ロンフルマン錠(ブロチゾラム錠「オーハラ」)の効果と副作用

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ロンフルマンは、ベンゾジアゼピン系睡眠薬レンドルミンのジェネリック医薬品(後発品)です。レンドルミンは1988年から発売されていますので、すでにジェネリック医薬品も多数発売されています。

ロンフルマンは、2013年からブロチゾラム錠「オーハラ」という名称に変更されました。いろいろな名前のジェネリックがあると紛らわしくなってしまうために、一般名(成分名)のブロチゾラムをジェネリックの商品名として統一する流れを踏まえてです。

ロンフルマンは、効果と副作用のバランスがよく、広く使われている睡眠薬です。ここでは、ロンフルマンの効果と副作用について、詳しく見ていきたいと思います。

 

1.ロンフルマンの特徴

ロンフルマンでは、脳の活動を抑えることで睡眠をもたらします。まずはじめに、ロンフルマンの特徴をメリットとデメリットに分けてみていきましょう。これを踏まえて読み進めていただければ、より理解が深まるかと思います。

 

1-1.ロンフルマンのメリット

  • 即効性がある
  • 入眠障害に有効
  • 中途覚醒に有効(早朝覚醒にも一定の効果)
  • 効果は普通~やや強い

ロンフルマンには即効性があります。飲み続けているとジワジワ効いてくるようなお薬ではなく、薬を飲みはじめたその日から効果が期待できます。眠れないのはつらいので、早く抜け出したいですよね。

睡眠薬の半減期をみれば作用時間を予測することができます。ロンフルマンは作用時間が短すぎもせず長すぎもせず、ちょうどよい方が多いです。入眠障害だけでなく、中途覚醒にも効果が期待できる睡眠薬です。早朝覚醒にもある程度の効果が認められます。

効果の強さも「普通~やや強い」といったところです。即効性でしっかりとした効果が期待できますので、幅広く使われている睡眠薬になります。

 

1-2.ロンフルマンのデメリット

  • 睡眠の質が落ちる
  • ふらつきが出やすい
  • 翌朝への眠気の持越しがある
  • 依存性があり、離脱症状や反跳性不眠になることがある

ロンフルマンを服用すると寝つきはよくなるのですが、少しだけ睡眠の質が落ちてしまうというデメリットがあります。浅い睡眠が増えてしまい睡眠のメリハリが悪くなってしまいます。睡眠時間はしっかりと寝たのに疲れがとれない、寝不足に感じてしまう、ようなことがあります。

また、副作用に注意する必要があります。ロンフルマンでは筋弛緩作用もあるので、ふらつきには注意が必要です。高齢者では、夜にトイレで目覚めることも多くなります。薬が効いてふらついたままトイレに行くと、転倒してしまって骨折してしま うこともあるので注意が必要です。ロンフルマンが長く作用してしまうと、翌朝にも眠気やふらつきが残ってしまうことがあります。朝起きづらくなってしまったり、午前中が集中できなくなる方もいるので注意してください。

効果もしっかりとしている睡眠薬なので、依存性もあります。薬をやめていく時に、イライラや不安などの離脱症状や不眠がよけいに悪化する反跳性不眠などがみられることもあります。

 

2.ロンフルマンの作用時間と強さ

ロンフルマンは半減期が7時間の短時間型睡眠薬です。効果の強さは「普通~やや強い」、入眠障害から中途覚醒や早朝覚醒まで幅広く効果のある睡眠薬です。

ロンフルマンを服用すると1.5時間で血中濃度がピークになり、そこから7時間かけて半分の量まで身体からぬけていきます。ですから、寝る前にロンフルマンを服用すると、15~30分くらいで効果がでてきて寝つきをスムーズにしてくれます。飲み始めてから8.5時間たつと半分の血中濃度になります。このため、睡眠中を通して効果が持続してくれる睡眠薬です。

この7時間というのを「半減期」といいます。薬の濃度が半分になるまでにかかる時間のことで、作用時間を考える目安になります。ロンフルマンは半減期が短い「短時間型」に分類されます。

睡眠薬のタイプ(作用時間)と特徴をまとめました。

睡眠障害にもいろいろなタイプがあります。寝つきが悪い「入眠障害」、途中で目が覚めてしまう「中途覚醒」、明け方に目が覚めてしまう「早朝覚醒」。睡眠障害のタイプに合わせて、睡眠薬の作用時間を変えていく必要があります。ロンフルマンは、入眠障害から中途覚醒に使うお薬です。効果は早いので、ベットに入る直前にお薬を飲むようにしてください。

