いま話題の遠隔診療、遠隔診療にはどのようなサービスがあるのか?

アイコン 2016.6.1 その他の制度
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みなさんは遠隔診療が事実上の解禁になったというニュースを耳にされたことがありますか?

従来から遠隔診療は、僻地に限っては可能とされていました。しかしビジネスとして儲かるはずもなく、遠隔診療はほとんど行われてきませんでした。この状況が厚生労働省の一本の厚生労働省事務連絡によって大きく変わりました。

遠隔診療の適応範囲が大きく拡大され、一気にビジネスとしての可能性が広がったのです。これをうけて、様々な企業が遠隔診療に乗り出しています。そして実際にいくつかの病院でも、遠隔診療が導入されつつあります。

しかしながら診療報酬の体系も整っておらず、まだまだ普及という段階ではありません。病院としての体力があったり、企業の支援がある医療機関で導入されはじめている段階です。

ここでは、いま話題の遠隔診療とはどのようなものか、そして現在どのようなサービスがあるのかをご紹介していきます。

 

1.これまでの遠隔診療の厚生労働省での解釈

へき地や離島であったり、長期間の治療により安定した患者さんに限り、対面診察と組み合わせての遠隔診療は可能とされていました。

遠隔診療とは、パソコンやスマホなどの通信技術を使って診察を受けることができる医療サービスです。

冒頭でもお伝えしましたが、遠隔診療自体はずいぶん昔から認められてはいました。平成9年の厚生労働省による遠隔診療通知が始まりになります。

「直接の対面診療による場合と同等ではないにしても、これに代替しえる程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には、遠隔診療を行うことは直ちに医師法第20条(無診療医療の禁止)に抵触するものではない。」

このような通知が出されました。つまり、「普通に診察室で行う対面診療が前提ではあるけれども、遠隔診療は違法ではない」ということが示されたのです。

ただし、ここに条件付きがありました。※わかりやすく表現をかえています。

  1. 初診および急性期の疾患に関しては、原則として直接の対面診察によること。
  2. 直接の対面診療を行うことができる場合や他の医療機関で直接の対面診療を行うことがでいる場合には、遠隔診療はできなく対面診療をすること。
  3. これらに関わらず、患者さんが希望してメリットが大きい場合、対面診療と組み合わて遠隔診療しても差し支えがないこと。
    ア)直接の対面診療を行うことが困難である場合
    (例えば、離島やへき地で通院や往診に時間がかかったり危険がある)
    イ)相当期間治療している慢性期の患者さんで病状が安定している場合

このうちイに関しては、別表という形で例示されています。以前の厚生労働省の解釈なので、列挙だけしておきます。

つまり、遠隔診療ができるのは大きく2つの場合でした。

そして対面診療と組み合わせることを前提としたものである必要がありました。これでは遠隔診療でできることが限られてしまい、まったく遠隔診療が普及しませんでした。

 

2.遠隔診療に関する厚生労働省の新しい解釈

どんな病気でも病状がおおむね安定していれば、通院が困難な理由があれば対面診療と組み合わせれば遠隔診療も可能としています。

このような現状を大きく変えたのが、平成27年8月10日の一本の厚生労働省の事務連絡です。※わかりやすく表現を変えています。

  1. 平成9年遠隔診療通知での「直接の対面診療を行うことが困難である場合」として「離島・へき地」をあげているが、あくまで例示であること。
  2. 平成9年遠隔診療通知での「別表」での遠隔診療の対象はあくまで例示であること。
  3. 直接の対面診療が基本であるとされているが、患者さんが希望してメリットが大きい場合、対面診療と組み合わて遠隔診療しても差し支えがないこと。

これまでは遠隔診療は必要最小限となっていましたが、あくまで例示にすぎないとしたのです。これをうけて、遠隔診療が事実上の解禁となりました。

直接の対面診療を行うことが困難な場合として、サラリーマンで仕事が忙しかったり、子供が小さくて外出がしにくいお母さんなども該当することになるのです。

病気に関しても例示にすぎないとなったので、多くの病気でも遠隔診療が可能になります。もちろん病気の急性期や症状が悪化している場合は、対面診療を行うことにはなると思います。

遠隔診療は、対面診療を組み合わせることが必要とされています。平成28年3月18日の厚生労働省事務連絡でも、「対面診療を行わずに遠隔診療だけで診療を行うのは、無診療治療にあたる」ということが示されています。

このため現状では、初診は対面診療を行ったうえで、病状がおおむね安定していれば遠隔診療を行っていくというのが基本的な厚生労働省の解釈かと思います。

 

3.現状ではどのような遠隔診療サービスがあるのか

DtoDとDtoPのサービスがあります。

遠隔診療には、現在は大きく分けて2つのタイプがあります。

DtoDのサービスとは、医者向けのセカンドオピニオンサービスです。医者も自分の専門外のことに対してはわからないことが多いです。専門外の部分に対して、専門の医者から遠隔診療してもらいアドバイスを求めるサービスです。

DtoDサービスは医療機関としてはアウトソーシングしているだけになりますので、報酬も発生しやすかったので比較的すすんできていました。

それに対してDtoPサービスは、診療の質を担保できるかという倫理的な問題だけでなく、お金の取りどころの問題もありました。このためこの領域では、ITの活用がとても遅れていました。

