ゾルピデム錠10mgの実際の使い方

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ゾルピデムはマイスリーのジェネリックです。ゾルピデムは安全性が高いので、よく処方されている睡眠薬のひとつです。入眠障害で悩んでいる方には、しっかりとした効果も期待できます。

ゾルピデムの錠剤としては5mgと10mgの2種類が発売されています。まずは5mgからはじめて、効果が不十分な時は10mgに増量します。先発品のマイスリー錠10mgとも比較しながら、ジェネリックのゾルピデム錠10mgについてご紹介していきます。

ゾルピデムの効果について詳しく知りたい方は、
ゾルピデム酒石酸塩錠の効果と強さ
をお読みください。

 

1.ゾルピデム錠10mgはどうやって使うのか?

ゾルピデムは5mgから始めます。効果をみて10mgまで使用することができます。

ゾルピデムの特徴は切れ味のよさです。スッと効いて眠りにつかせてくれて、作用時間も短いので薬が身体に残りません。また、従来の睡眠薬を改良して睡眠だけに働くようにしていますので、ふらつきなども少ないお薬です。ゾルピデムにはこのような特徴があるので、寝つきが悪くて悩んでいる方にはとても良いお薬です。一方で、途中で目が覚めてしまう方には効果が薄いです。

添付文章では、ゾルピデム5mgから使うことが勧められています。実際の現場でも、まずは5mgを使ってみて効果の様子を見ます。ゾルピデムは即効性があるお薬なので、5mgを使ってみて効くかどうかの判断はすぐにできます。もしも寝つきが改善できないならば、10mgまで増量できます。それ以上は増量することができません。これは10mgと15mgを比較したときに、不眠の改善効果は差がないことが示されているためです。睡眠薬を効かないからといってたくさん飲んでも、効果には限界があるのです。

ゾルピデム10mgでも効果がないときは、薬の変更や作用の異なる睡眠薬の併用を考えていきます。反対に、ゾルピデム5mgでは強すぎてしまう方もいらっしゃいます。その時は、ゾルピデム錠5mgを半分に割って2.5mgにすることもあります。

 

2.ゾルピデム錠10mgとゾルピデム錠10mgの薬価の違い

ゾルピデム錠10mgとジェネリックのゾルピデム錠10mgを比較すると、薬価はおよそ5割となっています。

ゾルピデムは、マイスリーのジェネリックになります。ジェネリックになるとお薬が安くなると言われていますね。だいたい6割になることが多いのですが、ゾルピデムの場合はさらに安価で5割ほどとなっています。処方されることが多いので30社以上もの会社からゾルピデムが発売されています。価格競争がおこるため、今後さらに安価になる可能性もあります。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
マイスリー錠 5mg 43.7円
マイスリー錠 10mg 69.7円

<ジェネリック(後発品)>

商品名 剤形 薬価
ゾルピデム錠 5mg 20.2/24.9円
ゾルピデム錠 10mg 33.2/41.7円
ゾルピデムOD錠 5mg/10mg 20.2/33.2円
ゾルピデムODフィルム 5mg/10mg 24.9/41.7円
ゾルピデム内用液 5mg・1ml/10mg・2ml  122.3/189.4円

 

ゾルピデムの薬価は、製薬会社によって差はありますが、およそ5割ほどです。先発品にはないゾルピデムOD錠(水なしで溶ける錠剤)でも、ゾルピデムと薬価はかわりませんね。内用液だけは群を抜いて高価ですので、私は使ったことがありません。

もしもゾルピデム10mgを使うのでしたら、5mg錠2つよりも10mg錠1つの方が経済的です。

※2015年8月6日現在の薬価です。

 

3.ゾルピデム錠10mgとゾルピデム錠10mgの違い

効き方に多少の違いはありますが、他の睡眠薬に比べてゾルピデムは影響が少ない方です。

成分が同じだからといってまったく効果が同じかというと、そういうわけではありません。薬のコーティング、溶け方、吸収のされ方などは、製薬会社によって異なります。とはいってもマイスリーの後発品と認めてもらうためには、ちゃんと基準があります。ジェネリックのゾルピデムを服用してからの血中濃度の変化が、マイスリーと比べて誤差80~125%の間にあることが条件なのです。

