セチリジン塩酸塩錠の効果と副作用について

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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セチリジン塩酸塩錠は、1998年にグラクソ・スミスクライン製薬会社が発売されたジルテックのジェネリック医薬品になります。

セチリジンはアレルギーのときに過剰に分泌されるヒスタミンをブロックすることで、アレルギー症状を抑える効果が期待できる抗ヒスタミン薬です。具体的には花粉症などのアレルギー性鼻炎、蕁麻疹などの皮膚疾患に使われています。

抗ヒスタミン薬は効果を求めれば求めるほど、眠気が強くなるジレンマがありました。セチリジンも効果が強いために、眠気が強くなる抗ヒスタミン薬です。

現在はこの眠気の成分だけを取り除いたザイザルが同じグラクソ・スミスクライン社から2010年に発売されたため、セチリジンが処方されることは少なくなりました。しかし2016年の時点ではザイザルは新しいお薬のためまだジェネリック医薬品が登場していません。

ここでは、ジルテックのジェネリック医薬品であるセチリジン錠の効果と特徴について詳しくみていきたいと思います。

 

1.セチリジンの効果の特徴とは?

<メリット>

  • 抗ヒスタミン薬の中でも効果が強い
  • 1日1回の内服で済むため飲み忘れが少ない
  • 剤形が豊富

<デメリット>

  • 眠気が強いため、運転する人は使用しない方が良い
  • 重度の腎機能障害の人は使用できない

セチリジンの特徴としては、抗ヒスタミン薬の中でも効果が強いという点です。ただし効果が強い分、眠気も強くなっています。そのため運転などが仕事の人は、セチリジンはお勧めできません。セチリジンの添付文章でも、

眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意する。

となっていることから、運転はできないと考えた方が良いです。

セチリジンはドライシロップなど剤形も豊富です。また昔からあるお薬でジェネリックもあることから、値段は比較的安く手に入ることができます。眠気が気にならない人は、セチリジンは良いお薬になると思います。

ただし腎機能障害が重度の場合は、セチリジンは禁忌となってしまいます。一部の成分が体内に残ってしまい、副作用が強くなってしまうためです。どれくらい重度かというと、クレアチニンクリアランス10mL/min未満の方です。

尿がほとんど出なくなってしまって、透析になるくらい腎臓が悪い程度と考えていただければと思います。ただしそこまで腎臓が悪くなくても、腎臓が悪い人はあえてセチリジンに固執する必要はないかもしれません。

このように効果が強いものの副作用がネックになるセチリジンですが、これを改良したのがザイザルになります。ザイザルではセチリジンの成分のうち、アレルギー症状を緩和する成分のみを取り出し、またより長く効果が持続するように改良しています。これによって、

  • 眠気を中心に副作用が少なくなる
  • より長時間効果が持続する

という事を可能にしています。そのため現在は、ザイザルの方がセチリジンより使われる頻度は多いかもしれません。

ザイザルについて詳しく知りたい方はザイザル錠の効果と特徴についてをお読みください。

 

2.セチリジンの適応疾患と用量・用法は?

セチリジンは1回10mgを1日1回、就寝前に服用するお薬です。

セチリジンは、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症に適応があるお薬です。

セチリジンの最高血中濃度は1.4時間、半減期は6.7時間となっています。これは、セチリジンを服用して1.4時間で血中濃度がピークとなり、そこから6.7時間たつと半分の濃度になることを意味します。

こうみると効果が短いように感じますが、セチリジンはヒスタミンH1受容体に強くくっついて、なかなか離れません。血中濃度は低くなってしまっても効果が持続するのです。ですから1日1回の服用でも効果が持続します。

