統合失調症の初期症状にはどのようなものがあるか

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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統合失調症の症状が進んでいくと、妄想や幻聴といったはっきりした症状がみられます。

このようになれば診断は比較的容易ですが、このような症状が出てくる時点では、すでに生活上に支障が出てきていることがほとんどです。

ときには幻覚や妄想に支配されてしまって、自分が病気であるという認識ができなくなってしまうこともあります。こうなってしまうと、強制的に治療をしていかなければならなくなります。

統合失調症の初期症状はとても見分けがつきにくいです。診断もすぐにはできないことも多く、繰り返し診察していく中で見つかっていくこともあります。

ここでは、そんな統合失調症の初期症状に関して考えていきたいと思います。

 

1.統合失調症の症状経過から初期症状を探る

「感覚のフィルターをうまく調整できなくなっていく」と考えると、統合失調症の初期症状がわかりやすいです。

統合失調症の原因は今でもよくわかっていません。このため、症状がどのようにすすんでいくのかに関しても、はっきりしたことは未だにわかっていません。いろいろな説がありますが、視床フィルター仮説がうまく統合失調症の症状の進み方を説明してくれます。

通常、視床では身体の感覚が集まってきてうまく調整するように働いています。適切な質と量の感覚刺激だけを大脳に届けるようなフィルターの機能があります。統合失調症の方は、このフィルターが障害されて過度の刺激が大脳に伝わってしまいます。

人は体験していることをあるがままには感じていません。意識が集中していることに関しては強く体験を感じ、記憶にも鮮明に残ります。反対に関心のないことに関しては淡い体験となり、記憶にもあまり残りません。

みなさんも、何かを思い返してみると、いろいろな物事に強弱をつけて体験をしていることがわかるかと思います。これが視床のフィルター機能といわれています。

 

統合失調症の方は、このフィルター機能が少しずつうまくいかなくなっていきます。はじめのうちは、意識しているときはメリハリがつけられます。ですが意識していない時には、感覚や思考がよけいに体験されるようになります。普段なら気にならない日常の生活音などが気になるようになっていくのです。

悪化していくにつれて、意識している時にも少しずついろいろなことが気になっていきます。様々な物事に対して過敏になってしまうので、ストレスがかかっていきます。このため、さらに統合失調症の状態が悪化していくという悪循環が進んでいきます。

 

2.統合失調症の自覚的な初期症状

気になることが増えて、いろいろなことに敏感になっていきます。

統合失調症の方をみていると、発症の前触れのような変化がみられることがあります。眠れなくなったり、物音や光に敏感になったり、あせりの気持ちが強くなったりします。ただ、このような症状はいろいろな病気でみられます。

例えば社交不安障害という不安の病気は、「人からどう思われるか」という恐怖にとらわれており、対人関係に敏感になっています。いろいろなことに敏感になってしまったり、不眠なども認められます。

 

それでは、このような不安障害の病気と統合失調症にはどのような自覚症状の違いがあるでしょうか?

その違いは、統合失調症をフィルター機能の障害と考えるとわかりやすいです。統合失調症は、フィルター機能が少しずつうまくいかなくなることで、普段は気にしていなかった感覚や思考がよけいに体験されるようになっていきます。

まずは意識がそれているところからはじまります。ですから、集中していると大丈夫だけれども、ふとした時に感覚が過敏になっていると感じます。今までなんともないことが急に危険に感じたり、音が大きく感じたりします。一方で不安障害では意識するほど、ますます気になってしまいます。

また、不安の質も異なります。統合失調症の方は、本人も何だか異様な感じを持つ方が多いです。少しずつ情報があふれてきて、頭の中がぐちゃぐちゃして考えられなくなっていきます。不安障害の方は、不安であることに対して疑問を持たないことが多いです。そして、不安にとらわれて他のことが考えられなくなっていきます。

このようにして、以下のような自覚的な初期症状がみられてきます。

  1. 関係ないことが気になって、注意がそがれてしまう。
  2. 周囲から見られている感じがする。
  3. ひとりでに考えが浮かんだり、頭がまとまらなくなる。
  4. なんとなく何かが差し迫っているように感じる。

 

3.統合失調症の他覚的な初期症状

いろいろなことに敏感になっていて緊張感がみられますが、見過ごされることが多いです。

統合失調症の初期症状があっても、周りの人にはなかなか打ち明けられないことが多いです。明らかな症状が出てくるまでは、外からはなかなかわかりにくいです。

上記のような自覚症状があるため、いろいろなことに敏感となり、緊張感がみられます。これによって、気分が不安定になることもあります。また、集中力や注意力が低下してしまい、少しずつ成績が落ちたり仕事の進捗が遅れたりします。

いろいろなことにエネルギーを使うので、疲れやすさが見えることもあります。周囲を意識するようなり、疑い深くなったりします。本人が意識をしすぎてしまい、交友を避けてしまうこともあります。

これらの他覚的な初期症状はあっても、見過ごされやすいです。さらには本人に指摘しても、自分の病気を正しく認識できていないことが多いです。このような初期症状が認められた場合は、早く治療につなげることが大切です。

 

4.統合失調症の初期症状を疑ったら?

統合失調症は自然によくなる病気ではないので、早く医師に相談しましょう。

統合失調症は、しばらく様子をみていると自然によくなっていく病気ではありません。ですから、統合失調症の初期症状を疑ったら、すぐに受診して相談しましょう。

受診してみたら統合失調症ではないという場合もあるかもしれません。ですが見過ごしてしまって幻覚や妄想に支配されてしまうと、本人の意志で病院にいくことすらできなくなります。そうなる前に治療を行うことで、あなたの生活を守れます。

本人に自覚がなくて、家族や友人などの周りの方が統合失調症の初期症状かも知れないと疑った場合もあるかと思います。

このときに本人にストレートに伝えても、反発となって返ってくることがほとんどです。「眠れていない」「食欲が落ちている」といったハッキリとわかるところを糸口にして、受診につなげていく方がスムーズです。

通院をしている場合は、主治医に情報として伝えられるとベストです。受診に付き添ってお話してくださるのがよいのですが、中には時間がとられるのを嫌がる医師もいます。文章で状況をまとめて受付で渡すという形であれば、医師も抵抗なく読んでくれるかと思います。

これまで安定していたのに調子が悪くなってしまう一番多い原因は、薬の飲み忘れになります。きっちりと薬を飲めているのか、確認するようにしましょう。

統合失調症の初期症状を通り越して幻覚や妄想に支配されてしまっていたら、まず家族が病院に相談してください。その際は、入院も可能な病院で相談されるのがよいかと思います。

詳しく知りたい方は、「統合失調症の再発を防ぐための家族の接し方のポイント」をお読みください。

 

まとめ

統合失調症は、「感覚のフィルターをうまく調整できなくなっていく」と考えるとわかりやすいです。

自覚症状としては、気になることが増えて、いろいろなことに敏感になっていきます。

このため、他覚症状としては緊張感がみられますが、見過ごされることが多いです。

統合失調症は自然によくなる病気ではありません。統合失調症を疑ったら、早く医師に相談しましょう。

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