抗うつ剤を飲み忘れたときの対処法とは?

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決められた通りにきっちり薬を飲むのはとても難しいです。私自身も薬を飲み忘れてしまうことはしばしばあります。

ですが抗うつ剤は、毎日薬をきっちり服用することで効果が出てきます。そして薬を飲み続けていると、抗うつ剤が少しずつ身体に慣れていきます。そんな時に飲み忘れが続いてしまうと、身体がビックリしてしまって離脱症状が出てくることもあります。

もし、抗うつ剤を飲み忘れてしまったら、どのようにすればよいでしょうか?
どのようにすれば、抗うつ剤をしっかりと服用できるでしょうか?

ここでは抗うつ剤を飲み忘れた時の対象法をお伝えしていきたいと思います。そして、抗うつ剤を用法どおりにしっかりと服用する対策を考えていきましょう。

 

1.抗うつ剤を飲み忘れを主治医に正直に伝える

今後の治療のためにも、主治医にしっかりと伝えましょう。

抗うつ剤をもし飲み忘れてしまったら、正直に主治医の先生に伝えましょう。薬の飲み忘れはよくあることです。医者側も仕方がないとおもっていることがほとんどです。

患者さんのことを思って、厳しく伝える先生もいらっしゃるかと思います。ですが、感情にまかせて怒る先生はあまりよい医師とはいえません。

私も薬の効果が一定しない時は、「しっかり薬をのめているのかな?」「お酒をかくれて飲んでないかな?」などと考えたりはします。ですが基本的には、患者さんが薬をしっかり飲んでくれていることを前提に治療をしています。

ですから早い段階でお伝え頂ければ、治療にもプラスです。また、飲み忘れに対する対策をお伝えすることもできます。抗うつ剤は飲んだ実感が少ない分、忘れてしまうのも無理はありません。

 

2.抗うつ剤の身体の中での様子

抗うつ剤は内服を続けていると、常に身体の中に残っている状態になります。

まずは、抗うつ剤が身体の中でどのように効果がでてくるのかを理解する必要があります。

薬を服用した時の、血中濃度の変化を図に表わして、Tmaxと半減期を説明します。

これは薬を1錠服用した時の、血中濃度と時間の関係をみたグラフになります。このグラフには、2つのポイントがあります。

最高血中濃度到達時間(Tmax)と半減期(T1/2)です。

Tmaxが短いほど効果が早いといえます。また、T1/2が短いほど、薬の切れ味がよく身体からすぐになくなるといえます。

抗うつ剤はゆっくりと効果が出てくる薬ですので、Tmaxはあまり考えません。そして一日中効いてほしいので、T1/2は長い薬がほとんどです。24時間たっても身体から薬が抜けないので、翌日に薬を服用するとたまっていきます。

薬を飲み続けると、定常状態となります。その様子を図であらわしました。

このように、抗うつ剤は内服を続けていくうちに少しずつ蓄積しています。そしてある一定のところで、血中濃度が安定します。この状態を専門的にいうと、定常状態といいます。

 

3.抗うつ剤を飲み忘れたらどのようになるか?

血中濃度が急に落ちてしまい、安定するまでに数日かかってしまいます。

それでは薬を飲み忘れたらどのようになるのでしょうか?
シミュレーションしてみましょう。

1日1回夕食後に抗うつ剤を処方されている方とします。薬を飲み続けていくと、薬の血中濃度が安定していきます。この状態から、1日飲み忘れてしまったとします。

薬の飲み忘れた時の血中濃度の変化をグラフにしました。

このようになります。一日飲み忘れてしまうと、ガクッと血中濃度が落ちてしまいます。次の日から再開しても、再び安定するまでに数日を要します。

もし翌日の朝に服薬すると、一時的に血中濃度が高くなる時期がきます。ですが、すぐにもとの安定した血中濃度に戻ります。

抗うつ剤は、しばらく服用していると身体に慣れてしまいます。急に身体から薬がなくなると、ビックリして不調が生じることがあります。これを離脱症状と呼びます。SSRIでよく認められ、その中でも特にパキシルでよくみられます。1日の飲み忘れでも生じることがあるので、注意が必要です。

 

4.抗うつ剤を飲み忘れたらどうすれば?

