カウンセリングはどうして高い?カウンセリングの実情と選び方

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カウンセリング料金をきいてびっくり!

カウンセリングというと、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?じっくりと話を聞いてくれるところ…そんな答えが返ってくることが多いと思います。

カウンセリングといってもその内容は様々、カウンセラーといっても玉石混交です。カウンセリングを受けたいと思って探し始めると、その費用の高さにびっくりされた方も多いと思います。

1回45~60分ほどのカウンセリングで、6000~8000円ほどします。1万円以上のこともあります。占いならば一回だけなのでと財布も緩みますが、カウンセリングは継続的に行っていくのでハードルがとても高く感じられます。

カウンセリングはどうして高いのでしょうか?カウンセリングが高い理由を探っていけば、ちゃんとしたカウンセリングの選び方もみえてきます。精神医療とカウンセリングの実情をお伝えできればと思います。

精神科医療とカウンセリングの実情

「精神科に受診すること=カウンセリング」と思われている患者さんをよくみかけるのですが、病院やクリニックの診察では、イメージされているカウンセリングは行いません。

精神科医は診断をして治療方針をたて、お薬を使った治療が中心として行っていきます。初診は30~40分かけてお話をうかがいますが、再診は5~10分となることが多いです。

詳しく知りたい方は、『精神科・心療内科受診の受診のイメージと流れ』『精神科・心療内科5分診療の「いいわけ」と「本音」』をお読みください。

時間に追われてしまうと、どうしてもお薬が治療の中心になってしまいます。もちろん診察でも精神療法は行っていきますが、こまめに積み重ねていくしかありません。それでも大丈夫な方もいらっしゃいますが、なかにはカウンセリングをじっくり行った方がよい方もいます。

そんな方に対してはカウンセリングを提案するのですが、冒頭でお伝えした通り、カウンセリングは非常に料金が高いのです。1回のカウンセリングで6000円は安い方です。精神疾患で悩んでいる方はお金にゆとりがない方が多く、カウンセリングは金銭的なハードルがかなり高いのです。

カウンセリングは医療行為ではないため、保険適応となりません。このためクライアント(患者さん)から頂くお金がすべてなのです。病院では自己負担は3割ですから、比較すると高く感じてしまうかと思います。

カウンセリングはどうして高いのか

それではカウンセリングはどうして高いのでしょうか?決して、医療機関や心理オフィスがぼったくっているわけではありません。私のわかる範囲にはなりますが、カウンセリングが高い理由としては5つほど考えられます。

  1. 落ち着いた空間が必要
  2. 専門家が1対1で対応する
  3. カウンセリング後のアセスメントが必要
  4. 治療構造をしっかりとしたものにするため
  5. 市場が小さいため

落ち着いた空間が必要

まずは場所の問題です。カウンセリングを行うにはゆったりした空間が必要になります。

息がつまるような密室で話はできませんね。それなりに圧迫感のないスペースを確保する必要があります。

専門家が1対1で対応する

そして専門家が1対1で対応します。カウンセリングはおもに臨床心理士が行います。

臨床心理士は民間資格で、ようやく2019年度から公認心理師という形で国家資格化されました。カウンセラーの資格として最も専門性が高い臨床心理士の資格は、大学院をへてはじめて取得できる資格になります。

カウンセリング後のアセスメントが必要

つぎにカウンセリングそのものに目を向けましょう。

カウンセリングは、ただ話を聞いてアドバイスして終わりではありません。その後にアセスメントをして、次のカウンセリングのプラン(アジェンダ)を決めていく必要があります。

ときにはスーパーヴィジョンといって、ベテランのカウンセラーさんに指導を仰ぎに行きます。その費用は1回1万円ほどすることが多いです。

治療構造をしっかりとしたものにするため

カウンセラーさんの中には、治療構造のために高い料金設定が必要とおっしゃる方もいます。

お金を払うということはその分真剣に向き合うということになります。それだけの意思があります。ライザップみたいなものかもしれませんね。

その金額を払える人だけを対象にしたいと考えて、料金設定しているカウンセラーもいます。

市場が小さいため

カウンセリング市場の小ささもあるでしょう。

日本では「恥の文化」ということもあり、自分の悩みを相談するのには抵抗がある方が多いです。無宗教民族ということも関係しているでしょうか?

ですから、占いには行くけどカウンセリングには行かないのです。

詳しく知りたい方は、『カウンセリングと占いの違いとは?』をお読みください。

カウンセリングの選び方とは?

このカウンセリングの実情を踏まえて、カウンセリングやカウンセラーはどのように選べばよいでしょうか?考えていきましょう。

カウンセリングの料金として、

  • ちゃんとしたカウンセリングをするには相場の金額が必要

ということがいえます。カウンセリングサービスを提供しているところは無数にあります。それらのサービスがしのぎを削り、採算がとれるギリギリのところが相場なのです。

およそ1回45分~60分で6000~8000円、都心部などでは1万円くらいが相場といえるでしょう。この金額より安いことにも、高いことにも理由があります。

ちゃんとしたカウンセリングを受けたいのでしたら、まずは相場の価格帯で選びましょう。その上で、しっかりと教育体制がとれていたり、医療機関で管理されているカウンセリングサービスがよいかもしれません。

個人で行われている方には、良し悪しの偏りがでてしまいます。またほかの人の目が入らないことは、うまくいかない場合に修正ができなくなってしまいます。

組織体制がとれているカウンセリングサービスでは、仮に若手のカウンセラーが担当となったとしても、自分の経験のためにも真剣に向き合うことが多いと思います。上手くいかなくなった時には、上司や先輩からアドバイスなどももらえるでしょう。

次にお話しますが、カウンセラーによっても得意な治療法も異なります。経験だけでなく、カウンセラーとの相性もあります。その点も踏まえて、カウンセリングを選びましょう。

カウンセラーの選び方とは?

