、安全性という面では経口投与の方がよいです。舌下投与は効果が急ですが、その分身体への負担も大きいのです。ですから、基本的にはお薬は経口投与を原則として作られています。

舌下投与のお薬として有名なのは、「ニトロ」です。正確にはニトログリセリン舌下錠ですが、このお薬は狭心症などの心臓に酸素がいかなくなってしまった時に使います。急速に心臓の血管を拡張して、酸素を心臓に届けます。

このように、少しでも早く薬が効いて欲しい時だけに使われます。

 

2.デパスの舌下投与の効果

デパスは甘みがあるので舌下に向いています。水なしで飲めるという利点があります。

デパスは不安感や緊張感を和らげるお薬です。即効性も期待できるので、不安が起こってしまった時に服用する頓服としても使われています。不安がゆっくりと起こってくるのでしたら、お薬を水で飲む余裕もあるでしょう。ですが、ときに不安は発作的に起こってしまいます。このような急激な不安がある時に、デパスの舌下投与をすることがあります。

ただし、この方法はデパスの添付文章には記載されていません。習慣的な舌下投与は身体に負担となりますのでやめましょう。

 

それでは、デパスの舌下投与は効果があるのでしょうか?

データを調べたかったのですが、残念ながらデパスの経口投与と舌下投与を比べたものは出てきませんでした。「それでは効果がないのか?」というと、そんなことはありません。たいていの方は、舌下投与の方が効くという実感を持ちます。ですから、私も患者さんに舌下投与をすすめることもあります。「発作でどうしようもない時は薬を噛み砕いても大丈夫ですよ」とお伝えしています。

 

どうして発作時におすすめするかというと、大きく3つの安心感あります。

  • 薬が一気に吸収されるという安心感
  • 薬の味を感じることでの安心感
  • どこでも水なしで飲めるという安心感

薬を噛み砕いて服用すると、内服で服用するよりも一気に吸収される気がします。理屈で話せば血管に直接薬が吸収されるからですが、そんなこととは関係なく心理的にも即効性がありそうな気がしますね。

同時に薬の味がします。苦いことが多いですが、デパスは少し甘みがあります。味があることで、薬を飲んだという実感は強くなりますね。デパスと同じように頓服としてつかわれているソラナックス/コンスタンは、とても苦いです。ですから、舌下投与には向いていませんね。抗不安薬のワイパックスもほのかに甘みがある味なので、舌下投与で使われることも多いです。

また、水なしでもすぐに飲めるのは大きな安心感です。不安はいつどこで襲ってくるかわかりません。ここで不安になったら助けがないという状況になると不安はますます強くなります。調子が悪くなってしまったらデパスを噛み砕いてしまえば大丈夫と思えると、かなり気持ちは楽になります。

 

このように、デパスの舌下投与は効果が期待できます。とはいっても、習慣にしてはいけません。基本は水で服用するようにして、緊急事態の時だけ舌下投与するようにしましょう。

 

デパスの効果について詳しく知りたい方は、
デパスの効果と効能の強さ
をお読みください。

 

3.エチラーム舌下錠(未承認)とは?

インドの会社が作っているジェネリックです。日本ではちゃんと薬効の検証をされていないので、未承認です。個人輸入によって出回っています。

日本では未承認になりますが、エチラーム舌下錠というジェネリックが個人輸入されて出回っています。なんとこのお薬、舌下錠が発売されています。そこで気になって私も調べてみました。

価格に関して、エチラーム1mgを100錠で4500円~9000円位です。1錠45~90円と非常に高いです。病院でジェネリックにすれば、1錠6円くらいです。診察代を考えても病院でお薬をもらった方が安いです。

 

エチラームは、インドの製薬会社であるインタス・ファーマシューティカルズで作られています。この会社はいろいろなジェネリックを作っていますが、ジェネリックの認可はとりにいかずに販売をしているようです。通常ジェネリックを発売するときには、先発品と同等の効果が期待できるのか試験を行わなければいけません。新薬をつくる時とは比になりませんが、かなりの開発費がかかってしまいます。

有効成分の特許はきれているので、エチラームでも同じ成分を使っています。成分が同じだからといっても、まったく効果が同じというわけではありません。薬のコーティング、溶け方、吸収のされ方などは、製薬会社によって異なります。ですから、デパスのジェネリックと認めてもらうためにはちゃんと基準があります。ジェネリッ クを服用してからの血中濃度の変化が、デパスと比べて誤差80~125%の間にあることが条件なのです。

エチラームはこの過程を省略しているということです。そして、自費での個人輸入による販売をおこなっています。規模の大きな製薬会社とのことなので、品質の問題はないとは思います。ですが私は、エチラームの個人輸入は絶対にすすめません。

 

デパスというお薬は諸事情により向精神薬に指定されていませんが、依存性がとても強い抗不安薬です。ちゃんと出口を見据えて使っていかなければいけないお薬です。ちゃんと医師の管理のもとで使っていくお薬です。

インターネットをみていると、「エチラームは舌下錠だから効きが早い!」といった評判があります。舌下錠なので確かに溶けやすくできているのだと思います。ですが、デパスを噛み砕けば効果はまったく同じです。デパスは甘みのあるお薬なので、噛み砕いても不快感はありません。

エチラームは薬価も高いですし、ちゃんと病院で管理した方がよいお薬です。舌下錠のメリットも、錠剤をかむことで代用できます。エチラームを使おうと検討している方は、病院での相談を考えてくださいね。

 

エチラームの効果について詳しく知りたい方は、
エチゾラムの効果と効能の強さ
をお読みください。

 

まとめ

舌下投与とは、薬を噛み砕いて、口の粘膜から吸収する方法です。即効性が期待でき、肝臓による薬の分解を受けないで済みます。

デパスは甘みがあるので舌下に向いています。水なしで飲めるという利点があります。

エチラームは、インドの会社が作っているジェネリックです。日本ではちゃんと薬効の検証をされていないので、未承認です。個人輸入によって出回っています。

投稿者プロフィール

元住吉 こころみクリニック
元住吉 こころみクリニック
2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
元住吉こころみクリニック