オステラック錠の効果と副作用
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
オステラックは、2003年に日本新薬で発売されたハイペンのジェネリック医薬品です。
オステラックは、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs:エヌセイド)として解熱鎮痛薬として使用されています。オステラックの特徴としては、即効性に優れており、また選択的COX-2阻害薬であるため胃腸障害などの副作用が他のNSAIDsと比較して少ないことがあげられます。
ただし注意が必要なのは、オステラックなどの解熱・鎮痛薬は症状をあくまで一時的に抑えるお薬であり、病気自体を治す治療薬ではないので注意が必要です。
ここでは、オステラックの効果の特徴を詳しくお伝えし、どのような疾患・症状に使われるのか、説明していきたいと思います。
1.オステラックのメリット・デメリット
<メリット>
- 即効性がある
- 選択的にCOX-2を阻害することで副作用が少ない
<デメリット>
- 痛みや発熱の原因を解決するわけではない
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍を悪化させるため腹痛には使えない
- 妊娠後期には使用できない
オステラックの属するNSAIDsとは、ステロイド作用を持たない炎症を抑えるお薬の事です。ステロイドは熱や痛みの原因となる炎症や免疫を抑えますが、それ以外にも様々な作用を与えてしまいます。ステロイドについて詳しく知りたい方は、「プレドニンの効果と特徴」について一読してみてください。
オステラックは、アラキドン酸カスケードをブロックすることで炎症を抑え、その効果を発揮します。炎症が抑えられると痛みを抑えるだけではなく、熱を下げる効果も期待できます。
NSAIDSは現在、20~30種類以上発売されています。その中でオステラックは、即効性に優れているという特徴があります。実際に内服して30分以内に効果を認めることが多いです。
また、NSAIDsの中でオステラックの効果は中等度です。持続時間が長いため、オステラックは3回ではなく2回の内服で1日中効果を発揮します。
さらにオステラックのもう一つの特徴としては、選択的にCOX-2を阻害することです。詳しいことは後述しますが、NSAIDsはアラキドン酸カスケードのCOXをブロックします。COXは以下の2種類があります。
- COX-1・・・胃粘膜保護や腎機能保護の役割がある
- COX-2・・・炎症の原因となる物質
多くのNSAIDsは、COX1と2両方を阻害するお薬です。そのため痛みや熱さましの効果を発揮する一方で、胃腸障害や腎機能障害を引き起こす原因となります。オステラックはCOX-2を選択的に阻害するNSAIDsです。ただしCOX-2だけを100%選択して阻害するわけではありません。一部はCOX-1も阻害するため、胃腸障害や腎機能障害はオステラックでも起こり得るため注意が必要です。
また注意が必要なのは、オステラックなどのNSAIDsは、病気を治しているわけではないということです。そのため、オステラックを飲んで痛みが落ち着いても一時的なことが多く、病気の原因を治療する必要があります。
特におなかの痛みは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍による痛みの可能性があります。この時にオステラックを使用して痛みを抑えようとすると逆効果になるため、おなかの痛みには基本的には使用しません。
さらに妊娠中もお腹の赤ちゃんに影響を与えるため、禁忌となっています。オステラックは熱や痛みを抑えるといった効果の反面、すべての人に使えるわけではないので注意が必要です。
2.オステラックの適応と投与量は?
オステラックは、鎮痛剤として多くの病気に適応があります。
オステラックは内服薬としては、
- オステラック100mg錠
- オステラック200mg錠
の2種類あります。適応疾患ですが、
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸腕症候群、腱鞘炎、手術後並びに外傷後の消炎・鎮痛
に対して適応があります。添付文章では、痛み止めとしてしか記載されていません。解熱作用もありますが、熱を急激に下げると血圧低下などの要因になるため、オステラックを解熱薬で使用することはあまりお勧めできません。
投与量ですが、成人はオステラックを200mgを1錠朝・夕食後の2回に分けて内服します。
なお、NSAIDsによっては頓服で使うこともできますが、オステラックは定期的に内服する場合のみ適応があります。
オステラックを内服する時は、空腹時に服用すること避けてください。オステラックの効果には食事の影響はないとされていますが、副作用を防ぐために食後に飲むようにするとよいでしょう。
また、きちんと胃に落とし込むために、コップ1杯の水とともに内服するようにしてください。
オステラックは、最高血中濃度に達するのが1.4時間です。NSAIDsの中でも即効性のあるお薬です。実臨床では30分程度で効く方が多いです。オステラックの消失半減期は、約6時間になります。
3.オステラックの薬価は?
