セルシン錠2mg・5mg・10mgの薬価と使い分け

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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セルシンは50年以上前からある抗不安薬で、抗不安作用に加えて催眠作用、筋弛緩作用、抗けいれん作用も期待できます。このため、いまだに幅広く使われているお薬です。

セルシンの錠剤としては、2mgと5mgと10mgの規格が発売されています。セルシンは頓服として使われるときと、常用薬として使われるときがあります。ここでは、セルシン錠2mgと5mgと10mgの実際の使い方や薬価についてご紹介していきます。

セルシンの効果について詳しく知りたい方は、
セルシン錠の効果と強さ
をお読みください。

 

1.セルシン錠2mg・5mg・10mgの使い分け

セルシンは頓服で使う場合と常用する場合があります。頓服としては2~5mg、常用薬としては4~15mg(20mgまで)で使っていきます。

セルシンを使っていく時は、できるだけ少なく使っていくように意識していきます。

セルシンを使う時のステップとしては3段階あります。

①セルシン頓服
②セルシン少量常用+セルシン頓服
③セルシンしっかり常用

 

できれば①のように、休肝日ならぬ「休薬日」が作れると理想的です。例えば、

  • 普段は何ともないけれども、何かきっかけがあるとつらい方
  • 仕事のある月~金はつらいけど、土日は大丈夫という方
  • 週末だけがつらい方

こんな場合は、つらい時だけに服用する「頓服」で何とかなるかもしれません。頓服ですと、薬に依存することもありません。

 

不安やつらい時が多く、1日中カバーする必要がある時は常用していきます。このような時には、まずは少量のセルシンを常用しながら、不安が強い時だけ頓服を使っていきます。2週間くらい服用を続けていると、身体にお薬がたまっていきます。効果をじっくりとみながら、適切な量に調節します。

少量のセルシンではコントロールできない時は、③のようにしっかりとセルシンを常用します。セルシンは依存性は低いお薬ではありますが、漫然と使い続けないようにしましょう。

 

頓服として使う時は、セルシンは2mgから使っていきます。2mgで効果が不十分でしたら、2mg錠2つで4mgとするか5mg錠1つとすることが多いです。20mgまで使えるお薬ですが、頓服として使う量は1回5mgまでです。

セルシンを常用する場合は、4mg~15mgで使っていきます。1日2回~3回で使っていくことが多く、一番しっかりと使う方では5mg錠を3回(15mg)服用します。それでも効果が不十分な方は、20mgまでなら使えるようになっています。このため、15mg服用しても不安が強い時には、2mgか5mgの頓服を使っていくこともできます。

10mg錠を使う時は、即効性を期待して使いません。就寝前などに服用して、持続的な効果を期待して使います。セルシンは作用時間がとても長いので、飲み続けていくことで1日中効果が出てきます。

 

2.セルシン錠とジアゼパム錠での違い(薬価)

セルシンとジアゼパムでは、2mgの薬価にはほとんど差がありません。ジアゼパムでは、5mgでは6割、10mgでは3割ほどになります。

ジェネリックになると安くなると言われていますね。セルシンは発売が古く、もともと安いお薬です。ですから、先発品とジェネリックではほとんど薬価がかわりません。実際に薬価を比較してみましょう。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
セルシン錠 2mg 5.9円
セルシン錠 5mg 9.2円
セルシン錠 10mg 18円
セルシン散 1% 17.3円/g
セルシンシロップ 0.1% 17.6円/ml
ホリゾン錠 2mg 5.9円
ホリゾン錠 5mg 9.2円
ホリゾン散 1% 16.1円/g

<ジェネリック(後発品)>

商品名 剤形 薬価
ジアゼパム錠 2mg 5.6円
ジアゼパム錠 5mg 5.6円
ジアゼパム錠 10mg 5.6円
ジアゼパム散 1% 6.2円/g
セレナミン錠 2mg/5mg 5.6円/5.7円
ジアパックス錠 2mg/5mg 5.6円/5.7円

 