 

だいたいは同じような効き方をするのですが、血中濃度がピークになるまでの時間(最高血中濃度到達時間)や血中濃度が半分になるまでの時間(半減期)に違いが出てきます。睡眠薬の場合は、作用時間が重要なので効果に違いがでることがあります。

マイスリーは半減期が2時間と短く、寝つきをよくするためのお薬ですので影響は少ないです。作用時間が変わってしまっても、薬の効果が朝まで残ることはほとんどありません。

ジェネリックにする時は、同じ薬局でお薬をもらうようにしてください。初めから同じ後発品のゾルピデムを使えば、そのゾルピデムの効果をもとに薬を調整することができます。

 

4.ゾルピデム錠5mgと10mgの使い分け

ゾルピデム10mg錠の方が経済的ですが、調整しにくくなってしまうデメリットがあります。

ゾルピデム錠5mgで効果がないときは、10mgに増量します。もちろん、5mg錠2つと10mg錠1つは同じ効果が期待できます。10mg錠にした方が経済的ですね。ですが10mg錠を使ってしまうと、減らすのが面倒になってしまいます。ピルカッターなどを買ってきて半分に割ればいいのですが、なかなかできません。いけない話なのですが、医者も忙しくて処方箋を書き換える時間がなく漫然と使い続けてしまうことがありますので注意しましょう。

私はあえて5mg錠2つを処方することが多いです。保険を使って自己負担3割の方が1か月使ったとしても、65円の差しかありません。この程度でしたら、ゾルピデム5mg錠2つの処方にした方がいつでも調整ができるので便利です。2錠飲むのがめんどくさいという方や、薬の数が増えることが不安という方では、ゾルピデム10mg錠を使うようにしています。

 

ゾルピデム10mg錠を半分に割れば、ゾルピデム5mgが2錠できますね。お薬代を節約できるといっても、30円くらいの話です。ゾルピデム5mg錠がちゃんとありますし、保管も大変になるので行いません。

ゾルピデム5mgの効果が強い時は、ゾルピデム5mg錠を半分に割って2.5mgにすることもあります。この作業は薬局にお願いすると行ってくれます。

 

5.ゾルピデムは漫然と使わないこと!

ゾルピデムは段階的に量を増やしていき、落ち着いたら段階的に減量していく意識を持ちましょう。そのためにも生活習慣の意識が大切です。

ゾルピデムは安全性が高く、依存性も少ない睡眠薬です。そうはいっても長期間にわたって使っていると、依存が形成されてしまうこともあります。ですから、漫然とした使用は避けなければいけません。

ゾルピデムを使う時は、睡眠に良い生活習慣も必ず意識して取り入れるようにしましょう。その上で、できるだけ頓服でゾルピデムを使うようにします。連用しなければ依存は形成されにくくなります。アルコールをイメージしていただくと分かりやすいと思いますが、休肝日をちゃんと作っていればアル中になったりしないですよね。これと同じです。

ゾルピデムを使っていくステップは、

①ベッドに入って眠れない時だけ頓服で使う
②ゾルピデム5mgは常用して、眠れない時だけ5mg錠を追加
③ゾルピデム10mgを常用

です。心身の状態によって、早く睡眠の改善をした方がよいときは②から始めていきます。

 

また、心身の状態が落ち着いてきたら、少しずつ睡眠薬を減薬していく意識を持つことが大切です。そのためにも、生活習慣の意識などをしておくことも大切なのです。

睡眠に良い生活習慣について詳しく知りたい方は、
不眠を解消する9つの方法
をお読みください。

 

まとめ

ゾルピデムは5mgから始めます。効果をみて10mgまで使用することができます。

マイスリー錠10mgとジェネリックのゾルピデム錠10mgを比較すると、薬価は5割ほどとなっています。

ジェネリックでは効き方に多少の違いはありますが、他の睡眠薬に比べてゾルピデムは影響が少ない方です。

ゾルピデム10mg錠の方が経済的ですが、調整しにくくなってしまうデメリットがあります。

段階的に量を増やしていき、落ち着いたら段階的に減量していく意識を持ちましょう。そのためにも生活習慣の意識が大切です。

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