ワイパックスとジェネリックの違いとは?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ワイパックスは1978年に発売されたので、40年近い年月がたっています。このため、既にジェネリックが発売されています。

ワイパックスのジェネリックは「ロラゼパム」という商品名で発売されています。以前は、ユーパンという商品で販売されていました。ジェネリック医薬品を一般名(成分名)に統一する流れの中で、2013年12月からユーパンもロラゼパム「サワイ」と名称変更されました。

先発品のワイパックスとジェネリック(ロラゼパム)にはどのような違いがあるのでしょうか?詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

1.ロラゼパムとは?

ワイパックスのジェネリックとして発売されています。

ワイパックスの有効成分はロラゼパムといいます。ワイパックスは日本では1978年から発売されています。

開発には莫大なお金がかかりますので、その権利を保障するために10年ほどは特許で守られます。この特許がきれると、ジェネリックが発売できるようになります。ワイパックスもすでに特許がきれているので、ジェネリックが発売されています。

薬によっては様々な名前のジェネリックが発売されていることもありましたが、紛らわしさから一般名(成分名)に統一しようという流れになってきています。ワイパックスであれば、ロラゼパムに統一しようということになります。

ワイパックスのジェネリックとしては、沢井製薬から発売されているロラゼパムのみになります。もともとは、ユーパン錠という商品でした。ユーパンも長く発売されていたので知名度も高かったのですが、現在の流れにそって、ユーパンからロラゼパム「サワイ」に変更されました。

 

2.ワイパックスとジェネリックの違い(薬価・剤形)

ワイパックスとロラゼパムでは、0.5mgの薬価にはほとんど差がありません。1mgでは、ロラゼパムにすると5割ほどになります。

ジェネリックになると安くなると言われていますね。ワイパックスは発売が古く、もともと安いお薬です。ですから、少ない量では先発品とジェネリックではほとんど薬価がかわりません。実際に薬価を比較してみましょう。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
ワイパックス錠 0.5mg 6.1円
ワイパックス錠 1mg 11.2円

<ジェネリック(後発品)>

商品名 剤形 薬価
ロラゼパム錠 0.5mg 5.0円
ロラゼパム錠 1mg 5.6円

 

ワイパックス0.5mgでは、ジェネリックのロラゼパムと薬価はほとんど変わりませんね。「ジェネリックにしてください」と薬局でお願いしたら、ほとんど金額が変わらなくてビックリされる方もいらっしゃいます。これは、もともとワイパックスが安いお薬だからです。

ワイパックス1mgになると、ジェネリックにするメリットが出てきます。ジェネリックにすると5割くらいの薬価になります。用量をたくさん使っている方は、ジェネリックのロラゼパムに変えてもよいかもしてませんね。

 

※2015年9月12日現在の薬価です。

 

3.ワイパックスとジェネリックの効果の違い

ほとんど効果は同じと考えられますが、効き方の違いを感じる方もいます。

ワイパックスの効果について知りたい方は、
ワイパックス錠の効果と効き目の強さ
をお読みください。

 

成分が同じだからといってまったく効果が同じかというと、そういうわけではありません。薬のコーティング、溶け方、吸収のされ方などは、製薬会社によって異なります。このように製薬会社によって違いはありますが、ワイパックスのジェネリックと認めてもらうためには、ちゃんと基準があります。

ジェネリックのロラゼパムを服用してからの血中濃度の変化が、ワイパックスと比べて誤差80~125%の間にあることが条件なのです。

こういわれると最大で45%も違うのかと驚かれるかもしれませんが、そういうことではありません。薬の吸収や代謝の個人差を考えれば、この間に入っていれば統計的に同じとみなせるのです。

実際に930ものジェネリックと先発品を比較すると、最大血中濃度では4.61±3.41%の差しかなかったと報告されています。

 

このようにロラゼパムとワイパックスでは、血中濃度がピークになる時間や身体から薬が抜けていくスピードなどがほとんど同じです。この違いは小さいのですが、人によってはちょっとした差を感じる方もいらっしゃいます。

ですから、ジェネリックにかえたことで調子が悪くなる方もいらっしゃいます。先発品とジェネリックの違いもありますが、気持ちの問題も大きいです。薬を変えてしまったということを不安に思ってしまったり、ジェネリックだから効果が弱いという思い込みなどから効かなくなってしまうこともあります。

ジェネリックにしてから調子がよくないと思ったら、主治医に相談して先発品のワイパックスにかえてもらいましょう。

 

4.ワイパックスとジェネリックの副作用の違い

副作用のおおまかな特徴は同じですが、眠気やふらつきの出方が多少異なることがあります。

ロラゼパムの副作用について知りたい方は、
ワイパックスの副作用(対策と比較)
をお読みください。

 

ジェネリックのロラゼパムは、ワイパックスと有効成分は全く同じです。有効成分が同じですから、副作用のおおまかな特徴はかわりません。ですが、薬の効き方が多少異なりますので、副作用の出方に影響があります。

薬の血中濃度のピークは、ワイパックスが2時間後となっています。ロラゼパムもほとんど変わらないことが示されていますが、人によっては副作用の出方も異なります。半減期は12時間としばらく効果も続くので、眠気やふらつきの副作用には注意が必要です。

 

まとめ

ロラゼパムは、ワイパックスのジェネリックとして発売されています。

ワイパックスとロラゼパムでは、0.5mgの薬価にはほとんど差がありません。1mgでは、ロラゼパムにすると5割ほどになります。

ほとんど効果は同じと考えられますが、効き方の違いを感じる方もいます。

副作用のおおまかな特徴は同じですが、眠気やふらつきの出方が多少異なることがあります。

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