ベルソムラ錠10mg・15mg・20mgの薬価と使い分け

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ベルソムラは新しい作用機序の睡眠薬で、オレキシン受容体拮抗薬といわれています。

ベルソムラの錠剤としては、15mgと20mgの2種類が発売されていました。2016年に、10mg錠剤が発売されました。基本的には、成人には20mg、高齢者には15mgを使ってみて効果を判定する睡眠薬です。

ここでは、ベルソムラ錠15mg・20mgの実際の使い方や薬価についてご紹介していきます。

ベルソムラの効果について詳しく知りたい方は、「ベルソムラ錠の効果と強さ」をお読みください。

 

1.ベルソムラ錠10mg・15mg・20mgはどうやって使うのか?

ベルソムラは成人では20mg、高齢者では15mgを使って効果を判断する睡眠薬です。10mgは、相互作用が想定される場合のみとなっています。

普通の睡眠薬は、効果をみながら増減させて調整していきます。しかしながらベルソムラでは、用量が年齢によって決まっています。成人では20mg、高齢者では15mgとされています。ベルソムラを使える上限量は、有効用量の中で低めに設定されました。ですがアメリカでは、もっと慎重に用法が決められています。ベルソムラ10mgから開始して、上限20mgまでとなっています。

日本でも10mg錠剤が2016年に発売となりましたが、10mgは相互作用で効果が増強されることが想定されるときのみになります。ベルソムラはCYP3Aという酵素で代謝されますが、その働きを邪魔する薬(ジルチアゼム・ベラパミル・フルコナゾールなど)を併用するときに10mgとなります。

効果が十分だから減量するという使い方は、基本的に正式に認められていません。というのは、ベルソムラ10mgの臨床試験において、統計的に優位な効果が示せなかったためです。ですから基本的に、15mg以上で使うことがほとんどです。

とはいえ、実際の臨床では10mgで十分な方もいるはずです。しかしながら、正式な用法に従わなければ診療報酬が認められない可能性もあるため、現場では処方しづらいというのが実情です。ベルソムラは依存性も含めて副作用が少ないため、あえて減らさなければいけない薬でもないことも大きいです。

このように見ていただくと、ベルソムラは決められた量を使っていくお薬になります。そして、使ってみてダメだったら中止するという睡眠薬です。基本的に用量調節をすることを意図していません。ベルソムラ錠は湿気に弱く、また光に不安定です。このため、半分に割ったり粉砕することもできませんし、他のお薬と一包化することもできません。

唯一行うとすれば、成人で20mgを使って眠気が強すぎた場合、15mgに減量して様子を見ることです。また、男性よりも女性の方が効果が強く、肥満の方が効果が強く発揮されることがわかっています。このため、肥満女性では15mgから使うことも検討してもよいかもしれません。

 

ベルソムラの効果が安定してくるまでには3日ほど時間がかかります。その後も効果が少しずつ増強していきます。ですから、ベルソムラを開始してから少なくとも1~2週間は様子を見たほうがよいです。もしも不眠が十分に改善できなければ、他の睡眠薬に切り替えていくべきでしょう。

 

2.ベルソムラ錠10mg・15mg・20mgの薬価

ベルソムラ錠は高価な睡眠薬です。自己負担3割の方が1か月20mg使用すると、971円となります。

ベルソムラは2014年の発売です。ジェネリックになると安くなると言われていますが、発売から10年くらい先のことになるかと思います。それでは、ベルソムラの薬価を見ていきましょう。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
ベルソムラ錠 10mg 68.0円
ベルソムラ錠 15mg 89.1円
ベルソムラ錠 20mg 107.9円

ベルソムラ錠は非常に高価な睡眠薬です。自己負担3割の方が20mg錠を1か月使った場合、971円となります。

ベルソムラ錠は、吸湿性があるので湿気に弱く、光にも弱いという特徴があります。このため、パッケージがドーム状になっており、やや保管に注意が必要です。

 

3.ベルソムラは漫然と使わないこと!

不眠が落ち着いたら、ベルソムラはやめていきましょう。そのためにも生活習慣の意識が大切です。

ベルソムラは依存性が少ない睡眠薬です。ですが、漫然とした使用は避けなければいけません。

ベルソムラを使う時は、睡眠に良い生活習慣を意識的に取り入れるようにしましょう。睡眠薬以外の柱を作っておくことが大切です。

心身の状態が落ち着いてきたら、少しずつ睡眠薬をやめていく意識を持つことが大切です。ベルソムラは離脱症状や反跳性不眠(以前よりも不眠がひどくなること)がほとんど起こらないと考えられています。このため、思い切ってやめていくことのできる睡眠薬です。

睡眠に良い生活習慣について詳しく知りたい方は、「不眠を解消する9つの方法」をお読みください。

 

まとめ

ベルソムラは成人では20mg、高齢者では15mgを使って効果を判断する睡眠薬です。

ベルソムラ錠は高価な睡眠薬です。自己負担3割の方が1か月20mg使用すると、971円となります。

不眠が落ち着いたら、ベルソムラはやめていきましょう。そのためにも生活習慣の意識が大切です。

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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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