慢性疲労症候群と診断する前に、隠れ貧血がないかチェック!

元住吉 こころみクリニック
元住吉 こころみクリニック
2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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なんとなくだるい、息切れがするで内科を受診される方はたくさんいます。

採血、レントゲンに心電図をとっても異常なし。「最近仕事が忙しくて疲れている。」と聞いた内科のお医者さんは「ストレスのせいで症状が出ているのかな?それなら、心療内科で・・・」と言って、慢性疲労症候群と診断されて紹介された方も多いかと思います。

しかし心療内科に行く前に、一度あなたの採血結果を確認しましょう。フェリチンが調べられていますか?もし測定されていなかったらあなたは隠れ貧血の可能性があります。

隠れ貧血は日本の20代以上の女性は、実は6~7割程度あると言われています。隠れ貧血はあまり知られておらず、医師でも知らない人が多いです。さらに診断で重要となるフェリチンは、採血項目で必ず含まれているものではありません。貧血を疑ってはじめて検査される項目です。

そのため、ご自身でフェリチンが測定されているか項目をみてみましょう。

 

1.貧血はどうやって診断されるの?

ヘモグロビンで、成人男性14 g/dL未満、成人女性12 g/dL未満の時に貧血と診断されます。

貧血とは簡単に説明すると、赤血球という酸素を運ぶ細胞が足りないことを言います。貧血かどうか医師がチェックする時は、ヘモグロビン(Hb)の数値を確認します。

赤血球中の大部分を占めているのがヘモグロビンで、ヘムという色素とグロビンというタンパク質からできています。このヘモグロビンが酸素と結合して、体中に酸素を送る働きをします。

貧血の診断の大まかな基準ですが、

  • 成人男性:14 g/dL未満
  • 成人女性:12 g/dL未満
  • 妊娠中:11 g/dL未満
  • 高齢者:11 g/dL未満

となっています。このヘモグロビンは、採血の血算という項目で、白血球・血小板・赤血球とともに測定されるため、多くの場合はチェックされる項目です。

 

2.フェリチンとは?

フェリチンとは、体内に蓄えている鉄分の量を測定した値です。

赤血球はどういった成分で構成されているのか、見ていきましょう。

重要な働きをしているヘモグロビンの大部分は、鉄で構成されているのです。そのほかにも亜鉛・ビタミンB12や葉酸も一緒になって赤血球を作っていますが、大部分は鉄です。人の血が赤いのは、この鉄の色なのです。余談ですが、カニやエビは銅を主成分としているため血は青くなります。

フェリチンは、この血に必要な鉄分が体内にどれくらい蓄えられているのかをチェックした値です。鉄は体内に3~4gあり、タンパク質と結合して存在しています。60~70%が血液にあり、ヘモグロビンとして活動しています。残りの30~40%は肝臓や脾臓にあり、ヘモグロビンとして血液の鉄が不足してしまった時のために、貯蔵鉄として存在しています。この貯蔵鉄の量がフェリチンなのです。

 

3.隠れ貧血とは?

フェリチンが80~30ng/ml程度であると、隠れ貧血と診断します。

ヘモグロビンが低いと、貧血として診断されます。しかしヘモグロビンは、体に酸素を送る大切な細胞です。ですので私たちの体は、ヘモグロビンだけは何とか頑張って作ります。ヘモグロビンを作るのには鉄が必要なので、貯蔵されていた鉄を真っ先に使っていきます。つまり、

  1. フェリチン減少
  2. 血清鉄減少
  3. ヘモグロビン減少(貧血)

という順番で減少していきます。つまり、最初に貧血の症状が起きるのがフェリチンの減少です。フェリチンが下がってもヘモグロビンが保たれているならば、一見問題なさそうに見えますよね?

実はこれは体が見栄を張って、貯金を無理に使い込んでカツカツの状態で生活している状態なのです。無理して生活しているので明らかな異常はなくても、何となく倦怠感や息切れなどが出現するのです。

フェリチンの正常値は、80~200ng/dlです。このため80ng/dl以下であれば、隠れ貧血と診断されます。さらにフェリチンが30ng/dl以下であると、重度の貧血です。フェリチンがここまで低下した場合は通常はヘモグロビンも低下するため、フェリチンを測定しなくても貧血と診断されることが多いです。

 

4.隠れ貧血の症状と原因は?