オステラックは、先発品のハイペン同程度の薬価で発売されています。ただし複数の製薬会社が発売しているため注意が必要です。
次にオステラックの薬価です。まず先発品のハイペンの薬価ですが、
剤型 | 薬価 | 3割負担 | |
ハイペン | 100mg錠 | 18.2円 | 5.5円 |
ハイペン | 200mg錠 | 25.3円 | 7.6円 |
※2016年11月26日時点での薬価です。
となっています。次にオステラックの薬価です。
剤型 | 薬価 | 3割負担 | |
オステラック | 100mg錠 | 18.4円 | 5.5円 |
オステラック | 200mg錠 | 25.4円 | 7.6円 |
※2016年11月26日時点での薬価です。
となってます。先発品のハイペンとオステラックは、現時点では同程度の薬価となっています。ジェネリック医薬品としては、エトドラクも発売されています。エトドラクの薬価は、以下のようになります。
剤型 | 薬価 | 3割負担 | |
エトドラク | 100mg錠 | 8円 | 2.4円 |
エトドラク | 200mg錠 | 11.4円 | 3.4円 |
※2016年11月26日時点での薬価です。
エトドラクですと、先発品であるハイペンの約半分の薬価になります。そのためジェネリック医薬品としては、オステラックよりエトドラクの方が多くの場合選択されます。ただしエトドラク一つとっても、
- 小林化工
- 大原製薬品
- 武田テバファーマ
- 東和薬品
- 沢井製薬
など複数の製薬会社が発売しています。またジェネリック医薬品としては、
- パイペラック
といった、エトドラクオ・ステラックとは別の名前のジェネリック医薬品も発売されています。有効成分はどれも同じですが、製剤の作り方は各社で多少異なっています。とはいえ、大きな作用の差はないように作られています。
4.オステラックの副作用の特徴
オステラックの副作用として気を付けるべきものとして、胃腸障害と腎障害があります。
オステラックの添付文章では、総症例7,473例中335例(4.48%)に副作用が認められました。その主なものは、
- 腹痛(1.58%)
- 悪心・嘔吐(0.48%)
- 食欲不振(0.25%)
- 下痢(0.24%)
- 口内炎(0.17%)
- 消化不良(0.17%)
- 胃炎(0.16%)
- 発疹(0.45%)
- そう痒感(0.16%)
となっています。一番多いのは、消化器症状などの胃腸障害です。これは、オステラックがアラキドン酸カスケードのCOXという物質を阻害するためです。COXは、1と2に分けられます。
- COX-1は、胃粘膜や血小板などを含め多くの細胞に常に発現しており、痛みの症状とは無関係です。逆にCOX-1を邪魔することで胃が荒らされて胃潰瘍や十二指腸潰瘍になる副作用が出現します。
- COX-2は、体が炎症など種々の刺激を受けると、関連細胞で発現が増します。これが阻害されると、痛みや炎症を引き起こすサイトカインの産生が抑えられます。つまりNSAIDsは、COX-2に結合することで鎮痛作用を発揮するのです。
オステラックは選択的にCOX-2を阻害するお薬です。ただし一部は、COX-1も阻害してしまうため、胃があれてしまうこともあります。このことが、結果として腹痛や嘔気につながります。他のNSAIDsに比べると副作用が出現しづらいと言われていますが、添付文章では1%前後出現します。
少なくともオステラックは、200mgを2錠、朝・夕という用法通りに使っても副作用が起こることがあるお薬です。選択的にCOX-2を阻害するから副作用が少ないとはいえ、乱用すると非常に危ないお薬なので注意しましょう。
また、オステラックは主に腎臓で排泄されるため、漫然と服用していると、気が付かないうちに腎臓を傷めてしまうことがあります。腎臓も傷つけるのもCOX-1を阻害することで起きます。
そのため、どのような副作用があるのかよく理解して使用することが大切です。これらの副作用の対策について詳しく知りたい方は、「ロキソニンの副作用と安全性」を一読してみてください。
5.オステラックが使用できない疾患は?
