バイアスピリンの効果と特徴

アイコン 2017.3.9 アスピリン/バイアスピリン

バイアスピリン錠(一般名:アセチルサリチル酸)は、1897年から発売されているアスピリンのジェネリック医薬品です。

ジェネリック医薬品というと普通は同じ成分の物で、薬価が安くなる薬というイメージがあるかと思いますが、アスピリンとバイアスピリンは同じ成分でも使用目的が違います。

アスピリンは解熱鎮痛の効果を主に期待して使用しますが、バイアスピリンは血をサラサラに固まりづらくさせる抗血小板作用を期待して使っていきます。

ここでは、バイアスピリンの効果の特徴を詳しくお伝えし、どのような疾患・症状に使われるのか、説明していきたいと思います。

 

1.バイアスピリンのメリット・デメリット

<メリット>

<デメリット>

バイアスピリンが属するNSAIDsとは、本来はアラキドン酸カスケードをブロックすることで炎症を抑え、その効果を発揮します。炎症が抑えられると痛みを抑えるだけではなく、熱を下げる効果も期待できます。先発品のアスピリンはこのNSAIDsの中でも最も古いお薬です。

しかしNSAIDSは現在、20~30種類以上発売されています。そのため解熱鎮痛薬として使用する場合はアスピリンよりも優れたお薬が多く登場しているため現在、解熱鎮痛薬としてはほとんど使用されなくなってきました。

バイアスピリンは先発品のアスピリンの様な解熱・鎮痛薬としてではなく、抗血小板作用を期待して投与します。血小板とは、血を固まりやすくする作用がある物質です。分かりやすく言えばカサブタの元です。

この血小板の機能を抑えることで、バイアスピリンには血をサラサラにする作用があります。大部分の人にとっては、血を固まりづらくすると出血しやすくなるため、デメリットになります。しかし血を固まりづらくすることで治療する疾患もあります。

血が固まるとできるのが血栓です。この血栓が脳や心臓に詰まることで、脳梗塞や心筋梗塞です。これらの病気の発症を予防するために、抗血小板効果があるバイアスピリンを内服します。

心筋梗塞や脳梗塞は一度発症すると命に関わることが多いです。さらに、一命を取り留めたとしても、再発症するんじゃという恐怖心や後遺症に悩まされる恐ろしい病気です。そのため、「背に腹は代えられない」思いで血をサラサラにしてこれらの病気を予防します。

心筋梗塞や脳梗塞の症状や怖さについて詳しく知りたい方は、「脂質異常症はどうして治療が必要?脂質異常症が引き起こす怖い病気とは?」を一読してください。

バイアスピリンを処方する注意点として、胃の粘膜を荒らす特徴があります。そのため、胃潰瘍や十二指腸潰瘍でお腹が痛い人にバイアスピリンを処方すると、むしろ逆効果になるため注意が必要です。

さらに妊娠中もバイアスピリンはお腹の赤ちゃんに影響を与えるため、禁忌となっています。バイアスピリンは、全ての人に安全に使用できる病気ではないため注意が必要です。

 

2.バイアスピリンの適応と投与量は?

バイアスピリンは、主に心筋梗塞や脳梗塞など血栓ができやすい病気に対して適応があります。

バイアスピリンは内服薬としては、

の1種類が発売されています。バイアスピリンの適応ですが、

  1. 狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作、脳梗塞)の血栓・塞栓形成の抑制
  2. 冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制
  3. 川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)

に対して適応があります。①は血栓(血の塊)が心臓や脳の血管に詰まって起こる病気です。一度血栓がつまったところは、さらに血液が通れなくなって血の塊ができます。その結果、2次災害的に病気が進行する可能性があります。それを防ぐために、バイアパスリンを内服します。特に心筋梗塞の治療は、教科書的にはMONA(モナー)といって、

と世界的にも、アスピリンは心筋梗塞の治療薬として有名になっています。(現在では上記の治療は多少変更あります。)

②は、心臓の冠動脈(心臓に栄養を送る血管)が詰まってしまった部位にステントを入れたり、手術した後に再び血栓ができるのを防ぐ治療です。人工物を挿入したり、人工的に血管をつなぎ合わせた部位は、血管が狭くなったりすることで再び血栓ができやすくなっています。そのため、冠動脈を治療した後は再度詰まらないように、予防的にバイアスピリンを投与します。

③の川崎病は、主に乳幼児を中心とした病気で、日本では年間6000人が発症します。川崎病は全身の血管に炎症を起こすことで、

の6つの症状が挙げられます。この川崎病の最も注意するべき疾患が冠動脈瘤です。冠動脈瘤は、心臓に栄養を起こる冠動脈に瘤(コブ)ができる疾患です。コブができて血管が狭くなると、血の流れが悪くなります。血の流れが悪くなることで、血小板がかたまりだし血の塊(血栓)が作られます。これを防ぐためにバイアスピリンを内服します。

一方で川崎病を発症する小児では、錠剤ではのみづらいことも多いです。その場合は、先発品のアスピリンが粉末も発売しているためそちらで対応します。

 

投与量ですが、通常、成人には100mgを1日1回バイアスピリンを内服します。なお、症状によりバイアスピリンを1回300mgまで増量できます。

バイアスピリンの面白い特徴として、投与量によって効果が違うということがあります。具体的には、

このように投与量が違うことで、別々の効果を発揮します。つまり、自分がどの病気に対してどの効果を期待して内服しているか知っておく必要があります。そのため、抗血小板作用を期待してバイアスピリンとして使う場合は、1日1回100mgで投与することがほとんどです。なお小児の川崎病は、投与量は上記とは違い、

そのため投与量を細かく分けるためにも、先発品のアスピリン粉末の方が対応しやすいことが多いです。

バイアスピリンは、用量によって最高血中濃度と半減期が変化しやすいお薬です。バイアスピリンを過量投与すると、半減期が20時間以上延長することもあります。一方でバイアスピリンは、腸溶剤になっています。つまりバイアスピリンは胃に作用せず、腸管でゆっくりと吸収されることにより効果を発揮するお薬です。

そのため心筋梗塞などで一刻も早く効果を発揮したい場合は、ゆっくりと作用してる場合ではないので、バイアスピリンをかみ砕いて内服するようにします。

 

3.バイアスピリンの薬価は?

