アラミスト点鼻液の効果と副作用

アイコン 2016.3.18 点鼻薬

アラミスト点鼻薬(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)は、2009年に発売されたステロイド点鼻薬です。

グラクソスミスクライン社が発売したものですが、成分のフルチカゾンは気管支喘息でも使用されるステロイド剤なので、使い慣れているステロイドを点鼻薬として開発したという流れで作られました。

アレルギー性鼻炎の治療に使われることが多く、とくに花粉症でよく使われるお薬です。花粉症の4大症状として鼻づまり・鼻水・くしゃみ・目のかゆみがありますが、4つのうち3つをしめる鼻症状を和らげてくれます。

このため鼻症状が酷い方にはステロイド点鼻薬が使われることも多く、鼻炎症状が出てくる前からステロイド点鼻薬を使っていくことがガイドラインでも推奨される治療の一つとされています。

ステロイド点鼻薬の一つにアラミストがあります。アラミストは副作用も少なく、使いやすい点鼻薬です。私自身が医学生の頃、臨床試験の被験者になったお薬で、今でも私はアラミストを使っています。ここでは、アラミストについてまとめてみたいと思います。

 

1.アラミストの用量・用法

成人の場合は1日1回、片鼻に2噴霧ずつ、計4噴霧して使用します。

アラミストは、グラクソスミスクライン会社より2009年に発売されたステロイド点鼻薬です。有効成分は、フルチカゾンフランカルボン酸エステルになります。

56噴霧と112噴霧があります。1回で27.5μgの噴霧になります。通常、成人には各鼻腔に2噴霧ずつ1日1回投与するので、1日110μgフルチカゾンフランカルボン酸エステルが投与されることになります。

小児には、各鼻腔に1噴霧ずつ1日1回投与することとなってます。(フルチカゾンフランカルボン酸エステルとして1日55μg)

鼻がつまっている方は鼻をかんで、鼻通りをできるだけよくしましょう。容器を良く振ってからキャップを外し、うつむき加減にして鼻の先端に当てます。そしてアラミストを噴霧し、鼻で息を吸って口で息を吐きます。その時に、鼻の奥の方に薬が行きわたるように意識します。

 

2.アラミストの副作用・使用注意は?

アラミストは副作用がほとんどなく、妊婦や小児にも安心して使用できるお薬です。

アレルギー性鼻炎患者を対象とした使用成績調査1592例中9例(0.6%)に副作用が報告されました。

その主なものは鼻出血3例(0.2%)でした。しかしこれは、点鼻を鼻の奥に押しすぎたのが原因ではないかといわれています。この確率を見ても分かるようにほとんど副作用はないといえるでしょう。

アラミストを使うのに注意が必要な人は以下の3点です。

  1. 結核性疾患、未治療の感染症及び眼の単純ヘルペスの人(投与にて増悪するリスクがあります。)
  2. 反復性鼻出血の人(出血するリスクが上がります。)
  3. 鼻の中に傷がある人や手術後の人(ステロイドは傷の治りが悪くなる作用があるため病状が悪化するリスクがあります。)

妊婦や授乳している方は、添付文章には「長期投与による安全性が確立されていないため、長期・頻回投与を避けること」とありますが、ほぼすべてのお薬にこの一文は書かれています。

さらにアラミストは動物実験でも検討されており、アラミストを吸入投与したラットでは91μg/kg/日までは妊娠中での安全性が確認されています。つまり人に置き換えて考えると、50kgの方では4550μg/日まで安全ということになります。

ラットと人ではアラミストの影響は当然異なりますが、1日110μg使用するくらいでは安全だということが分かるかと思います。

アラミストはステロイドの点鼻薬ですが、ステロイド内服も妊婦の方は禁忌とされていません。重度な免疫不全の妊婦の方は、ステロイドを内服してコントロールしている方もいます。プレドニゾロンというステロイド薬が使われますが、通常外来通院されている方は1~30mg/日でコントロールされます。

一方でアラミスト点鼻薬は、110μgが1日投与されています。1000μg=1mgなので、0.11mgを鼻だけに使っていると考えれば、ステロイドの副作用はほとんど考えなくてよいと思います。

さらには鼻だけの局所投与では、全身をまわるステロイドの量はごく微量です。全身の副作用はほとんど考えなくても大丈夫です。小児でも大勢使われていますが、アラミストを使っていて特別に気を付けることはありません。

 

3.アラミストの薬価とは?

アラミストの薬価は1日当たり144円程度で、自己負担3割の方は約43円になります。

アラミストは2009年度に発売された点鼻薬ですので、ジェネリック医薬品はまだ作られていません。このため、抗ヒスタミン薬の内服薬などと比較すると薬価は高いです。

商品名 剤形 薬価
アラミスト 56噴霧用 2017.1円

アラミストの剤形としては、56噴霧用だけの発売となっています。成人では1日4噴霧になるので、56噴霧用では2週間分になります。自己負担3割の方ですと、605円となります。

1日当たりのに直せば薬価は144円程度になり、自己負担3割の方では43円ほどになります。

点鼻薬は1日何回も投与しても、効果が倍増するわけではありません。効かないからといって連発しても意味はなさないので注意しましょう。

 

4.アラミストの効果を最大限に発揮するには?

