ナゾネックス点鼻液の効果と副作用

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ナゾネックス点鼻薬は、2008年に発売されたステロイド点鼻薬です。

アレルギー性鼻炎の治療に使われることが多く、とくに花粉症でよく使われるお薬です。花粉症の4大症状として鼻づまり・鼻水・くしゃみ・目のかゆみがありますが、4つのうち3つをしめる鼻症状を和らげてくれます。

このため鼻症状が酷い方にはステロイド点鼻薬が使われることも多く、鼻炎症状が出てくる前からステロイド点鼻薬を使っていくことがガイドラインでも推奨される治療の一つとされています。

ステロイド点鼻薬の一つにナゾネックスがあります。ナゾネックスは副作用も少なく、使いやすい点鼻薬です。ここでは、ナゾネックスについてまとめてみたいと思います。

 

1.ナゾネックスの用量・用法

成人の場合は1日1回方鼻に2噴霧ずつ、計4噴霧して使用します。

ナゾネックスは、MSD株式会社より2008年に発売されたステロイド点鼻薬です。有効成分は、モメタゾンフランカルボン酸になります。

56噴霧と112噴霧があります。1回で50μgの噴霧になります。通常、成人には各鼻腔に2噴霧ずつ1日1回投与するので、1日200μgモメタゾンフランカルボン酸が投与されることになります。

12歳未満の小児には、各鼻腔に1噴霧ずつ1日1回投与する(モメタゾンフランカルボン酸エステルとして1日100μg)こととなってます。

鼻がつまっている方は鼻をかんで、鼻通りをできるだけよくしましょう。容器を良く振ってからキャップを外し、うつむき加減にして鼻の先端に当てます。そしてナゾネックスを噴霧し、鼻で息を吸って口で息を吐きます。その時に、鼻の奥の方に薬が行きわたるように意識します。

 

2.ナゾネックスの副作用・使用注意は?

ナゾネックスは副作用がほとんどなく、妊婦や小児にも安心して使用できるお薬です。

ナゾネックスの承認時までの臨床試験をみてみると、副作用は1,753例中127例(7.2%)に認められました。

主なものは、鼻症状(刺激感・そう痒感・乾燥感・疼痛・発赤など)40例(2.3%)、咽喉頭症状(刺激感・疼痛・不快感・乾燥など)28例(1.6%)でした。しかしこれは、点鼻を鼻の奥に押しすぎたのが原因ではないかといわれています。

ほとんど重篤な副作用はないといえるでしょう。

ナゾネックスを使うのに注意が必要な人は以下の3点です。

  1. 結核性疾患、未治療の感染症及び眼の単純ヘルペスの人(投与にて増悪するリスクがあります。)
  2. 反復性鼻出血の人(出血するリスクが上がります。)
  3. 鼻の中に傷がある人や手術後の人(ステロイドは傷の治りが悪くなる作用があるため病状が悪化するリスクがあります。)

 

妊婦や授乳している方は、添付文章には「長期投与による安全性が確立されていないため、長期・頻回投与を避けること」とありますが、ほぼすべてのお薬にこの一文は書かれています。

ステロイド内服も妊婦の方は禁忌とされていません。重度な免疫不全の妊婦の方は、ステロイドを内服してコントロールしている方もいます。プレドニゾロンというステロイド薬が使われますが、通常外来通院されている方は1~30mg/日でコントロールされます。

一方でナゾネックス点鼻薬は、200μgが1日投与されています。1000μg=1mgなので、0.2mgを鼻だけに使っていると考えれば、ステロイドの副作用はほとんど考えなくてよいと思います。

さらには鼻だけの局所投与では、全身をまわるステロイドの量はごく微量です。全身の副作用はほとんど考えなくても大丈夫です。小児でも大勢使われていて、ナゾネックスを使っていて特別に気を付けることはありません。

 

3.ナゾネックスの薬価とは?

ナゾネックスの薬価は1日当たり137円程度で、自己負担3割の方は約41円になります。

ナゾネックスは2008年度に発売された点鼻薬ですので、ジェネリック医薬品はまだ作られていません。このため、抗ヒスタミン薬の内服薬などと比較すると薬価は高いです。

商品名 剤形 薬価
ナゾネックス 56噴霧用 1912.3円
ナゾネックス 112噴霧用 3832.5円

成人では1日4噴霧になるので、56噴霧用は2週間分、112噴霧用は1か月分になります。自己負担3割の方ですとそれぞれ、574円・1150円となります。

1日当たりに直せば薬価はどちらも137円程度となり、自己負担3割の方では41円ほどになります。56噴霧用と112噴霧用では価格もほとんど変わらないので、キレイ好きな方には56噴霧用の方がよいかもしれません。

点鼻薬は1日何回も投与しても、効果が倍増するわけではありません。効かないからといって連発しても意味はなさないので注意しましょう。

 

4.ナゾネックスの効果を最大限に発揮するには?

