心身症の原因にはどのようなものがあるか

アイコン 2016.8.4 心身症

心身症とは、「心(こころ)」と「身(からだ)」が相互に影響することによる病気のことをさします。

精神的なストレスと身体は密接に関係していて、内分泌系や自律神経系、免疫系などを通して身体に影響を及ぼします。

ですから心身症は非常に幅広い病気が含まれていて、糖尿病や喘息といった明らかな内科の病気から、身体表現性障害といったストレスが症状を作っているような精神科よりの病気まで含まれます。

心身症の原因は「ストレス」ですが、同じストレスでも受け止め方は人それぞれです。ストレスが身体症状にあらわれやすくなるのには、どのような原因があるのでしょうか?

ここでは、心身症になりやすい原因について詳しくみていきたいと思います。

 

1.心身症とは?

心身症は、ストレス(心)が大きく影響する身体症状が中心の病気をさします。

心身症の原因についてみていく前に、心身症とはどのような病気なのかを見ていきたいと思います。

心身症とは、「心(こころ)」と「身(からだ)」が相互に影響することによって生じる病気のすべてになります。心身相関という考え方を大切にしていて、心と身体は自律神経系や内分泌系、免疫系などを介して大きく影響しています。

かつてはこの心身症という考え方は当たり前でしたが、現代医学の進歩とともに、心と身体は切り分けて二元論的に考えられるようになってしまいました。心身症として病気をみることで、心と身体の両面からアプローチしていくことができます。

心身症の定義をみると、

となっています。つまり心身症は、ストレス(心)が大きく影響する身体症状が中心の病気をさします。

 

2.心身症の原因(心身相関)とは?

心身症はストレスが原因となっている身体の病気です。ストレスが自律神経系や内分泌系、免疫系に影響を及ぼすことで、身体に症状が生じます。

それでは、心身症の原因について考えていきましょう。

心身症では、ストレスが原因となって自律神経系や内分泌系、免疫系と相互に作用しあって身体に影響を及ぼします。

心身症とは?心身相関について

ストレスがかかると、自律神経系では交感神経が刺激されます。交感神経は、身体を「戦うモード」に切り替えます。このため、心機能が高まって動悸や 頻脈となり、呼吸が早くなり、筋肉は緊張してこわばります。その一方で消化は抑えられ、胃腸の働きや唾液分泌などが悪くなります。

内分泌系では、視床下部―下垂体―副腎皮質系の働きが重要です。ストレスを受けると下垂体からACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が分泌されて、ACTHは副腎皮質からコルチゾールが分泌されます。

コルチゾールは、「ストレスなどの負荷に対して、体が負けずに元気になれ!」と命令するホルモンなので、抗ストレスホルモンともよばれます。血糖をあげたり、炎症を抑える働きがあります。

免疫系はこれに密接に関係しています。免疫系はストレスがかかると、一般的に抑制されます。病原体が細胞に感染するのを防ぐ液性免疫(抗体)は強くなることもありますが、感染してしまった細胞をやっつける細胞性免疫(キラー細胞)は弱まります。

これらの3つが相互に作用して、様々な心身の病気の原因になると考えます。

 

3.心身症の原因はストレスだけのせい?

強烈なストレスが原因となることもあれば、本人の思考・行動パターンが原因のこともあります。

心身症はこのように、ストレスを原因とする病気です。しかしながら同じストレスでも、人によって受け止め方が異なります。心身症を発症するまでのストレスのかかり方も異なります。

少し乱暴な表現になってしまいますが、心身症の原因を考えていくに当たっては、バケツ(本人の器)と水(ストレス)を考えるとシンプルです。

バケツがいくら大きくても、とんでもない水の量が注がれれば溢れてしまいます。あふれた水が心身症となります。それに対して、バケツが小さければ、ちょっとした水の量でも溢れてしまいます。

