サインバルタで痩せる3つのケース
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
サインバルタを服用していて痩せる方は確かにいらっしゃいます。サインバルタは太りにくいお薬ですし、活動的になることで体重が減少する方もいるのです。
ですが、「サインバルタを服用していて太ってしまった」という方もいらっしゃいます。このように、人によって差が出てしまうのはどうしてでしょうか?
ここでは、サインバルタでどうして痩せるのか、お伝えしていきたいと思います。
1.サインバルタの体重への影響
サインバルタは、ノルアドレナリンを増やして意欲や気力が高まるので、どちらかというと太りにくい薬です。
サインバルタの薬の説明書の副作用をみてみると、
- 食欲減退5.7%
- 体重増加4.2%
となっています。体重が増えることも減ることもあるということですね。サインバルタの体重への影響は、人によって異なるということを意味しています。
どうしてこのようになるのでしょうか?サインバルタには、体重を増加させる作用と減少させる作用が両方働くためです。体重増加には、細かくみると3つの作用が関係しています。
- 抗ヒスタミン作用による食欲増加
- 抗5HT2c作用による食欲増加
- セロトニンによる代謝抑制作用
サインバルタが関係しているのは、③の作用です。サインバルタでは抗5HT2c作用はほとんど認められませんが、抗ヒスタミン作用はわずかに認められます。 この程度の作用でしたら、明らかな食欲増加にはつながりません。ですが、セロトニンの作用が強いために代謝抑制作用は認められます。このため太りやすい傾向になります。
ですが、サインバルタはノルアドレナリンを増やすことで意欲や気力を高めます。このため、活動的になるので体重減少に働きま す。この2つの作用のバランスで、サインバルタの体重への影響が決まってきます。実際に患者さんをみていると、どちらかというと体重が落ちる方の方が多い印象をうけています。ですから、サインバルタはどちらかというと体重を減少させる薬だと思います。
詳しくは、
サインバルタは太るの?3つの対策とダイエット法
をお読みください。
2.サインバルタで痩せるのはなぜ?
「飲み始めの下痢や嘔吐・太りやすい薬からの切り替え・症状がよくなって活動的になった」の3つが考えられます。
サインバルタでは痩せる方はどのようなケースでしょうか?私の患者さんで振り返ってみると、3つのケースに分けられます。
- 飲み始めの下痢や嘔吐
- より太りやすい薬からの切り替え
- 症状がよくなって活動的になった
順番にみていきましょう。
サインバルタの飲み始めには、下痢や嘔吐の副作用がよくみられます。こうなると、食べ物が吸収されないですし、水分も身体からどんどん失われてしまいます。すると体重が減って痩せることもあります。ですが下痢や嘔吐は、時間がたって身体に慣れていくにつれて薄れていきます。すると、サインバルタの代謝抑制の影響が出てきて、長い目で見ると太りやすくなっていきます。
サインバルタに切り替えたタイミングでも痩せることがあります。サインバルタは、抗うつ薬の中では太りにくい薬になります。三環系抗うつ薬やNaSSA(リフレックス/レメロン)などの抗うつ薬では、サインバルタよりもはるかに太りやすいです。SSRIの中でも、パキシルは太りやすい傾向にあります。このような太りやすい薬からサインバルタに切り替えた時、体重が減少することがあります。これは痩せたのではなく、元の薬の副作用がなくなっただけです。
サインバルタで痩せていく方の中には、病気が回復している結果であることもあります。サインバルタが効いてくると、いままで気力がでなくて自宅にひきこもっていたり、不安が強くて外出できなかったような方が、活動的になっていきます。身体を動かす機会が増えることで、エネルギーが消費されます。筋肉量が増えることで、代謝がよくなっていきます。サインバルタは、ノルアドレナリンを増やすので意欲や気力を高めやすいお薬です。
サインバルタのその他の副作用について知りたい方は、
サインバルタカプセルの副作用
をお読みください。
3.サインバルタで痩せた時の考え方
サインバルタで痩せていったときはどのように考えればよいでしょうか?先ほどの①~③の場合に分けて考えてみましょう。
3-1.飲み始めの下痢や嘔吐
身体に負担になるので、痩せる効果を期待してはいけません。
下痢や嘔吐によって体重が落ちている状態は、身体には大きな負担となっています。痩せるのでラッキーと思われる方もいるかもしれません。ですが、水分が失われたり、必要なミネラルのバランスが崩れてしまいます。そもそもこの副作用は、ほとんどの場合が身体に慣れてしまいます。次第に副作用としての下痢や嘔吐がみられなくなります。
中には、下剤を使ったり、自分で吐いたりすることを続けてしまう方もいます。ですが、下剤を使い続けると正常な便通が乱れて便秘の原因になってしまいます。嘔吐をしすぎると、胃から食道に逆流しやすくなってしまい、逆流性食道炎になってしまいます。下痢や嘔吐に頼ったダイエットはやめましょう。
3-2.太りやすい薬からの切り替え
効果がしっかりと出ているならば問題ありません。
太りやすい抗うつ薬から切り替えたことで、痩せることは好ましいことです。サインバルタは、副作用が全体的に少なく、抗うつ薬の中では太りにくいお薬です。ですから、薬を切り替えて痩せてきた場合、効果がしっかりと出ているならば、問題ありません。
うつや不安が強いと、食欲がなくなってしまって痩せすぎてしまうこともあります。そのような場合は、食欲が増すような抗うつ薬を意識的につかっていくこともあります。落ち着いたらかえって食欲増加が目立ってしまうこともあります。そのような時は、サインバルタなどの体重への影響が少ない薬に切り替えることもあります。
3-3.症状が改善し活動的に
元気すぎではありませんか?目がさえて眠れない、アイデアが次々浮かぶ、何でもできる気がする、などがあれば、早めに主治医に相談しましょう。
調子が悪くなっていくと痩せてしまうイメージが強いかも知れませんが、太ってしまうこともあるのです。うつや不安が強いと、意欲もなくなってしまい、活動量が落ちてしまいます。家に引きこもりがちになるので、身体を動かすことも減ってしまいます。食欲が落ちる時もあれば、反対に増える時もあります。このように、消費エネルギーが減って食欲も増えれば、当然太ってしまいますね。
サインバルタの効果が出てきて症状が改善してくると、少しずつ意欲が戻ってきます。活動的になってくるので、消費エネルギーも増えていきます。運動は気分のさらなる改善につながるので、ますます活動的になるという良い循環が生まれます。このようになると、サインバルタを使い続けて痩せていくこともあります。これは良いことなので、身体を動かすのは続けていただきたいです。
ただ、「元気すぎではないか?」というところに注意が必要です。気分の波がある方は、回復すると元気になり過ぎることがあります。「目が冴えるから寝なくていい」「アイデアが次々浮かぶ」「何でもできる気がする」なんてときは、ブレーキをかけなければいけません。心当たりがある方は、主治医に相談しましょう。エネルギーを使いすぎると、その反動が後からきてしまいます。
まとめ
サインバルタは、代謝が落ちるために太りやすくなる傾向になります。
サインバルタで痩せる原因は、
- 飲み始めの下痢や嘔吐
- 太りやすい薬からの切り替え
- 症状がよくなって活動的になった
の3つが考えられます。それぞれの注意点としては以下になります。
- 下痢や嘔吐は身体に負担になるので、痩せる効果を期待してはいけません。
- 効果がしっかりと出ているならば問題ありません。
- 活動的になることは良いことですが、元気すぎではありませんか?目がさえて眠れない、アイデアが次々浮かぶ、何でもできる気がする、などがあれば、早めに主治医に相談しましょう。
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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