オステラックは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある人には使用できません。また、アスピリン喘息の方は使用できません。
オステラックの添付文章では、
- 消化性潰瘍のある患者[消化性潰瘍が悪化することがある。]
- 重篤な血液の異常のある患者[血小板機能障害を起こし、悪化するおそれがある。]
- 重篤な肝障害のある患者[副作用として肝障害が報告 されており、悪化するおそれがある。]
- 重篤な腎障害のある患者[急性腎不全、ネフローゼ症候群等の副作用を発現することがある。]
- 重篤な心機能不全のある患者[心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させるおそれがある。]
- 重篤な高血圧症のある患者[血圧を更に上昇させるおそれがある。]
- 本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者
- アスピリン喘息[喘息発作を誘発することがある。]
となっています。この中で注意が必要なのは、
- 胃腸障害
- アスピリン喘息
の2つです。
②~⑥は、「重篤な」という一言がついています。基本的にどの疾患にしろ重篤な状態であれば、入院で加療することがほとんどです。特に上記にあげられる病態は、命に関わることが多いです。そのためこれらの②~⑥でオステラックの使用に注意するのは、患者さん側ではなく処方する医師側になります。
そのため患者さんにとって気を付けるとするならば、消化性潰瘍とアスピリン喘息の2つになります。
オステラックは副作用で説明したように、痛みの原因となるCOX-2を選択的に抑えると同時に、一部は胃の粘膜を保護するCOX-1も阻害してしまうため胃があれてしまうのです。ここで大切なことは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍と知らずにオステラックを連用してしまうことです。
オステラック=万能薬と考えている人は、お腹の痛みに対してもオステラックを飲んでしまう人が多いです。しかしそのお腹の痛みの原因が胃潰瘍や十二指腸潰瘍であれば、逆にオステラックを飲んだせいで病状が悪化してしてしまいます。そのため腹痛の人は、絶対にオステラックを安易に飲まないようにしましょう。
またアスピリン喘息は、喘息の中でもかなり特殊な病態です。喘息は、もともとは気道の慢性炎症によって気管支が狭くなる病気です。一般的には、Ⅰ型アレルギーに属します。Ⅰ型アレルギーは、好酸球やIgEが関与するアレルギー疾患で、他には花粉症や蕁麻疹などが挙げられます。
しかし最近、アレルギー以外が原因となる喘息があることが分かってきました。実はこの非アレルギー性の喘息の方が、対策もしづらく難治性といわれています。アレルギーではないということは分かっているのですが、細かい機序までは解明できていないためです。アスピリン喘息は、この非アレルギー性の喘息のひとつになります。
アスピリン喘息について詳しく知りたい方は、「痛み止めで喘息に?アスピリン喘息の症状と特徴」を一読してみてください。
以前はNSAIDsすべて危険とされていたためオステラックも禁忌とされていました。しかし最近は、COXの中でも、アスピリン喘息はCOX-1を阻害することで発作が起きることが分かってきました。痛み止めとして効力を発揮するのはCOX-2です。そのため選択的にCOX-2を阻害するNSAIDsであれば、処方しやすいことが分かっています。
そのためオステラックは、アスピリン喘息でもNSAIDsの中ではリスクが少ないと考えられています。ただし最も選択的にCOX-2を阻害するお薬は、現時点ではセレコックスです。そのため、セレコックスよりオステラックを優先してアスピリン喘息に使用する理由は、今は少ないかもしれません。
6.オステラックは高齢者、小児、妊婦には使用できるの?