つぎに、カウンセラーをどのように選ぶのかをみていきましょう。

カウンセラーといっても様々で、医者も同じですが玉石混交です。最近になってはじめて、臨床心理士が公認心理師として国家資格化されることになりましたが、それまでは民間資格にすぎませんでした。それもあって、様々な民間資格のカウンセラーがいます。

その中には臨床経験も豊富で優れたカウンセラーさんもいますが、中には自称カウンセラーといった方もいるのです。

それでは臨床心理士以外のカウンセラーは全部だめなのかというと、そんなことはありません。カウンセリングには、経験は非常に大事です。そしてそれと同じくらい大切なのが、センスです。私が様々な臨床心理士さんと仕事をしていて感じることなのですが、人によってセンスには差があります。そもそものコミュニケーション能力をとってみても、うまれもっての差があります。

これを外から見て見分けるのは非常に難しいですので、本当のところは会ってみての相性です。最近はカウンセラーさんも、自己紹介や個人ブログなどで経験や治療法などが書いてあることもあります。そこから経験の深さはわかるでしょうし、雰囲気はわかるかもしれません。

もう一つ大事な点として、カウンセラーの得意とする治療法と自分が望むことがあっているかどうかです。カウンセラーによって、得意とする治療法は異なっています。カウンセリングと一言で言っても、その方法は心理療法の数だけあるのです。

まとめると、以下のことを意識してカウンセラーを選んでいくとよいでしょう。

  • カウンセラーの経験の深さ
  • カウンセラーとの相性
  • カウンセラーが得意とする治療法

有名な人や実績をうたっている人が良いカウンセラーかというと、そうとは限りません。カウンセラーさんとお話をしてみて、相談してみて糸口につながりそうと思われる方に相談してみてください。

安いカウンセリングサービスはないのか?

さて、多くの方が気になるのが安いカウンセリングサービスはないのかということでしょう。これまでお伝えしてきた通り、安いにはそれだけのワケがあります。私が知っている安いカウンセリングサービスについてお伝えします。

  • 大学院生の教育も兼ねたカウンセリングセンター
  • オンラインカウンセリング
  • カウンセリング以外で営利面を追及しているクリニック
  • 徳の高い先生のいる病院やクリニック

大学院の臨床心理学科附属のカウンセリングセンターや相談室では、学生の教育も兼ねたカウンセリングを行っています。大学院生がカウンセリングを行うので、経験という点では劣ってしまうのは致し方ありません。ですがみなさん自分のために真剣ですし、指導をうけながらカウンセリングをしています。一回につき3000円くらいのところが多いでしょう。

最近では、オンラインカウンセリングサービスも登場しています。オンラインで行うので、場所と時間を効率化できます。サービスによって様々ですが、1回45分4000~6000円くらいが相場でしょうか。デメリットもありますが、カウンセリングの金銭的なハードルは下がります。

またクリニックによっては、カウンセリングの値段だけをみれば安く抑えられている一方で、血液検査や心理検査を必要以上に行ったり、必要以上の再診をルール化しているところもあります。検査や通院を頻回にしなくてはならず、結果的に不要な医療で自己負担が増えているケースもあります。

ごくまれですが、じっくりと話を聞いてくれる徳の高い先生もいらっしゃいます。いくつかのクリニックを知っていますが、お伝えすると迷惑がかかってしまうので控えます。カウンセリングとしてのプロではないのですが、そんな先生に話を聞いてもらえるだけでも気持ちが楽になりますね。

まとめ

カウンセリングが必要な方は多いですが、精神疾患で悩んでいる方はゆとりがない方が多く、金銭面が大きなハードルになることが多いです。

カウンセリングは必要なリソースに対して非効率な部分が多く、しっかりとしたカウンセリングを提供するには見えない時間と投資が必要なのです。ニーズの少なさも高い料金設定の要因と思われます。

カウンセリングは、相場のところで選ぶのが妥当です。その上で、自分の悩みと治療アプローチのあったところを選びましょう。

カウンセラーとの相性は会ってみないとわからない部分が多いです。カウンセラーの経験の深さと得意とする治療法を元に選びましょう。

当院では、カウンセリングは利益を考えておらず、患者さんに必要なサービスとして通院患者様だけに提供しています。ギリギリの採算で行っています。

  • 相性もあるので、初回導入時は無料
  • 1回30分3300円(税込)

で行っています。

詳しくは、『生活カウンセリング&ソーシャルワーク面談』をお読みください。

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【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、磁気刺激によるrTMS療法を先進的に取り組むなど、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
精神科医をはじめとした医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(医療経験を問わない総合職)も随時募集しています。

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またメンタルヘルス対策にお悩みの企業様に対して、労務管理にも通じた精神科医による顧問サービスを提供しています。
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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:精神科について  投稿日:2020年8月11日

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