お金の問題はいまだ解決していませんが、倫理的な問題での国の制約が弱まり、将来の可能性を感じて様々な企業が参入してきています。

以下で具体的なサービスについてご紹介していきます。

 

4.DtoDの遠隔診療サービス

放射線科の画像診断・病理の組織診断の分野では、以前から遠隔診療がすすんできました。最近では、皮膚科や眼科でのサービスがあります。

DtoDの遠隔診療サービスは、IT技術の進歩と共に少しずつ発展していきました。その代表的な分野が、放射線科と病理です。

病院にいくと、レントゲン・CT・MRIなどの画像検査を行うかと思います。放射線科医は、画像診断のスペシャリストです。さまざまな病気の画像を勉強し、毎日たくさんの画像をみています。ですから放射線科医がいる病院では、画像をとると放射線科医が読影してコメントをくれます。

病理とは、顕微鏡で組織をみて細胞レベルで診断をしていきます。検査や手術によってとってきた組織がどのようなものか、それをみて判断します。

私たち医者も画像や病理に関しても勉強はしてきます。しかしながら日々の診察をしたり治療をしたり、様々なことを学んでいかなければいけません。このため、放射線科医や病理医のスペシャリストにしかわからない部分はたくさんあります。

このどちらも、画像によって判断できる分野なので遠隔診療と相性がいいのです。一部遠隔診療での診療報酬も認められていますが、多くの病院ではアウトソーシングする形で行っています。

その他のDtoDサービスとして、皮膚科や眼科領域があります。

どちらかというと皮膚科領域に力を入れているサービスです。総務省からの寄付金と賛同医師の厚意によって完全無料で提供されているサービスですが、あくまでアドバイスで、処方を行った医師が治療責任を持つ形になります。

皮膚科領域は、見た目で分かる情報が他の科に比べて多いです。そこに着目したサービスとのことですが、皮膚科医の友人によれば、初見で確定診断できるのは3割くらいとのことでした。

眼科では細隙灯顕微鏡を使ったり、眼底をみたりするのは専門性が必要です。ですから、あくまで見た目で判断できる部分だけになるのでしょうか。

とても魅力的なサービスと私は感じましたが、私の病院ではリスクも大きいだろうとのことで導入が見送りになりました。

 

5.DtoPの遠隔診療サービス

様々なサービスがリリースされています。これからリリースされるサービスもあるため、情報を順次更新していきます。

最後に、最近注目されているDtoPのサービスについて具体的に見ていきたいと思います。

看護師などの医療系求人サイトを運営している会社です。代表のお二人は私の中高の同級生になり、遠隔医療に興味があった私は、直接お話いただく機会をいただきました。

CLINICSの印象は、本当にシンプルな遠隔医療サービスになります。予約と決済をシステムの中で完結させています。MEDLEY社は医者が作るオンライン辞書という形で、病気に関する医療コンテンツを作っています。こちらと連動させながら、サービスを展開しています

医者の転職サイトを運営しているMRT社になります。医療情報のポータルサイトがあり、製薬会社などの広告をクリックをするとポイントがたまるので多くの医者が登録しているサイトです。

ポケットドクターでは、スマートフォンでできるというのが大きなメリットでしょうか。保険診療の枠組みでのかかりつけ医への遠隔医療サービス、自費でのセカンドオピニオンサービス、緊急時の電話相談サービスなどを予定しているとのことです。

医者は空き時間を利用して、ポイントがたまるという形で報酬が支払われます。とはいってもお金にするとそこまで大きな額というわけではなく、どちらかというと「暇だからやる」というスタンスの医者が多いかも知れません。

この会社は異色で、医療系の企業ではありません。就活や美容、旅行や医療情報などのメディア事業、採用支援事業などを行っています。

高血圧症や脂質異常症などをはじめ、遠隔で行っても大きく診療の質が落ちない10疾患にしぼってサービスを提供しています。このサービスの特徴は、既存のSNSであるFacebookやSkype、LINEなどの好みに合わせた複数の方法でサービスを受けられることです。

この中ではLINEがもっとも人気が高かったとのことでした。LINEでのやり取りで十分な診察ができるとは思えません。またこのサービスは、おそらく遠隔診療だけで完結する形でのサービスだったかと思います。

現在リニューアル中とのことで、対面診療を組み合わせた形で新たなサービスに変更してくると思います。

 

その他にも現在、メドピアやエムスリー(エムキューブ)といった会社が遠隔診療ビジネスへの参入を表明しています。いずれもMRT社と同じように、医者のプラットフォームを持っている企業になります。ポケットドクターに近いサービス提供になるのではと思います。

 

まとめ

遠隔診療には、DtoDとDtoPのサービスがあります。DtoDサービスでは、アウトソーシングとしてITの活用がすすんでいました。DtoPのサービスは遅れていましたが、平成27年8月に遠隔診療が事実上解禁され、一気に活気づいています。

様々なサービスがリリースされています。これからリリースされるサービスもあるため、どのような差別化がされていくのでしょうか。

確かに遠隔診療によって患者さんの利便性もあがりますが、診療の質で対面診療よりも優るような遠隔診療サービスはまだ見受けられません。私もとても関心がある分野なので、新しいことが分かり次第、情報を更新していきたいと思います。