即効性はなく毎日使うことで、徐々に効果を示すのがステロイド点鼻薬のナゾネックスです。ナゾネックスの効果が不十分な時は、抗ヒスタミン薬を追加すると相乗効果が期待できます。

ステロイド点鼻薬は、投与して数時間後に効果を実感できる人もいますが、一般的には毎日投与して効果を発揮します。

そしてナゾネックスは、症状が出始める前に点鼻しておくことで効果が発揮することが示されています。具体的に比較した研究の結果をご紹介したいと思います。

花粉が飛び始める4週間前から投与した群と、花粉が飛び始めてから投与した群を比較しています。くしゃみ・鼻汁・鼻閉を0~4点 12点満点で症状の変化を評価したのが下の図になります。

ナゾネックスの投与開始時期での効果を比較しました。

縦軸が花粉症の症状の得点、横軸は花粉が飛散してからの時間軸となります。0週が花粉が飛び始めた時期です。

結果をみてみると、4週間前から投与した群では花粉が前から症状を抑えるのはもちろんのこと、その後の花粉シーズンを通しても症状を抑えられます。症状が出てから投与した群に比較すると、症状を悪化させないでコントロールできるのです。

この結果をもとに2016年のガイドラインでは、花粉症が発症する前から点鼻薬を使っていくことを支持しています。

 

さらに、抗ヒスタミン薬などの内服薬と併用することで相乗効果を示すことも示されています。

抗ヒスタミン薬として知られているクラリチン単独と、クラリチンにナゾネックスを併用した群の15日間後の症状の変化を比較してみましょう。

具体的には、

  1. クラリチン10mgのみの投与
  2. ナゾネックス200μgとクラリチン10mgの投与

評価は、先ほどの鼻症状スコアでみています。

点鼻薬と内服+点鼻薬のくしゃみの比較

鼻汁のクラリチンとクラリチン+ナゾネックスの比較

鼻閉の、クラリチンとクラリチン+ナゾネックスの比較

このようにクラリチンにナゾネックスを加えたことで、くしゃみ・鼻汁・鼻づまり全てが改善したことを示しています。

ナゾネックスは、鼻症状の全てを軽快するお薬として注目されています。ナゾネックスだけとクラリチンだけを比べた場合はナゾネックスがすべて優位に症状を改善していることから、抗ヒスタミン薬だけと点鼻薬だけなら点鼻薬の方が良いと結論づけられています。

 

5.ナゾネックスとアラミストの違いは?

ナゾネックスとアラミストには、効果の差がありません。1日1回投与も変わりないですし、自身の好みで選ばれて良いと思います。

1日1回の点鼻薬として、ナゾネックスの次に処方数が多いのはアラミストです。この二つを比べてみましょう。

ステロイド点鼻薬のナゾネックスとアラミストを比較しました。

ナゾネックスとアラミスト以外のステロイド点鼻薬としては、同じく1回で済むエリザス、1日2回必要なフルナーゼやナザールARがありますが、色々な臨床試験でどれも差がないことが示されています。

ナゾネックスとアラミストの違いとしては、

  • ナゾネックスはステロイドが血中移行する量が少ない
  • アラミストは眼症状にも効く

といわれていますが、実際は個人差もあるため臨床的に差を感じることはありません。どちらにするか悩まれた方は、両方使ってみて使用しやすい方や効果の実感がある方を使用するのが良いと思います。

薬の効果や副作用を正確に比較するときは、プラセボといって何も効果がない成分を点鼻して比べます。この何も入ってないプラセボを投与しても、症状が良くなったと感じる人も多いです。これをプラセボ効果といいますが、点鼻は特にこのプラセボ効果が強いといわれています。

 

6.ナゾネックスの作用の仕組み(作用機序)

最後に、ナゾネックスがどのようにして作用するのかについてご説明します。

ナゾネックスは、花粉症(アレルギー性結膜炎)の治療に使われることが多いです。花粉症がそもそもなぜ起きるのかをお伝えし、ナゾネックスの作用機序をみていきましょう。

 

6-1.花粉で鼻炎が起こる原因とは?