セチリジンの剤形としては、

  • セチリジン錠 5mg
  • セチリジン錠 10mg
  • セチリジン ドライシロップ 1.25%

があります。セチリジンは成人には、1回10mgを1日1回、就寝前に服用します。年齢や症状によって増減させますが、最高投与量は1日20mgとなります。

一方で7歳以上15歳未満の小児には、セチリジン5mgを1日2回、朝食後と就寝前に服用します。2回に分けるのは、血中濃度が安定して副作用が軽減されるためです。

セチリジンのドライシロップの場合は、以下の用法になります。

  • 成人:1回0.8g(主成分として10mg)を1日1回就寝前
  • 2歳以上7歳未満の小児:1回0.2g(2.5mg)を1日2回朝食後および就寝前
  • 7歳以上15歳未満の小児:1回0.4g(5mg)を1日2回朝食後および就寝前

 

3.セチリジンの副作用について

セチリジンは眠気が2~5%出ます。そのため運転する際は注意が必要です。

セチリジンの先発品であるジルテックの承認時までの成人を対象とした調査では1,396例中189例(13.5%)に副作用又は臨床検査値の異常変動が認められました。主なものは

  • 眠気84例(6.0%)
  • 倦怠感12例(0.9%)
  • 口渇9例(0.6%)
  • 嘔気7例(0.5%)
  • 肝機能障害(1.4%)

となっています。一方でジルテックから眠気成分を取り除いたザイザルですが、ザイザル(レボセチリジン塩酸塩)の承認時までの成人を対象とした調査では、1,292例中207例(16.0%)に副作用又は臨床検査値の異常が認められました。主なものとしては、

  • 眠気67例(5.2%)
  • 頭痛42例(3.3%)
  • 疲労39例(3.0%)

となっています。ジルテックが眠気の頻度が6%に対して、ザイザルは5.2%とわずか0.8%しか変わりません。もちろんこの結果はそれぞれ全く別の試験の結果ですので、単純には比較できません。

しかし眠気成分が取り除かれたといってもザイザルもジルテック同様に眠気があるお薬という認識が強いです。ジルテックからザイザルに変えたからといって確実に眠気が取れるわけではないことに注意しましょう。

疲れていたり、お酒を飲みすぎた場合、セチリジンの眠気が強く出るという報告もあるので、普段はセチリジンを飲んでても眠くならない人も注意が必要です。(これはセチリジン飲んでる、飲んでない関係ないかもしれませんが・・・。)

その他の倦怠感や口渇などの他の副作用はセチリジンとザイザルはほぼ同じ頻度で起こると考えてよいと思います。

 

4.セチリジンとジルテックの効果と副作用の比較

先発品・ジェネリックの効果と副作用は、大きな違いはないと考えられます。

先発品のセレスタミン配合錠をジェネリックのセレスターナ配合錠に変えれば、薬価が安くなります。多くの方が気になるのは、先発品とジェネリック医薬品で効果と副作用が同じかどうかだと思います。

ジェネリック医薬品では、有効成分は先発品とまったく同じものを使っています。ですから、効果や副作用の大まかな特徴は同じになります。先発品とジェネリック医薬品の違いは、薬を作るときの製造技術です。ジェネリック医薬品を作る時に求められるのは、薬の吸収・排泄と安定性の2つが先発品と同等であることです。

ジルテックをセチリジンに変えたからといって効果が減ったり、副作用が増えたりといったことは今のところ報告がありません。

ジェネリック医薬品について詳しく知りたい方は、「ジェネリック医薬品の問題点とは?ジェネリックの効果と副作用」をお読みください。

 

5.セチリジンの薬価と剤形

セチリジンでは、錠剤とドライシロップが発売されています。さらにセチリジンはセチリジンとしてジェネリックも発売されています。

セチリジンは1998年の発売からしばらく時間がたっているので、ジェネリック医薬品も発売されています。このため、ジェネリック医薬品を使えば薬価を安くすることができます。

具体的に、セチリジンの薬価と剤形をみていきましょう。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
ジルテック錠 10mg 92.2円
ジルテック錠 5mg 72.4円
ジルテックドライシロップ 1.25%(1g) 239.7円