ダイエットをしてたり不規則な食事をしてる人は要注意です。

一番単純な理由としては、鉄分の摂取不足です。これらが起きやすい生活であるかないかが重要です。また隠れ貧血では、だるさや疲れやすさなどの症状が出ます。以下のチェック項目を参照しましょう。

  • 現在ダイエットしている
  • 朝食を抜くことが多い
  • インスタント食品や冷凍食品を頻繁に食べている
  • 外食や市販の弁当が多い
  • 偏食で同じような食事が好きである。
  • 顔色が青白く、肌がくすんでたり肌荒れがある
  • 下まぶたの内側が白くなったり、目の下にくまがある
  • 寝起きが悪いもしくは睡眠不足
  • 風邪をひきやすい、もしくは風邪のような倦怠感が続いている
  • よくめまいやたちくらみがする
  • 疲れやすく、ちょっとした坂道や階段で動悸や息切れがする
  • 爪の色が白っぽい、割れたり欠けたりする
  • 髪の枝毛や抜け毛が多い

13項目中4項目が当てはまった場合は、隠れ貧血の可能性が高いです。また、慢性疲労症候群の診断基準と見比べてください。かなり症状が似てるところも多いかと思います。

さらに仕事が忙しい人ほど、食生活が不安定になります。仕事が忙しいからストレスだと内科の先生はミスリードされやすいのですが、食事が大きな原因となっていることもあるのです。

 

5.隠れ貧血の治療は?

鉄分を摂取することが一番ですが、ビタミンCやビタミンB12などもうまく摂取して効率よく吸収することが大切です。

隠れ貧血は、鉄分が純粋に足りないから起きる疾患です。つまり、鉄分をまずしっかりとる必要があります。また亜鉛やビタミンB6、B12、葉酸も赤血球を作るときに必要な成分なので一緒に摂るようにしたいです。

鉄分はタンパク質と結合して普段存在するので、タンパク質もとらないと体内に存在できなくなります。またビタミンCを摂取することで鉄分の吸収率が上昇します。銅も少量ながら必要なので意識してとってみると良いでしょう。

どのような食品にそれぞれの成分が入っているかまとめてみました。

貧血によい栄養素と食品の一覧

これらの食品は毎日のことですので、日々の心がけが大切です。鉄分にも、肉や魚などの動物性のヘム鉄とホウレンソウやひじきなどの植物性鉄に分かれます。吸収率でいうとヘム鉄の方がよいので、肉をとるようにしましょう。さらには鉄は、一日で吸収できる量が決まっています。このため焼き肉食べ放題に行くのではなく、毎日少しずつ肉類をとる習慣にした方がよいです。

ただし、隠れ貧血になってしまってからは、これらの食品をとるように心がけてもなかなか改善しないのが実状です。そのため、サプリメントや医薬品を摂取します。

  • 鉄剤:フェロミア・フェルム・フェロ-グラデュメット
    副作用として吐き気や下痢、腹痛や下痢があります。また、鉄剤の影響で便が真っ黒になりますが、これは鉄が便に含まれた色なので問題はありません。
  • ビタミンB12:メコバラミン・メチコバール
    手の痺れなどの末梢神経障害でよく処方されるお薬です。強い副作用はあまりありません。
  • ビタミンB6:ピドキサール
    口内炎などによく処方されます。結核の治療の時に末しょう神経障害予防として飲むことが多いです。
  • ビタミンC:シナール
    こちらも口内炎によく使われます。
  • 葉酸:フォリアミン
    抗癌剤やリウマチ薬で葉酸拮抗薬を使用する時に一緒に内服する薬で、副作用は多くありません。またパンビタンなどの総合ビタミン剤にも葉酸は含まれています。

これらの医薬品やサプリメントなどを組み合わせて、効率よく必要な成分を摂取していきましょう。しかし症状がどれ位で良くなるかは、かなり個人差があります。人によっては半年から1年近く、鉄剤やビタミン剤を内服してようやく改善する人もいました。

 

まとめ

  • 食生活が不安定で、何となくだるさや息苦しさがある人は隠れ貧血を疑います。
  • 隠れ貧血を疑った場合は、フェリチンを測定します。
  • 隠れ貧血と診断された場合は、鉄分を含めて必要な成分を効率よく摂取しましょう。

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