オステラックは、高齢者には慎重に投与するように記載されています。小児は推奨されていません。妊娠末期の妊婦の方も使用できないので、注意が必要です。
まずご高齢の方ですが、オステラックは高齢者に対しては慎重に投与するように記載されています。理由としては、副作用が出やすいためとあります。特に上の文章をもう一度見て欲しいのですが、
- 腎臓
- 血液
- 肝臓
- 心臓
などに病気がある方は慎重投与になっているお薬です。しかし、これらの疾患は高齢者ですと指摘されてなくても悪いことが多々あります。またオステラックは、即効性のある解熱鎮痛薬です。どうしても若年者よりも免疫機能・体力が落ちているため、オステラックで様子を見ていたらあっという間に状態が悪くなったということが多々あります。
また小児に関しては、オステラックは安全性が確立されていません。添付文章には、小児等に対する安全性は確立していないと記載されています。
NSAIDsも数多く処方されています。NSAIDsの中でもポンタールやソランタールは、小児用の量も記載されており使いやすいので、そちらを使用した方が良いでしょう。
妊婦の方は、オステラックはかなり注意が必要です。オステラックはお腹の赤ちゃんへ血液を介して移行するため、「動脈管閉塞」が生じることが報告されています。
お腹の中にいる赤ちゃんは羊水の中にいるために、自分自身で息を吸ったり吐いたりすることができません。そのため赤ちゃんは、お母さんが吸った酸素をもらって体に酸素行き渡らせます。その酸素を運ぶ血液の経路ですが、心臓から出た血液の大半は動脈管を介して大動脈に流入して全身に行きます。
つまり心臓と体を結ぶ大切な血管が動脈管なのです。そこが閉塞すると、心臓から流出する血液が体に行き渡らなくなってしまい、非常に重篤な状態になります。オステラックはこの動脈管を塞いでしまいます。動脈管の働きが重要になるのが妊娠後期です。そのため妊娠後半には、絶対にオステラックを飲まないでください。
また添付文章には、産後にお母さんがオステラックを飲んだ際は、授乳は避けるようにと書かれています。赤ちゃんにオステラックの成分が移行するからです。しかしこれも医師の考え方によってまちまちで、一定の見解は得られていません。
もしオステラックが心配な人は、カロナールなどNSAIDs以外の痛み止めを処方してもらうと良いかもしれません。
7.オステラックとハイペンの効果と副作用の比較
先発品・ジェネリックの効果と副作用は、大きな違いはないと考えられます。
先発品のハイペンをジェネリックのオステラックに変えれば、薬価が少し安くなります。少しの値段ではありますが、腰痛などで毎日飲む人は月単位・年単位となります。このように考えると、ジェネリック医薬品を希望される方も少なくないでしょう。
多くの方が気になるのは、先発品とジェネリック医薬品で効果と副作用が同じかどうかだと思います。
ジェネリック医薬品では、有効成分は先発品とまったく同じものを使っています。ですから、効果や副作用の大まかな特徴は同じになります。先発品とジェネリック医薬品の違いは、薬を作るときの製造技術です。ジェネリック医薬品を作る時に求められるのは、薬の吸収・排泄と安定性の2つが先発品と同等であることです。
製薬会社によって多少の差はありますが、ほどんど同等と考えてよいかと思います。またオステラックは血中濃度を厳密にコントロールするお薬でもないため、ハイペンからオステラックに変えたからといって、効果が減ったり副作用が増えたりといったことはほとんどありません。
ジェネリック医薬品について詳しく知りたい方は、「ジェネリック医薬品の問題点とは?ジェネリックの効果と副作用」をお読みください。
8.オステラックが向いてる人は?