<後発品>

商品名 剤形 薬価
セチリジン塩酸塩錠 10mg 22.1円
セチリジン塩酸塩錠 5mg 16.8円
セチリジンドライシロップ 1.25%(1g) 138.7円

となります。ジェネリックのセチリジンでは、2割強の薬価になります。非常に経済的になりますね。

セチリジンでは錠剤の他に、お子さん用にドライシロップが発売されています。ドライシロップではイチゴ味になっていて、お子さんにも飲ませやすいようになっています。

参考までに、セチリジンの改良版であるザイザルの薬価を見てみましょう。

商品名 剤形 薬価
ザイザル錠 5mg 96.4円
ザイザルシロップ 0.05% 17.9円/ml

セチリジン10mgとザイザル5mgがほぼ同等ですので、先発品で比較すると薬価はほとんど変わりません。

しかしながらザイザルはジェネリック医薬品が発売されていません。ジェネリック医薬品が気にならずセチリジンで眠気が出現しない方は、ザイザルよりも安く手に入るセチリジン(セチリジン)の方が良いかもしれません。

※2016年4月25日現在の薬価になります。

 

6.抗ヒスタミン薬の第一世代・第二世代の違いとは?

第二世代は第一世代に比べるとヒスタミンだけに作用するようにできていて、中枢への作用も少なくなっています。このため、眠気や口の渇きなどの副作用が軽減されています。

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミン受容体をブロックすることでアレルギー反応を抑えて効果を示します。しかしながらヒスタミンは、実は全身に色々なところで活躍しています。

 脳では神経伝達物質として情報の橋渡しをしていますが、抗ヒスタミン薬によって脳でのこの働きがブロックされてしまうと、中枢神経が抑制されて眠気が出現します。

また抗ヒスタミン薬は、抗コリン薬と似ている部分があります。このためアセチルコリン受容体をブロックしてしまい、便秘・口渇・尿閉といった抗コリン作用が起きることもあります。そのため抗コリン薬が禁忌である緑内障患者や前立腺肥大患者には、抗ヒスタミン薬も禁忌とされていました。

このように、副作用がかなり強いのが発売当初の抗ヒスタミン薬でした。こうした強い副作用のお薬を「第一世代」と呼んでいます。現在では副作用を逆に利用して、術後疼痛コントロール目的にソセゴン(痛み止め)+アタラックス(第一世代抗ヒスタミン薬)など投与することもあります。(病院用語では略して「ソセアタ」といいます)

1980年代になると、ヒスタミン受容体のみをブロックして、アセチルコリンの受容体をほぼブロックしないお薬が開発されました。中枢作用も少なく、このお薬を「第二世代」と呼んでいます。

これらのお薬の分類が下記の表になります。

抗ヒスタミン薬の種類について一覧にしました。

第二世代は第一世代に比べると、副作用がだいぶ抑えられています。このため現在は、第二世代から使われることが主流になっています。どうしても第二世代では効果が不十分な時は、第一世代が使われることがあります。

ただし第二世代でも、ザジテンなどの一部は中枢のヒスタミンに作用してしまいます。このため眠気も強いですし、てんかんや熱性けいれんを悪化させてしまうリスクがあります。このような疾患がある方はザジテンのみ禁忌となっており、それ以外の眠気が強い抗ヒスタミン薬でも注意が必要です。

 

7.セチリジンが向いている人とは?

  • これまでセチリジンを服用している方
  • 腎臓が悪くない方
  • ジェネリックで安く済ませたい方
  • 他の薬で効果が不十分な方

それではセチリジンはどのような人に向いているお薬かみていきましょう。

セチリジンは効果が強い分、眠気の副作用も多い抗ヒスタミン薬でした。そして眠気の副作用を軽減したお薬として、ザイザルが発売されています。

ですから、現在の治療ではセチリジンを最初から使っていくことは減ってきています。これまでセチリジンを使っていて問題がなかった方は、あえて他のお薬に変える必要もないでしょう。セチリジンは腎臓への負担がかかるお薬なので、腎機能さえ問題なければそのままの服用で問題ありません。

セチリジンがザイザルに比べてよい点としては、なんといっても薬価が安いことです。ジェネリックでやすく済ませたい方には向いているでしょう。

抗ヒスタミン薬には様々なお薬が発売されていますが、なかなか症状をコントロールできないこともあります。セチリジンは効果は比較的強いお薬なので、そのような時に使ってみる価値はあります。

 

8.セチリジンの作用の仕組み(作用機序)

セチリジンはどのようにして作用するのでしょうか?セチリジンが最もよく使われる花粉症では、セチリジンがどのように作用するのかをみていきましょう。

 

8-1.花粉症の症状が生じる原因とは?

