ワイパックス錠0.5mg・1mgの薬価と使い分け

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ワイパックスは効果のわりに副作用の少ない抗不安薬で、使い勝手のよさからよく使われています。不安感や緊張感をしっかりと抑えてくれるお薬です。

ワイパックスの錠剤としては、0.5mgと1mgの規格が発売されています。ワイパックスは、頓服として使われるときと常用薬として使われるときがあります。ここでは、ワイパックス錠0.5mgと1mgの実際の使い方や薬価についてご紹介していきます。

ワイパックスの効果について詳しく知りたい方は、
ワイパックス錠の効果と効き目の強さ
をお読みください。

 

1.ワイパックス錠0.5mg・1mgの使い分け

ワイパックスは頓服で使う場合と常用する場合があります。頓服としては0.5~1mg、常用薬としては1~3mgで使っていきます。

ワイパックスを使っていく時は、できるだけ少なく使っていくように意識していきます。

ワイパックスを使う時のステップとしては3段階あります。

①ワイパックス頓服
②メイラックスなどの長時間型抗不安薬+ワイパックス頓服
③ワイパックス常用

 

できれば①のように、休肝日ならぬ「休薬日」が作れると理想的です。例えば、

  • 普段は何ともないけれども、何かきっかけがあるとつらい方
  • 仕事のある月~金はつらいけど、土日は大丈夫という方
  • 週末だけがつらい方

こんな場合は、つらい時だけに服用する「頓服」で何とかなるかもしれません。頓服ですと、薬に依存することもありません。

 

不安やつらい時が多く、1日中カバーする必要がある時は常用していきます。このような時には、まずは②のように長時間作用型の抗不安薬(メイラックスなど)を常用しながら、ワイパックスを頓服として使っていきます。長時間型の抗不安薬は即効性には欠けるものの、身体にお薬がたまっていって1日中効果を発揮します。長時間型のお薬は身体からゆっくりと抜けていくので、依存もしにくいです。

それでもコントロールできない時は、③のようにしっかりとワイパックスを常用します。ワイパックスは抗不安作用が強いわりには眠気やふらつきの副作用が少なく、常用されることも多いです。

 

頓服として使う時は、ワイパックスは0.5mgから使っていきます。0.5mgで効果が不十分でしたら、1mgに増量します。3mgまで使えるお薬ですが、頓服として使う量は1回1mgまでです。

1mg使う時は、0.5mg錠剤2つとすることも1mg錠剤1つとすることもあります。0.5mg錠剤にしておいた方が、不安の程度によって量をかえることができます。ジェネリックでは薬価に差が出てしまいますが、そこまで大きな違いではありません。

ワイパックスを常用する場合は、1mg~3mgで使っていきます。1日2回~3回で使っていくことが多く、一番しっかりと使う方では1mg錠を3回(3mgまで)服用できます。

 

2.ワイパックス錠とロラゼパム錠での違い(薬価)

ワイパックスとロラゼパムでは、0.5mgの薬価にはほとんど差がありません。1mgでは、ロラゼパムにすると5割になります。

ジェネリックになると安くなると言われていますね。ワイパックスは発売が古く、もともと安いお薬です。ですから、先発品とジェネリックではほとんど薬価がかわりません。実際に薬価を比較してみましょう。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
ワイパックス錠 0.5mg 6.1円
ワイパックス錠 1mg 11.2円

<ジェネリック(後発品)>

商品名 剤形 薬価
ロラゼパム錠 0.5mg 5円
ロラゼパム錠 1mg 5.6円

 

ワイパックス0.5mgでは、ジェネリックのロラゼパムと薬価がほとんど変わりませんね。「ジェネリックにしてください」と薬局でお願いしたら、ほとんど金額が変わらなくてビックリされる方もいらっしゃいます。ワイパックスが古くからある薬なので、十分に安いお薬だからです。

ワイパックス1mgになると、ジェネリックにするメリットが出てきます。ジェネリックにすると5割の薬価になります。量をたくさん使っている方は、ジェネリックのロラゼパムに変えてもよいかもしてませんね。

 

ワイパックスのジェネリックは、かつてはユーパンという薬が有名でした。ジェネリックの名称は一般名(成分名)に統一するという最近の流れをうけて、2013年からロラゼパム「サワイ」に名称変更されました。

 

※2015年9月14日現在の薬価です。

 

3.ワイパックス錠とロラゼパム錠での違い(効果や副作用)

ワイパックスとロラゼパムには多少の血中濃度の変化に違いがあります。効果や副作用の出方が、多少異なる可能性はあります。

成分が同じだからといってまったく効果が同じかというと、そういうわけではありません。薬のコーティング、溶け方、吸収のされ方などは、製薬会社によって異なります。とはいってもワイパックスの後発品と認めてもらうためには、ちゃんと基準があります。ジェネリックのロラゼパムを服用してからの血中濃度の変化が、ワイパックスと比べて誤差80~125%の間にあることが条件なのです。

だいたいは同じような効き方をするのですが、血中濃度がピークになるまでの時間(最高血中濃度到達時間)や血中濃度が半分になるまでの時間(半減期)に違いが出てきます。即効性のある抗不安薬の場合は、作用時間のスピードが重要です。作用時間がかわることで、効果や副作用に違いがでることがあります。

 

ワイパックスは最高血中濃度到達時間が2時間、半減期が12時間のお薬です。ジェネリックのロラゼパムでは、ワイパックスと同等性は示されていますが、詳しいデータの違いは見つけることができませんでした。

有効成分はまったく同じなので、効果や副作用の特徴に大きな違いがあるわけではありません。ですが、まったく同じ薬かというとそういうわけではありません。血中濃度の変化に違いがあるので、それに応じて効果の発現・作用時間・副作用の強さなどが多少異なってきます。ワイパックスは実感があるお薬なので、この違いを大きく感じる方もいらっしゃいます。

 

4.ワイパックスは漫然と使わないこと!

ワイパックスは段階的に量を増やしていき、落ち着いたら段階的に減量していく意識を持ちましょう。

ワイパックスは強力な効果がある反面、依存性が強い抗不安薬です。長期間にわたって使っていると、依存が形成されてしまうことが多いです。ですから、漫然とした使用は避けなければいけません。

ワイパックスを使う時は、できるだけ頓服で使うようにします。連用しなければ依存は形成されにくくなります。アルコールをイメージしていただくと分かりやすいと思いますが、休肝日をちゃんと作っていればアル中になったりしないですよね。これと同じです。

ワイパックスを使っていくステップは、

①ワイパックス頓服
②メイラックスなどの長時間型抗不安薬+ワイパックス頓服
③ワイパックス常用

となっていましたね。必要な量を使うようにしましょう。そして、状態が落ち着いてきたら少しずつ減らしていくことが必要です。最終的には、「ワイパックスはお守り」となってくれれば理想的ですね。

 

ワイパックスの依存について詳しく知りたい方は、
ワイパックスの依存性と8つの対策
をお読みください。

 

まとめ

ワイパックスは頓服で使う場合と常用する場合があります。頓服としては0.5~1mg、常用薬としては1~3mgで使っていきます。

ワイパックスとロラゼパムでは、0.5mgにはほとんど差がありません。1mgでは、ロラゼパムにすると5割になります。

ワイパックスとロラゼパムには多少の血中濃度の変化に違いがあります。効果や副作用の出方が、多少異なる可能性はあります。

ワイパックスは段階的に量を増やしていき、落ち着いたら段階的に減量していく意識を持ちましょう。

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