鼻からスギ花粉を外に出そうとする防御反応です。鼻水やくしゃみで、花粉を目の外から追い出そうとしているのです。

花粉症というのは体が花粉を敵と認識して外に出そうとする防御反応です。その防御反応は以下のようになります。

  1. 花粉(スギ)が体内に侵入。
  2. マクロファージ(体の中の警察官)が異物と認識して花粉を食べる。
  3. マクロファージがT細胞、そしてB細胞とバケツリレーのように花粉の情報を次々に渡す。
  4. 花粉が次に入ってきたときに撃退するために、B細胞がIgEという特殊な爆弾を作り、肥満細胞(体の中の爆弾保管庫)に保管しておく。
  5. 花粉が再び侵入した際に、肥満細胞は保管しておいたIgE爆弾が発射されて花粉にくっつく。
  6. IgEが爆発することをきっかけに、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質(ケミカルメディエータ―)が放出される。

このヒスタミンが放った化学物質が結果として鼻を刺激して、くしゃみや鼻水によって花粉を外に追い出そうとするのです。

こうして鼻に異常があることを知らせて、スギ花粉から体を守ろうとしているのです。

 

6-2.ステロイドってどういう効果を示すの?

ステロイドは、大部分の免疫機序を抑制する作用があります。

ステロイドには抗炎症作用が認められます。炎症ときくと悪いイメージかもしれませんが、身体にとっては必要な反応です。身体にとっての異物や傷などの異常部分をみつけて、それを治そうとする反応です。

ステロイドは私たちの体内でも必要なので、副腎皮質ホルモンとして一日に5~10mgほど作られています。ステロイドが薬として最も使われているのは、自己免疫疾患の治療に対してです。

自己免疫疾患とは、本来ならば体を守るべき白血球などが何らかのエラーで自身の体を攻撃してしまう病気です。自分の身体に対するアレルギー反応になりますが、アレルギー反応としては主に4種類に分けることができます。

  • Ⅰ型アレルギー:IgEを主体にしたアレルギーです。IgEがアレルギー源にくっついて、セロトニンやヒスタミンを放出して発症します。
    代表的な疾患:花粉症・蕁麻疹・気管支喘息・食物アレルギー
  • Ⅱ型アレルギー:IgGを主体にしたアレルギーです。IgGがアレルギー源にくっついて、白血球が直接その細胞を破壊する生体反応です。
    代表的な疾患:悪性貧血・橋本病・特発性血小板減少性紫斑病・重症筋無力症
  • Ⅲ型アレルギー:アレルギー源を排除しようとした結果、うまく排除されずに免疫複合体という物質が形成され、血液を介して各々の臓器にダメージを与えるアレルギーです。
    代表的な疾患:関節リウマチ・シューグレン症候群・全身性エリテマトーデス・アレルギー性血管炎などの膠原病
  • Ⅳ型アレルギー:アレルギー源を排除しようとした白血球自体がおかしくなってしまうアレルギーです。おかしくなった細胞を感作T細胞とよび、周辺組織を損傷します。
    代表的な疾患:金属アレルギー・薬剤性肺炎・腫瘍免疫・移植免疫

ステロイド薬は、これらのアレルギー反応を抑えてくれます。この大部分に治療薬として使われるお薬です。

 

6-3.ナゾネックスはどうやって効果を示すの?

鼻で起こってるアレルギー反応の大部分を抑制します。

このようにステロイド薬は、アレルギー反応の大部分を抑えます。つまり細かい部分に効果を示すわけではなく、白血球をはじめとした大部分の免疫系を抑制するのです。

ですからステロイド薬は、花粉が体内に入ってからの全てのアレルギー反応(①~⑥)を抑制します。つまり抗ヒスタミン薬のように、⑥の部分だけを抑えるといったアレルギー反応の一部分だけに作用するわけではないのです。

実はもっとアレルギーは複雑で、花粉が入ってくると細かく様々な働きがあります。それらを細かくみていくと、IL-2・IL-4・IL-5・IL-10といったインターロイキン(IL)や、サイトカインなどの免疫物質が働きます。そういった細かい作用機序を含めて、大部分をまとめて止めてしまうのがこのナゾネックスの点鼻薬です。

 

まとめ

  • ナゾネックス点鼻薬は56噴霧・112噴霧があり、1日1回片方に2回ずつ噴霧するステロイド点鼻薬です。
  • ナゾネックスは花粉症のくしゃみ・鼻水・鼻閉すべてに効果を示します。
  • ナゾネックスは副作用が少なく妊婦や小児でも安全に使用できます。

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