「たんぱく質」って何だろう?たんぱく質はどのような栄養素なのか

アイコン 2016.10.11 栄養学
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たんぱく質は、三大栄養素のうちの一つです。そしてたんぱく質は、人間の体の主成分です。

人間は骨、筋肉、皮膚、内臓など様々な部位がありますが、その主成分はたんぱく質です。人間の16%がたんぱく質でできています。水などの液体を除いた固体成分を考えると、約50%がたんぱく質になります。

人間は、70兆個もある細胞の集合体です。そして細胞はつねに新陳代謝を繰り返し、新しくなっています。その材料がたんぱく質です。

他にも、体を活発にするホルモンや食事をスムーズに行うための消化酵素、はたまたばい菌と戦うための免疫細胞など、たんぱく質は様々な働きをしています。

このように、生きることや健康に欠かすことのできないものがたんぱく質です。そして、エネルギーが不足しているときには、たんぱく質が分解されエネルギーになることもできます。

ここでは、多様な働きをするたんぱく質の特徴や、吸収のされ方、食べ方について、一緒に見ていきましょう。

 

1.たんぱく質は、どんな種類があるの?

たんぱく質と聞くとアミノ酸という言葉が出てきます。また必須アミノ酸、アミノ酸スコア、ペプチド・・・など様々な用語が出てきて、混乱しやすいところです。

この章では、一つ一つ説明を行っていきます

 

1-1.たんぱく質はアミノ酸からできている

もともとたんぱく質は、地球上全ての生物の構成要素です。

地球上全てのたんぱく質の種類を数えると、1000億種類にもなるといわれています。人間のタンパク質も、約3万種類があると言われています。

そのたんぱく質は、アミノ酸がペプチド結合してできたものです。

しかし、たんぱく質を作るアミノ酸は、たったの20種類だけです。たった20種類のアミノ酸ですが、立体構造を作りあげることで数えきれないほどのたんぱく質となり、複雑な機能を発揮しているのです。

アミノ酸、ペプチド、たんぱく質・・・これらの違いは、アミノ酸の数です。アミノ酸の化学構造式は、このようになっています。

アミノ酸の化学構造式について

このうち、オレンジ色と緑色の部分を

と呼びます。

二つ以上のアミノ酸が結合するときには、アミノ基とカルボキシル基が結合します。これを、ペプチド結合と言います。ペプチド結合を繰り返していくことで、アミノ酸が何個~何百個とつながっていきます。

ペプチドとは、一般的にアミノ酸が50~100個以下くっついたもののことをさします。

さらに細かく見ていくと、ジペプチドはアミノ酸が2個結合したもの、トリペプチドは3個結合したものです。アミノ酸の結合が、10個以下のものは、オリゴペプチドと呼ばれることが多く、10個以上結合しているものは、ポリペプチドということが多いです。

たんぱく質は、アミノ酸が50~100個以上結合しているものになります。

最近では、ペプチドが健康食品や医薬品でも注目されているようです。ペプチドは、生理活性物質を持っており、血圧上昇を抑えたり、筋肉増加を促すなどの効果をもつことがわかってきています。

 

1-2.たんぱく質にはどんな種類があるの?

たんぱく質はアミノ酸だけでできているもののほかにも、糖がくっついているものなど3種類があります。それぞれが、人間の体の中で多様な働きをしています。

①単純たんぱく質

アミノ酸だけで作られているものです。食べ物の中に含まれる単純たんぱく質の例を挙げると、

などがあります。

また人間の中の単純たんぱく質には、以下のようなものがあります。

などがあります。

アルブミンは血清にあるたんぱく質のうち、約60%を占めます。血管の外と中での濃度の調整、ミネラルなどの栄養素を運ぶ役割をしています。

アルブミンは肝臓で作られており、腎機能の低下があると異常に排泄されてしまいます。肝臓や腎臓の病気を見つける指標になるほか、栄養がとれているかの指標として使われています。

グロブリンの中で有名なのは、免疫グロブリンです。種類によって、IgA・IgG・IgEという方がなじみがあるかもしれませんね。細菌やウィルスなどの外敵から、体を守る働きをしています。また、種々のアレルギー反応などにも関わりがあることもわかっています。

②複合たんぱく質

糖や脂質などを含んでいるたんぱく質のことを、複合たんぱく質と言います。

などと呼びます。複合たんぱく質とその働きを表にしてまとめてみましょう。

複合タンパク質の働きについて

ちらっとみるだけでも、

様々な働きをしていますね。

③誘導たんぱく質

天然のタンパク質が、熱や酵素などで変化したたんぱく質のことです。

コラーゲンが変性したゼラチンなどがあります。

 

2.必須アミノ酸ってなに?

たんぱく質は、20種類のアミノ酸を材料にできています。

そのうち人間が体内で合成することができないものを、必須アミノ酸と言います。そのため必須アミノ酸は、食事から取り入れています。

必須アミノ酸は、全部で9種類あります。必須アミノ酸には、

などがあります。必須アミノ酸の働きはそれぞれ、下のようになります。

必須アミノ酸の働きについてまとめました。

 

このように様々な機能がありますが、筋力や成長、精神神経機能に必須の働きをしていることが分かります。またヒスチジンには、子供の成長に必須なアミノ酸です。

もしかすると、いま画面の前で落ち込んでいるあなたは、フェニルアラニンやメチオニンが足りないのかもしれません。フェニルアラニンやメチオニンをとってますか?

筋肉トレーニングしてるのに、筋肉がつかないあなた。バリンやロイシン、イソロイシンをとってますか?