<向いてる人>
- 手術後やリウマチなどで痛みの原因が分かっている方
- NSAIDsを長期間内服する方
NSAIDsは現在、20~30種類以上登場しています。その中でオステラックの特徴としては、鎮痛作用の即効性です。痛み止めとして飲むのなら、どなたも早く効いた方が良いと思うかもしれません。しかし医師からすると、痛みは何か異常があるという警報機です。急な痛みに対して、即効性のある痛み止めを使用して抑えようとするのはかなりリスクがあります。
- 急激な胸の痛みで心筋梗塞だった
- 急激な頭の痛みで脳出血だった
- 急激なおなかの痛みで腸管に穴が開いてた
これらは、オステラックなどの痛み止めで様子を見ていると命に関わることもあります。急激な痛みですぐに痛みを治して欲しいと思うときこそ、痛み止めを使用せずにまずは病院で診察してもらいましょう。そのため、痛みの原因がはっきりと診断がつけられている方、例えば術後の疼痛やリウマチなどの方がオステラックは良い適応かと思います。
またオステラックのもう一つの特徴として、選択的COX-2阻害薬であることがあります。これを意識的に使うべきなのは、長期間NSAIDsを内服する方です。NSAIDsは胃腸障害が最もよく起きますが、1~2錠内服しただけで急に起きることは少ないです。長期間NSAIDsを内服して徐々に胃腸が荒れる場合が多いです。そのためNSAIDsを長期間内服する方は選択的にCOX-2を阻害するオステラックが良いでしょう。
先ほどの術後の疼痛やリウマチの方は、NSAIDsを1~2回内服しても一時的にしか改善せず長期間服用する場合も多いため、オステラックが良い適応でしょう。
9.オステラックの作用機序は?
オステラックは、プロスタグランジンを産生するアラキドン酸カスケードのCOXを阻害して痛みや発熱を抑えます。
痛み、すなわち疼痛は、人それぞれです。一般的に、
- 侵害受容性疼痛
- 神経障害性疼痛
- 心因性疼痛
に分けられますが、人によっては混在するケースもあります。それぞれの内容ですが、
①侵害受容体性疼痛は、痛みを感じる神経が刺激しておこる痛みです。
- 腕に火傷をおった
- 風邪をひいて喉にばい菌がついた
- 足に切り傷を負った
など必ず原因があります。その原因を脳に知らせるために神経が刺激されて感じる痛みです。
②神経障害性疼痛は、神経そのものが損傷された時の痛みです。じりじりと痺れるなどの特徴的な痛みが多いです。帯状疱疹など神経がウィルスにやられる場合や、手術で神経を傷つけた時に起こります。
③心因性疼痛は、気持ちからくる疼痛です。体は問題ないのにストレスなどから痛いと感じる疼痛です。
オステラックは主に、①の侵害受容性疼痛に使われます。
一般的にオステラックを含むNSAIDsは鎮痛作用だけでなく、抗炎症・解熱作用を有しますが、とくにオステラックは鎮痛作用が強いのです。その作用機序を説明します。
侵害受容性疼痛には、過剰なプロスタグランジン(以下、PG)が関係しています。オステラックを含むNSAIDsは、PGを生産する経路であるアラキドン酸カスケードをブロックすることでその効果を発揮します。その作用点は、シクロオキシゲナーゼ(以下COX)です。
COXには、2つあることが分かっています。
- COX-1は、胃粘膜や血小板などを含め、多くの細胞に常に発現しており、痛みの症状とは無関係です。逆にCOX-1を邪魔することで胃が荒らされて、胃潰瘍や十二指腸潰瘍になる副作用が出現します。
- COX-2は、体が炎症など種々の刺激を受けると、関連細胞で発現が増します。これが阻害されると、痛みや炎症を引き起こすサイトカインの産生が抑えられます。つまりNSAIDsは、COX-2に結合することで鎮痛作用を発揮するのです。
この作用機序は、NSAIDsの共通の作用です。オステラックはCOX-2を選択して阻害するNSAIDsです。ただしCOX-1も一部阻害するため胃腸障害が全く起きないわけではないので注意しましょう。
その他にオステラックは
- 免疫の働きがある白血球の遊走を抑制する
- 痛みの原因のブラジキニンの合成を抑制する
といったアラキドン酸とは別の作用ももっています。別の作用機序も持ち合わせていることで炎症を抑えるお薬です。
まとめ
<メリット>
- 即効性がある
- 選択的にCOX-2を阻害することで副作用が少ない
<デメリット>
- 痛みや発熱の原因を解決するわけではない
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍を悪化させるため腹痛には使えない
- 妊娠後期には使用できない
<向いてる人>
- 手術後やリウマチなどで痛みの原因が分かっている方
- NSAIDsを長期間服用する方
投稿者プロフィール
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
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