前者のように現実的なストレスが強い場合を現実心身症とよび、後者のように本人の要素が大きい場合を性格心身症といったりもします。

現実心身症ではストレス状況を改善できれば、身体症状も次第におさまっていきます。それに対して性格神経症は、本人の思考パターンや行動パターンに問題があることが多いのです。

 

4.心身症の原因①-遺伝と性格

アレキシサイミアという性格傾向が心身症に関係しているといわれています。

それでは、心身症になりやすい本人の要素を見ていきたいと思います。

性格や物事の考え方は、遺伝的な気質に加えて、様々な経験をしていくことで少しずつ形づくられていきます。

心身症になりやすい患者さんには、アレキシサイミア(失感情症)という性格傾向があることがわかってきており、1970年代から研究がすすめられています。

アレキシサイミア傾向がある人は、自分自身の感情に上手く気づけず、そしてその感情を表現することが苦手です。感情を感じていないわけではないのですが、それを自分で認識できないのです。

さらにアレキシサイミアの人は、感情を認識できたとしても客観的にそれを考えるのが苦手です。自分の感情を理解できないので、他人の感情を想像することも苦手なことが多いです。

このようにアレキシサイミアでは、自分の感情に気づいて、それを内省して解消することが苦手です。このためアレキシサイミアの方は、周りに過剰に適応しようとする人が多いです。

周りの人からみると、真面目で仕事熱心な頑張り屋さんで、頼まれるとノーと言えず、他人によく気をつかいます。ですが、「本当は嫌だ」「疲れている」といった感情があるのに、それに気づけずに自分で抱えてしまいます。限界ポイントを超えてしまうと身体症状にあらわれ、心身症を発症してしまいます。

アレキシサイミアの原因としては、生まれ持った自閉傾向に加え、母子関係を中心とした養育環境が大きいということがわかってきています。遺伝的な先天的要素だけでなく、養育環境という親から学ぶ後天的要素も認められます。

アレキシサイミアについて詳しく知りたい方は、「心身症や気分変調症の原因、アレキシサイミア(失感情症)とは?」をお読みください。

 

5.心身症の原因②―ストレス

心身症では、心理的ストレスや社会的ストレスが要因となります。いいことも含めて、変化はストレスとなります。

心身症の原因は、「心理社会的ストレス」になります。これは2つに分解することができて、「心理的ストレス」と「社会的ストレス」ということになります。

心理的ストレスとは、自分自身の心理的な要素から生じるストレスです。具体的には、健康問題や喪失体験、失敗や挫折、将来への不安などです。

社会的ストレスとは、社会生活の中から生じるストレスです。具体的には、学校や仕事、家庭でのストレス、人間関係のストレスなどがあります。

これらの様々なストレスが、心身症を発症する原因になります。とくにどのようなストレスが大きいというわけではありません。同じストレスでも、その受け止め方は人によっても異なります。

ストレスが一番大きくかかってくるのは、変化したときです。自分の生活の中で、何か変化したことはなかったかを振り返ってみてください。

ストレスというと悪いことばかりが頭に浮かぶかと思います。確かにマイナスなことがストレスになることが多いのですが、ストレスはいいことでも生じます。

例えば新しい家族が増えたり、昇進することがストレスになることがあります。本人も喜ばしいことと思っていても、知らず知らずにストレスになっていることもあります。

変化をするということ、良いことであったとしてもストレスになりうるのです。最近の生活での変化に目を向けていく必要があります。

日常生活でのストレスについて詳しく知りたい方は、「心と体が折れる前に…日常に潜むストレスをチェックしてみましょう」をお読みください。

 

まとめ

心身症はストレスが原因となっている身体の病気です。ストレスが自律神経系や内分泌系、免疫系に影響を及ぼすことで、身体に症状が生じます。

強烈なストレスが原因となることもあれば、本人の思考・行動パターンが原因のこともあります。

本人の要因としては、アレキシサイミアという性格傾向が心身症に関係しているといわれています。

環境の要因としては、心理的ストレスや社会的ストレスが要因となります。いいことも含めて、変化はストレスとなります。