 

ロンフルマンはベンゾジアゼピン受容体にしっかりと作用し、効果が「普通~強い」睡眠薬です。まずは0.25mgから始めることが多いです。効果を見ながら、増減させていきます。強く効きすぎてしまったら0.125mg、効果が不十分でしたら0.5mgまで使うことができます。睡眠薬の効果の強さは、薬の作用の強さと量によって決まってきます。

 

3.睡眠薬での作用時間の比較

半減期をもとに、睡眠薬の作用時間を予想することができます。ロンフルマンは作用時間の短い睡眠薬です。

代表的ンな睡眠薬の作用時間(半減期)を比較しました。

睡眠薬の作用時間の違いを比較してみましょう。

薬の効果を見る時は、最高血中濃度到達時間(ピーク時間)と半減期をみていきます。

最高血中濃度到達時間が短いほど、効きが早いということですね。ほとんどの睡眠薬が1~3時間になっているかと思います。中間型や長時間作用型では長いものがありますね。これらのお薬では即効性はあまり期待できません。

半減期をみると作用時間が予想できます。超短時間型やロンフルマンをはじめとした短時間型では、即効性を期待して使われます。入眠障害だけで困っているならば超短時間型、中途覚醒で困っているならばロンフルマンなどの短時間型がよいでしょう。

中間型や長時間型は、身体に薬が少しずつたまっていくことで寝付きやすい土台を作るようなお薬です。中間型は4~5日かけて、長時間型は1週間以上かけて効果が安定します。

 

4.ロンフルマンの副作用

ロンフルマンで注意すべき副作用には、どのようなものがあるでしょうか?対策も踏まえてみていきましょう。

 

4-1.眠気の翌朝への持ち越し

ロンフルマンでは、しばしば認められます。睡眠時間を確保しても変わらない場合、減量したり、作用時間の短い非ベンゾジアゼピン系睡眠薬に変えてみましょう。

睡眠薬は夜だけに効いてくれれば理想ですね。ですが睡眠薬が効きすぎてしまうと、翌朝まで眠気が続いてしまうことがあります。これを「持ち越し効果(hung over)」といったりします。眠気だけでなく、だるさや集中力の低下、ふらつきなどがみられます。

「眠気が強くて朝起きれない」
「午前中がぼーっとしてしまう」
となってしまうと生活に支障がきてしまいますね。事故などにつながることもあるので注意が必要です。

 

ロンフルマンは短時間型の睡眠薬に分類されます。短時間といっても半減期(血中濃度が半分になるまでにかかる時間)は7時間ですので、睡眠中にしっかりと効果が持続する睡眠薬です。人によっては効きすぎてしまうことがあります。そうすると、翌朝にも睡眠薬の効果を持ち越してしまう「持ち越し効果」がみられるのです。承認時および市販後調査をまとめると、2.20%の報告があります。軽度のものを含めるともっと多い印象があります。

 

このような時は、はじめに睡眠時間がちゃんと確保できるかを確認します。睡眠時間が短かったら、薬の効果が朝に残ってしまうのも当たり前ですものね。その場合は、睡眠時間を確保するようにしていただきます。それでも改善しなければ、より短い作用時間の睡眠薬に変えるか、ロンフルマンを減量していくかになります。

0.25mgや0.5mgを使っていて睡眠を改善できている方では、まずは減量を検討していきます。睡眠薬の量を減らすと作用時間が短くなります。

減量すると上手くいかない時は睡眠薬を変更していきます。ロンフルマンより作用時間が短い超短時間型の睡眠薬を試してみてもよいでしょう。できるだけ非ベンゾジアゼピン系睡眠薬のマイスリー・アモバン・ルネスタから試してみましょう。

 

4-2.健忘

ロンフルマンではあまりみられません。ロンフルマンを飲んだらすぐに布団に入って寝るようにしましょう。それでも改善がなければ、減量したり、効果の持続が長い薬に切り替えます。

睡眠薬を服用した後に、記憶することができなくなってしまうことがあります。朝起きると自分でも全く覚えていないのにお菓子の袋が散らかっていたり、友達に電話してしまっていたりします。アメリカの議員がマイスリーを服用した後に、記憶がないままに車の事故をおこしてしまったことを機に注目されるようになりました。

