リポバスの副作用と安全性

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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リポバスは、主に脂質異常症・高脂血症・高LDL血症といった病名に使用されるスタチン系のお薬です。

リポバスはLDLコレステロールを下げる力が非常に強いですが、筋肉痛などの症状で起きる「横紋筋融解症」には注意が必要です。また肝機能障害が重篤な人、妊娠中の人には使用できません。

またリポバスはCYP3A4に関与するお薬との併用に注意が必要です。

リポバスの内服が開始された方は、1日や2日といった短い期間ではなく、長期間続けることになります。ここでリポバス錠の副作用と安全性についてしっかりと確認していきましょう。

 

1.リポバスの副作用について

リポバスの副作用で最も注意が必要なのは、肝障害と横紋筋融解症です。

リポバスの添付文章では531例中、副作用は48例(9. 04%)に認められました。主なものは、

  • 筋肉痛7件
  • 倦怠感6件
  • 便秘4件
  • 痒3件
  • 発疹3件
  • 浮腫3件

でした。また、臨床検査値の異常変動は、86例(16. 20%)に認められました。主なものは、

  • CK(CPK)上昇26件
  • ミオグロビン上昇21件
  • LDH上昇16件
  • ALT(GPT)上昇16 件
  • γ-GTP上昇15件

でした。まずリポバスは、HMG-CoA還元酵素阻害薬として肝臓に作用して効果を発揮するため、肝機能障害を起こすお薬です。その結果、

  • γ-GTP
  • 血清ALT(GPT)

が上昇しますし、肝機能障害として軽度の倦怠感が認めることがあります。一方で肝機能障害は、そこまで重篤化することは少ないですし、薬剤をやめれば多くは改善します。

リポバス含めてスタチン系の副作用として最も怖い副作用が、筋肉を溶かす横紋筋融解症です。筋肉が溶かされると、クレアチンキナーゼ(CK)という筋肉を構成する物質が血液内に増えます。その副作用がリポバスでも認めます。横紋筋融解症の症状として、

  • 筋肉痛
  • 筋疲労
  • 褐色尿
  • 倦怠感

などが挙げられます。なお、横紋筋融解症や肝機能障害含めて、リポバスの副作用は投与初期にみられることが多く、その多くは投与をやめることで回復します。そのため脂質異常症の改善の確認も含めてリポバス内服中は採血で経過観察することが望まれます。

少なくともリポバスを投与開始してから1か月~3か月の間に、一度は採血することが推奨されています。リポバスなどのスタチン系の副作用の対策についてさらに詳しく知りたい方は、「クレストールで筋肉痛が出たら要注意?クレストールの副作用について」を一読してみてください。

 

2.リポバスが使用できない疾患は?

リポバスは、肝臓が悪い人は使用できません。

リポバスが使用できない疾患は肝臓が悪い人です。リポバスの添付文章でも、

重篤な肝障害又は胆道閉塞のある患者〔これらの患者では本剤の血漿中濃度が上昇し、副作用の発現頻度が増加するおそれがある。また、肝障害を悪化させるおそれがある。〕

と記載されています。リポバスの血中濃度が急激に上昇することは副作用も出やすく非常に危険なため、肝機能が悪い人には禁忌になっています。一方で、リポバスを内服する脂質異常症の方の中には、

  • アルコール性肝炎
  • アルコール性肝硬変
  • 脂肪肝

などの人がいます。このような方は脂質異常症も合併しやすいので、リポバスを内服させたいところです。ただし肝臓の病気が軽度でなければ、

を徹底して肝機能を改善する必要があります。生活習慣を整えて肝臓の機能が改善してからではないと、リポバスは使用できません。また、肝臓の病気が指摘された方は、リポバスが処方されても肝機能が悪化した場合は中止になってしまいます。

そもそも脂質異常症の治療自体がお薬だけではなく、食事療法や運動療法が第一の柱になります。リポバスを処方された方は肝臓が悪くなくても、一度生活習慣を見直してみることからはじめましょう。

 

3.リポバスで飲み合わせが悪い薬は?

CYP3A4で代謝されるお薬・フィブラート系のお薬は併用できません。特に中性脂肪を下げるフィブラート系の薬を併用しないように注意しましょう。

リポバスの添付文章では、

  • イトリコナゾール
  • ミコナゾール

などのカビをやっつける抗真菌薬と、

  • アタナザビル
  • テラプレビル

などのHIV(エイズ)に使用するお薬は禁忌になっています。これらのお薬とリポバスを一緒に使用すると、リポバスの血中濃度が急激に上昇するリスクがあるため禁忌となっています。

しかしこれらのお薬は特殊な病気ではない限り使われることはないので、多くの方は気を付けることは少ないです。

患者さんで気をつけなければいけないのは、フィブラート系のお薬です。フィブラート系は、中性脂肪(TG)が高い時に使用される脂質異常症のお薬です。悪玉コレステロールも低下させますが、中性脂肪に対する効果がより強いとされています。代表的なお薬は、

  • リピディル
  • トライコア
  • ベザトール

です。脂質異常症の人は、LDL・TG両方高い人も多いです。

そういった人は、リポバスなどのスタチン系とフィブラート系両方を使えば良いのでは?と安易に考えがちです。しかし、フィブラート系との併用に関しては、リポバスの添付文章では、両方を同時に使用すると急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいことから、原則禁忌となっています。特に腎機能が最初から悪い人には、ほぼ使用できません。

治療上やむを得ないと判断される場合にのみ、慎重に併用することと記載はされています。しかしリポバスにも、フィブラート系ほどではないにしろ中性脂肪を低下する効果があります。またフィブラート系も、わずかながら悪玉コレステロールを低下する作用があります。