目や鼻からスギ花粉を外に出そうとする防御反応です。涙や鼻水によって、結果として花粉を目の外から追い出そうとします。

花粉症というのは体が花粉を敵と認識して外に出そうとする防御反応です。その防御反応は以下のようになります。

  1. 花粉(スギ)が体内に侵入。
  2. マクロファージ(体の中の警察官)が異物と認識して花粉を食べる。
  3. マクロファージがT細胞、そしてB細胞とバケツリレーのように花粉の情報を次々に渡す。
  4. 花粉が次に入ってきたときに撃退するために、B細胞がIgEという特殊な爆弾を作り、肥満細胞(体の中の爆弾保管庫)に保管しておく。
  5. 花粉が再び侵入した際に、肥満細胞は保管しておいたIgE爆弾が発射されて花粉にくっつく。
  6. IgEが爆発することをきっかけに、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が放出される。

このヒスタミンなどの化学物質が目に作用すると、目を刺激してかゆみや充血を生み出します。目のかゆみや充血が起こると、涙が出てきます。涙によって花粉を目の外に追い出そうとするのです。

このヒスタミンが鼻に作用すると鼻を刺激して、くしゃみや鼻水として外に花粉を出そうとするのです。

こうして目や鼻に異常があることを知らせて、体からスギ花粉を守ろうとしているのです。でも花粉は身体にとっては害にはなりません。ほっておけばよいのに、身体が過剰に反応してしまうアレルギーの病気なのです。

 

8-2.セチリジンの作用の仕組み(作用機序)

主に抗ヒスタミン薬として、ヒスタミンの働きをブロックすることでアレルギー反応を抑えます。

セチリジンの主成分のセチリジン塩酸塩は、第一世代抗ヒスタミン薬のアタラックス(ヒドロキシジン)の主要活性代謝産物になります。セチリジンはアタラックスから余分な成分を取り除いた精錬されたお薬で、第二世代抗ヒスタミン薬に分類されるのです。

ヒスタミンを阻害するということは、先ほどの説明でいうところの⑥の作用を邪魔します。④や⑤で出てくるIgEや肥満細胞を邪魔しても、すでにヒスタミンがたくさん作られた後では効果が期待しづらいです。速効性を求めるのであれば、直接目や鼻の症状を引き起こすヒスタミンをブロックする必要があるのです。

ただしセチリジンは、④や⑤のIgEや肥満細胞がヒスタミンを分泌するのを邪魔することを動物実験では確認されています。

また、セチリジンは抗ヒスタミンの作用だけではなく、ロイコトリエンやプロスタグランジンなどの物質の作用も邪魔します。それによって目や鼻のかゆみの緩和に役立っています。

 

まとめ

セチリジンは、抗ヒスタミン薬であるジルテックのジェネリック医薬品になります。

セチリジンから眠くなる成分を取り除いて、効果が持続するように改良された抗ヒスタミン薬がザイザルです。

セチリジンは成人の場合、1日1回10mgを眠前に内服します。

<メリット>

  • 抗ヒスタミン薬の中でも効果が強い
  • 1日1回の内服で済むため飲み忘れが少ない
  • 剤形が豊富

<デメリット>

  • 眠気が強いため、運転する人は使用しない方が良い
  • 重度の腎機能障害の人は使用できない

<向いている人>

  • これまでセチリジンを服用している方
  • 腎臓が悪くない方
  • ジェネリックで安く済ませたい方
  • 他の薬で効果が不十分な方

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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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