記憶することができないだけですので、不思議かもしれませんが周囲からみると普通に行動しています。当の本人は全く覚えていないので不気味ですし、生活にも支障をきたしますね。

 

睡眠薬を飲んでから物忘れが起こってしまうので、「前向性健忘」といいます。このような状態になるのは、睡眠薬が中途半端な覚醒状態にしてしまうためです。その結果、海馬を中心とした記憶に関わる部分の機能だけが落ちてしまうのです。

前向性健忘は、睡眠薬が急激に作用する時に起こりやすいです。

  • 効果の短いタイプの睡眠薬
  • 睡眠薬の量が多い
  • アルコールと睡眠薬を併用した時

このような時には、前向性健忘がおこりやすくなってしまいます。ロンフルマンは短時間型の睡眠薬ですが、そこまで短いわけではないので健忘の副作用は少ないです。

もし前向性健忘がみられたときは、まずは睡眠薬を飲んだらすぐに布団に入るようにしましょう。それでも改善がないときは、

  • 効果の長いタイプの睡眠薬に変える
  • ロンフルマンを減量する
  • アルコールと一緒に睡眠薬を絶対に飲まない

これらの対策をとっていきましょう。睡眠薬を変更するとしたら、ロンフルマンよりも効果の長いエバミール・リスミー、中間型のベンザリン、長時間型のドラールなどに切り替えを検討していきます。

 

4-3.ふらつき

ロンフルマンでは注意が必要です。ふらつきがみられたら、減量するか、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬に変更を検討しましょう。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は睡眠作用を期待して作ったお薬ですが、その他にも筋弛緩作用も働いてしまいます。緊張が強くて肩がこってしまったり、身体に緊張やこわばりがある時はむしろ大歓迎の作用になります。ですが、高齢で足腰が弱っている方に筋弛緩作用が強く出てしまうと、ふらついてしまって危ないです。トイレで夜中に目が覚めた時に、眠気も相まって転倒して骨折してしまうようなこともあります。

ロンフルマンは睡眠中に作用が持続するような睡眠薬です。このため、ふらつきには注意が必要です。承認時および市販後調査では1.01%の報告があります。軽いものも含めるともう少し多いでしょう。

 

ふらつきがみられた場合、ロンフルマンを減量するか、睡眠薬の変更を検討します。ロンフルマンを少なくすれば作用も弱くなってしまいますが、ふらつきの副作用も軽減されます。減量が難しい時は、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬のマイスリー・アモバン・ルネスタへの変更を検討しましょう。これらの睡眠薬は作用が睡眠に特化していて、筋弛緩作用が非常に少ないです。高齢の方では、積極的に切り替えを検討した方がよいかも知れません。

 

4-4.睡眠薬依存

ロンフルマンを漫然と使用していると依存が形成されます。離脱症状や反跳性不眠のために、なかなか薬をやめられなくなる方もいらっしゃいます。

睡眠薬では、依存してしまって止められなくなってしまうことがあります。ですから、ちゃんと出口を見据えて薬を使っていくことが大切です。

依存には大きく3つのポイントがあります。身体依存と精神依存と耐性の3つです。

身体依存とは、薬が急になくなってしまうことで身体がビックリしてしまう状態です。身体が薬のある状態に慣れてしまうことで、急になくなるとバランスが崩れてしまいます。身体の依存です。睡眠薬を急にやめてしまうと、むしろひどい不眠(反跳性不眠)や体調不良(離脱症状)におそわれることがあります。

精神依存とは、精神的に頼ってしまうということですが、これは効果の実感の強さが重要です。効果が早く実感され、効果がきれる実感が大きいものほど精神的に頼ってしまいます。心の依存です。不眠は非常につらいですから、睡眠薬には頼ってしまうようになります。

耐性とは、薬が体に慣れてしまい効果が薄れていくことです。はじめは1錠で効いていたのに少しずつ眠れなくなってしまう時は、耐性が形成されています。

 

睡眠薬の依存を心配されている方は多いですが、アルコールに比べたらマシです。過度に心配することはありません。医師の指示通りの量を守って服用していれば、ほとんど問題ありません。睡眠薬依存が本当に問題になるのは、睡眠薬の量がどんどん増えて大量になってしまう方です。耐性ができて薬が効かなくなっていき、その結果どんどん薬の量が増えているのです。このような方は注意が必要ですが、ちゃんとある程度の量でコントロールできているならば大丈夫です。