セルシン2mgでは、ジェネリックのジアゼパムと薬価はまったくかわりません。「ジェネリックにしてください」と薬局でお願いしても、金額が変わらなくてビックリされる方もいらっしゃいます。これはセルシンが50年以上前に作られているので、十分に安くなっているためです。

セルシンは量が増えると薬価が高くなっていきますが、ジェネリックのジアゼパムでは薬価が変わりません。このため、セルシンは5mgや10mgになるとジェネリックにするメリットが出てきます。ジェネリックにすると、5mgでは6割、10mgでは3割くらいの薬価になります。セルシンの量が多い方は、ジェネリックのジアゼパムに変えてもよいかもしれませんね。

先発品のセルシンには10mg錠が発売されていますが、同じく先発品のホリゾンでは発売されていません。

 

※2015年9月20日現在の薬価です。

 

3.セルシン錠とジアゼパム錠での違い(効果や副作用)

セルシン錠とジアゼパム錠には多少の血中濃度の変化に違いがあります。ジアゼパム錠を作っている製薬会社によっても異なります。このため、同じ薬局でお薬をもらうようにしましょう。

成分が同じだからといってまったく効果が同じかというと、そういうわけではありません。薬のコーティング、溶け方、吸収のされ方などは、製薬会社によって異なります。とはいってもセルシンの後発品と認めてもらうためには、ちゃんと基準があります。ジェネリックのジアゼパムを服用してからの血中濃度の変化が、セルシンと比べて誤差80~125%の間にあることが条件なのです。

だいたいは同じような効き方をするのですが、血中濃度がピークになるまでの時間(最高血中濃度到達時間)や血中濃度が半分になるまでの時間(半減期)に違いが出てきます。即効性のある抗不安薬の場合は、作用時間のスピードが重要です。作用時間がかわることで、効果や副作用に違いがでることがあります。

 

セルシンは最高血中濃度到達時間が1時間、半減期が57時間のお薬です。

有効成分はまったく同じなので、効果や副作用の特徴に大きな違いがあるわけではありません。ですが、まったく同じ薬かというとそういうわけではありません。血中濃度の変化に違いがあるので、それに応じて効果の発現・作用時間・副作用の強さなどが多少異なってきます。セルシンは実感のあるお薬なので、この違いを大きく感じる方もいらっしゃいます。

ジェネリックにもいろいろな商品があるので、製薬会社によって効き方は少しずつ異なります。薬局にはジェネリック医薬品は決まったものしか置いていません。ですから、ジェネリックを使う場合は同じ薬局でお薬をもらうようにしましょう。

 

4.セルシンは漫然と使わないこと!

セルシンは段階的に量を増やしていき、落ち着いたら段階的に減量していく意識を持ちましょう。

セルシンは依存性が低いものの、長期間にわたって使っていると身体に慣れてしまいます。ですから、漫然とした使用は避けなければいけません。

セルシンを使う時は、まずはできるだけ頓服で使うようにします。連用しなければ依存は形成されにくくなります。アルコールをイメージしていただくと分かりやすいと思いますが、休肝日をちゃんと作っていればアル中になったりしないですよね。これと同じです。

セルシンを使っていくステップは、

①セルシン頓服
②セルシン少量常用+セルシン頓服
③セルシンしっかり常用

でしたね。必要な量を使うようにしましょう。そして、状態が落ち着いてきたら少しずつ減らしていくことが必要です。最終的には、「セルシンはお守り」となってくれれば理想的ですね。

 

まとめ

セルシンは頓服で使う場合と常用する場合があります。頓服としては2~5mg、常用薬としては4~15mgで使っていきます。

セルシンとジアゼパムでは、2mgの薬価にはほとんど差がありません。ジアゼパムでは、5mgでは6割、10mgでは3割ほどになります。

セルシン錠とジアゼパム錠には多少の血中濃度の変化に違いがあります。ジアゼパム錠を作っている製薬会社によっても異なります。このため、同じ薬局でお薬をもらうようにしましょう。

セルシンは段階的に量を増やしていき、落ち着いたら段階的に減量していく意識を持ちましょう。

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