バイアスピリンは、アスピリンのジェネリック医薬品です。しかしバイアスピリンも、先発品のアスピリンとあまり薬価が変わらないです。

次にバイアスピリンの薬価です。バイアスピリンはアスピリンのジェネリック医薬品です。まず先発のアスピリンですが、

  剤型 薬価 3割負担
アスピリン錠 100mg 5.6円 1.7円
アスピリン 粉末 2.09円 0.6円

※2017年3月6日時点での薬価です。

となっています。なお後発品のバイバイアスピリン錠の薬価ですが、

  剤型 薬価 3割負担
バイアスピリン錠 100mg 5.6円 1.7円

※2017年3月6日時点での薬価です。

です。価格は全くアスピリンとバイアスピリンで変わりません。もともとアスピリンは、抗血小板薬が必要な疾患に対して適応があるお薬です。そのため、安さのためにジェネリック医薬品が作られたわけではない経緯があります。

 

4.バイアスピリンが向いてる人は?

バイアスピリンは、NSAIDsとしての解熱・鎮痛作用を期待してではなく抗血小板作用を期待して投与します。特にバイアスピリンは古いお薬のため、効果を立証するデータも数多くあります。

どちらの疾患にしても、バイアスピリンを内服しなかった場合より内服した場合の方が、

など様々なデータで良いとされています。さらに冠動脈バイパス術やカテーテルでステントを冠動脈に留置した場合の血栓予防として、バイアスピリンは良い適応です。冠動脈が詰まると、心筋梗塞や狭心症の病気が発症します。この冠動脈は、3つの枝に分かれて栄養が配給されます。

  1. 左回旋枝
  2. 左前下行枝
  3. 右冠動脈

の3つです。このうち一つでもつまれば、その枝が栄養している心臓部分が壊死し心筋梗塞となります。2枝以上つまったら、多枝病変となります。

現在は3つ同時につまったり、2つの枝が高度に詰まっている場合はバイパス術、1~2つの枝であればカテーテルでステント留置して血管を広げる処置をする場合が多いです。(施設によって多少の基準の違いはあります。)

このカテーテル治療は、バルーンで一時的に膨らませるよりステントを留置した方がメリットが大きいため、積極的に行われてきました。再狭窄のリスク減少や、合併症の減少が抑えられるのです。しかし、抗血小板を内服しなかった場合、20%程度の確率でステント内に血栓ができてしまうため、バイアスピリンの予防内服を行う必要があります。

しかし医療の世界は日進月歩で、

などによって、バイアスピリンの立ち位置は現在でも変わってきています。これらの新しい治療がどんどん登場しても、

などのデータも登場しております。抗血小板薬自体、

などで様々なデータが出てきています。一つ言えるのは、抗血小板薬としてバイアスピリンは最も歴史があるお薬です。そのためバイアスピリンを長期間内服しても問題なかった人も大勢いることから、現在でも現役のお薬として多くの人が内服しています。

また今後の新薬や新しいステントの登場によって、バイアスピリンの立ち位置は常に変わることだけ念頭においてください。

 

5.バイアスピリンの作用機序は?

痛みには、過剰なプロスタグランジン(以下、PG)が関係しています。バイアスピリンは、PGを産生するアラキドン酸カスケードのCOXを阻害して痛みや発熱を抑えます。

バイアスピリンを含むNSAIDsは、PGを生産する経路であるアラキドン酸カスケードをブロックすることでその効果を発揮します。その作用点は、シクロオキシゲナーゼ(以下COX)です。

COXには、2つあることが分かっています。

この作用機序は、NSAIDsの共通の作用です。バイアスピリンはCOX-1も一緒に阻害してしまうため、胃腸障害が出現します。また抗血小板作用は、COX-1を阻害することで、COX-1が作るトロンボキサンA2(TXA2)の産生も阻害することでもたらされます。

TXA2は血小板を活発にする作用があります。このTXA2を阻害すれば血小板が働かなくなるため、血がサラサラになります。

バイアスピリンによるTXA2の阻害は不可逆的といわれています。つまりバイアスピリンで一度TXA2を阻害した場合は、時間がたってももとに戻らず、血がサラサラな状態が保持されます。この機能は他のNSAIDsにはないため、バイアスピリンは抗血小板薬として使用されるのです。

ちなみに血小板の寿命は7~10日ほどと考えられていますので、バイアスピリンを服用してる場合は、このTXA2が阻害された血小板の寿命の一週間程度は効果が持続すると考えられています。

 

一方で、もう一度最初のPGに目を移してください。実は痛みの源であるPGを阻害すると、逆に血を固まりやすくする作用があります。これがバイアスピリンの用量が、適応によって違う理由です。分かりやすく書くと、

大部分のNSAIDsは解熱鎮痛薬としての作用を期待するため、PGが阻害されます。そのためバイアスピリンの投与量が増えてしまうと、逆に抗血小板作用が阻害される可能性があるため注意が必要です。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>