即効性はなく毎日使うことで、徐々に効果を示すのがステロイド点鼻薬のアラミストです。アラミストの効果が不十分な時は、抗ヒスタミン薬を追加すると相乗効果が期待できます。

ステロイド点鼻薬は、投与して数時間後に効果を実感できる人もいますが、一般的には毎日投与して効果を発揮します。

そしてアラミストを初めとしたステロイド点鼻薬は、症状が出始める前に点鼻しておくことで効果がしっかりと発揮されます。このことが2016年の鼻炎学会で示されており、ガイドラインでは症状が出る4週間前からの初期投与がすすめられています。

アラミスト点鼻薬がどれ位効果を示すかを調べた研究結果を示します。花粉が飛び始めた時点で、アラミスト点鼻薬とプラセボ(偽薬)を投与して効果を比較しました。くしゃみ・鼻汁・鼻閉を0~4点の12点満点で症状の変化を見ています。

結果として

となっており、アラミスト点鼻薬がプラセボより効果があるとされています。

しかしこの結果では、プラセボでも-1点近く低下しています。このことは、鼻に何かを入れただけでも効いたように錯覚することを示しているのです。また、110μgと220μgに統計的優位差はなかったことから、効かないからといって何度も点鼻をしても効果はないと医学的には言えます。

 

5.ナゾネックスとアラミストの違いは?

ナゾネックスとアラミストには、効果の差がありません。1日1回投与も変わりないですし、自身の好みで選ばれて良いと思います。

1日1回の点鼻薬として、ナゾネックスの次に処方数が多いのはアラミストです。この二つを比べてみましょう。

ステロイド点鼻薬のナゾネックスとアラミストを比較しました。

ステロイド点鼻薬のナゾネックスとアラミストを比較しました。

ナゾネックスとアラミスト以外のステロイド点鼻薬としては、同じく1回で済むエリザス、1日2回必要なフルナーゼやナザールARがありますが、色々な臨床試験でどれも差がないことが示されています。

ナゾネックスとアラミストの違いとしては、

といわれていますが、実際は個人差もあるため臨床的に差を感じることはありません。どちらにするか悩まれた方は、両方使ってみて使用しやすい方や効果の実感がある方を使用するのが良いと思います。

薬の効果や副作用を正確に比較するときは、プラセボ(偽薬)といって何も効果がない成分を点鼻して比べます。先ほども示したように、この何も入ってないプラセボを投与しても症状が良くなったと感じる人も多いです。これをプラセボ効果といいますが、点鼻は特にこのプラセボ効果が強いといわれています。

 

6.アラミストの作用の仕組み(作用機序)

最後に、アラミストがどのようにして作用するのかについてご説明します。

アラミストは、花粉症(アレルギー性結膜炎)の治療に使われることが多いです。花粉症がそもそもなぜ起きるのかをお伝えし、アラミストの作用機序をみていきましょう。

 

6-1.花粉で鼻炎が起こる原因とは?

鼻からスギ花粉を外に出そうとする防御反応です。鼻水やくしゃみで、花粉を目の外から追い出そうとしているのです。

花粉症というのは体が花粉を敵と認識して外に出そうとする防御反応です。その防御反応は以下のようになります。

  1. 花粉(スギ)が体内に侵入。
  2. マクロファージ(体の中の警察官)が異物と認識して花粉を食べる。
  3. マクロファージがT細胞、そしてB細胞とバケツリレーのように花粉の情報を次々に渡す。
  4. 花粉が次に入ってきたときに撃退するために、B細胞がIgEという特殊な爆弾を作り、肥満細胞(体の中の爆弾保管庫)に保管しておく。
  5. 花粉が再び侵入した際に、肥満細胞は保管しておいたIgE爆弾が発射されて花粉にくっつく。
  6. IgEが爆発することをきっかけに、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質(ケミカルメディエータ―)が放出される。

このヒスタミンが放った化学物質が結果として鼻を刺激して、くしゃみや鼻水によって花粉を外に追い出そうとするのです。

こうして鼻に異常があることを知らせて、スギ花粉から体を守ろうとしているのです。

 

6-2.ステロイドってどういう効果を示すの?

ステロイドは、大部分の免疫機序を抑制する作用があります。

ステロイドには抗炎症作用が認められます。炎症ときくと悪いイメージかもしれませんが、身体にとっては必要な反応です。身体にとっての異物や傷などの異常部分をみつけて、それを治そうとする反応です。

ステロイドは私たちの体内でも必要なので、副腎皮質ホルモンとして一日に5~10mgほど作られています。ステロイドが薬として最も使われているのは、自己免疫疾患の治療に対してです。

自己免疫疾患とは、本来ならば体を守るべき白血球などが何らかのエラーで自身の体を攻撃してしまう病気です。自分の身体に対するアレルギー反応になりますが、アレルギー反応としては主に4種類に分けることができます。

ステロイド薬は、これらのアレルギー反応を抑えてくれます。この大部分に治療薬として使われるお薬です。

 

6-3.アラミストはどうやって効果を示すの?

鼻で起こってるアレルギー反応の大部分を抑制します。

このようにステロイド薬は、アレルギー反応の大部分を抑えます。つまり細かい部分に効果を示すわけではなく、白血球をはじめとした大部分の免疫系を抑制するのです。

ですからステロイド薬は、花粉が体内に入ってからの全てのアレルギー反応(①~⑥)を抑制します。つまり抗ヒスタミン薬のように、⑥の部分だけを抑えるといったアレルギー反応の一部分だけに作用するわけではないのです。

実はもっとアレルギーは複雑で、花粉が入ってくると細かく様々な働きがあります。それらを細かくみていくと、IL-2・IL-4・IL-5・IL-10といったインターロイキン(IL)や、サイトカインなどの免疫物質が働きます。そういった細かい作用機序を含めて、大部分をまとめて止めてしまうのがこのアラミストの点鼻薬です。

 

まとめ