必須アミノ酸は、体内で合成できないものなので、食事から取り入れるしかありません。日本食は、お米を中心にバランスよい食事です。ですが外食が中心の方や、ラーメンやうどんなどの単品料理は炭水化物が多く、たんぱく質が少ない構成です。日頃から意識して取っていきたいものです。

ただ注意することがあります。アミノ酸はバランスよくとらないと、どれだけたんぱく質をとっても、充分に機能しないのです。次の項目では、必須アミノ酸のバランスについて説明していきます。

 

2-2.理想的な必須アミノ酸のバランスとは?(アミノ酸評点パターン)

人間はたんぱく質を合成するときには、アミノ酸を1個づつ順番に結合させていきます。そのたんぱく質のもととなる、全ての種類のアミノ酸が必要です。ですからアミノ酸のバランスが悪いと、たんぱく質が作れなくなってしまうのです。

例えば、たんぱく質の合成にリジンが必要な場合、リジンが不足するとそこでたんぱく質の合成ができなくなってしまうわけです。ですから必須アミノ酸をバランスよくとることが大切で、必須アミノ酸の理想的な組み合わせが、アミノ酸評点パターンと言われています。

アミノ酸評定パターンについて

※単位mg/gN::窒素1g当たりの必須アミノ酸の量

この表のバランスで必須アミノ酸が含まれている食品が、理想的なバランスの食品となります。

 

3.たんぱく質の取り方と、アミノ酸スコアの使い方

前の章でアミノ酸評点パターンをについて説明しました。アミノ酸評点パターンを参考にすると、食品毎にどれだけ必須アミノ酸が含まれているかわかります。

でも、いちいち食品毎に、「えーっと、この食品のリジンは100mgだから・・・」などと計算するのは大変ですよね。そのため、食品毎に、必須アミノ酸が含まれる量を数値化したものがあります。それをアミノ酸スコアといいます。

思い出していただきたいのが、たんぱく質を作るには、そのたんぱく質を作るすべてのアミノ酸が必要でしたね。不足している必須アミノ酸があると、たんぱく質の合成が止まってしまうためです。

そのため、その食品ごとに最も不足しているアミノ酸(第一制限アミノ酸といいます)を数値化することで、簡便に食品の栄養を理解できるようにしてあるわけです。

アミノ酸スコアは100が最大です。

  1. アミノ酸スコア100の食品をとる。
  2. アミノ酸スコアが100になるように、複数の食品を組み合わせてとる

ことで、必要な必須アミノ酸を、十分にとることができます。下に、大豆(全粒 乾燥)、精白米、小麦、卵、肉のアミノ酸スコアをグラフで示します。

アミノ酸スコアについて

肉・魚・卵・大豆は、必須アミノ酸全ての数値が100になっています。この場合、アミノ酸スコア100となります。

一方で、精白米や小麦は100に到達していないものが複数あります。精白米や小麦の場合、最も数値が低いリジンが第一制限アミノ酸となります。

第一制限アミノ酸がある場合は、アミノ酸スコアはこの数値になります。これらをまとめると、アミノ酸スコアは、

ということになります。精白米と小麦のスコアの後ろに ”L” とありますが、これはリジンのLのことです。第一制限アミノ酸の頭文字を、アミノ酸スコアの後ろにつけることになっています。

他には、

などもあります。

こう見ていくと、たんぱく質として食べている、卵・魚類・肉類のアミノ酸スコアが優秀ということが分かりますね。

菜食主義など、動物性たんぱく質の摂取を控えている方でなければ、日常の生活で十分なたんぱく質をとればよいことが分かります。

植物性たんぱく質として有名な大豆ですが、注意が必要です。評価によっては、メチオニンのアミノ酸スコアが少ないこともあります。その際は、メチオニンを多く含有している食品で補てんする必要があります。昔の人は、米を食べることでメチオニン不足を解消していたようです。

ただし注意は必要です。アミノ酸スコアが良い食品をとっても、もともと含まれるたんぱく質の量が少なければ、充分な量の必須アミノ酸をとることができません。食品100g当たりのたんぱく質の量をみてみましょう。

食品100gあたりのたんぱく質の量について

上の表にあるように、100gの鮭を食べてもたんぱく質は22.5gです。「思っていたよりかは少ないな」と、思う人もいるのではないでしょうか。ところで、一日のタンパク質の摂取量の目安はいくつなんでしょうか。

その答えは、成人男性 60g、成人女性 50gと言われています。60gというのは、結構な量になります。

60gたんぱく質をすべて精白米でとろうとすると、お米を2.5kgも食べなくてはいけません。バナナでしたら5.4kgですね。5kgのバナナを食べるなんて想像すると、面白い絵になりますね。

このように、たんぱく質の全てを穀物・野菜・果実で補うのは困難です。鮭では266g、豚バラ肉でしたら420gになります。それでも少なくない量ですね。

特に外食中心の方、ダイエットをしている女性は、炭水化物が中心となる傾向があるので注意が必要です。

たんぱく質をとることが義務のように感じてしまうと、食事が苦痛になってしまいます。でも幸いなことに、日本の食卓には、たんぱく質豊富な料理がたくさんあります。

大豆料理、魚料理、お肉料理、大豆料理、乳製品を用いて、十分なたんぱく質を摂取するようにしましょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

アミノ酸、ペプチド、たんぱく質、アミノ酸スコアなど見慣れない用語が出てきて、難しかったかもしれません。

たんぱく質は、最も大切な栄養です。体そのものと言ってもいいかもしれません。

雨漏りした家を修理しようとしても、材料がなければ修理できません。

体は日々新陳代謝しています。体の「穴」を埋めるために、日々の生活のなかで、少したんぱく質をとるように目を向けてみてはいかがでしょうか。