そのためLDL・TGの実際の値で、より重症な方を一つの薬で治療することからはじめることがほとんどです。両方の値が非常に高い場合は、まず悪玉コレステロール(LDL)を下げるためにリポバスの方から処方します。

LDLは動脈硬化の原因となるプラークの元になるため、LDL高値は非常に危険なためです。動脈硬化について詳しく知りたい方は、「脂質異常症はどうして治療が必要?脂質異常症が引き起こす怖い病気とは?を一読してみてください。

いずれにしろリポバスを処方された方は、ダメなら次の薬があると安易に考えず、運動や食事療法をしっかりとしようという心構えが大切になります。

また、リポバスはCYP3A4という酵素で代謝されるお薬ですが、このCYP3A4の効果を減弱・増強させるお薬は多くあります。実際にリポバスの添付文章でも、絶対禁忌にあげた薬以外でも

  • 真菌薬
  • HIV薬
  • エファビレンツ
  • 抗凝固薬
  • ニコチン酸
  • ジルチアゼム

など多くの薬剤が記載されています。また薬ではなくても、グレープフルーツがCYP3A4の効果を減弱して、リポバスの血中濃度が上昇するリスクが指摘されています。

そのためリポバスを内服する際は薬だけではなく、飲み物にも注意が必要です。もし上記の薬を一緒に飲んでたら、クレストールなどCYP3A4が関与しないスタチン系のお薬に変更を考慮してもよいかもしれません。

 

4.リポバスは妊婦や授乳中の方に投与してよいの?

リポバスは、妊婦・授乳中の方は禁忌になっています。

リポバスは、妊婦の方には禁忌になっています。理由としては、添付文章ではラットに他のスタチン系のお薬を大量投与した場合に、胎児の骨格奇形が報告されています。さらにヒトでは、他のスタチン系のお薬で、妊娠3ヵ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告があるためです。

また授乳中の方も、

授乳中の婦人には投与しないこと。[ラットで乳汁中への移行が報告されている。]

という一文が記載されています。基本的にこの一文は他のお薬にもほとんど記載されていますが、リポバスではあえて禁忌の一覧で授乳者と記載されています。他の薬では、あえて禁忌の一覧まで授乳者を記載することは少ないです。

このことからも、リポバスは妊婦や授乳中の方は内服しないようにしましょう。また妊娠を考えている方も、リポバスは控えた方が安全でしょう。妊娠3か月までの間にスタチン系を内服したときに、胎児の骨格奇形が報告されているためです。

脂質異常症は、リポバスを内服中止したら一気に悪くなって何か症状が出るものではありません。脂質異常症が悪くなって、徐々に動脈硬化が進行することで心筋梗塞や脳梗塞などの怖い病気につながります。これらを予防するために、リポバスを内服します。

むしろ妊娠可能年齢に、リポバスを内服していることが大問題です。20~40代から脂質異常症を指摘されている方は、食生活がかなり乱れており、暴飲暴食で肥満の方が多いです。妊娠するしないに関わらず、食事療法や運動を心がけるようにしましょう。

 

5.リポバスとアルコールは内服して良いの?

リポバスは肝機能が悪化すると使用できなくなるため、アルコールには注意が必要です。

リポバスの添付文章には、アルコール中毒患者では、横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある記載されているため慎重投与になっています。アルコールを飲んでよいか気にされる方は、基本的に大量に飲む人が多いです。最初に記載したように、リポバスは肝臓が悪くなると投与できないお薬です。

アルコール自体が、

  • 肝機能を悪化する
  • リポバスとの併用で副作用が出やすくなる
  • 脂質異常自体にも過剰摂取は良くない

とされているため、控えてもらいたいのが医師側の意見です。一方でリポバスは、内服したら基本的には長期間内服することが多いです。数日だけ内服して一時的に脂質異常症を改善してもあまり意味はなく、持続することで動脈硬化を予防する必要があるためです。

リポバスを長年飲んでる間、一滴もアルコールを飲んではいけないというのは難しい人も多いかと思います。アルコール自体は、少量であればHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増加する働きがあります。そのため推奨されているアルコール量は、20~25gといわれています。これは1日量として、

  • 日本酒1合(180ml)
  • ビールなら中ビン1本(500ml)
  • ウイスキーはダブルで1杯(60ml)
  • ワイングラス2杯(200ml)
  • 焼酎0.5合(90ml)

となっています。ただしアルコールは中性脂肪を増やすため、中性脂肪も高い人は飲んではいけません。そのためアルコールを飲んでよいかどうかは、

  • 脂質異常症の状態
  • 肝臓の状態
  • 他の病気や飲んでるお薬の種類

などを含めて、一度医師に相談してみると良いかもしれません。基本的にはダメと言われるかもしれませんが、人によっては少量なら大丈夫な人もいるとは思います。ただしアルコールOKだからと言って大量に飲むと、容易に脂質異常症や肝機能障害が出てくることがあるので注意が必要です。また、採血などで定期的に精査することをお勧めします。

 

まとめ

  • リポバスは、副作用として肝機能障害と横紋筋融解症に注意が必要です。
  • リポバスは、肝機能障害がある人には使用できません。
  • リポバスは、抗真菌薬・エイズ薬・フィブラート系の飲み合わせは禁忌です。
  • リポバスは、妊婦及び授乳中の方には投与できません。
  • リポバス内服中の方は、基本的にアルコールは控えた方が良いです。どうしても飲みたい方は、医師に相談してみましょう。

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