多少ずれてもよいので、抗うつ剤をきっちり服用しましょう。原則的にお酒はダメですが、多少お酒を飲んでしまった場合も抗うつ剤は飲みましょう。

薬を飲み忘れてしまうと、立て直しに時間がかかってしまうということがお分かりいただけたかと思います。もし抗うつ剤を飲み忘れてしまったら、多少ずれてでも服薬した方が良いです。抗うつ剤は食後に服用することが多いですが、抗うつ剤は食事の影響を大きくうけません。ですから空腹時に服用しても心配いりません。

また、「お酒をのんでしまったから薬を飲まなかったです」とおっしゃる患者さんがいらっしゃいます。これは、抗うつ剤では間違いです。原則的にお酒はダメですが、もし多少飲んでしまっても抗うつ剤は飲みましょう。

飲み忘れて丸1日たってしまったら、仕方がありません。そこで2日分服用することはありません。わりきって、翌日からしっかりと服薬をするようにしましょう。

 

5.抗うつ剤を飲み忘れない対策

抗うつ剤を飲み忘れてしまった場合の対処法についてみてきました。それでは、そもそもどのようにすれば抗うつ剤を飲み忘れないかを考えていきましょう。

 

5-1.食卓に薬をおく

食事時に必ず目に入ります。

食卓に薬をおいておくと必ず目に入りますので、飲み忘れにくいです。ですから、抗うつ剤は食卓に置いておくようにしましょう。精神科の患者さんは、周囲に病気を隠している方もいらっしゃいます。そのような場合は、食卓に薬をおくことはできないかと思います。

そもそも家族が理解してくれるととても楽になれますし、治療も大きくすすみます。家族の理解を得るにはどのようにしたらよいのか、ぜひ主治医に相談してみてください。

 

5-2.飲み忘れ防止ケースを使う

壁掛けのものや携帯型のものなど、色々なものが販売されています。

薬の飲み忘れ防止グッズは、色々なものが販売されています。壁掛けで薬をいれておくようなものから、携帯型の薬ケースまであります。

このように、薬をしっかりと飲む時間帯や日にちで管理しておくと、飲み忘れに早く気付くことができます。抗うつ剤の場合、多少でしたらずれて服用しても構わないのです。

 

5-3.一番飲み忘れがない時間をみつける

自分が必ず服用できる時間をみつけて、主治医に相談しましょう。

人それぞれ、飲みやすい時間があります。

  • 寝る前ならば必ず忘れない
  • 食事時は大丈夫
  • 朝は水を飲む習慣があるから忘れない

などです。ふりかえってきっちり服薬できている時間を探しましょう。その上で主治医と相談してみてください。

薬によっては、何回かに分けて効果がでてくる薬もあります。また、その時間に効果を期待していて薬を使っている場合もあります。自己判断で飲み方を変えないようにしましょう。

 

5-4.服用方法が簡単にできるように相談する

一包化といって同じ時間に飲む複数の薬をまとめることができます。薬の飲み方をシンプルにできるかもしれません。主治医に相談してみましょう。

薬の量が多くなってしまっている方は、主治医に相談すると服薬方法が簡単になるかもしれません。

一包化といって、同じ時間に飲む薬をひとまとめにすることができます。飲むのが簡単になりますので、飲み忘れが減ります。特に量が多い方にはおすすめです。

また、飲み方をまとめてシンプルにすることもできるかもしれません。精神科の薬は効きが長いものが多いです。抗うつ剤は一日中効果が持続する必要があるので、どれも長いものが多いです。回数を減らす事で副作用のリスクが多少あがりますが、まとめられることも多いです。

主治医に相談される前に、一番飲み忘れがないパターンはご自身で考えてみていただくとよいかと思います。

 

5-5.家族に管理をお願いする

自分で薬の管理が難しい場合は家族にお願いしましょう。

薬を自分でしっかり飲むことができない場合は、協力してもらえるならば家族にお願いしてみましょう。抗うつ剤は、しっかりと服用を続けることで効果がでてきます。ですから、治療に対して家族が理解を得られている場合は、お願いするのも治療への近道です。

家族の理解を得るにはどのようにしたらよいのか、ぜひ主治医に相談してみてください。良心的な先生ですと、状況を説明してくれて家族の協力を得るサポートをしてくれます。

 

まとめ

抗うつ剤を飲み忘れてしまったら、今後の治療のためにも、主治医にしっかりと伝えましょう。

抗うつ剤は内服を続けていると、常に身体の中に残っている状態になります。

薬を飲み忘れると抗うつ剤の血中濃度が急に落ちてしまい、安定するまでに数日かかってしまいます。

抗うつ剤を飲み忘れてしまったら、多少ずれてもよいのできっちり服用しましょう。原則的にお酒はダメですが、多少お酒を飲んでしまった場合も抗うつ剤は飲みましょう。

薬を飲み忘れない対策としては、以下のようなものがあります。

  • 食卓に薬をおく
  • 飲み忘れ防止ケースを使う
  • 一番飲み忘れがない時間をみつける
  • 服用方法が簡単にできるように相談する
  • 家族に管理をお願いする

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