 

ロンフルマンはしっかりとした効果が期待できる睡眠薬です。このため効果の実感もあり、依存性があります。漫然とした使用は必ず避けなければいけません。

ロンフルマンなどのベンゾジアゼピン系睡眠薬よりも、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の方が依存性は少ないです。できれば非ベンゾジアゼピン系のマイスリー・アモバン・ルネスタなどにしたほうがよいです。

そして、睡眠薬とアルコールの併用は絶対にやめましょう。眠れないから寝酒をしている方も多いかも知れませんが、これは睡眠には悪影響です。それに加えて睡眠薬と併用すると、依存が一気に形成されてしまいます。絶対にやめましょう。

 

5.ロンフルマンが向いている人とは?

  • 入眠障害だけでなく中途覚醒や早朝覚醒もある方
  • 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の効果が期待できない方

ロンフルマンを寝る前に服用すると、15~30分くらいですぐに効果がでてきて寝つきをスムーズにしてくれます。ロンフルマンは睡眠中にもしっかりと作用してくれていて、理論的には飲み始めてから1.5時間でピークに達して、さらに7時間して半分の血中濃度になる睡眠薬です。

このため入眠障害だけでなく、途中で目が覚めてしまうような中途覚醒の方にも効果が期待できる睡眠薬です。早朝覚醒の方にもある程度の効果が期待できます。ロンフルマンの作用時間は、ちょうど睡眠時間をカバーしているのです。このようなタイプの睡眠薬としては、まず最初に使われることが多いです。

 

ロンフルマンは効果が良い睡眠薬なのですが、ふらつきや翌朝への眠気の持越しなどの副作用や依存性があります。できれば非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(マイスリー・アモバン・ルネスタ)の方が副作用や依存性は少ないです。ですがこれらの睡眠薬は作用時間が短いものばかりです。睡眠の状態から効果が期待できない方では、ロンフルマンから使うことも多いです。

 

6.一般名と商品名とは?

一般名:ブロチゾラム 商品名:レンドルミン・ロンフルマン

まったく成分が同じものでも、発売する会社が異なればいろいろな商品があるかと思います。医薬品でも同じことがいえます。このためお薬には、一般名と商品名というものがあります。

一般名というのは、薬の成分の名前を意味しています。発売する会社によらずに、世界共通で伝わる薬物の名称です。「ブロチゾラム(brotizolam)」に統一されています。主に論文や学会など、学術的な領域でこれまで使われてきました。

商品名とは、医薬品を発売している会社が販売目的でつけた名称になります。「レンドルミン(lendormin)」は、製造元であるベーリンガーインゲルハイム社がつけた名前です。眠りにつくことを意味するフランス語のl’endormirに由来しているとのことです。

 

レンドルミンは、日本では1988年から発売されています。すでに特許もきれて、ジェネリック医薬品もいろいろなものが作られました。ロンフルマンもそのうちのひとつで、他にも多数のジェネリックが発売されました。こんなに種類がありますと患者さんも違う薬と誤解して しまいますし、医療機関での薬の管理も大変になってしまいます。

このため現在では、「ブロチゾラム」という一般名(成分名)に統一がすすめられています。ブロチゾラム「会社ごとの名称」といった形になっています。この流れを受けて、ロンフルマン、レドルパー、レンデム、ゼストロミン、ネストローム、アムネゾン、ブロゾーム、ユリモランなどはブロチゾラムに名称変更されています。現在でも発売されている独自のジェネリックは、グッドミン、ソレントミン、ノクスタール、ブロメトンになります。

 

ロンフルマンの効果や副作用について詳しく知りたい方は、
ブロチゾラム錠の効果と強さ
ブロチゾラムの副作用(対策と比較)
をお読みください。

 

まとめ

ロンフルマンのメリットとしては、

  • 即効性がある
  • 入眠障害に有効
  • 中途覚醒に有効(早朝覚醒にも一定の効果)
  • 効果が比較的強い

ロンフルマンのデメリットとしては、

  • 睡眠の質が落ちる
  • ふらつきが出やすい
  • 翌朝への眠気の持越しがある
  • 依存性があり、離脱症状や反跳性不眠になることがある

ロンフルマンが向いている人は、

  • 入眠障害だけでなく中途覚醒や早朝覚醒もある方
  • 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の効果が期待できない方

投稿者プロフィール

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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